
第751回 女子中の入試問題 立体図形 3
「第751回 女子中の入試問題 立体図形 3」
前々回から、2025年度に女子中の入試で出された「立体図形」の問題について考えています。
今回は「立方体の切断」がテーマの問題を見ていきます。
1問目は、立方体を切断したときの体積に関する問題です。
【問題】図のような1辺の長さが6㎝の立方体があります。この立方体を図の3つの点A、B、Cを通る平面で切断します。切断してできる2つの立体のうち、点Pをふくむ立体の体積を求めなさい。

(鷗友学園女子中学校 第二回 2025年 問題7)
【考え方】
はじめに、「同じ面上の2点を結ぶ」という立体切断のきまりに従い、点Aと点B、点Bと点Cを結びます。

AB、BCを結ぶと「同じ面上の2点」がなくなります。
このように、同じ面上の2点がないときは、「平行に向かい合う面の切り口は平行」という切断のきまりを利用します。
しかし、切り口ABのある面と向かい合う面や切り口BCのある面と向かい合う面に、切り口の端にあたる点がありません。

「同じ面上の2点を結ぶ」や「平行に向かい合う面の切り口は平行」というきまりを使えない場合は、3つ目のきまりである「(切り口のある面を)延長する」を利用します。
このとき、「延長する側に立方体をつけたす」ようにすると、作図がしやすいです。

切り口ADが立体の底面にあります(左上図)から、図形を真上から見た図をかく(右上図)と、点Dの位置を求められます。
作図した点Dと点Cは同じ面上にありますから、「同じ面上の2点を結ぶ」に従って、この2点を結びます。
CDとCDを延長してできる2つの赤色の三角形は相似なので ★=6㎝(左下図)となり、点Eは立方体の頂点と重なります。(右下図)

次に、点Eは、切り口BCのある面と平行向かい合う面にありますから、「平行に向かい合う面の切り口は平行」という切断のきまりに従って、切り口EFを作図します。

最後に、点Fと点Aは同じ面上にありますから、これらの2点を結ぶことで、立方体の切断面ABCEFの作図が完成します。
切断してできる2つの点立体のうち、点Pを含まない立体は三角すいE-HGDから2つの三角すい(赤色)を取り除いたものです。(右下図)

三角すいの体積は(底面積)×(高さ)÷3で求められます。
6㎝+3㎝=9㎝ … HG、HDの長さ
9㎝×9㎝×1/2×6㎝÷3-3㎝×3㎝×1/2×2㎝÷3×2=75㎤ … 点Pを含まない立体の体積
6㎝×6㎝×6㎝-75㎤=141㎤
答え 141㎤
本問は、立方体の切断の作図を確認できる問題です。
正解できないときは、切断の3つのきまりである「同じ面上の2点を結ぶ」、「平行に向かい合う面の切り口は平行」、「延長する」の、どのきまりの使い方に課題があるのかをチェックしましょう。
2問目は、立方体の切断面の面積に関する問題です。
【問題】下の図のような立方体があります。点P、Q、Rはそれぞれ辺AD、CD、AEのちょうど真ん中の点です。この立方体を、点A、C、Fを通る平面で切断したときの切断面の面積と、点P、Q、Rを通る平面で切断したときの切断面の面積の比を最も簡単な整数の比で表しなさい。

(香蘭女学校中等科 第1回 2025年 問題1-⑥ 問題文一部変更)
【考え方】
前問と同じように、切断の3つのきまり(同じ面上の2点を結ぶ、平行に向かい合う面の切り口は平行、延長する)に従って、切断面を作図します。

上の図のように、点A、C、Fを通る平面で切断したときの切断面はAFを1辺とする正三角形、点P、Q、Rを通る平面で切断したときの切断面は辺RTを1辺とする正六角形です。
正六角形は6つの合同な正三角形に分けることができます。(下中央図)

また、三角形AEFと三角形RETは相似比が AE:RE=2:1 の三角形ですから、AF:RTも2:1です。(右上図)
ですから、正三角形AFCの面積と、正六角形PRTUVQの1/6である正三角形RTOの面積比は
(2×2):(1×1)=4:1
です。
よって、点A、C、Fを通る平面で切断したときの切断面(三角形AFC)の面積と、点P、Q、Rを通る平面で切断したときの切断面(正六角形PRTUVQ)の面積の比は
4:(1×6)=2:3
です。
答え 2:3
本問は、切断の作図と正六角形の特徴を確認できる問題です。
作図が上手くいかないときは、前問と同じく、切断の3つのきまりである「同じ面上の2点を結ぶ」、「平行に向かい合う面の切り口は平行」、「延長する」の、どのきまりの使い方に課題があるのかをチェックしましょう。
今回は、2025年度に女子中の入試で出された「立方体の切断」の問題をご紹介しました。
立方体の切断の作図は立体図形の切断の考え方のもとになるものですから、3つある切断のきまりをすべて使えるようになることが望ましいです。
切断のきまりの使い方は、「同じ面上にある2点を結ぶ」、「平行に向かい合う面の切り口は平行」、「延長する」の順に難しくなりますので、作図が苦手なようでしたら、どのきまりまで使うことができ、どのきまりが苦手かを明確にして課題を克服していきましょう。
また、切断面の辺の長さを間違えるようでしたら、立方体を正面や真横、真上から見た図(投影図)をかいて求められることを確認します。
立体図形の切断は難しい問題ですが、切断のきまりと投影図を使って、1問でも多く解けることを目指しましょう。
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