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中学受験 大手進学塾徹底比較2016 関東編

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更新: 2017年05月08日 公開:

関東の中学受験で塾を選ぶ際、志望校やお子さんのタイプから考えて、どの塾に通わせるのがベストなのか、慎重に検討したいものです。

そこで、中学受験情報局は、関東の中学受験の大手進学塾をピックアップして徹底比較しました。

コンテンツ

Point1 わが子に合った塾を選ぶポイント

大手進学塾ならどこも同じなのか

サピックス日能研四谷大塚早稲田アカデミー・・・。主要駅の駅前には大手進学塾の看板が立ち並んでいます。駅から近く、通わせるには便利そうですが、大手進学塾ならどこへ通わせても同じなのでしょうか?

いいえ、大手進学塾ならどこでも同じというわけではありません。ひとくちに大手進学塾といってもその中身はさまざまで、それぞれに特徴があります。

また、中学受験に向けて大手進学塾にお子さんを通わせることはおすすめですが、そこに通わせてさえいれば、志望校に確実に合格できるというわけでもありません。確かに大手進学塾のカリキュラムは中学受験には有効ですが、それはお子さんにとってその塾のやり方や環境がマッチした場合であって、逆にミスマッチだった場合は、その効果が現れないだけでなく、塾が原因で勉強嫌いになってしまう恐れもあるのです。

大手進学塾を選ぶ際に、チェックすべきポイントは次の2つです。

  • ①その塾の授業内容がお子さんの今の学力レベルに合っているか
  • ②その塾の授業スタイルがお子さんの勉強スタイルに合っているか

塾の授業内容が子どもの今の学力レベルに合っているか

まず、その塾の授業内容がお子さんの今の学習の習得レベルに合っているかを確認します。というのも、その塾の「学習カリキュラム」を最大限に活かすには、お子さんの今の学力レベルに合ったところから始めるのが望ましいからです。

他のコラムでも説明していますが、大手進学塾では入塾テストで上位に入ると後々まで有利になる仕組みになっています。だからできるだけ上位で入塾したいのですが、今ある学力とかけ離れたレベルの難関塾を選ぶと、スタートの時点で上位のクラスに入るのが難しくなります。

多くの親御さんは「難関塾に入れれば、成績がいつかきっと上がる」と信じています。しかし、大手進学塾というのは、成績が優秀な子にとって最も効果的なカリキュラムになっているので、下位クラスになればなるほど、挽回するのが難しくなります。

サピックスは、男女御三家をはじめとする難関校の合格実績ナンバー1を誇る大手進学塾です。近年の合格者数からみても、「御三家を狙うのであればサピックス」という見方は間違っていないと思います。でも、「サピックスに通えば誰もが御三家に合格できる」というわけではもちろんありません。

難関校の合格実績から、地域によってはサピックスに通わせることが、ステイタスと思われているようです。しかし、サピックスは他の大手進学塾と比べて学習進度が早く、授業の内容も難易度が高いため、男女御三家などの難関校を狙う子には通う価値のある塾ですが、中堅校を目指す子にとっては、この塾にこだわる必要はありません。自分の実力よりも上の勉強をして、さっぱりわからないというのであれば、難関校受験にこだわっていないもっと間口の広い塾へ通った方がいいでしょう。

塾の授業スタイルが子どもの勉強スタイルに合っているか

塾を選ぶ際には、その塾の授業スタイルが、お子さんの勉強のスタイルと合うかどうかもチェックしましょう。

塾選びを成功させるポイントは、わが子の特性をできるだけ正確に把握することです。

サピックスや日能研のように、テストの成績で生徒を競わせて鍛えようとする塾は、勝ち気で、自尊心の強い子には向いています。逆に慎重な子、まじめで言われたことをコツコツとこなせる子には、四谷大塚や早稲田アカデミーが向いていると思います。

ただし、早稲田アカデミーは他の塾よりも宿題の量が多く、2泊3日の勉強合宿があるなど、体育会系のハードな塾です。お子さんがこうした雰囲気に馴染めるかどうかも判断のひとつとなります。各塾の特徴については、後で詳しく説明していきます。

塾を選ぶときは、子どもの性格や体力を考慮することに加え、親が求めていることを叶えてくれる塾かどうかで選ぶことも重要です。

例えば、両親が共働きで、普段子どもと一緒に過ごす時間が少ない家庭は、宿題のチェックを親がやるのか、塾がやるのかで、親の負担が変わってきます。

宿題のチェックくらいならできるけれど、勉強を教える時間まではないという家庭は、勉強のやり方をしっかり教えてくれる塾を選ぶといいでしょう。親ができないことをプロに頼むという考え方で、賢く塾を利用すればいいのです。誰が何をするかという役割を明確にし、家庭と塾で子どもをサポートする。そして、お子さんが「これなら頑張れそう!」と気持ちが乗ってくるような学習環境にしてあげれば、お子さんの成績は確実に上がり、中学受験は成功します。

※参考記事「中学受験 失敗しない志望校の選び方・決め方

Point2 御三家に強い人気の難関塾【サピックス】の現実

サピックスのカリキュラムに乗れる子はごくわずか

御三家をはじめとする難関校への合格実績が最も高いサピックスは、偏差値の高い、いわゆる"いい学校"へ入れたいと思う親たちの多くが、最初に検討する塾でしょう。地域によっては通っていること自体がステイタスと思われていますが、実際、教材やカリキュラムは非常によく研究されています。

