中学受験情報局『かしこい塾の使い方』

そのやり方、実はNGかも?塾の宿題の「取捨選択」と失敗する家庭学習3選

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公開: 最終更新日:2026年05月20日

こんにちは。
中学受験情報局 主任相談員の西村則康です。

中学受験の勉強は、4年生から5年生、6年生へと学年が上がるにつれて急激にハードになります。4年生の頃はなんとかこなせていた塾の宿題が、5年生になると一気に量が倍増し、「どんなに頑張っても宿題が終わらない」「毎日夜遅くまで机に向かっているのに、テストの成績が伸び悩んでいる」といった切実なお悩みを抱えるご家庭が急増します。

子どもが一生懸命頑張っている姿を見ると、「どうして結果が出ないのだろう」と親御さんも辛い気持ちになりますよね。

特に、「塾から出された宿題は全部やらなければならない」「一度決めたスケジュールは絶対に守らなければならない」と真面目に頑張るご家庭ほど、親子ともに疲弊してしまうケースが多く見受けられます。

しかし、実はその真面目さゆえに陥りがちな「NGな家庭学習」が存在するのをご存知でしょうか。

この記事では、成績が伸び悩む原因となる失敗例を挙げながら、それを防ぐために不可欠な「宿題の取捨選択」の重要性やスケジュールの見直し方について、専門家の視点から詳しく解説します。

この記事を読み終える頃には、「宿題は全部やらなくてもいいんだ」と肩の荷を下ろし、今日から前向きな気持ちでお子さんの学習をサポートできるようになっているはずです。一緒に解決策を探っていきましょう。

この記事の執筆者

西村則康近影

西村則康 名門指導会創設者

40年以上、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。
「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーションをアドバイス、コーチング手法も取り入れ、親子が心底やる気になる付加価値の高い指導を行う。

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真面目な家庭ほど要注意!成績が伸び悩む「失敗する家庭学習」

真面目で教育熱心なご家庭ほど、お子さんの成績を少しでも上げようとさまざまな工夫をこらし、塾からの課題に真摯に向き合おうとします。しかし、良かれと思って続けている家庭学習の方法が、実は高学年になると成績の伸び悩みを引き起こす原因になっていることがあります。

当情報局の主任相談員である辻義夫先生が指摘する、気をつけたい「失敗する家庭学習」の3つのNG例を見ていきましょう。

NG例1:塾の宿題を「3回繰り返す」

まず1つ目のNG例は、「塾の宿題を2回、3回と何度も繰り返す」という学習方法です。

低学年から塾通いをさせている場合や、まだ塾の授業日数や時間が少ない4年生くらいの頃であれば、家庭学習で宿題にかけられる時間をたっぷりと確保できるため、出された宿題を何度も繰り返し解くことが可能です。実際、反復練習によって基礎が定着し、テストの点数が上がったという成功体験を持つご家庭も多いでしょう。

しかし、このやり方を高学年になってもそのまま続けていくと、成績が振るわなくなるケースが多々あります。その理由は大きく2つあります。

1つは、単純に高学年になると学習量が膨大になり、何度も同じ宿題を繰り返すだけの物理的な時間がなくなってしまうからです。

睡眠時間を削ってまで繰り返すのは本末転倒になってしまいます。

そしてもう1つのより深刻な理由は、「宿題を何度も繰り返す」という勉強が癖になってしまうと、「テキストに載っていることしかできなくなる(できなくてもよいと思ってしまう)」という状態に親も子も陥りがちになる点にあります。

中学受験の実力テストや入試本番では、テキストで習った知識をそのまま答えるような問題はあまり出ず、習った知識を応用して考える出題が主流です。テキストの問題を丸暗記するような反復練習ばかりを続けていると、この一番大切な「応用力」が育たず、結果として成績が頭打ちになってしまうのです。

NG例2:テキストや問題集を「とにかく全部やる」

2つ目のNG例は、「テキストや市販の問題集を、最初から最後までとにかく全部やる」という取り組み方です。

塾のテキストは非常によく作られていますが、完璧ではありません。

例えば理科や社会などの科目では、カラー写真や図解が豊富な方が学びやすいですが、塾のテキストによって写真の有無やカラーか白黒かといった仕様は様々です。そこで、塾のテキストとは別に資料集を購入したり、授業で分かりにくかった問題の類題を市販の問題集で演習したりするのは、とてもよい方法の1つです。
ただし、その際に気をつけていただきたいのは、「購入したのだから、最初のページから最後のページまで全てやり切らなければならない」という先入観を捨てることです。

辻先生は、こうした問題集や資料集は「つまみ食い」をして活用すべきだとアドバイスしています。

例えば、テストで間違えてしまった問題や、深く調べたい問題についてだけ、資料集の索引で調べて知識を増やすといった使い方をしていただきたいのです。

「せっかく買ったのだから全て活用する」ではなく、「必要なところを上手に活用する」という発想でテキストや問題集に向き合ってみてください。「全部やらなければ」というプレッシャーは、子どもにとっても大きな負担となります。目的を持ってつまみ食いする柔軟な発想を持ちましょう。

