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【中学受験6年生】9月以降の模試結果と偏差値の正しい見方について

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公開: 最終更新日:2022年09月14日

中学受験の勉強が本格化する6年生。特に夏休み以降はラストスパートが始まります。
この時期の模擬試験の結果は、子どもだけでなく親御さんたちも大いに気になるのではないでしょうか。

今回の記事では、模試結果を見るポイント、模試の正しい活用法について考えてみたいと思います。

「合否判定模試」答案用紙3つのチェックポイント

6年生の9月から12月までは、月に一度の「合否判定模試」で志望校合格の可能性がどれくらいあるかを判定します。
合格の可能性が数字で出るので、その結果につい一喜一憂しがちです。

合否判定模試はある一定の目安にはなりますが、模試の点数だけを見て判断するのではなく、模試の答案用紙の中身をしっかりと確認する必要があります。
言い換えると、学力があるから点数が取れるとは限りません。

ここでは、模試結果の2つのチェックポイントについてご説明します。

チェック1. 答案用紙の「字」に着目する

模試の答案用紙で、まずチェックすべきなのは子どもが書いた字です。
字にはそのときの精神状態がよく表れるからです。

いつもより字が雑になっていたら「早く解かなきゃ」と焦っていた可能性があります。
日頃の勉強も焦ってあたふたと取り組んでいるかもしれません。
この時期に学習にていねいに取り組み、学習の質を上げることはとても大切です。
もし字が雑になっていたら、普段の学習の仕方を再確認した方がいいかもしれません。

また、いつもより字が薄かったり小さかったりする場合は、子どもに自信がなくなっている表れと捉えることもできます。
これは、普段の子どもの様子や字の書き方を知っている親御さんにしかチェックできないことなので、ぜひしっかり見てあげてください。

チェック2. 正答率の高い問題が解けているかどうか

正答率が高い問題は、多くの子どもが解くことができる基礎問題です。
その問題が正解しているかどうかを確認して、子どもがきちんと理解できているかどうかを把握しましょう。

もし中堅校を志望校にしているのなら、正答率50%以上の問題には正解していないといけません。
上位校なら正答率30%以上の問題は解けるようになっていないと厳しいでしょう。

正答率の高い「基礎問題」で確実に点数を取っておくことはとても大切です。
逆にそれができていないと、入試本番で命取りになってしまいます。
もし正解できていなかったら、必ず振り返りをしてちゃんと解き直しをしておきましょう。

○チェック3. 解き直しで納得感を持っているかどうか

模試で正解できなかった問題の解き直しをしているときに、子どもが「そうか、わかった!」と納得感を持っているかどうかを確認しておきましょう。
ここで本当に理解できていないと、次も同じ間違いをする可能性が高いです。

本当に理解できているかどうかを見極める方法は、子どもに解法を説明させることです。
模試の振り返りをするときに「なぜそうなるのか説明してみてくれない?」と声かけをしてみてください。

そこで子どもが自分なりの言葉で説明できていたら、理解できていると思います。
うまく説明できない場合は、根本的に理解できていないのかもしれません。
模試で解けなかった問題にていねいに取り組むことが、入試本番での得点力につながります。

偏差値ばかりを気にしないように注意しよう

これはどちらかというとお父さんに多い傾向なのですが、それまであまり子どもの勉強や中学受験に口出ししてこなかった親御さんが、6年生9 月からの模試が始まると偏差値の数字を気にして中学受験に介入してくることがあります。

結果が数字で出るのでわかりやすいのもありますし、入試本番が迫ってきて気持ちが焦るのでしょう。
「もっとがんばらないと」「偏差値が低すぎる」などと子どもに叱咤してしまう親御さんもいます。

特に、地方の名門校から都内の難関大学に進学して一流企業に勤めているお父さん、医師や弁護士といった特別な資格や能力が必要な仕事をしているお父さんは、偏差値を気にする傾向が強いようです。
ご自身がしっかり努力をして、偏差値社会で生き抜いてきたからなのでしょう。

でも、偏差値は母集団で変わります。首都圏の中学受験には大きな4つの模試があり、それぞれの模試によって偏差値は大きく変わります。
その理屈はわかっていても、いざ子どもが40台の偏差値を出すと気になってしまうのです。

しかし、親が偏差値に強いこだわりを持つと、子どもの学力は伸びにくくなります。
「もっと偏差値を上げないと」「こんなに低い偏差値なのか」という言葉は、お父さんやお母さんに自分のがんばりを認めてもらえないと感じ、子どものモチベーションを大きく下げてしまいます。

偏差値はあくまで目安として捉え、目の前の子どものがんばる様子や、模試の結果ではなくそこに向かう過程に目を向けてあげてください。

ちなみに、ひとつ例を挙げると、サピックス偏差値で40台の学校は首都圏の男子校だと城北中、攻玉社中、桐朋中などです。
これらの学校は首都圏模試なら偏差値65前後の上位校。
決して学力レベルが低いわけではありませんので、偏差値が40台ということを気にする必要はないでしょう。

このように、塾での偏差値を考えるときには「塾の外の世界」を常に意識しておくことが、親御さんの気持ちの面でも、お子さんへの接し方がきつくなりすぎないという面でも大切です。

ぜひ9月から受験まで、模試や偏差値と上手に付き合いながら乗り切っていきましょう。

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