苦手の克服 速さ7
「第296回 苦手の克服 速さ7」
「速さ」の苦手克服のため、
前回は「ダイヤグラム解法の着目点 相似(上級)」について触れました。
今回はダイヤグラムの着目点の2つ目、
「山&谷(山あり谷あり)」を見ていきます。
まずは基本レベルの問題をご紹介します。
2015年度 大妻中 入試問題 算数より
大問3 Aさんは、家から図書館まで歩いて行きます。毎分80mの速さで行くと図書館にちょうど予定の時間で着き、毎分60mの速さで行くと予定の時間より8分遅く着くごとになります。家から図書館まで何分で行く予定ですか。
この問題は次のようにして解くことができます。

ダイヤグラムを用いても、
速さの3公式と比の関係を利用しても、
①=8分→③=24分が求められます。
この問題はダイヤグラムの中にある
「谷=三角形(大)-三角形(小)」に着目する問題です。

この他に、「山=三角形(大)+三角形(小)」もあります。

いずれも、「速さの比←(逆比)→時間の比」の関係がわかる部分です。
一行問題などでは上記のような「山」や「谷」が1つだけのことが多いのですが、
少しレベルが上がると、グラフの一部分に「山」や「谷」が含まれるようになります。
2015年度 市川中 入試問題 算数より
大問4 A駅とB駅の間を片道20分間で何度も往復する1台のバスがあります。バスは、各駅で4分間停車し、折り返して出発します。ある日、バスは8時ちょうどにA駅を出発しB駅へ向かいました。その後、市川君は8時18分に自転車でB駅を出発し毎時12kmの速さでA駅へ向かいました。市川君がはじめてバスに追い越された時刻が8時26分だったとき、次の問いに答えなさい。ただし、バスの速さと自転車の速さはそれぞれ一定であるとします。
(1)A駅とB駅の間の距離は何kmですか。
(2)市川君が前から来るバスと2回目にすれ違うのは何時何分ですか。

(1)の答えを求めるためには何がわかればよいかを考えます。
バスはAB間を20分で走ることがわかっていますから、
速さがわかればOKです。
また、市川君は速さがわかっていますから、
AB間を何時間で進むかが必要です。
しかし、(2)を見ると市川君がAB間を何時間で進むかは
求めにくいことが予測できます。

そこで、
「市川君の速さ12km/時とバスの速さの比を、
市川君とバスの時間の比がわかるところから求める」
という方針が立ちますので、
時間条件が多い部分に着目します。

市川君とバスの時間の比が4:1とわかりますので、
速さの比は1:4、
バスの速さは 12km/時×4=48km/時 と求められます。
48km/時×1/3時間=16km
(2)(1)でAB間の距離がわかりましたので、
市川君がAB間にかかる時間を求め、
この図のひとつ前の図のような
「砂時計型相似」を利用することができます。
しかし、バスの速さがわかっていますから
「山」を利用した方がより簡単に答えを求めることができます。

(9時8分-8時18分)×1/5=10分 → 9時8分-10分=8時58分
この問題には「相似」「山」「谷」が含まれています。
初めのうちは、見つかった「相似」「山」「谷」について
手当たり次第に「わかること」を求め、
答えに使えるものを選ぶ、という順序でOKです。
しかし、ダイヤグラムの着目点を身につけた後は、
「何がわかれば答えがでるか」を考え、
そのために
「どの着目点を利用するのか→グラフのどこにあるか」
という順序で答えを求めるようにします。
これによって、問題を解く時間の短縮と正答率の向上が可能になります。
その例を1問ご紹介します。
2015年度 ラ・サール中 入試問題 算数より
大問6 花子さんはA地点を毎時16kmの自転車で、太郞くんはB地点を毎時4kmの徒歩で同時に出発して、途中のC地点で会う予定でした。ところが、花子さんだけ出発が6分遅れたので、C地点よりもA地点に近いところで会いました。次の問いに答えなさい。
(1)会ったのは予定より何分遅かったですか。また、それはC地点より何mA地点に近いところですか。
(2)もし、太郞くんがC地点に着いてすぐに引き返していたら、追いかけてくる花子さんとはB地点に戻るまでに会えないところでした。AB間の道のりは何km以下ですか。
問題文をグラフに表します。

一見すると相似が4組ありますので
「手当たり次第作戦」でいこうとしても、
時間の条件がわかっていないため、
先に進むことができません。
そこで、
「何がわかれば答えがでるのか」
に切り替えて考えます。
そのために、グラフのどの部分が(1)の答えになるのかを記入してみます。

これを見ると「山の一部分」であることに気づけます
。

上図より⑤=6分とわかりますから、
④=4.8分 という答えが求められます。
「手当たり次第作戦」でもよいのですが、
できればこのような「どこを狙うのか」といった、
方針を立てて解く練習をしていけるといいですね。
(1)の後半は、4km/時×4.8分で求められますから、
4000m/60分×48/10分=320m が答えです。
(2)についてもグラフを書きます。

AB間の距離を求めるのに、
2人の速さがわかっていますから、
時間条件があれば計算できます。
そこで時間条件を求めるという視点でダイヤグラムを見ると、
「谷」を発見できます。

③=6分 → ①=2分 より、
BC間は花子さんが2分で進む距離とわかります。
はじめに見つけた「相似」よりAC間:CB間=4:1ですから、
(2)の答えは16km/時×2分×5で求められます。
16km/時×2/60時間×5=2 2/3km以下
これらの問題のように、
6年生の実力テストや入試問題では、
「グラフの一部分に「山」や「谷」が含まれている」ようになります。
ですから、
「手当たり次第にわかることを求め、答えに使えるものを選ぶ」
という手順をできるだけ早く卒業し、
「何がわかれば答えがでるかを考え、
そのためにどの着目点を利用するのか、
それはグラフのどこにあるか」
という順序で答えを求められるようになれるといいでね。
ここまででダイヤグラム解法の着目ポイント「相似」「山あり谷あり」を見てきました。
次回は「ダイヤグラム解法の着目ポイント 3.平行四辺形」の予定です。