NG例3:一度立てたスケジュールを頑なにやり通す

3つ目のNG例は、「一度立てた学習スケジュールを、何があっても頑なにやり通そうとする」ことです。

中学受験に向けた家庭学習において、お子さん1人でスケジュールを立てて実行するのは年齢的にもまだ難しいため、親御さんが代わって計画を立てたり、一緒に相談しながら進めたりするのが一般的です。

ここで陥りがちなのが、「せっかく決めたのだから、今日やるべきことは絶対に今日中に終わらせる」と意固地になってしまうことです。スケジュールを立ててみたけれど、いまひとつ上手くいかない部分があるというのは、中学受験の勉強においては日常茶飯事です。

大人以上に子どもはモチベーションの波が大きく、体力的に踏ん張りがきかない日もあります。「計画通りに進まないから」と叱りつけて無理にやらせても、学習効果は上がりません。

辻先生が推奨するのは、スケジュールを立てたら「やってみて上手くいったこと」と「上手くいかなかったこと」を列挙し、随時ブラッシュアップ(見直し)していくことです。

当然のことですが、小学生のお子さんを大人と同じように決まった行動、ルーチンに当てはめることは非常に困難です。精神的・肉体的な未熟さ、ストレスへの耐性、周辺環境との差異への疑問などお子さんを決まったスケジュールから遠ざける要員がとても多いことも要員として挙げられます。

ですので、

「この曜日のこの時間はとても集中できるようなので、深く考えさせる問題をやらせる時間にしよう」
「この時間は長く集中することが難しいようなので、漢字や計算などの『作業系』の勉強にしよう」

といったように、親御さんがお子さんの様子を観察しながら、柔軟に計画を修正していくことが大切です。お父さんとお母さんでマネージャー役とコーチ役を分担するなどしてサポートできれば、お子さんもストレスなく学習を続けることができるでしょう。

プラスのポイントとしては、朝の10分はこれを取り組もう、お風呂に入った後の10分はこれに取り組もうといった、毎日の比較的軽い負荷の習慣づけはしっかりと取り組ませることなど、無理なくできる学習の時間を作れるようにルーチンを考えることで、スケジュールに当てはめるのではなく、学習をする習慣付けを行っていくことは取り入れるとよいでしょう。

※10分の学習で伸びる「家庭内ミニ授業」のやり方については、こちらの記事も参考にしてください。
▶ 塾帰りの10分でできる!「家庭内ミニ授業」のやり方

5年生以降は必須スキル!宿題の「取捨選択」のやり方

NGな家庭学習に共通しているのは、「出されたものは全てやらなければ」「決めたことは絶対に守らなければ」という真面目すぎる姿勢です。

しかし、限られた時間の中で最大の学習効果を上げるためには、思い切って「やらないことを決める」、つまり宿題の「取捨選択」を行うことが不可欠になってきます。

アンケートでも悩む声多数!取捨選択の基準とは

「宿題を取捨選択したほうがいい」と頭では分かっていても、実際に我が子の大量の宿題を目の前にすると、何を削ればいいのか分からずに悩んでしまう保護者の方は非常に多いです。

当情報局で実施したアンケートでも、宿題の悩みとして「取捨選択の判断」を挙げる声が多く寄せられました。

中でも印象的だったのが、以下のような保護者の生の声です。

「宿題の取捨選択をすると、もしかしてテストに出るのではと思うと自分では怖くてできません。」

このお気持ち、本当によく分かります。

親として、「もしここをやらなかったせいで、次のテストで点数が取れなかったらどうしよう」「せっかく頑張っているのに取りこぼしてしまったら可哀想だ」と不安になるのは当然のことです。塾の先生に相談しても、「どれも大切な問題ですから、全部やってください」と念を押されてしまい、結局どうすればいいか分からず途方に暮れてしまうケースも少なくありません。

しかし、どうやりくりしても終わらない量の宿題を前にして、「なんとか全部やらせよう」と子どもを追い詰めてしまえば、子どもは疲れ切り、勉強そのものを嫌いになってしまいます。

また、もっと深刻になると、途方もない量の宿題量がお子さんの精神的に圧迫し、「”理解して”解けるようになること」ではなく、「宿題をやること」が目的になってしまい、記憶への定着や問題への理解度が低くなってしまうことに繋がることです。そして、その学習の習慣が身についてしまうことで、徐々に難しくなっていく問題に対し、理解できないことが増えていってしまうのです。

ですので、親御さんが勇気を持って決断し、ご家庭なりの取捨選択の基準を設けるしかないのです。実際、家庭教師サービスをしていて、徹底的に取捨選択や理解度を上げる勉強を身に着けさせることで、一番驚かれることは、「学習した時間自体は少なくなっているのに成績が上がっている」ということなんです。

