
第784回 共学中の入試問題 立体図形 6
「第784回 共学中の入試問題 立体図形 6」
ここまで5回にわたり、近年に共学中の入試で出された「立体図形」の問題について考えてきました。
「立体図形」の最終回となる今回は、「最短距離」の問題を見ていきます。
1問目は「直方体と最短距離」の問題です。
【問題】直方体のAからBまでひもをかけます。ただし、ひもの太さは考えないものとします。
(1) 図1のようにAからBまで長さが最も短くなるようにひもをかけます。ひもの長さは何㎝ですか。

(2) 図2のようにAからPを通ってBまで、長さが最も短くなるようにひもをかけます。Rは、(1)でかけたひもが通る点です。このとき、QRは何㎝ですか。

(中央大学附属中学校 2025年 第1回 問題3)
【考え方】
(1)
立体図形の表面を通る最短距離の問題では、「立体の展開図をかく」が基本の解き方です。
そこで、図1の立体の頂点に記号をつけ、展開図をかいてみます。

「AからBまで長さが最も短くなるようにひもをかける」ので、展開図のAとBを直線で結びます。


赤色の三角形は底辺の長さが
4㎝+8㎝+4㎝+8㎝=24㎝、
高さが18㎝の直角三角形ですから、3辺の長さの比は
18㎝:24㎝:(ひもの長さ)=3:4:5
です。
18㎝×5/3=30㎝
答え 30㎝
(2)
(1)と同様に、展開図をかきます。
このとき、「Pを通って」という条件がありますから、AとP、PとBに分けてそれぞれの点を直線で結びます。


図アにおいて、赤色部分の三角形は相似ですから、
□㎝:18㎝=12㎝:24㎝ → □㎝=18㎝×12㎝÷24㎝=9㎝
です。
また、図イにおいて、青色部分の三角形も相似ですから、
■㎝:(18㎝-4㎝)=12㎝:(4㎝+8㎝+4㎝) → ■㎝=14㎝×12㎝÷16㎝=10.5㎝
です。
QR=QG-RG=10.5㎝-9㎝=1.5㎝
答え 1.5㎝
本問は、「3辺の長さの比が3:4:5の直角三角形」という知識を必要としますが、最短距離の求め方については基本通りに解く問題です。
もし、正解できないようでしたら、立体の表面を通る最短距離が立体の展開図をかいたときに直線となること、三角形の相似を利用しやすい解答例のような展開図がかけることを確認しましょう。
2問目は「正八面体と最短距離」の問題です。
【問題】右の図は、表面が同じ大きさの正三角形8個からなる立体で正八面体といいます。この立体において、辺DE上に点P、辺DF上に点Q、辺CF上に点Rを、APとPQとQRとRBの長さの合計が最も短くなるようにとります。、さらに、辺BE上に点x、辺BF上に点Y、辺CF上に点Zを、AXとXYとYZとZDの長さの合計が最も短くなるようにとります。このとき、次の問いに答えなさい。

(1) DP:PEを最も簡単な整数の比で答えなさい。
(2) 四角形PQFEの面積は、正八面体の表面積の何倍か最も簡単な分数で答えなさい。
(3) 三角形AYQの面積は、四角形BCDEの何倍か最も簡単な分数で答えなさい。
(東邦大学付属東邦中学校 2025年 前期 問題6)
【考え方】
(1)
「APとPQとQRとRBの長さの合計が最も短くなる」という条件は、「AからP、Q、Rを通ってBまで長さが最も短くなるようにひもをかける」という条件と同じです。(図1)
そこで、正八面体においてひもの通る面の展開図をかき、AとBを直線で結ぶと、3点P、Q、Rの位置を求めることができます。(図2)

正八面体の1辺の長さを3として、図2に正三角形を次のようにつけたすと、赤色部分の三角形の相似比が1:3とわかります。

よって、
DP:PE=DP:(DE-DP)=1:(3-1)=1:2
です。
答え 1:2
(2)
(1)と同じように正三角形をつけたすと、FR:RC=1:2 とわかりますので、三角形DPQと三角形FRQの相似比は
DP:FR=1:1=DQ:FQ
です。

三角形DPQと三角形DEFは角Dが共通なので、面積比は角Dをはさむ2辺の積の比と同じです。

△DPQ:△DEF=(1×1):(3×2)=1:6
よって、三角形DEFと四角形PQFEの面積比は
△DEF:(△DEF-△DPQ)=6:(6-1)=6:5
です。
また、正八面体の表面積は三角形DEFの面積の8倍です。
5÷(6×8)=5/48倍
答え 5/48倍
(3)
(1)、(2)と同様の作図をすると、3点X、Y、Zの位置を求めることができます。

左下の図のように、正八面体は1辺の長さがAFと等しい立方体にぴったり入りますから、矢印の向きから見た断面ABFDは正方形です。
また、三角形AYQの頂点Yは正八面体の辺BF上の点、頂点Qは正八面体の辺DF上の点なので、三角形AYQは正八面体の断面である正方形ABFDの中にあります。

ところで、右上図は1辺の長さが2の立方体を下の図のように切断してできる三角すいの展開図と同じです。

3÷8=3/8倍
答え 3/8倍
本問は、正八面体の面を通る最短距離の問題で、立方体や直方体と比べると「ひも」の通る面の展開図をかくことが難しくなっていますが、「最短距離」の考え方は同じです。
また、(3)では、正八面体と立方体の関係や立方体の特別な切り方をしたときの展開図に関する知識を利用します。
ですから、もし、この問題を正解できないようでしたら、展開図のかき方、最短距離の考え方、立方体の切断の3点に分けて、学習が不足している部分を見つけるようにします。
今回は、2025年度に共学中の入試で出された「最短距離」の問題をご紹介しました。
「立体図形の展開図をかくときは見取り図に頂点をつける」という基本、「最短距離は展開図で考える」という知識を確認して、正解できる問題を増やしていけるといいですね。
![]()