四谷大塚をはじめとする「予習シリーズ」のテキストを使っている塾は、家庭での予習が前提となって授業が進められていきますが、サピックスでは予習は不要で、授業で初めて習うことを家で復習して定着させる学習スタイルをとっています。

授業で取り扱った問題をその日のうちに復習し、その他の問題はその週のうちに消化、基礎トレは毎日コンスタントにこなし、デイリーチェックで得点できるようにする、という学習サイクルができていれば、確実に実力がつくことでしょう。

しかし、授業は成績上位2割に照準を合わせて進められるため、このサイクルに無理なく乗っていける子は、残念ながらごくわずかなのが現状です。そのため、学力がある子は伸び、そうでない子はなかなか浮上せず、挫折感を味わうことになります。

サピックスに入るには、4年生の段階で、例えば算数なら1年先のものまでできるようになっていないと、授業にはついていけません。優秀で精神年齢が成熟している子であれば、塾での学習だけで伸びていきますが、そうでない子は家庭学習で家族の必死のサポートが必要になります。そういう点では、子どもの能力差で家庭の負担度が大きく変わって来る塾と言えます。

サピックスのクラス構成

クラスは最上位が「α(アルファ)クラス」で、教室の規模によっては「α−1」「α−2」とさらにクラス分けがされます。通常クラスは下位クラスが「A」から始まり、教室の規模によって「R」くらいまであります。

テキストについては後で詳しく述べますが、サピックスはクラスのレベルに関係なく、同じテキストで授業が進められます。テキストは上位クラスにいる子を飽きさせないための難しい内容になっているため、下位クラスの子にとっては、ハイレベル・ハイスピードでついていくのは容易ではありません。

1~2カ月に1度の定期的なマンスリーテスト、組分けテストで頻繁にクラス替えが行われるというのもサピックスの特徴です。1クラス15人前後で、小規模教室でも1学年5、6クラスはあります。中学受験に熱心なエリアの大規模な校舎になると、20クラス以上のレベルに分かれることもあります。

クラスが変わると講師も変わるので、教え方や雰囲気に慣れるまで戸惑うことも多いでしょう。講師の方も「生徒の顔と名前が一致しない」なんてことはしょっちゅうです。「御三家に入れるために通わせている」と割り切れればいいのですが、講師と密にコミュニケーションを取れるような環境を望むのであれば、違和感を覚えるかもしれません。

サピックスは良くも悪くも「難関校へ合格するための塾」で、塾側は上位の子の成績を伸ばすことには熱心ですが、それ以外の子のフォローはあまり期待できません。

Point3 【サピックス】のテキストはこうなっている

サピックスのテキストは冊子形式

大手進学塾では、自塾でテキストを作成しています。お父さんお母さんの世代で馴染みのあるテキストといえば、四谷大塚の『予習シリーズ』ではないでしょうか。『予習シリーズ』は四谷大塚のみならず、早稲田アカデミーでも採用されていますし、市販もされているため、全国的に見ると多くの受験生がこのテキストを使って勉強をしています。解説が丁寧で、「なぜそうなるのか?」という物語まで紹介されており、読んでいるだけでも楽しめる作りになっています。

それと対照的なのが、サピックスのテキストです。サピックスには学期を通して使用するテキストは存在せず、『デイリーサピックス』と『デイリーサポート』という単元別の教材が配布されます。このテキストは、毎週1冊ずつ小冊子になっていて、「1週間でこの内容さえマスターすればよし」という構成になっています。このようなテキスト形式は、大手進学塾の中では非常に珍しいケースです。

これはサピックスの前身であるTAP進学教室という塾の名残です。御三家をはじめとする難関校への合格実績の多さで、今でこそ有名塾になったサピックスですが、その昔はTAP進学塾という中規模な塾でした。そのため、日能研や四谷大塚のような大手塾のように、学年ごとにまとまったテキストを作る余裕がなく、その週に学習するための教材を講師が手作りしていたのです。それがサピックスになっても残っていて、他塾のようなまとまったテキストを持たず、独自のスタイルで授業を展開しています。

テキストを固定しないメリットは、年度始めなど改訂のタイミングを考えず、いつでも気軽に改訂ができることです。そのため、常に新しい内容を提供できます。近年、中学受験の入試問題は、難易度が増し、問題の傾向も多様化しています。こうした変化にいち早く対応できるのが、週ごとに一冊の小冊子にまとめたサピックスのテキストなのです。

前にも述べましたが、塾のテキストというのは、成績優秀な子がおもしろがって取り組んでくれるように考えて作られています。サピックスは御三家を狙うような優秀な子が集まる塾です。当然、そうした子たちを対象にしたテキストは難しくできています。

最上位クラスから最下位クラスまで同じテキスト

サピックスの授業は、成績別のクラスに関わらず、全生徒がこの一冊の小冊子を使って進めていきます。つまり、αクラスの子を対象にした内容のテキストを、最下位のAクラスの子も使うということです。これはどういうことを意味するかというと、授業時間は学年で統一していますから、理解度の早い上位クラスは一冊分の内容をモレなく学習しますが、そうでないクラスはすべてを学習しきれず、やり残してしまうということです。

しかし、テストは統一されていますから、下位クラスでは授業では習っていないことも、カリキュラムの範囲内の内容であれば出題されます。習っていないことがテストに出るのですから、当然思うような点は取れません。

やり残したことは家庭学習で補えばいいのでは、と思う親御さんもいると思いますが、そもそも内容自体が難しく、かつテキストの解説が極端に少ないため、家庭学習だけで理解するのは難しいでしょう。つまり、挽回ができない状況になってしまうのです。ですから、入塾テストで上位に入ることがとても大事なのです。

Point4 【サピックス】で成績を上げていくには?

