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「因果関係」の理解と情報の「見える化」で、理科の成績を上げるコツ

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公開: 最終更新日:2021年07月21日

理科の勉強のしかたがわからない?

理科の勉強に関して「よくわからない」というご質問、ご相談をよく受けます。

この「理科の勉強のしかたがわからない」というご相談の背景には、理科という科目の全体像、背景がわかっていないということがあります。

理科には「物理」「化学」「生物」「地学」の4分野があり、多くの中学校の入試問題では、この4分野からバランスよく出題されます。

一般に「生物」「地学」は「暗記分野」、「物理」「化学」は「計算分野」と呼ばれます。

暗記分野に関する「覚えさえすればなんとかなる」という誤解

生物分野では植物、動物、人体などを学習します。植物では、双子葉植物と単子葉植物、有胚乳種子と無胚乳種子といった仲間わけから、具体的な植物の体のつくり、そして蒸散作用や光合成など植物の生活活動まで、学年が上がるごとに詳細に学習していきます。

地学分野は気象・地層・天体などを学習します。4年生では月や太陽など身近な天体の動きなどを中心に、「目で見て確かめられる」ことを多く学習します。高学年になると天気の変化や湿度、地層と岩石のでき方、天体の細かな運行など複雑な仕組みも学習します。

この2つの分野は「暗記分野」と呼ばれていることからも「覚えさえすればなんとかなる」と勘違いされやすいのですが、本来理科という科目は生物の仕組みや性質、そして自然現象の原因と結果、つまり因果関係を学ぶ科目です。タンポポが冬にロゼットを広げるのにも理由があり、飛んだ綿毛(種子)が夏眠を経て発芽するのにも理由があるのです。

それを「事実」という「点」で覚えて、原因、理由を覚えないような勉強に陥ってしまうと、高学年で伸びなくなるのです。なぜなら、高学年になるとこれら「暗記分野」でも思考系の問題がどんどん出てくるようになり、「一問一答式に暗記する」という勉強法では太刀打ちできないからです。

4年生のうちは、基本的な「目で見て確かめられる」ことがらの学習が中心ですが、その頃から意識して「どうしてそうなるのか」を考える学習をしておくのが高学年で伸びるポイントです。

計算分野を得意にするポイントは情報の「見える化」

「計算分野」と呼ばれる物理、化学分野にも、もちろん暗記すべき事項はあります。実験器具の使い方やいろいろな水溶液の性質とそれらを判別する試薬の名前、色の変化など、覚えるべきことはたくさんあります。

しかし生物や地学分野と比べて因果関係がわかりやすく、あまり覚えるのに苦労するという話は聞きません。生物の複雑さにくらべると、化学反応にははっきりと決まりがありますし、その決まりに従って考え、計算していけば答えが出るからです。

一方、物理分野や化学分野が「苦手」というお子さんは、この「きまり」を見える化するすべを知らないために苦手になっている例が多いのです。

たとえば「水素2Lと酸素1Lの混合気体に火をつけると完全燃焼し、結果2Lの水蒸気が発生する」という問題条件があれば、それを文章のまま捉えるのではなく

水素(2L)+酸素(1L)⇒水蒸気(2L)

という式の形に書き出す。そうすると、他の組み合わせの混合気体が出てきたときに「完全燃焼」の式とくらべてどうかと考えやすいのです。

上は化学分野の「燃焼」の例ですが、分野、単元によってこのような「見える化」の方法は図・式・表・グラフなど様々です。こういった「見える化のためのツール」を問題・分野ごとに使える状態にしていくのが、一方で理科で得点力を上げていく上でのポイントです。

算数の解法や図法と同じで、単にツールの使い方を覚えるだけでなく「どうしてこの問題にはこのツールが適しているのか」を考えながら使い込むことが大切です。ここでもやはり「因果関係」がキーワードだということですね。

 

学年が上がるにつれて、学習内容は高度に、複雑になっていきます。できるだけ学年が低いうちから「因果関係」を常に意識した学習を心がけるのが、理科の成績を高止まりさせるコツです。

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