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中学受験は親次第 親のあなたが気をつけるべきポイントとは?

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更新: 2017年05月08日 公開:

中学受験は子供ではなく親がするもの、といっても過言ではないほど、中学受験における親の役割は多岐にわたります。とはいえ、いったい何をすればいいのでしょうか?ここではお子さんを成功に導くために親がすべきこと、注意点をまとめています。

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Point1 なぜ中学受験をするのですか?

「なぜ中学受験するのか」は人それぞれ

「今頑張っておけば、後がラクになるから」
「まわりの子がみんな受験するから」
「でも、小学生のうちから夜遅くまで勉強をさせてかわいそう・・・」

中学受験に対する考え方は人それぞれです。

エデュケーショナルネットワークの調べによると、2016年の首都圏(群馬県を除く1都5県)の中学受験者数は、公立中高一貫校を含め5万5200人(小6児童数は34万3000人)。サンデーショックがあった2015年入試と比べ、約500人の増加となりました。詳しく見てみると、大きく増加しているのは東京23区。少子化の影響でかつてのピーク時に比べれば減少傾向にはあるものの、都心エリアでは依然として、中学受験への関心は高いことが分かります。

中学受験を「する」「しない」は、最終的には各家庭で判断することです。しかし、今もなお、一定数の家庭が中学受験をするのには理由があります。

それは、中学受験にはいくつかのメリットがあるからです。まず、分かりやすいメリットとしては、いわゆる「いい大学」へ入るためには、中学と高校を3年ずつ分けるより、中高一貫校の学校を選んだ方が、カリキュラム的に有利であることが挙げられます。

多くの中高一貫校では、中学2年生までに3年生の学習を終わらせるので、大学入試に必要とされる高校の教育内容を4年かけて学習することができます。また、学校によっては、高校の教育内容を3年間学習した後、残りの1年を大学入試のためだけの勉強にあてることができます。

中学受験の本当のメリット

しかし、中学受験の本当のメリットはそこではありません。レベルの高い中学に進むことの目的は、さらに高度で意味のある勉強をして、知識を身につけるためです。中学、高校、そして大学を通じて、しっかりとした知識や思考力を身につけて、社会に出してあげるためであり、"いい大学"へ入ることだけが目的ではありません。

レベルの高い中学に入学して、高度な学習をしていけば、結果的にはレベルの高い大学に入学する確率は高くなるかもしれません。でも、目的はそこではなく、レベルの高い学習ができる環境で身につけた知識や思考力は、子どもの視野と可能性を大きく広げてくれます。そのための環境選びに必要なのが「中学受験」なのです。

難関校の入試問題を見ていただくと分かりますが、中学受験の入試問題では、単に知識を問うだけなく、考えさせる問題が多く出題されます。入試の内容は小学校で習う範囲のものと限られてはいますが、答えがすぐに出るようなものはほとんどありません。「この条件から何が分かるのだろうか?」「この答えを出すには、何が分かればいいのか?」といった考え方、すなわち「思考の型」が必要になります。

中学受験では、受験勉強を通して、それをじっくり3年かけて身につけていきます。この「思考の型」は中学受験にとどまらず、大学受験、社会人になってからも一生の力となり、中学受験をすると、それを小学生の早い段階から身につけられるというメリットがあります。

中学受験することで精神面の成長も期待できる

また、心の面では、中学受験を通して、子ども達は「目標に向かって頑張る」という経験をします。そして、頑張ったことで、良い結果が出れば「自分は頑張ればできる子なんだ」と自信を持つことができます。こうして「頑張ってできた」という経験を繰り返しすることで、自己肯定感を高めることができ、「どんな困難があっても、自分なら乗り越えられる」と思える子になります。この自己肯定感は、人生においてとても大切なものです。

しかし一方で、中学受験には合否があります。「頑張ったけど、叶わなかった」という経験をする子もいることでしょう。けれども、たとえ良くない結果でも、中学受験に向けた学習の過程で学んだ「思考の型」は、間違いなくその子にとって人生の財産になります。また良くない結果であったからこそ、「世の中には自分よりもできる子がいるんだ」「自分には何が足りなかったのだろう」と自分自身を客観的に見ることができ、はじめはつらいけれど、それを乗り越えたときに得るものもたくさんあります。なぜなら、人は失敗をして学ぶからです。