サピックス 成績不振の3つの壁

サピックスに通うお子さんにとって、成績不振の大きな壁となるのが、次の3つです。

  • ①莫大な宿題量
  • ②ハイレベル・ハイスピードの授業
  • ③頻繁に実施されるテストとクラス替え

サピックスでは毎週『デイリーサピックス』と『デイリーサポート』というその週に習う単元別のテキストが配布されます。さらに、それを補完する補助教材として、プリント教材も配られます。このプリント教材は主に宿題として出されますが、その量がとても多いのもこの塾の特徴です。特に6年生で配布されるテキストやプリントの量は尋常ではなく、積み上げるとその高さは子どもの身長を超えるほどです。

どんどん「積み残し」が積み上がるメカニズム

前にも述べましたが、サピックスの授業は、成績優秀な子を焦点に当てた難易度の高いテキストで進めていきます。授業では、はじめに『デイリーチェック』という小テストが実施されます。その後、新しい単元を学習しますが、解説以上に問題演習が多いため、実質の授業はそれほど長くはありません。ですから、授業は必然的にハイレベル・ハイスピードになっていきます。そのため、一度でも欠席をしてしまうと、遅れを取り戻すことが困難になります。

また、上位・下位クラスに関わらず同じ内容の授業を行うので、下位クラスの子にとっては、相当難しい内容になっています。授業は毎週先へ進んでしまうので、その内容をその週のうちに理解しなければなりません。しかし、宿題の量も多いため、復習に十分な時間を割くことができず、積み残しの単元がどんどん増えていきます。

さらに、1~2カ月に1度、マンスリーテストと組分けテストがあるので、その対策もしていかなければなりません。

そして、多くのお子さんは手が回らず、アップアップの状態になってしまうのです。

でも、安心してください。この量をサクサクとこなせる小学生なんて、ほんのわずかしかいないのですから。

つまり、塾から要求される学習量のすべてをこなせなくて当たり前なのです。ところがこの「すべてをこなせなくて当たり前」という事実を、多くの親御さんは知らずにいます。なぜなら、その事実を誰も教えてくれないからです。しかし、実際には、「塾から要求される学習量のすべてをこなすこと」と「志望校へ合格できるかどうか」はイコールではないのです。

塾の宿題をすべてこなす必要はない

中学受験は、最終的に志望校に合格できれば目標を達成したことになります。そのための学習はもちろん必要ですが、その途中で息切れをしてしまっては意味がありません。塾から要求される学習量をこなすために、無理に頑張る必要はないのです。

ですから、課題をすべてやろうとせず、次のように取捨選択をしましょう。

  • ①授業で扱った問題とテキストにある類題は確実にこなす
  • ②デイリーチェックで間違えた問題の類題は、必ずテキストに戻って復習する
  • ③マンスリーテストで間違えた問題は、正解率が高いものから順にテキストの類題を復習する

この流れを作って、苦手な単元・問題を把握し、完全に理解できるようにすることが大切なのです。

「わかる」と「できる」を区別して学習サイクルを作る

特に「わかる」ことと「解ける」ことは違うのだということをしっかり意識しておきましょう。授業を聞いた直後はわかったつもりになっていても、自分でやってみると解けないということはよくあります。「解ける」というのは、なぜそうなのかをきちんと誰かに説明できる状態をいいます。

人間の記憶というものは、意外と当てにならないものです。「わかった」を「解ける」にするには、まずは授業の内容が少しでも頭の中に残っているその日のうちに、授業で取り扱った問題だけでも構いませんから、解き直しをさせるようにしましょう。そのときに、すぐに解けた問題と苦労して解いた問題を区別しておきます。

そして、授業の2~3日後にもう一度、解くのに苦労した問題の類題を解かせてみます。そこで正解できたら、その傾向の問題は「できた」ことになります。家庭学習の目標は、「わかる」を「できる」にすることです。

αクラスの子どもの学習サイクルの作り方

αクラスの子は、得意科目よりも苦手科目をなくすことに全力を注ぎましょう。宿題で大切なことは、できていないことは何かを見極めることです。できているところを何度も繰り返し学習する必要はありません。

間違った問題に関しても、はじめから解き直すのではなく、どこで間違ったかを発見することが大切です。自分はどこまでは理解できていて、何がわかっていなかったのかを見極める習慣をつけさせるようにしましょう。

サピックスは夏期講習などの長い休みの特別講座でも、復習だけではなくどんどん先へと進んでいきます。これは他塾と大きく違うところです。そのため、夏休みなど長期の休みに苦手単元の「積み残し課題」をまとめてやることは不可能です。ですから、今はできなくても、「夏に頑張ればいい」ということが通用しません。

特に6年生になると、夏期講習、志望校別特訓などでは非常に長い時間、ハイレベルな授業を受け続けることになります。しかもその時期になると、もう過去の単元を復習する時間はとれません。ですから小6前半の時期までは、週に1日、積み残しを解消する日を設定し、「苦手」を残さないようにしましょう。そうすれば、受験生にとって最も大切な6年生の夏休みを有効に過ごすことができます。

αクラス以外のお子さんは早く得意科目を作る

α以外のアルファベットクラスのお子さんは、早く得意教科を作るようにしましょう。得意教科があれば、その教科の成績を伸ばすことに全力をあげるのです。そうすれば、「やればできる」→「できると楽しい」と感じられるようになり、勉強に対するモチベーションが上がってきます。

