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いま首都圏で「中学受験熱」が高まっている3つの理由

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公開: 最終更新日:2022年04月27日

近年、中学受験を選択するご家庭が増えています。
2020年度2月1日の首都圏での受験生数は前年度よりも約1300人増加し、ついに4万人を超えました。
今、中学受験熱が高まっているのはなぜなのでしょうか。
その理由について詳しく解説します。

中学受験は「先々の不安を回避したい」という気持ちの表れ

中学受験者数は近年増加傾向にあります。
2020年2月1日入試では、募集定員を受験者数が上回り、難関校だけでなく中堅校でも厳しい戦いとなりました。

なぜ中学受験熱がこんなに高まっているのでしょうか。
もちろん理由はさまざまですが、私は多くのご家庭が「子どもの先々の不安を回避するため」に中学受験を選択していると感じています。
それがどのような不安なのでしょうか。

公立中学に対する「不安」

今の時代、小学校高学年クラスの7割以上が中学受験をするという地域もあります。
そうなると、公立校への進学を考えていたご家庭でも「みんなが受験するから」という理由で中学受験を選択することがあります。
そういう環境だと子どもから「私も(僕も)受験したい」「塾に行きたい」と言い出すこともあるでしょう。

そして、地元の公立中学校の悪い噂を聞いて不安になり、中学受験を決めるご家庭が少なくありません。

「○○中学校は荒れているらしい」
「いじめがあって不登校の子がいる」
「全員が部活に入らなければならず上下関係も厳しいらしい」

これらの噂を聞きつけて公立中学に不安が募り、それなら地元の公立を避けるために中学受験を検討しようと考えるのです。

高校受験に対する「不安」

高校受験、特に「内申書」の存在に不安を持つ親御さんは多いようです。内申書とは、生徒の成績や学校生活について先生がある評価基準に基づいて評価するもので、高校受験では合否判定の資料のひとつになります。
内申書の成績は5教科だけでなく、体育、音楽、美術、家庭科の4教科も含まれます。

各都府県には「進学指定重点校」などと呼ばれている公立トップ校があり、東京都なら日比谷高校や西高校、国立高校がそれに当たります。神奈川県では湘南高校や横浜翠嵐高校です。

中学受験をせずこれらの公立トップ校や上位校を目指す場合、中学校での成績は5教科オール5が基準で、副教科も4以上は当たり前。
体育だけでも3を取ってしまうと志望校に行けない場合があるので、オールマイティーにこなせる子でなければ合格は厳しいのです。

また、中学校の成績はテストの結果だけでなく、提出物や授業態度、勉強に対す意欲など総合的に判断されます。
内申書には一応基準はありますが、先生による主観的な評価になるとの声もあり、公平性に欠けてしまうという不安があります。

そのため、子どもがまだ大人の言うことを素直に聞いてくれる小学生のうちに受験を終わらせて、中高一貫校でじっくり大学受験に取り組むことができるという理由で中学受験を選ぶご家庭が増えているようです。

大学受験に対する「不安」

2021年から大学入試が大きく変わり、従来の知識重視の入試から、思考力や記述力が問われる入試になりました。
しかしまだまだどのような入試スタイルになるのか不透明な点が多く、その不安を回避するために中高一貫校で6年間じっくり大学入試対策をしてくれる学校を選びたい、と考えて中学受験に踏み切るご家庭もあります。

また、内部進学ができる学校も近年人気が高まっています。
早慶やGMARCHなどの難関大学付属校だけでなく、中堅付属校や付属校ではなくても優先的に進学ができる系列校が選ばれる傾向があります。

首都圏では高校から入学できる上位校は意外と少ない

公立中学を選択するご家庭の考えとして、「小学校のうちはのびのびと過ごさせたい。勉強は中学校から勉強をがんばって、高校受験で上位校に入ってほしい」というものがあります。
しかし、公立上位校はかなり競争率が高く、各中学校の優秀な子たちがこぞって目指してくるので厳しい戦いとなります。

そして、その下のランクに位置する高校が意外に少なく、都内ではかつての三鷹高校や小石川高校がありましたが、これらの学校は中高一貫校として生まれ変わり高校から入学することができません。

また、知っておくべきこととして、首都圏では高校入試を廃止する私立校が増加していることがあります。
私立の上位校では6年の中高一貫カリキュラムが確立した学校が多く、高校募集を行う学校がかなり少なくなっているのです。
この背景には、中高一貫校で高校受験組が加わることでカリキュラムを2本立てにしなければならなくなることを避けたいという学校側の事情もあります。

中学受験偏差値45の学校は、高校受験では70オーバーの上位校

もうひとつ知っていただきたいことは、中学受験と高校受験では「偏差値」が大きく異なるということです。

偏差値とは、同じテストを受けた人の全体に対して、自分がどのあたりの位置にいるかを数字で表したもの。
ですので、同じテストで自分の点数が同じでも、テストを受けた他の人が変われば偏差値も変わります。

受ける集団が変わると偏差値が大きく変わります。
中学受験では小学校のテストで常に100点を取るような優秀な子が集まっていますが、高校受験ではさまざまなレベルの子が同じテストを受けます。

高校受験で公立トップ校の抑えとして挙がる私立校は、中学受験でいえば偏差値50に届かないような学校もあります。
そういう学校でも大学受験時の進学実績を見ると、国立公立校や早慶上理など私立難関校への進学も多く、先を見越して「同じ学校に入るなら、偏差値の低い中学受験で入っておこう」という考えに至るのです。

子どもを信じて中学受験という選択を

このように、子どもの先の人生や進学を見越して中学受験熱が高まっていると言えますが、いちばん大事なのは「子どもの力を伸ばすためにはどのような環境がいいのか」を考えることです。
中学受験の方がお得、子どもに苦労させたくない、安全な道を歩ませたいというだけで考えていると、その子にとって本当に良い環境を見つけることができなくなってしまいます。

不安を払拭させるために中学受験を選ぶのではなく、その子の力を信じて、また子ども自身が自分で道を切り開く力を持っているという信頼感を持って、いい選択ができたらいいですね。

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