これらのことから、できることなら中学受験はしたほうが良いでしょう。しかし、一方で中学受験をするには、それなりの覚悟が必要です。前の章でも繰り返し説明していますが、今の中学受験は本当にハードです。でも、中学受験をさせるのは、決して「かわいそう」なことではありません。なぜなら、きちんとした目的をもってやっているからです。

けれども、目的を持たず、ただ「まわりがやっているから」「今頑張っておけば、後がラクそうだから」というのでは、うまくはいきません。中学受験を成功させるには、しっかりとした目的と親の揺るぎない覚悟が不可欠なのです。

Point2 中学受験に必要な5つの判断基準

「中学受験できる子」の基準

大手進学塾では、本格的な中学受験のカリキュラムは、4年生を目前にした3年生の2月からスタートします。その前に各塾では、その子が中学受験の勉強についていけるかどうか、また、どのクラスで学習するのがベストかを見極める入塾テストがあります。入塾テストは12月の終わりから1月にかけて複数回実施されます。

大手進学塾は上位クラスにいるほど、有利なシステムになっています。そのため、スタートの段階である入塾テスト対策もしっかりしていかなければなりません。入塾テストの準備は3年生の秋から始めておくことが理想です。

となると、3年生になった段階で、中学受験をするか否かを決めておかなければならないということです。しかし、3年生のその時点で、中学受験をするか否かの判断をするのはなかなか難しいものです。そもそも、「うちの子は中学受験の勉強についていけるのだろうか?」という不安もあるでしょう。

そこで、中学受験ができる子の基準を挙げてみましょう。

  • ①小学校のテストで、安定して90点以上取れる子
  • ②宿題をきちんとやれる子
  • ③長時間椅子に座って、先生の話を聞ける子
  • ④毎日、家庭で学習する習慣がついている子
  • ⑤親子関係が良好な家庭の子

3年生の段階で、学校のテストがいつも90点に届かない子は、正直、今の時点では、中学受験に挑戦するのは難しいでしょう。なぜなら、そのレベルでは大手進学塾の授業にはついていけないからです。

受験する学校の学力や偏差値にかかわらず、中学受験の学習範囲は膨大です。また、中学受験の入試問題は、小学校で習う内容よりも遙かにレベルが高く、「受験用」の勉強をしなければなりません。「受験用」の勉強は、大手進学塾のカリキュラムが有効なため、中学受験をするなら大手進学塾に通うことが不可欠です。

大手進学塾の授業は1科目約50分。小学校のように「できない子」の底上げではなく、「できる子」を基準にどんどん進めていくので、授業を集中して聞く力がなければ、ついていけません。また、宿題も大量に出されます。その宿題をこなしていくには、中学受験を始める前から家庭学習の習慣がついていなければ難しいでしょう。

中学受験には親のサポートが不可欠

そして、何よりも重要なのは、親子関係です。

中学受験は、親のサポートがなければ絶対に成り立たない受験です。高校受験や大学受験であれば、本人の意志で自ら勉強に向かうことができます。しかし、わずか10~12歳の子どもにはそれは難しいでしょう。あれだけの大量の勉強をやらせるには、それを横で励ましてくれる親の存在がなければ、どんな子でもくじけてしまいます。つまり、中学受験とは、良好な親子関係が築かれていてこそ、挑戦できるものなのです。

中学受験を「する」方向で考えているのなら、お子さんがまずこの5つの基準をクリアしているかどうか客観的な目で判断をしてみてください。「3年生じゃまだわからないわ」「塾に入れればまわりの刺激を受け、なんとかなるはず」と安易に考えないことです。

確かに塾に通うことで伸びていく子はたくさんいます。けれども、一方でスタート時点から変わらず伸び悩む子が多いのも事実だからです。

Point3 家庭学習は「親と一緒に」が基本

家庭学習は家のダイニングテーブルで

中学受験を、親の関わりなしで進めていくのは難しいでしょう。特に家庭学習のフォローはとても大切です。なかでも低学年から4年生までの間の過ごし方が重要です。

家庭学習は、子ども部屋に一人で勉強をさせるのではなく、ダイニングやリビングでお母さんと一緒に学習することをおすすめします。とはいえ、お母さんが勉強を付きっきりで見る必要はありません。家事をしながら音読を聞いてあげたり、子どもがわからなくて困っているようだったら、「どうした? ちょっと難しいかな?」など声をかけてあげたりするだけでいいのです。