中学受験の場合、ほんの一握りの秀才を除いては、子どもの学力に大きな違いはありません。ただ、「頑張っても成績が上がらない」と、気持ちが切れてしまいます。

そうならないためには、例えば「デイリーサピックス」の中で、できた問題の類題に優先的に取り組ませて、「やればできる」という実感を持たせてあげるなどの工夫をするといいでしょう。

ひとつ注意しておきたいのは、塾の成績は伸びていないのに、「塾は楽しい」と言うお子さんです。サピックスの講師は、指導力があるだけでなく、子どもを飽きさせないように楽しい雰囲気を作ることにかけても優秀です。

子どもによっては、授業の内容が理解できていないのに、「エンターテイメント」として授業を受けたことだけで満足してしまうことがあります。親からすれば「楽しく塾に通っているからいいじゃない」と思うかもしれませんが、授業を楽しく受けることと成績の伸びは関係ありません。

サピックスは親のフォローなしでは、どうにもならない塾です。毎日の家庭学習をしっかり見て、長期的、短期的な学習スケジュールを立てるようにしましょう。

Point5 コツコツ学習タイプにぴったりな【日能研】

日本最大の中学受験塾 日能研

日能研は中学受験専門の大手進学塾です。サピックスや早稲田アカデミーなど他の塾には、高校受験のための中学部も存在しますが、日能研にはなく、中学受験一筋で成長してきた塾です。そのため、かつては「中学受験といえば日能研」という印象がありました。しかし、近年は難関校の合格実績からサピックスの人気が高まっています。けれども、日能研が日本最大の中学受験塾であることは変わりません。

日本最大の中学受験塾の最大の強みは、膨大な量の受験生情報を持っていることです。学校資料や公開テストのたびにもらえる成績資料は種類も豊富で、「R4」と呼ばれる"合格可能性80%"の偏差値もかなり正確に出ます。

また、生徒数が非常に多いため、最上位の難関校から中堅校、下位校に至るまで、数多くの合格者を出しています。そういう点では、成績上位の子に限らず、どんな子でもウェルカムな間口の広い塾です。特に今は中堅校に強い塾として人気があります。

日能研のテキストとカリキュラム

日能研では、「本科テキスト」と「栄冠テキスト」の2種類のオリジナルテキストを使って学習していきます。授業で使用するのが「本科テキスト」で、家で学び直すために使うのが「栄冠テキスト」です。

カリキュラムの進度は、他の大手進学塾よりも少し遅めで、4・5年生は基礎レベルを重視した問題構成になっています。宿題は比較的少なく、同じ問題を何度もじっくりやらせる傾向があるので、4・5年生のうちは大きく落ちこぼれることはありません。マジメにコツコツ学習するタイプの子に向いている塾です。

日能研のクラス構成

日能研のクラス編成は、習熟度別に「基礎クラス」と「応用クラス」に分かれています。基礎クラスは「Wクラス」、応用クラスは「Gクラス」と「Rクラス」があり、Rクラスの方が上位クラスになります。しかし、校舎によっては、Rクラスの設定がないところもあります。

日能研は関東で誕生した塾ですが、今では全国で展開をしています。クラス編成が「基礎クラス」と「応用クラス」に分かれているのは共通していますが、エリアによって基礎クラスが「Aクラス」になったり、応用クラスが「Mクラス」になったりするので、保護者の間では混乱する人も多いようです。

1クラスの人数は20名前後で、サピックスや四谷大塚より若干多い程度です。クラスは日能研が独自に実施している「カリテ」と呼ばれる学習力育成カリキュラムテストの成績によって決められます。しかし、その回数はサピックスの組分けテストに比べると少なめです。また、教室によって回数が異なる場合があります。

クラスはテストの「共通問題」の平均で決まる

日能研とサピックスの大きな違いは、クラスによって学習内容が異なる点です。また、カリテの内容も、基礎クラスは「基礎問題」と「共通問題」から出題されるのに対し、応用クラスは「共通問題」と「発展問題」から出題されます。この成績でクラス・座席が入れ替わります。

クラス分けの基準は「共通問題」の平均です。「共通問題」は本科テキストとほぼ同じ問題が出るため、テキストの問題を繰り返し解くことがテスト対策につながります。特に4・5年生はテキストの内容が比較的やさしいので、「暗記型の学習」である程度の点が取れます。

日能研では「暗記型の学習」にならないよう注意

「暗記型の学習」とは、「◯◯算の解き方は■■」というように解き方レベルで覚えてしまうような学習法で「なぜそのように解くのか」ということから考えない学習のことをいいます。量が多くある意味単調な進学塾の宿題を毎週演習していると、ともすれば陥りやすい学習なのです。

このような学習が身についてしまっていると、6年生になるといきなりテキストの内容が難しくなるため、成績が下がってしまうのです。暗記型では対応できない「思考型」の問題へと変わっていくからです。

「学習」=「暗記」が一度癖づいたお子さんに、「考える」「理解する」という学習習慣を持たせるのはとても難しいので、4・5年生のうちから「なぜその解き方で解くのか?」「どうしてそうそうなのか?」と考える癖をつけさせることが大事です。日能研で最も気を付けなければならないのは、「暗記型の学習」に走らないようにすることです。

Point6 【日能研】で成績を上げていくには

範囲のあるテストでは点が取れるけど、実力テストでは・・・

本科テキストは基礎力を固めるテキストとしては、とてもよくできた教材です。この素晴らしい教材を活かすためには、「授業」→「家庭での復習」→「カリテで高得点を目指す」→「カリテの復習」というサイクルをきちんと築くことが重要です。

