6年生の受験直前期、苦手科目・単元の対策をしてはいけない理由とは

6年生の夏休みが終わると、受験本番がどんどん迫ってきます。冬休みになるともう受験は目前。
体調管理や年末年始の過ごし方など、気をつけるべきことがたくさんあります。
今回の記事では、その中のひとつである苦手科目対策を、受験の直前期にやってはいけないということについてご説明します。
苦手科目の対策は、6年生の10月まで
合格に近づくためには、苦手な科目や単元をとにかくひとつでも減らす必要があると考えている方は多いと思います。
もちろん、苦手な科目や単元が減れば、得点は伸び、偏差値も上がるでしょう。
でも限られた時間をすべて苦手科目や単元の対策に使ってしまうと、本来得意な科目や単元の勉強がおろそかになり、苦手対策で伸びた点数より得意分野の低迷で下がった点数のほうが大きくなってしまうこともあります。
苦手な分、克服するのに時間もかかるでしょう。すぐに結果が出ないのでモチベーションも下がってしまい、その結果、全体的に点数が下がる、ということにもなりかねません。
ですので、苦手な科目や単元の対策に時間をかけるのは、6年生の10月まで、と念頭に置いてください。
いくら遅くても11月が限界です。そこからは得意分野を勉強の中心にして自信を深めたり、確実に得点できる分野を強化することに時間を使いましょう。
子どもが前向きな気持ちで本番を迎えられるように
6年生の10月以降は子どもの得意分野に取り組むと同時に、親もどんどん前向きな言葉をかけてあげてください。
「やっぱりあなたならできる」
「これまでのがんばりが、成果に出てきたね」
「このままいくと合格できそうね」
など、子どもの気持ちをどんどん上げていきましょう。
得意分野を強化していくことは、子どもの自己肯定感にもつながります。一緒にその流れを作ってあげ、本番までのいい流れを作りましょう。
とはいえ、冬休みあたりになると、親御さんも平常心でいられないことがあるようです。
不安にかられ、子どもの弱点ばかりに目がいき「あの分野ができてないけど、大丈夫?」「もっと勉強しておきなさい」と子どもに課題をたくさん与えてしまい、子どもはそれをこなすことができず自身喪失…という悪いスパイラルに陥る親子も少なくありません。
受かるはずの子も、これでは本番で本領を発揮できず、不合格になってしまいます。
直前期はできるだけ、勉強の内容に口を出すのは控えましょう。
不安になる気持ちはわかりますが、子どもは敏感なのですぐそれを察知し、影響を受けてしまいます。
「うちの子なら大丈夫」という気持ちをしっかり保ってください。
どうしても心配なことがあるなら、塾の先生に相談したり、この時期だけ家庭教師をお願いするなど、専門家の力を借りてフォローしましょう。
「本命校」「すべり止め校」と言わないように注意する
また、直前期だけではないのですが、志望校のことを話すときは「第1志望校」「第2志望校」と言うようにすることをおすすめします。
志望校に順番をつけるのは当然のことなのですが、もし「本命校」「滑り止め校」という区別をしていると、「本命校」が不合格となり「すべり止め校」だけに受かった場合、子どもは「すべり止め」のためだけの学校に進学する、という気持ちになってしまいます。
この感覚が残ってしまって学校のことが好きになれず、学校生活も楽しめない子もいるのです。
中学受験では、ひとつの学校しか受けないという家庭は少ないので、受ける学校それぞれについて、その学校のいいところをたくさんお子さんに言い聞かせてあげましょう。
「前受け校」に関してもきちんと対策しよう
入試本番の雰囲気にのまれないため、「受験慣れ」などを目的に受ける学校もあります。
中学受験の会場は、子どもが今まで体験したことのない空気に満ちているので、場馴れさせるという意味でも、肩慣らしのための受験はしておいていいと思います。
そのときに注意したいのが「肩慣らしだから受からないでもいい」という気持ちで臨むのではなく、「必ず合格する」という気持ちでしっかり対策をして臨むということです。
第1志望校ではなくても、合格すれば子どもも嬉しいですし自信がつくでしょう。
合格した喜びを味わって、本番に向けてますます集中力が高まることもあると思います。
また、対策したことが本番でどのような形で現れるかを実感する貴重な機会にもなります。
勉強が無駄になっていない、と手応えを感じることで、第1志望校の受験にもいい影響が出るのではないでしょうか。
逆に不合格になってしまっても、そのせいでやる気になり、第1志望校に合格したというケースも少なくありません。不合格だった場合はお子さんを不安な気持ちにさせないよう、「○○さえ気をつけたら、次は絶対合格できるよ」と前向きな言葉をかけてあげましょう。
受験本番に本領が発揮できるよう、できるだけ子どもが前向きな気持ちを保てるように、親も気をつけたいですね。