家庭学習の目的は「宿題を終わらせること」ではありません。落ち着いてきちんと問題を読み、丁寧に解いて、それを自分で確認して「ちゃんと理解できた」という経験を積み重ねていくことです。この習慣をつけておくと、中学受験をする、しないに関わらず、中学、高校になって自分一人で学習に取り組むときに大きな力となります。

ところが、その習慣がまだついていない低学年のうちからひとりで学習をさせようとすると、子どもは「とくかく終わらせる」ことだけに頭が行ってしまい、問題を読み飛ばしたり、文字が雑になったり、答え合わせを面倒くさがったりするようになります。そうならないためには、やはり小学生のうちは親の目の届くところで学習をさせる方がよいでしょう。

4年生の間に学習フォローの習慣を

中学受験の勉強が始まる4年生は、ある程度の家庭学習の習慣ができているという前提からスタートします(前の「中学受験に必要な5つの判断基準」に説明)。そこで、親はつい子ども一人に任せてしまいがちですが、小学校の勉強と受験のための勉強は内容がまったく別物ですから、はじめはしっかり見てあげましょう。

とはいえ、勉強を教える必要はありません。授業中のノート、塾から戻って来た答案用紙などを見て、お子さんの「理解度」や「考え方」を把握しておけばいいのです。日々の学習のチェックは、点数や正誤より、どこまで理解しているのか、どこで間違えたかを知ることが大事で、子どもの書き込みをみればそれが分かります。表やグラフを丁寧に書いているか、分かっている数値を正確に書き込めているか、式を書いているか、自分で書いたものをちゃんと利用して解いていっているか、といったことを注意深く見てあげましょう。

そこで、「表も図も書けているのに、自分の字を読み違えていた」なんてミスに気づくことがあります。お子さんと一緒に確認しながら、「ああ、ここで間違っちゃったんだね。ここに注意すれば、解けていたんだね」と言ってあげると、「次は気をつけよう」という気持ちが芽生えます。

こうした習慣は、4年生の間につけておくことが理想です。5年生以降になると、勉強の内容が高度になり、大人でもフォローするのが難しくなるからです。ここでは、「勉強を教える」というよりも、「問題に対する向き合い方」や「学習の習慣」の基礎をつくることが大切で、まだ勉強の難易度が低い4年生のうちにやっておくことが有効です。

子どものモチベーションがあがる親のフォロー

難易度が高い問題に取り組むようになっても、家で勉強するときは、親がそばで見守るというスタンスで進めていきましょう。難問に行き詰まったときは、「もう一度ゆっくり問題文を音読してごらん」と促してあげるだけで、解けてしまうことがあります。また、「分かっていることを書き出してみようか」「何が分かれば、答えが出ると思う?」といった声かけをしてあげると、子どもはなんとか自分で考えようと頑張ります。

こうしたフォローはなかなか根気がいるものです。やる気のない様子や投げやりな様子で学習をしていると、見ていてイライラすることもあるでしょうが、何が原因でそうなっているのか冷静になって見てあげましょう。

子どもというのは、どんなことよりもお母さんが嬉しそうにしていること、お母さんに褒めてもらえることを望み、それをモチベーションにしています。受験勉強を進める間には、親子で衝突することや、うまくいかないこともあるかと思いますが、できるだけ子どものやることを否定せず、頑張っていることを認めながら、お子さんを応援してあげましょう。この親子関係が、中学受験の合否を握るカギとなります。

Point4 中学受験の成功の秘訣は親の「スケジュール管理」にあり!

スケジュール作成は「睡眠時間確保」を前提に

中学受験は親子の受験です。中学受験における親の役割はいろいろありますが、一番大事なのは「スケジュール管理」です。特に家庭学習をどう進めていくかがポイントになります。

中学受験は学年が上がるごとに、勉強がハードになっていきます。とはいえ、小学生の場合は、何があっても睡眠時間は十分に確保しなければなりません。小学生の睡眠時間は、子どもによって個人差がありますが、8~10時間は必要です。4年生なら家庭での学習は、塾がある平日で1時間半程度、塾のない平日なら2時間半程度あれば充分です。その中でいかに効率よく、何を優先的にさせるかは親が決めてあげましょう。中高生なら自分で決めることができますが、小学生にはまだそれはできません。中学受験が親子の受験と言われるのはそのためです。