日能研には1週間分(4年生は2週間分)の学習内容が範囲の「カリキュラムテスト(以下カリテ)」と、日能研の塾生以外も受けられる「公開模試」の2つのテストがあります。

日能研生によく見られるのが、「カリテ」では点が取れているのに、「公開模試」では点が取れない子です。日能研に通っているお子さんで最も多いのが、この悩みです。その原因に、暗記型の学習にとどまってしまっていることがあげられます。

日能研は、「カリテ」の成績によってクラスや席順が入れ替わるため、子ども達はカリテの勉強に一生懸命取り組む傾向にあります。そして、その「カリテ」に出題される問題は、本科テキストや栄冠テキストの問題とそっくりなのです。ですから、テキストの問題を繰り返していれば、とりあえず解けるようになります。

ところが、日能研生以外の子も受ける「公開模試」は、範囲がありません。また発展問題も出題されます。すると、「カリテ」で暗記型の学習をしてきた子は、途端に答えられなくなってしまうのです。そうならないためには、日頃、復習をする際には、解き方の丸暗記にならないように、「なぜそうなのか?」といった解法の方針や考え方を理解した上で問題を解くことが大切です。

難関校狙いなら、少しでも早く上位クラスに

地域や校舎によって頻度の違いはありますが、日能研はサピックスなどに比べてクラス替えの機会が少ないため、できるだけ早く上位クラスへ上がることが重要になります。なぜなら、クラスによって学習内容が変わってくるからです。

「R4」の偏差値52以上の学校を目指す場合、カリテが「基本問題」+「共通問題」の基礎クラスでは合格が難しくなります。それ以上の学校を目指すなら、「共通問題」+「応用問題」の応用クラスに上がるためのプランニングを急がなくてはなりません。

「R4」偏差値52以下の学校を志望する場合は、「基本問題」+「共通問題」でも合格の可能性は高くなりますが、偏差値レベルは低くても難度の高い問題を出題する学校もあります。それらに対応するためにも、1つでも上のクラスに早く上がることを目指しましょう。

コツコツ学習タイプにぴったりな日能研ですが、気を付けなければいけない点があります。こうしたタイプのお子さんは、言われたことをきちんとやらなきゃと思ってしまう子が多く、出された宿題を全部やろうとします。

本科テキストと栄冠テキストの問題はかなりの割合で重複しています。簡単に解ける問題を宿題だからといって何度も解くのは、時間を取られるだけであまり意味がありません。それよりも、少し難しく感じる問題ともう少しで解けそうな問題を中心に学習していきましょう。

講習会は復習、そして全体的なカリキュラムはややゆっくり

春休みや夏休みなどの講習会カリキュラムは、ほとんどが復習内容になっています。既習範囲の再チェックが目的のため、クラスによってテキストのレベルが異なります。これまで苦手な単元を残していた子は、ここでもう一度学び直せるので、苦手克服のよい機会になります。

しかし、順調にいっている子にとっては無駄な部分もある講習ともいえます。「まわりがみんな受講するから受ける」のではなく、本当に必要かどうかよく考え取捨選択をした方がいいでしょう。

基礎固めに力を入れる日能研は、他塾に比べて、カリキュラムの進度が遅めです。サピックスなどは5年生で受験勉強に必要なすべての単元を学習し終えますが、日能研は6年生の一学期終了時点で他塾に追いつくカリキュラムになっています。そのため、6年生の後半になると急に追い込み学習になってしまうという難点があります。

また、他塾に比べて過去問への取りかかりが遅いというのも、この塾の特徴です。例年、6年生の9月か10月になるまでは過去問は手をつけないように塾から指導されるのですが、いざ入試直前期になっても、生徒一人ひとりに対して過去問指導はほとんど行われません。

過去問研究を深める上で必須である添削指導も、塾の先生には期待できないと見ておいた方がいいでしょう。こうした点が難関校入試のハードルになっているのです。日能研に通いながら難関校を目指すなら、保護者がしっかり関わるか、プロ講師の力を借りて、学習スケジュールを立てることをおすすめします。

Point7 親世代とは大きく違う【四谷大塚】の中身とは?

テスト会から始まった四谷大塚

四谷大塚はもともとテスト会として始まった塾です。そのため、6年生向けの「合不合判定テスト」は中学受験の合格指標として、塾の垣根を越えて幅広い受験生が利用しています。同じ日に、サピックスが独自の判定テスト「合格力判定オープン」を実施していますが、サピックスの塾生でも中堅校狙いの子の多くが、この「合不合判定テスト」に参加しているので、最難関校を除くほとんどの学校についての合格判定はかなり正確で役立ちます。

ただ、ここ15年ほどの間にサピックスが伸びてきたことで、一昔前の「準会員になるのも難しい」といわれていた状況とは大きく変わっています。しかし、ひとくちに「四谷大塚」といっても、四谷大塚直営校、通信コース、YTネット(準拠塾)とさまざまな形態があり、四谷大塚のオリジナルテキスト「予習シリーズ」を軸とした学習システムで学ぶ受験生の数が多いのは変わりません。

2012年の改定で様変わりした「予習シリーズ」

四谷大塚といえば、「予習シリーズ」というテキストで有名な塾です。中学受験を経験している親御さんにとっても、馴染みのあるテキストではないでしょうか? 自社制作のテキスト「予習シリーズ」は完成度が非常に高く、以前は中堅~下位層でも質の高い学習ができていました。

