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第771回 共学中の入試問題 速さ 3

「第771回 共学中の入試問題 速さ 3」

ここまで、近年に共学中の入試で出された「速さ」について見てきています。

今回は「旅人算」の考え方を利用する問題を取り扱います。

 

1問目は隔たりグラフの問題です。

 

【問題】大喜さんと千夏さんは同時に学校を出発して870mはなれた駅へ向かいました。大喜さんは駅に着くと忘れ物をしたことに気がついて、すぐに学校へ戻りました。下の図は、学校を出発してからの時間と2人の間の距離の関係を表したものです。ただし、2人の歩く速さはそれぞれ一定とします。

(1) 千夏さんの歩く速さは毎分何mですか。

(2) 2人が出会ったのは、学校を出発してから何分後ですか。

(3) 2人が出会ったのは、駅から何mのところですか。

(中央大学附属中学校 第1回 2025年 問題1-(7))

 

【考え方】

(1)

2人の間の距離を表す折れ線グラフは、進む向きを変えたり、出会ったりすると曲がります。

大喜さんは学校から駅まで10分かかりますから、駅から学校までも10分かかり、出発してから20分後に学校に着きます。 …(イ)

ですから、15分後に折れ線グラフが曲がっている理由は、千夏さんが駅に着いたためとわかります。 …(ア)

870m÷15分=58m/分

答え 毎分58m

 

(2)

870m÷10分=87m/分 … 大喜さんの速さ

2人が出会うのは、学校を出発してから合わせて

870m×2=1740m

歩いたときです。

1740m÷(87m/分+58m/分)=12分

答え 12分後

 

(3)

2人が出会ったのは、大喜さんが駅を出発してから

12分後-10分=2分後

です。

87m/分×2分=174m

答え 174m

 

本問は、旅人算の隔たりグラフ(2人の間の距離を表すグラフ)の読み取りを確認できる問題です。

解答例は隔たりグラフをそのまま利用していますが、2人のダイヤグラム(進行グラフ)にかき直しても構いません。

ダイヤグラムをかいた場合、(2)では次のような「相似の利用」や「速さの比の利用」という解き方があります。

 

2問目は往復の出会いの問題です。

 

【問題】□にあてはまる数を入れなさい。

A地点とB地点を結ぶ一本道を自転車で往復します。太郎君はA地点から、花子さんはB地点から同時に出発しました。最初に2人がすれ違ってから35分後に、A地点から1400m離れた所で再びすれ違いました。太郎君が進む速さが時速18㎞のとき、花子さんが進む速さは時速□㎞です。

(青山学院中等部 2025年 問題8)

 

【考え方】

2人が進む様子は、次のようなダイヤグラムで表せます。

下のグラフの赤色部分に着目すると、2人が35分かかって進む道のりの和がAB間の道のりの2倍であることがわかります。

ですから、2人が合わせてAB間の道のりを進むのにかかる時間(=2人が出発してから出会うまでの時間)は

35分÷2=17.5分

です。

太郎君が

17.5分+35分=52.5分

進んだあと、さらに1400m進むとAB間を1往復したことになりますから、AB間の道のりは

(18㎞/時×52.5分/60分+1.4㎞)÷2=8.575㎞

です。

上のグラフの水色部分に着目します。

8.575㎞÷17.5分/60分=29.4㎞/時 … 2人の速さの和

29.4㎞/時-18㎞/時=11.4㎞/時

答え 11.4

 

本問は「N回目の出会い」と呼ばれることもある問題です。

2人の道のりの和とかかる時間が比例していることを利用しましょう。

なお、条件を次のような線分図に表して考えることもできます。

 

3問目は3つの点が移動する問題です。

 

【問題】下の図のように、直線上にA地点、B地点、C地点があります。A地点とB地点の距離は24㎝で、C地点はA地点とB地点のちょうど真ん中にあります。

また、この直線上に3つの点X、Y、Zがあり、点Xは毎秒4㎝で、点Yは毎秒8㎝で、点Zは毎秒6㎝で動き、止まることなくA地点とB地点の間を往復し続けます。いま、点XはA地点から右方向に、点YはB地点から左方向に、点ZはC地点から右方向に、同時に動き出しました。このとき、次の問いに答えなさい。

(1) X、Y、Zが同時に動き出してから、XとYが初めて同じ位置になる場所をP地点とし、このときのZの場所をQ地点とします。P地点とQ地点の距離は何㎝か求めなさい。

(2) X、Y、Zが同時に動き出してから、3つの点が初めて同じ位置になるのは何秒後か求めなさい。

(3) X、Y、Zが同時に動き出してから、3つの点が4回目に同じ位置になるのは何秒後か求めなさい。

(東邦大学付属東邦中学校 前期 2025年 問題5 問題文一部変更)

 

【考え方】

(1)

24㎝÷(4㎝/秒+8㎝/秒)=2秒 … XとYが初めて出会うまでの時間

4㎝/秒×2秒=8㎝ … AP間の距離

24㎝÷2=12㎝ … AC間の距離

6㎝/秒×2秒=12㎝ … CQ間の距離

上図より、P地点とQ地点の距離は

24㎝-8㎝=16㎝

です。

答え 16㎝

 

(2)

Xは

24㎝×2÷4㎝/秒=12秒ごと

にA地点にあり、Yは

24㎝×2÷8㎝/秒=6秒ごと

にB地点にありますから、12秒と6秒の最小公倍数である12秒間の動きを調べます。

グラフは線対称な図形ですから、

□秒=12秒-2秒=10秒

です。

また、Zは

24㎝×2÷6㎝/秒=8秒ごと

にC地点にありますから、12秒と8秒の最小公倍数である24秒間の3点の動きをグラフにします。

グラフより、3つの点が初めて同じ位置にあるのは18秒後です。

答え 18秒後

 

(3)

(2)より24秒を1セットとしたときの18秒後に3つの点が初めて同じ位置にありますから、4回目は

24秒×3セット+18秒=90秒後

です。

答え 90秒後

 

本問は、3つの点の移動を考えるときは、まず2つの点について調べるという基本を確認できる問題です。

(2)でグラフを利用すると(3)も考えやすくなりますが、XとYの2つの点が同じ位置にある2秒後のZの位置、6秒後のZの位置、10秒後のZの位置、… のように、順々に調べるという方法もあります。

 

今回は、2025年度に共学中で出された「旅人算」の考え方を利用する問題をご紹介しました。

いずれも、2人が同じ向きに進むときは(速さの差)×(時間)=(2人の間の距離の差)、反対向きに進むときは(速さの和)×(時間)=(2人の間の距離の和)という基本だけを使う問題よりも難しい問題です。

しかし、定番の考え方で解く問題でもありますから、もし、正解できない問題があれば、線分図やグラフの読み取りと利用、N回目の出会いや3つ点の移動の着目点など、知識や条件整理の方法を確認し、不足している点を補いましょう。

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速さの練習問題 / 中学入試の算数問題 2026年04月18日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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