まずして欲しいことが、「週間スケジュール」の作成です。毎日きちんと作る必要はありませんが、塾の授業のスケジュールが決まる学期の始めに作っておくといいでしょう。その際、次の3点を優先的に考慮しておきましょう。

  • ①睡眠時間の確保(休日の起床時間を変えないようにする)
  • ②朝学習の習慣化(計算と漢字のみで30分が目安)
  • ③学校の宿題はできるだけ塾の前に終わらせる

これらの時間を先にスケジュールに記入しておき、残った時間で何ができるかを考えるのです。この3点を固定化しておくとスケジュールが立てやすくなります。逆にここが固定されていないと、生活リズムが崩れてしまうので、この3点は習慣にしてしまいましょう。

残った時間の使い方は、塾がある日は、「塾の宿題」と「授業で習った問題の中で、しっかり理解できなかったものを解き直す」、塾のない日は、前日にやりきれなかった理科のテキストの読み直し、やりきれなかった算数の宿題を行う、テスト対策をするなど、基本的なスケジュールをざっと決めていきます。

スケジュールはあまり細かく決める必要はありません。「算数の宿題 8時~8時30分」など書き込んでも、まずその通りにはいかないでしょう。思い通りにならず、親がイライラしてしまうようなら、「月曜日にやること=漢字のことわざ・算数の宿題」くらいの感じにしておいたほうが、気持ち的にラクになります。当日の「積み残し」は翌日のリストに加えるか、土日に回すかにして、1週間で完成させることを目標にしましょう。

長期のスケジュールを把握することも大切

こうした日々のスケジュール管理にほかに、もうひとつ大切なスケジュール管理があります。それは、「3年間の受験スケジュール」を把握しておくことです。一般的に中学受験は、小学4年生~6年生の3年間を受験勉強に費やします。大手進学塾の3年間の学習カリキュラムを見ると分かるように、この3年間に、塾の通常授業のほかに春・夏・冬休みなどの長期休暇中の講習、各種試験、高学年になると志望校別対策、日曜特訓などのカリキュラムが設定されています。

しかし、こうしたカリキュラムがあらかじめ提示されているのにもかかわらず、多くの家庭ではその内容をきちんと把握せず、ただ受講させているように思えてなりません。それはとてももったいないことです。なぜなら、こうした一つひとつのカリキュラムは、きちんと目的を持って取り組めば、必ずよい結果へとつながるからです。

多くの家庭では、受験勉強が始まると、目の前のやるべきことに精一杯になってしまい、先のことまで考えられなくなってしまいます。しかし、中学受験のゴールは、「志望校に合格すること」です。そのためには、3年後のゴールから今を逆算してスケジュールを立てることがポイントになります。

3年間のカリキュラムで確定している日程をあらかじめ把握しておき、そこから逆算して対策を立てていくのです。志望校がだいたい絞り込めた時期なら、塾での志望校対策コースがいつ始まるかを確認し、そこに入るための準備をいつすればいいのかを考え、スケジュールに組み込むといった戦略が大事なのです。

長期スケジュールを把握すると、どこが大切かがわかる

また、早い時期から全体を見通しておけば、「習いごとはこの時期までに整理しておいた方がいいな」「実は5年生の夏休みが重要なんだな」「秋は学校行事と重なるから、少しペースダウンした方がよさそうだな」といったことも分かり、無理なく学習を進めることができます。

少し気が早いと思うかもしれませんが、4年生で塾に入ったら5年生、6年生のカリキュラム一緒にもらって、4年生のカリキュラムからどう変わっていくのか、難関校を目指すなら何を受講しなければいけないのか、そのためにはどんな対策が必要なのかを考え、「3年間」という大きなスパンで計画を立てるようにしましょう。このスケジュール管理こそが最も重要で、それは親の力量にかかっています。

すでに何度もお伝えしていますが、大手進学塾の受験カリキュラムや教材の量は膨大です。それを、闇雲にこなそうとすると、かえって勉強の効率を下げてしまう危険性があります。そうならないためには、親が常に一歩先を見据えて分析をし、スケジュールを立ててあげましょう。