しかし、2012年に大改訂をしてからは、カリキュラムの難易度と進行速度が大幅に上がったため、上位層クラスでなければ、授業の内容を十分に習得することが難しくなっています。

例えば算数では、それまでの旧カリキュラムでは2年半かけて学んでいた内容を、新カリキュラムでは2年間で一気に進めていきます。また、1週間に2単元を学ぶといったこれまでのスタイルを変え、1単元を広く深く扱うスタイルになりました。これは明らかにサピックスの進度を意識した変更です。その結果、今までならまだ余裕のあったはずの5年生の春の時点で、授業についていけない子が増えてきているのです。

「予習シリーズ」に掲載されている問題も、以前は基本をしっかり固めて徐々に無理なく応用問題に取り組めるよう工夫されていました。ところが、今は基本から一気に応用問題にジャンプアップしています。また、旧来の「計算と一行問題集」が改編された「予習シリーズ 計算」では、基本的な計算問題が削られ、工夫を必要とする難問ばかりが目立つ構成になっています。

また、ここ最近は少し安定してきましたが、カリキュラムが変わってからの2、3年は、指導側にも混乱が見られました。過剰な宿題を課す講師が増えたり、準拠塾の中には、新カリキュラムの内容を考慮できず、過去のカリキュラムの感覚で指導を進めてしまっている講師もいました。

「予習シリーズ」の優位性

しかし一方で、カリキュラムを変えたことにより改善された面もあります。例えば、算数の「予習シリーズ」は、これまでもとてもよくできたテキストでしたが、改訂前は「比の問題」と「立体図形に関する問題」の量が不足していました。新カリキュラムではその点が改善され、これらの単元の問題も充実しています。

理科と社会の予習シリーズは、写真や資料が多く、子どもの視覚に訴える要素があり、受験参考書として最高の出来になっています。この最高のテキストを利用しない手はありません。説明の文章をしっかり読み、写真や図も注意深く見ていくという勉強を是非させてください。

ただ、理科においては、計算単元の問題数がやや不足しています。「てこ」「輪軸」「滑車」「バネ」「浮力」などの力学もそうですが、もっと不足しているのは「気体の発生」「中和」などの化学計算です。こちらは他の問題集で補填していく必要があります。

Point8 【四谷大塚】で成績を上げるには

四谷大塚の学習システム

四谷大塚の授業は、「事前予習」→「授業」→「復習」→「確認」のサイクルで学習を進めていきます。事前学習で「予習シリーズ」を使って予習をし、授業を聞いて理解を深める、という考えです。その後、家庭で問題演習による復習を行い、週末テストで確認するという流れになっています。

そして、5週に1度、総合確認のためのテストを行い、習った単元に再度取り組むことによって、学習内容の確実な定着を狙うカリキュラムになっています。

しかし、この流れにうまく乗れれば良いのですが、中にはうまくいかない子もいます。授業の内容が難しくなったことで、授業の後の復習に手間取ってしまい、予習までできなくなってしまうケースです。

親の関わりが問われる「予習シリーズ」の予習

四谷大塚の授業は、予習を前提に進められていきますから、この予習ができないと当然授業の内容も理解できません。そのため復習にさらに手間取り、結局、テストに間に合わないという状況になってしまうのです。

そうならないためには、やはり予習をしっかり行うこと。「予習シリーズ」はその名前から、「子どもが予習する」シリーズと思っている親御さんがいますが、正しくは「親が予習する」シリーズであることを知っておきましょう。四谷大塚の学習システムは親が十分に関わることを前提に作られており、お子さんが「予習ナビ」を観て学習できるようになるかどうかも、親の導き次第です。

四谷大塚の週例テスト・月例テストは、「家庭での学習力が試される模擬テスト」と思ってください。そう聞くと、プレッシャーに感じる親御さんもいるかもしれませんが、サピックスの親の関わりに比べれば、四谷大塚の方がまだ負担が少ないはずです。いずれにしろ、中学受験の勉強は、親のフォローなしでは厳しいのが現実です。

とはいえ、それがうまくできている家庭はそう多くはありません。

家庭で学習サポートをしていくには、まずお子さんの学力状況を正確に把握することです。そのためには、週テストの結果だけで、一喜一憂するのをやめること。単元ごとにできているところとできていないところを親御さんが記録に残し、お子さんの学力傾向を分析していくことが必要です。家庭でやるのが難しければ、プロに頼むことをおすすめします。

「予習シリーズ」の他にも多彩なテキストが

四谷大塚は、「予習シリーズ」のほかに、「計算(旧:計算と一行問題)」「サブノート」「四科まとめ」「応用演習問題集」「基本演習問題集(旧:演習問題集)」「実力完成問題集」「算数難問題集」「総合問題集」など、たくさんの問題集があります。

これらの問題集から何をメインとして使っていくかは目利きが必要です。でも、お子さんの学力状況を正確につかんでいれば、この多種多彩な教材からお子さんにとって本当に有効な教材を選択することができるようになります。

復習ナビについても、すべてを視聴するのではなく、学習上の優先順位と持ち時間の兼ね合いから使い方を決めていくべきです。「予習」については、親の関わり方をお子さんの成長段階に応じて徐々に変えていくのが理想です。最初から子ども任せで取り組ませても、予習シリーズの解説が難しすぎて学習習慣がつきません。

しかし、いつまでも親が付きっきりで教えていては、お子さんの予習能力が育たず、週例テストでは点数が取れても、組分けテストでは結果が出せない子になってしまいかねません。今のお子さんの学習能力と心の成長がどの段階にあるのか、客観的に見極めて、その都度適切な関わり方を心がけましょう。

