一生懸命覚えても大きなテストで点が取れないワケ
習っていないことがテストに出てる?
学年の後半、秋になると、どの学年のお子さんも習う内容は「佳境」になっています。端的に言えば、習う内容のレベルが上がってきて、これまでの勉強のしかたではテストで結果を出すことが難しくなってきているのです。
私は理科・算数の専門なので、理系科目の勉強のしかたやお悩みについて、お母さんたちから話をお伺いすることが多いのですが、よくされる質問として、次のようなものがあります。
「先生、毎週の宿題はきちんとやらせていますし、復習テストの対策もできていると思うのですが、公開テストになると習っていないものが出てるんです。どうやって対策すればいいんでしょうか。というか対策の方法なんてあるんでしょうか?」
ここで「復習テスト」とお母さんがおっしゃっているのは、日能研ならカリキュラムテストであり、サピックスであれば日々の小テスト、もう少し大きく見てマンスリー確認テストなど、四谷の週例テストなどですが、そこでは点が取れる。でも公開模試やオープンテスト、組分けテストなどになると「習っていないものが出てる」となってしまう。
応用のバリエーションは無限大
「習っていないものが出てる」というお話は、まぁごもっともです、とも言えますし、いやそんなことはないんですよとも言えます。
塾の授業で習うのは、事実や原理原則など基本事項です。もちろんそれを応用してこんな問題も解けますよ、といった応用問題も扱っているとは思いますが、応用のバリエーションは1つや2つではありません。すべてのバリエーションを塾で習うわけではないのです。
たとえば、アサガオの花は早朝に開花する、ということを塾で習います。これは事実で、経験上でも子どもたちは知っていることです。そして、アサガオの花が前日の日の入りから約10時間後に開花するという事実も、もしかしたらテキストの応用問題に出ているかもしれません。このことは、問題として取り上げられていなければ、あまり教えられることはありません。このあたりは先生の力量や塾のクラス帯などにもよるでしょう。
そして、大きなテストでは、このアサガオの開花に関する問題が出題されるのです。
推測し、考えを展開させる力が「応用力」
では、どうしてあらかじめ塾の授業でこの問題を教えてくれなかったのでしょうか?「アサガオの開花は日の入りから約10時間後」と教えてくれていれば、点が取れるじゃないかと思う方もいると思います。
理由は簡単で、入試や模試に出そうな応用問題をすべて教えていたら、授業時間がいくらあっても足りないからです。アサガオの花が早朝開花すること、そしてアサガオは「短日植物」といい、昼の時間が短くなってきたら(つまり夏至を過ぎたら)開花することを習い、大きなテストで
前日の日の入り 翌日の開花時刻
19:00 5:00
18:30 4:30
というデータを見せられ、「ああ、日の入りの10時間後に開花するんだな。早朝に咲くのは、これが理由なんだな」と理解、推測するわけです。別の言い方をすれば、応用問題とは習った事実をもとに推測して考えを展開させることを子どもたちに求めるわけです。
塾で教えるべきことは「すべてのパターン」ではない
このような問題を見た時に「習っていないから解けない」という反応を見せるのは、ある意味で自然なことです。はじめは誰でもそう思います。でも、そうじゃないんだよ、習っていないように見えるけど、習ったことをもとに予測を立てて考えるんだよ、ということを教えるのが塾の仕事です。覚えていることを吐き出すことだけが勉強じゃないんだよ、ということをです。
ここをはき違えて、応用問題まですべてを「パターン」として教えて、覚えさせてしまえばどんな難しい中学校にだって合格できるはずだ、というアプローチを取る塾がありますが、それは大きな間違いです。ただでさえ「作業」に陥りがちな受験勉強を、さらに退屈なものにし、子どもたちに、自分で考えることを放棄させることになってしまうからです。
「お、これは見たことがない問題だぞ。どれどれ、絶対解いてやる。」
こんなことを考えながら大きなテストに臨むことができるお子さんを育てるには、まずは「覚えたことを吐き出すだけが勉強じゃないんだよ。それだけじゃ勉強なんてちっとも面白くないでしょ?」ということをお子さんに伝えていくことからかもしれません。
【開成中2012年度理科】
アサガオの開花に関する話題ですね。


窓辺で育つリボーンベジタブル=再生野菜。
大根の葉もすくすく育っています。窓辺に緑があるっていいですね。