  • ・どの時期に、どの勉強が必要なのか
  • ・何を重点的に勉強するべきなのか
  • ・いつのテストでどのくらい成績を上げるべきなのか

常に「逆算」してスケジュールを立て、目標を設定し、そこから「今やるべきこと」を導く。中学受験の合否は、「親の力が9割」と言っても過言ではないのです。

Point5 受験勉強には「やらなくてもいいこと」もある

宿題は優先度の高いものから

大手進学塾では大量の宿題が出されます。「宿題」というと、親の感覚からすれば、絶対にしなければいけないものと思いますよね? でも、実はしなくてもいい宿題もあるのです。

受験勉強で大事なのは、宿題よりも復習です。塾の宿題と復習は、同じようにみえてまったく別物です。復習というのは、塾の授業で習ってきたことをしっかり定着させて、類題や発展問題にも使える状態にするためのものです。塾で習った問題を、答えを見ずにもう一度解ければいい、というだけでは意味がありません。

しかし、毎回の授業ではたくさんのことを学習します。それをすべて振り返っていては、時間がありません。そこで、復習を行う際に役立つ方法があります。「○△×法」です。塾で授業を受けているときに、大問、小問にかかわらずすべての問題に「○」か「△」か「×」のマークをつけて分類をするのです。

基準は次のようになります。
○=同じような問題が出ても必ず解けるという自信があるもの
△=そこまで自信がないもの
×=さっぱり理解ができなかったもの

塾の復習の基本は、その日の授業でやった問題を全部もう一度解き直すことですが、「○」はすでに理解ができているので、この際飛ばしてしまっても大丈夫でしょう。集中的に取り組むべきものは「△」がついている問題です。「△」を「○」の状態にするには、もう一度やり直すことはもちろんですが、それだけでは不十分です。

きちんと理解できたかどうかを判断するために、お子さんに先生役になってもらい、説明をさせてみてください。そこできちんと説明ができれば、「理解できた」証拠。お母さんに「教える」ことによって、自分の中であやふやだった部分がはっきり分かり、自信を持つことができます。復習の時間は、この「△」を「○」にすることに徹底しましょう。

では「×」は? 
「×」の問題のほとんどは、今やらなくてもいい問題、またはやれない問題と割り切ってしまっていいでしょう。教えるプロである塾の先生が一生懸命説明したにもかかわらず理解できなかったのですから、家庭学習で自力で理解するのはまず不可能と思っていいでしょう。

今は理解できなくても、次によく似た単元を学習するときには分かるようになる場合もあるので、その問題は今の時点では手をつけなくていいと思います。もちろん、理解できた方がよいのですが、分からない問題に時間を掛けすぎるのもよくありません。

毎日の学習で一番大切なもの

実は大手進学塾で学習する問題には、次の4つがあります。

  • ①今解けて当然の問題
  • ②今解けるようにすべき問題
  • ③今は解けなくてもいずれ解けるようにすべき問題
  • ④最後まで解けなくてもいい問題

毎日の学習で一番大切なのは①と②です。「×」だったものが①か②だったら、必ずできるようにしておく必要がありますが、③か④だったら、実はほうっておいても構わないのです。

この判断を親がするのは難しいかもしれませんが、塾のテストが終わってからもらってくる「正答率」を参考にしてみてください。最難関校を目指すのであれば話は別ですが、それ以外の学校を受験する場合、正答率が非常に低いものは、別に解けなくても構わないということになります。それよりも、確実に正解しておかなければいけない問題を落とさないことに注意を払うべきです。

おおまかに言うと、最難関校以外の難関校を目指すなら、「正解率30%以下」のものは解けないままで構いません。最難関校を目指すなら、20%以上30%以下も③「いずれは解けるようにすべき問題」に分類されますので、時期を見て解けるようにしておきたいものです。ただし、正解率20%以下の問題が解けるようになったからといって、それだけでは合格はできません。やはり大事なのは①と②で確実に点を取ることには変わりありません。

宿題も取捨選択を

宿題の選別も同じことが言えます。

中学受験は学年が上がるごとに学習量が増え、内容も難しくなります。塾での拘束時間も長くなり、家庭学習に十分な時間を取れなくなってきます。基本的に大手進学塾の宿題は多く難易度も高いため、ほとんどの子どもにとってすべてを終わらせるのは物質的に無理です。