Point9 バリバリの体育会系 反復学習の【早稲田アカデミー】

四谷大塚のシステムを独自のテキストでアレンジ

早稲田アカデミー=通称「早稲アカ」。高校受験では既に確固たる地位を築いていますが、中学受験においても、今一番合格実績を伸ばしている勢いのある塾です。

この塾の特徴をひと言で表すならば「熱血」。若くて元気で体育会系な先生が多く、教室はいつも元気いっぱいな雰囲気です。

早稲田アカデミーは四谷大塚の「予習シリーズ」を使って、四谷大塚のカリキュラムに従って授業が進みます。そのため、2012年に行われた「予習シリーズ」の大改訂の影響によって、授業内容も難易度の高いものになっています。

早稲田アカデミーは「予習シリーズ」の他に、早稲アカ専用の教材「Wベーシック」を併用しています。「Wベーシック」は予習シリーズの内容をより取り組みやすく再構築したもので、単元ごとにリンクしているため、補助教材として使うにはもってこいの教材です。

2012年のカリキュラムが改訂で授業が難化したことにより、そのレベルについて来られない一部のクラスでは「Wベーシック」を中心に授業を進めているところもあります。何が何でも「予習シリーズ」ではなく、学力レベルに合った授業をしていこうとい塾側の意図が感じられます。

早稲田アカデミーのクラス構成

早稲田アカデミーのクラス分けは、公開テストなどの成績で決められます。選抜クラスの「SSクラス」と一般クラスの「Sクラス」があり、Sクラスは上位から「S1」、「S2」・・・となります。また、「SSクラス」と「S1」クラスの間に「SPクラス」というのもあります。

クラスの人数は15名程度の少人数制で、講師と生徒のコミュニケーションが取りやすい環境になっています。授業後の質問も他塾に比べてしやすいようです。また、保護者へのフォローもしっかりしています。

例えば、授業を欠席した生徒に、担当講師から欠席した授業の内容を伝える「欠席電話」や、学期に2~3回程度、塾でのお子さんの様子や家庭での様子について情報交換する「回診電話」を行うなど、保護者とのコミュニケーションも大切にしてくれます。そういう点では、他の大手進学塾よりも面倒見のいい塾です。

早稲アカに向かないお子さんもいる

一方、早稲田アカデミーを選択する上で、知っておいて欲しいことがあります。それは、この塾の大きな特徴として、大量演習・大量宿題型であるということです。

熱血教師が指導する体育会系の雰囲気の中、多量の学習を課せられてもへっちゃらなたくましいお子さんには向いている塾ですが、一方でそういう「根性論」が肌に合わない子は、宿題に追われるばかりで時間が足りず、成績も伸びず嫌気がさしてしまうという危険性もあります。

もともとタフな子、問題の処理スピードが速い子なら、こうした負荷が吉と出ますが、そうでない子は、「宿題をしてこないと先生に叱られる。とにかく終わらせなければ・・・」と思い、萎縮してしまって力が出せないというケースも多くあります。

また、パターン問題の大量の繰り返し演習が多いため、やった問題についてはちゃんと得点できるようになりますが、初見の問題や少し応用された問題になると途端に答えられなくなってしまう子がいます。

こうしたスランプをきっかけに、大量学習の受験勉強に疲れてしまい、もうやる気が起きないという状態になってしまうケースも多いので、暗記型の勉強に走らないように心がける必要があります。

暗記型でもある程度までの学校には対応できますが、いわゆる難関校になるとパターン問題が少なくなり、思考型の問題が中心になるので、対応が難しくなってしまいます。

5年生以降に難関校を目指すなら、選抜試験と月例テストの成績によって「SSクラス」、また6年生には難関志望校別の「NNクラス」が設置されています。6年生の二学期に開催される志望校別日曜特訓「NN志望校別」は、学校別に多くのコースがあり、問題研究が十分にされていてテキストの質も高く、受講価値の高い講座となっています。

Point10 【早稲田アカデミー】で成績を上げるには

「なぜそうなのか」を考える習慣をつけたい

大量演習・大量宿題が特徴の早稲田アカデミー。「習うよりも慣れろ!」とはよく言われる言葉ですが、それだけでは本当の学力は付きません。大量に課せられる宿題をすべてやることにこだわりすぎると、どうしてもじっくり考える時間が持てず、覚えるだけの学習になります。何より応用力がつきません。

大量の問題をただ闇雲に消化していくことを続けていると、「どんな方法で解答したか」というやり方だけしか記憶に残らず、「なぜそうなのか」まで考えることができません。

週ごとに実施される週例テストでは得点が取れるのに、公開テストになると途端に成績が下がってしまう子のほとんどが、こうした学習の仕方に原因があります。

大量演習の学習習慣が日常化してしまう前に、4年生のうちから、ただ問題を闇雲に解くだけではなく、なぜこの解法で解けるのかが説明できるようにしておきましょう。「これがこうなって、だからこうすると、あれがわかって、最後にこうすると答えが出せる」といったように、自分の言葉で説明できるようになることが大切です。

早稲田アカデミーは、大量の宿題を出すだけでなく、宿題をきちんとやったかどうかのチェックもしっかり行います。そのため、多くの親御さんが、「とにかく全部やらせなきゃ」と思ってしまいがちですが、必ずしもすべてをやる必要はありません。

