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サピックスの特徴と、上手に成績を上げるための学習のポイントとは

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公開: 最終更新日:2023年09月14日

首都圏において、圧倒的な実績を続けているのが サピックスという塾です。

サピックスの大きな特徴を3つあげるとすれば、下記のようになります。

1. 完全復習型の授業スタイル
2. 難関校合格に特化したカリキュラムとテキスト内容
3. 無理のない学習サイクル構築の難しさ

今回の記事では、サピックスについて掘り下げて考えてみたいと思います。

完全復習型の授業スタイル

サピックスの授業は、完全復習型のスタイルをとっています。というより、予習ができない仕組みになっています。
というのは、一回一回の授業の時にはじめてプリント形式のテキストが配布されるため、前もって予習をすることが不可能なのです。

これには塾の意図があり、授業の時にまっさらな気持ちで新しい内容に取り組んでほしいということのようです。

授業は先生がリードする形で、みんなが意見を出しながら与えられた問題を考えていく、というスタイルです。
先生のリードについていき、どんどん考えられるお子さんは良いのですが、じっくり納得するまで考えたいというお子さんや、まずは教えてもらったことを理解した上で考えたい、というお子さんにとっては、授業のテンポについていけない、流れに乗っていけないという側面があります。

多くの塾では、まず先生が考え方や解き方を教えてくれます。
子どもたちは教わった通りにまず問題に取り組んでみて、自分でできるようになるまで練習する。
これが中学受験塾に限らず、ほとんどの塾での授業の様子です。

サピックスでは「教えてもらってできるようになればいい」という姿勢で授業に臨んでいると、完全に置いていかれることになります。
この点はお子さんを通わせる前に、親御さんがしっかり理解しておく必要があります。

難関校受験に特化したカリキュラムとテキスト 内容

もちろんテキストの内容も難しく、カリキュラムの進め方も非常に速くなっています。
そのテキストとカリキュラムに沿って、家庭学習を回していく事がとても大変です。

算数では塾で、すべての問題を解くわけではありません。
学習内容を身に付ける上で必須となる問題をみんなで考えて解き、家庭学習ではそれを思い出して定着させるために、たとえば算数のテキストでは全く同じ問題がページの裏表に印刷されています。

これは「授業でやった考え方を単に再現、反復するだけでなく、一から自分で考えてほしい」という塾の願いが託されていますが、理解があやふやな子や宿題を「こなすだけ」の「ノルマ学習」に陥っている子にとっては「習った手順をそのまま丸覚えして再現する」題材となってしまいます。

このあたりが、サピックスのテキストの使い方で難しいところです。

理科や社会のテキストも非常に凝った作りで、塾の意図通りに活用すると学力がつくだけでなく、その科目への興味や学習へのモチベーションを掻き立ててくれる構成になっています。

たとえば理科ではその週の学習内容だけでなく、時期時期の気候や自然現象、旬の食べ物や季節の行事など、幅広いことがらが毎回のテキストの表紙裏には散りばめられています。
特に4〜5年生では、これを上手に活用することが将来的な科目の学力、勉強へのモチベーションにつながるのですが、算数同様「ノルマ学習」になっているお子さんにとっては「そんなの見る余裕があったら、問題を1問でも多く解かないと勉強が回らないよ」となってしまっています。

つまりサピックスのテキストを活かすには、お子さんにもご家庭にも「余裕」が必要ということになります。

無理のない学習サイクル構築の難しさ

上記のような「ノルマ学習」にならないように気をつけながら、上質なテキストの良さを最大限に活用できるようにすれば、難関校合格にもっとも効率よくたどり着けるのがサピックスですが、学習サイクルを構築するのが難しいのです。

難しさの大きな原因は、もちろんレベルの高さと量、つまりカリキュラムの進行スピードです。
一週で身につけなければならないことが多いので、あまりテキストの内容を端折ってしまうとついていけず、かといってすべてをこなそうとすると家庭学習にとんでもない時間がかかってしまう、というジレンマに陥るのです。

ここでは5年生算数の一般的な調整のしかたについて考えてみます。

・基本的には先生の指示に従うが、「デイリーサポート」の「確認問題」はCくらいまでをしっかり理解することを目指す(αクラスを目指すのであれば。Dの中から重要問題を指定してもらって解くとよい)
・「デイリーサピックス」は★2つまでの問題を習得することを目標に
・基礎トレは毎日1ページ

これだけでもかなり大変な負担だと思います。

「デイリーサポート」のD問題だけでなく、上記で「必須」としてあげた内容についても、本来は問題の「取捨選択」が行えるのが理想です。
個別指導に通わせたり家庭教師をつけている(または検討している)ご家庭は、わからない問題を教えてもらうことだけを目的とせず、上記の内容の中で重要問題を選んでもらう、取捨選択してもらう、学習の優先順位をつけてもらうよう依頼するのがよいでしょう。

高度で難関校合格に直結したテキストとカリキュラムを持つサピックス。
それだけに、上手に活用するには親御さんのサポートも必須となります。
日々の学習については、取捨選択と優先順位付けが最大のポイントになるでしょう。

ぜひ上手にサピックスを使って成績を上げていただければと思います。

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