しかも、塾側からは一切そのような説明はありませんが、「今無理にやらなくていいもの」がかなり含まれています。そして、多くの家庭ではそれを知らずに、ただやらせることに躍起になっています。けれども、それではお子さんの成績は上がらないどころか、疲労が重なり、本来発揮できるはずの力まで出せなくなってしまいます。

子どもの習熟度、理解度、または志望校のレベルに合わせて、「しっかり理解できているもの」は繰り返さず、「まったくわからないもの」は思いきって捨ててしまい、「あいまいなもの」に集中して取り組み、少しでも今の成績を上げていくことが大切です。

この取捨選択が難しければ、受験を専門とする個別指導塾や家庭教師などの第三者の専門家に相談することをおすすめします。

中学受験の目的は、塾のテストで満点を取ることでも、宿題を全部やることでもなく、「志望校に合格すること」です。中学受験では満点で合格というケースはほとんどなく、7割取れれば合格というのが一般的です。まじめな親御さんほど、「宿題を全部やらなければ」「もっと頑張って点数を上げていかなければ」と必死になってしまいがちですが、そこまで完璧である必要はないのです。むしろ、やらないことを見極めることが大事であることを知ってほしいと思います。

Point6 塾の面談で先生にすべきよい質問とは?

塾の面談では先生にこう質問しましょう

中学受験をするにあたって、大手進学塾は不可欠です。関東圏の大手進学塾では、新しい学年に上がる前の12月~1月に面談が行われます。そのほかの時期でも希望があれば対応してくれますが、ご家庭からの要望がない限り、塾からコンタクトを取ることはあまりありません。

一方、関西圏の大手進学塾は、日頃から家庭との連携を図り、面接も頻繁に行われます。面倒見の良さでいえば、関西圏の方が良いでしょう。

多くの親御さんは面接でこう聞きます。
「うちの子は大丈夫でしょうか?」

すると、塾の先生はおそらく、お子さんのテストの結果を見ながら、苦手分野を繰り返し学習するようにアドバイスするでしょう。そして、それを聞いた親御さんは、「このままではダメだわ。もっと勉強させなきゃ!」と焦ってしまうのです。

でも、そんな面接ははっきり言って意味がありません。お子さんの力を本当に伸ばしたいのであれば、現状を正しく把握し、今やるべきこと具体的に聞いてみましょう。

例えばこう聞いてみてください。
「うちの子は授業をちゃんと聞いていますか?」
「ノートのとり方は今のままで大丈夫でしょうか?」
など、あなたのお子さんについて具体的なポイントを聞いてみるのです。

おそらく、きちんと答えられる先生はあまりいないと思います。なぜなら、先生はあなたのお子さんをそこまで見ていないからです。実は集団塾では、先生は生徒一人ひとりをじっくり見てはくれません。私自身が大手進学塾で指導をしていた経験があるので分かるのですが、現実それは難しいのです。それは先生が悪いというのではなく、大手進学塾の授業のスタイルやシステムがそうさせてしまっているといっていいでしょう。

中学受験を成功に導く「ソフト」「ハード」とは

中学受験の勉強は、「ハード面」と「ソフト面」の両面をバランスよくコーディネートすることが必要です。ここでいう「ハード面」は"何をやるか"を意味し、塾のカリキュラムやテストなどが該当します。ざっくり言ってしまえば、大手進学塾に通っていれば、学習カリキュラムにおいては問題ないでしょう。

一方、「ソフト面」は"どのようにやるか"を意味し、タイムマネジメントや子どものモチベーションアップなどが該当します。誰がやるかといえば、それは各家庭です。タイムマネジメントについては、小学校の子どもに自分で学習管理や時間管理をさせるというのはまだ無理なので、親が一緒にやる必要があります。モチベーションアップも親の声かけ次第です。

もちろん、なかには先生の声かけによって、子どものモチベーションが上げる場合もあるし、家庭学習についてアドバイスをしてくれることもあるかもしれません。

ですが、ここでひとつ知っておいてほしい現実があります。多くの大手進学塾ではカリキュラムの提供はするけれど、それをどのように勉強するかまでは教えてくれない、ということです。誤解しやすいされやすいのですが、塾の先生は、授業はするけれど、宿題やテスト対策・直しの取り組み方など、いつ何をどこまで学習すべきかなどの勉強のやり方まではあまりフォローはしてくれません。塾の先生は"人"ですから、塾の「ソフト面」を担っていると思っている家庭が多いと思います。でも、実は授業をするだけの先生は、それが良いか悪いかは別として、塾の「ハード面」の一部であることを知っておきましょう。

