小川大介の中学受験合格を実現する逆算受験術

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なぜやればやるほど成績が落ちるのか

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かしこい塾の使い方 2011年02月13日09時00分
学習塾での新学年が始まり、1週間がたちました。小学6年生になった受験生とそのお父さん、お母さんの中には、学習塾のスケジュールのあまりのハードさに驚いている方も多いのではないでしょうか。

塾によっては一週間の中で平日の空き日がたった1日、日曜日は新年度開始からすでに志望校別特訓が始まり、祝日はイベントに模試と、ほぼ休みなしの毎日が続いていく場合もあります。唯一の空き日である平日には『質問受け』といったものまで用意されています。

素朴な疑問として、『そこまでやらなくちゃいけないの?』と思いますよね。
この強行スケジュールにそのまま乗っていくことももちろんできますが、絶対に必須かといえば、必ずしもそうではありません。このようなスケジュールを採用している学習塾の合格実績を見れば、殺人的ともいえる日程の割には、他の学習塾と比べてもさほど目覚ましいといえる実績が上がっている訳ではないことに気づくはずです。

勉強には、『習う』という作業、習ったことを思い出し、自分でできるようにする『復習』の作業、そして繰り返して同じような作業を何度も行い、よりスムーズに同じことができるように練習する『反復演習』の作業が必要です。学習塾の役割はおもに『習う』部分ですね。一方、塾の授業中にも問題を演習する時間はありますが、残り2つの『復習』と『反復演習』の作業はおもにご家庭の役割ということになります。

一週間を埋め尽くすほどの講座を受講するということは、そのそれぞれの講座で習ったことに対して復習と反復演習の作業が必要になるということです。実際問題で言えば、それぞれの講座の宿題を毎週やらなければならないということでもあります。空き曜日が週に1日しかなく、その曜日もオプション講座で埋めてしまえば、いったい残りの2つの作業をいつやればいいのでしょう。そのような状況におかれたお子さんたちは、一分でも、一秒でも早く宿題を仕上げようとします。でないと宿題が仕上がらず、宿題が仕上がらないと先生に叱られるからです。不十分な状態のまま宿題を持参すると、他のみんなの前で大声で叱られたり、本当にひどい話ですが、宿題ノートを破られたりすることもあるという話も聞きます。ですからお子さんたちは、宿題演習の時間はひたすら、考えるよりも先に手を動かします。理解できているかどうか、自分の力だけで同じタイプの問題を解き切れるようになったかどうかなどは二の次です。当然、労力の割には得るものの少ない、効率の悪い学習です。

課題が多すぎて睡眠不足になるようなことが起こると、そのしわ寄せはそれまで順調に回っていた講座にも及びます。『習う』割合が肥大し、復習や演習にかける時間が取れなくなってしまうのです。そうなると負担だけが大きくなり、効果がないどころか、かえって逆効果ということになりますね。夜遅くまで宿題を頑張れば頑張るほど、成績は下がっていきます。

過ぎたるは及ばざるが如し、とはまさにこのことです。

学習塾の課題を一生懸命やっているのに成績が上がらない原因は、実はこんなところにあります。成績が上がらないどころか落ちる一方だという方は、ぜひ受ける講座を減らしてみてください。
オプション講座や講習会、イベント講座などは本当に必要なのか、他に代替できる方法はないのか、もっと効果的な学習法はないのか、という視点で、もう一度一週間のスケジュールを見直してみましょう。

このブログをご覧になっている方のお子さんたちが、より効果の高い学習をしていけますように。
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かしこい塾の使い方 2011年02月13日09時00分
主任相談員の辻義夫
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である辻義夫が家庭学習で悩んでいる方にすぐに実践できる効果的な学習方法をお教えします。
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