

第745回 女子中の入試問題 平面図形 3
「第745回 女子中の入試問題 平面図形 3」
これまで、2025年度に女子中の入試で出された「平面図形」の問題について考えています。
今回は「辺の比と面積比」の問題を取り扱います。
1問目は「面積の公式と比」の問題です。
【問題】下の図の三角形PADと三角形PBCの面積は等しくなっています。台形ABCDの面積が224㎠であるとき三角形PADの面積は何㎠ですか。
(カリタス女子中学校 第2回 2025年 問題1-⑩ 問題文一部変更)
【考え方】
三角形PADの高さがわかれば理想的ですから、高さに関係のありそうな条件を探してみると、台形ABCDの面積と上底、下底の長さがわかっていることを利用できそうだとわかります。
そこで、台形ABCDの高さを□㎝とします。
(12㎝+16㎝)×□㎝÷2=244㎠ → □㎝=224㎠×2÷28㎝=16㎝
次に、三角形PADの高さを☆㎝、三角形PBCの高さを★㎝とすると、
☆㎝+★㎝=16㎝
ですから、☆㎝と★㎝の差または比がわかれば、☆や★の値を求められます。
そこで、三角形PADと三角形PBCの面積が等しいという条件に着目すると、
12㎝×☆㎝÷2=16㎝×★㎝÷2
6×☆=8×★ → ☆:★=4:3
であることがわかります。
よって、
☆㎝=16㎝×4/(4+3)=64/7㎝
です。
12㎝×64/7㎝÷2=384/7㎠=54 6/7㎠
答え 54 6/7㎠
本問は、「面積の公式と比」の基本問題です。
解答例のように面積を求める式に表してもよいですし、次のような表に整理して解くこともできます。
ポイントは、面積を求める公式を「比」で利用することです。
また、「面積が等しいので、底辺の比と高さの比は逆比の関係」のように考えてもよいでしょう。
2問目は「高さの等しい三角形の面積比」の問題です。
【問題】図のような三角形ABCがあり、辺BC上に点D、辺CA上に点E、直線AD上に点Fがあります。BD:DC=3:4、CE:EA=2:5、AF:FD=1:1で、三角形DEFの面積が20㎠であるとき、三角形ABCの面積は何㎠ですか。
(国府台女子学院中学部 第1回 2025年 問題4-(2) 問題文一部変更)
【考え方】
「等高三角形」や「区切り面積」ともいわれる問題です。
はじめに、三角形DEFはどのような手順で作図されるかを考えてみます。
この作図手順に従って考えることにします。
三角形ABCをADで区切ってできる三角形ADCは、三角形ABCと高さが同じで、底辺の比が
BC:DC=7:4
ですから、面積は三角形ABCの4/7倍です。
同様に、三角形ADEの面積が三角形ADCの面積の5/7倍、三角形DEFの面積が三角形ADEの面積の1/2倍であるとわかります。
よって、
(三角形ABCの面積)×4/7×5/7×1/2=(三角形DEFの面積 20㎠)
と表せますから、三角形ABCの面積は
20㎠÷1/2÷5/7÷4/7=98㎠
です。
答え 98㎠
本問は、「高さの等しい三角形の面積比」の基本問題です。
なお、解答例とは逆順に、「三角形DEFの2倍が 三角形ADEなので40㎠、三角形ADEの7/5倍が三角形ADCなので56㎠、三角形ADCの7/4倍が三角形ABCなので98㎠」のように求めることもできます。
3問目は「1組の角の大きさが等しい三角形の面積比」の問題です。
【問題】図のような長方形ABCDがあります。辺AB、BC上にそれぞれ点E、Fがあり、EFとBDが交わった点をGとします。EG:GF=3:4、三角形DEGと三角形BFGの面積の比が3:2であるとき、つぎの問いに答えなさい。
(1) BG:GDを求めなさい。
(2) BF:FCを求めなさい。
(3) 三角形BFGと長方形ABCDの面積の比を求めなさい。
(山脇学園中学校 C 2025年 問題3)
【考え方】
(1)
三角形BFGと三角形DEGは1組の角の大きさが同じ(角BGF=角DGE)ですから、その角をはさむ2辺の積の比と面積の比は同じです。
(FG×BG):(EG×DG)=(三角形BFGの面積):(三角形DEGの面積)
(4×■):(3×□)=2:3
4×■×3=3×□×2
■×2=□ → ■:□=BG:GD=1:2
答え 1:2
(2)
三角形BEGと三角形DEGは高さが等しい三角形なので、底辺の比と面積比は同じです。
底辺の比 BG:DG=1:2 → 面積比 △BEG:△DEG=1:2
また、三角形BEGと三角形BFGも高さが等しい三角形で、底辺の比が
EG:FG=3:4
ですから、面積比も
△BEG:△BFG=3:4
です。
連比にします。
三角形EBFと三角形EBDは底辺が共通な三角形ですから、面積比と高さの比は同じです。
面積比 △EBF:△EBD=(3+4):(3+6)=7:9
↓
高さの比 BF:AD=7:9
AD=BCですから、
BF:FC=BF:(BC-BF)=7:(9-7)=7:2
です。
答え 7:2
(3)
三角形EDGと2点D、Fを結んでできる三角形FDGは高さが等しい三角形なので、面積比は底辺の比のEG:GFと同じ3:4です。
三角形EDGの面積は(2)で6としましたから、三角形FDGの面積を★とすると、
6:★=3:4 → ★=6×4÷3=8
となり、三角形DBFの面積は
8+4=12
となります。
さらに、三角形DBFと三角形DCFも高さが等しい三角形で、底辺の比が
BF:FC=7:2
ですから、三角形DCFの面積を☆とすると、
12:☆=7:2 → ☆=12×2÷7=24/7
となります。
長方形ABCDの面積は三角形DBFと三角形DCFの面積の和の2倍ですから、
(12+24/7)×2=216/7
です。
よって、三角形BFGと長方形ABCDの面積の比は
4:216/7=7:54
です。
答え 7:54
本問は、1組の角の大きさが等しい三角形の面積比と高さの等しい三角形の面積比の考え方を確認できる問題です。
(1)では「1組の角の大きさが等しい三角形の面積比」の考え方を利用しましたが、下の図1のようにDとFを結んで三角形FDGの面積の4を求め、
■:□=(面積2):(面積4)=1:2
のように、「高さの等しい三角形の面積比」を使って解くこともできます。
※ △BEG=△BFG×3/4=1.5 を利用することもできます。
また、(3)も図2のようにGとCを結んで三角形CFGの面積を求め、
★=(4+8/7)×2=72/7
から長方形ABCDの面積を求める考え方もあります。
今回は、2025年度に女子中の入試で出された「辺の比と面積比」の中から、「面積の公式と比」、「高さの等しい三角形の面積比」、「1組の角の大きさが等しい三角形の面積比」の問題をご紹介しました。
これらは、次回ご紹介予定の「相似」と並んで、平面図形の問題を解くための大切な考え方です。
特に、2問目や3問目の「高さの等しい三角形の面積比」はよく利用されますので、もし、正解できない問題があれば、考え方や使い方をすぐに確認をしましょう。