宿題で大切なのは「何ができなかったか」を知ること

宿題で大切なことは、何ができて何ができないかを見極めることです。できていないことを見極めるとうのは、答えが間違っているかいないかを見ることではなく、どこを間違ったかを自分で見つけられるようにすること。

間違った問題を始めから解き直すことではありません。図や式を見返し、どこを間違ったのかを発見することに意味があります。この習慣を付けることで、ミスは減っていきますし、宿題をこなすスピードも上がっていきます。

また、宿題だからといって簡単に解ける問題の類題や、今解くのは学力的に無理な問題に時間を費やすことはやめましょう。「もう少しで解けそうなもの」を中心に取り組むことが、学力向上につながります。

塾から言われたとおりに闇雲に問題を解いてはダメ

5年生になると急激に学習量が増えるのはどこの塾でも同じですが、難関校を目指すのであれば、SSクラスへの入室を目標に学習計画を立てていく必要があります。選抜テストは3・6・10・1月に実施されるので、現状の成績と合わせて計画を立てるようにしましょう。

しかし、1週間の宿題は相変わらず大量に出されるため、多くのお子さんは宿題消化に追われることになり、SS選抜対策のための学習時間を確保するのが難しい状況になります。対策は、先に述べたように宿題の取捨選択をすることです。

6年生になると、志望校対策講座として「NNクラス」が開設されます。志望校のNNクラスがある場合は、クラス選抜テストで入室合格基準を超えられることをまず目指しましょう。NNクラスに入室後は、徹底した志望校対策が進められるため、その内容をしっかり復習し、理解を確実なものにしましょう。

とにかくこの塾で気を付けなければならないのは、塾側から言われた通りにただ闇雲に問題を解かないことです。今は何を優先にすべきか柔軟に対応することが大切です。それを決定していくのは、本来は親御さんですが、取捨選択が難しい場合は、プロの講師に頼むのも一案だと思います。

Point11 要注意!同じ塾でも教室によって当たり外れがある

「外れ」の教室を選ばないための注意点3つ

さて、これまで関東エリアの大手進学受験塾「サピックス」「日能研」「四谷大塚」「早稲田アカデミー」の特徴を説明してきました。こうして見ていくと、ひとくに大手進学塾といっても、塾によってその中身が大きく違うことがわかります。こうした中身を総合的に見て、どの塾がお子さんに合っているか見極めることが大事です。

しかし、ときに同じ塾でも教室によって当たり外れがあります。それを防ぐために、次の3つに注意して選ぶようにしましょう。

  • ①その校舎に通っている生徒の様子を観察する
  • ②入塾前の学習相談で、講師や職員の資質を見極める
  • ③校舎単体での中学合格実績を確認する

詳しく説明していきましょう。

その校舎に通っている生徒の様子を観察する

教室の雰囲気や指導のきめ細かさなどは、通塾する子ども達の様子に表れるものです。塾に入って行くとき、または塾が終わって出てくる子ども達の様子を見たり、会話を聞いたりすれば、そこに通う子たちのおおよその雰囲気がつかめるものです。

その中で、あなたのお子さんがやっていけそうか想像してみてください。「うん、やっていけそうだな」「いや、ちょっと違うな」など、わが子をよく知っている親だからこそ感じるものがあるはずです。まずは、親御さんの第一印象を大事にしてください。これは学校選びでも同じことが言えます。

入塾前の学習相談で、講師や職員の資質を見極める

お子さんの受験勉強において、ご家庭ではどんな学習サービスを求めていますか? 「勉強の仕方から教えて欲しい」「宿題管理をして欲しい」「家庭学習のアドバイスをして欲しい」「授業が子どもの好奇心・向上心を刺激するものであって欲しい」など、各家庭が求めるものは違ってくるはずです。こうしたことを塾へ通わせる前に、まずは夫婦でしっかり話し合いをしましょう。自分たちが塾に何を求めているかをできるだけ具体的に挙げておくのです。

その上で、塾の先生に入塾するかどうか決めるための学習相談をしてみましょう。学習相談では、あなたの家庭が求めていることについて、塾側が対応できるかどうか一つひとつ確認をします。

そのとき、解答が一般論ばかりだったり、「大丈夫です! 私たちに任せてください!」など、中身がはっきりしないものであれば、「宿題は親が見なければならないのですか? 本人が自力でできるように先生が指導してくれるのでしょうか?」など、誰が何をするかきちんと確認しておきましょう。ここを曖昧にしたまま、塾通いをスタートしてしまうと、始まった段階で「こんなはずじゃなかった・・・」と後悔することになります。

校舎単体での中学合格実績を確認する

大手進学塾にとって、難関校の合格実績は生命線です。毎年、その年の中学受験が終わり、新規入塾生を募集する頃になると、大手進学塾の広告チラシや塾の入口の壁に貼られたポスターには、その年の輝かしい合格実績が並びます。それを見ると、あたかもその塾に入ればわが子も合格できるのでは・・・という錯覚に陥ってしまいそうですが、こうした合格実績は、成績上位の子が複数の学校に合格していたり、もちろん別の教室の子の実績も含まれていて、正直あまり参考になりません。

ですから、本当の合格実績を知りたければ、実際にその校舎に通っている生徒数と、その校舎に通う生徒の合格実績を確認しましょう。特に行きたいと思っている学校の合格者がいる場合、その合格者はその校舎の中で、上位何番目に入っていたか聞いてみるといいでしょう。

以上、「中学受験 大手進学塾徹底比較2016 関東編」でした。みなさんの塾選びの参考になれば幸いです。

この記事を書いた人
主任相談員 西村 則康主任相談員 西村 則康
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