すでに分かる問題、難しすぎる問題は飛ばしてOK

では、具体的にどのように取捨選択をすればよいのでしょうか。当情報局の辻義夫先生は、明確な選別の基準を示しています。

5年生になると学習量が一気に増え(4年生の約1.5倍)、授業で習う内容も基礎から応用へと難しくなります。辻先生は、「4年生のうちは宿題の量もそれほど多くはないので、できる限りすべてやるのが望ましいですが、5年生からはやるべきものとやらなくていいものを選別していく必要がある」と語っています。

選別の基準として分かりやすいのは、「すでに分かっていること」と「今の実力をはるかに超えている難問」を省くという方法です。

例えば、すでに完璧に覚えている漢字を、「先生から『10個書け』と言われたから」という理由だけで何度もノートに書き取りさせるのは、非効率です。すでに理解しているものを何度もやる必要はありません。また、現時点の学力をはるかに超える難問に、何時間もウンウンと唸って取り組ませるのも避けるべきです。

子どもは、分かっていることを何度も単調に繰り返させられたり、いくら考えてみても分からないことを無理にやらされたりすると、あっという間に学習意欲が低下してしまいます。

「テストに出るかもしれない」という親の不安をグッとこらえ、「今の我が子にとって、自力で解けるようになるべき問題はどれか」という視点で問題を絞り込んでみましょう。「この問題は飛ばしてOK!」と親御さんが言ってあげるだけで、お子さんの気持ちはずいぶん楽になり、本当にやるべき問題に集中できるようになります。

宿題の本来の目的を意識して優先順位をつける

宿題の取捨選択を行う上で、もう一つ重要な視点があります。それは、「そもそも何のためにこの宿題をやるのか」という目的を明確にすることです。目的がはっきりすれば、おのずと「今、何を優先すべきか」が見えてきます。

考える、覚える、思い出す…メニューごとの目的を明確に

私は「宿題を完璧にこなすのは物理的に無理という前提のもとで、宿題に優先順位をつけましょう」とアドバイスをするようにしています。一生懸命勉強に取り組んでいるのに、宿題のせいで成績が上がらないのは子どもがかわいそうだからです。

宿題と一口に言っても、その内容はさまざまです。「何ができるようになりたいのか」を考え、宿題メニューごとに目的を明確にしましょう。

例えば、算数の応用問題のように「じっくりと思考力を鍛え、考えることが優先の宿題」もあれば、社会や理科の暗記もののように「知識を確実に覚えることが優先の宿題」、あるいは前回の授業内容を定着させるために「思い出すことが優先の宿題」もあります。

「今日は算数の単元が難しかったから、考えることを最優先にしてじっくり時間を取ろう」「社会は得意だから、サッと覚える宿題だけを短時間で終わらせよう」といったように、目的を意識して強弱をつけることで、限られた時間を最大限に有効活用することができます。

また、家庭で宿題を管理する際のルール決めにおいても、効果的な工夫があります。それは、「1時間勉強しよう」というように「時間」で区切るのではなく、「〇時までに、このプリントを完成させよう」というように「内容」で区切ることです。

時間で区切ってしまうと、子どもは「ダラダラやっても、あと30分座っていれば終わりだ」と考え、集中力が散漫になりがちです。しかし、内容で区切り、「もし予定よりも早く終えることができたら、追加で学習メニューを与えるのではなく、自由にすごさせてかまわない」というルールにしておけば、子どもは「早く終わらせて遊ぼう!」と凄まじい集中力を発揮します。

早く終わった分は本当に自由にしてあげることで、子どもは自分で自分の時間をコントロールする感覚を身につけ、自立した学習へと繋がっていきます。

まとめ

毎日膨大な宿題に追われていると、いつの間にか「出された宿題をすべて終わらせること」自体が目的になってしまいがちです。しかし、宿題の本来の目的は「ただこなすこと」ではなく、「宿題を通して理解を深め、自分の力で問題が解けるようになり、学力を上げていくこと」にあります。

真面目で一生懸命な保護者の方ほど、「全部やらせなければ」と背負い込んでしまうものです。ですが、お子さんの実力や体力、そしてその日の調子に合わせて宿題を取捨選択し、スケジュールを柔軟にブラッシュアップしていくことは、決して「甘え」や「サボり」ではありません。むしろ、成績を効率よく上げるための「高度な戦略」なのです。

「もしかしてテストに出るかも」という不安を乗り越え、思い切って「これはやらなくていいよ」と捨てる勇気を持ってください。親御さんが肩の力を抜き、大人の余裕を持ってサポートできる環境を作ることが、中学受験という長丁場を乗り切るための最大のカギとなります。
今日からぜひ、我が子に一番合った宿題の進め方と優先順位を、ご家庭で話し合ってみてくださいね。

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