塾の先生はあなたのお子さんをいつもしっかり見てくれているわけではないのです。だから、面接で「うちの子は大丈夫でしょうか?」と聞かれたら、テスト結果を見て答えるしかできないのです。

でも、先に挙げたような具体的な質問をすれば、先生自身もどこを注目すべきかが分かり、普通はそこまで生徒一人ひとりをじっくり見ることはないけれど、あなたのお子さんのことを、気を付けて見るようになります。

でも、『うちの子、大丈夫ですか?』といった漠然とした質問しかできないと、そこまではやってくれません。だから、塾面談では受け身になってはいけないのです。

面談は先生を動かすためのもの。そう思って、あなたのお子さんに関する具体的な質問をどんどんしてみましょう。こんなこと聞いたら、先生は嫌がるのではないだろうか? モンスターペアレントと思われないだろうか?など躊躇する必要はありません。親が遠慮して聞きたいことが聞けず、何をどう勉強してよいのか分からないまま、ただ闇雲に勉強をさせても、お子さんの成績は上がりません。塾を賢く使えるかどうかは親次第なのです。

Point7 デキる親はまわりの情報に振り回されない

他人の事例はすべて参考になるわけではない

今、世の中には中学受験についてさまざまな情報が混在しています。ネットで「中学受験」と検索すれば、いくらでも情報を収集することはできます。しかし、それらのすべてが真実とは限りません。

中学受験に際して、身近な情報といえば、"先輩ママ情報"ではないでしょうか。「○○さんのお兄ちゃんが、●●塾に通って、◎◎中学に合格したんだって」といった類の話ですね。

同じ母親として、他のお母さんがどのようにして憧れの中学へ入れたのかという話は、気になるのは当然です。よいアドバイスがもらえることもあるでしょう。でも、それはあくまでも参考程度に聞くようにしましょう。

なぜなら、誰でも過去の話をするときは、事実のすべては伝えようとしないからです。都合の悪いことは言わないでおいたり、自慢したいことを少々誇張したりすることはよくある話。だから、その話は事実の部分もあるけれど、すべてが事実というわけではないのです。

そして、誰もがつい忘れてしまいがちなことですが、「自分の子どもと、他の家の子どもとは、同じ子どもではない」ということです。同じ子どもでない以上、同じことをしても同じ結果が出るという保証はありません。きょうだいでもうまくいく方法はそれぞれ違うものですから、他の家の子どもであればなおさらです。ですから、"誰々さんの話"はよその家庭のエピソード程度に聞いておく方がよいでしょう。

塾の情報をすべて信じ切ってはいけない

塾の情報もすべて信じきらない方がいいでしょう。よく塾の宣伝などに「開成中、麻布中、桜蔭中をはじめとした名門中学校に進学しています」というような言葉が並んでいます。しかし、だからといって、その塾に入れば最難関中に入れるわけではありません。なぜなら、多くの塾では最難関中の合格者が一人でも出れば、「◎◎中学をはじめとした~」と、いかにもその塾から多くの合格者を出したかのような書き方をするからです。

キャッチフレーズだけでは、塾の本当の実力ははかれません。その塾からどれだけの子が◎◎中学に合格できたかを知るには、合格比率をチェックする必要があります。合格比率とは、お子さんの志望校に、その塾からの受験生がどのくらいの「比率」で合格しているかどうかを判断するもので、その割合が高いほど、塾がその学校を得意としていることが分かります。

このように中学受験のパートナー的存在である塾でさえも、真実は伝えていないのです。

では、親は何を信じればよいのでしょうか?
中学受験において大手進学塾のカリキュラムは不可欠ですから、そこを外すという考えはあまり賢明ではありません。しかし、塾の言われるままにただ闇雲に勉強をさせるのもよくありません。

よく塾では「難しい問題をたくさん演習することで学力がついてきます」と言います。それは、確かに事実ではあるのですが、でもそれは基礎学力があるお子さんにとっての話。「勉強をしているのに、成績が上がらない」のであれば、もしかするとそれは、基礎学力はついていない状態なのに、難しい問題の演習問題をしている可能性が高いといえます。それでは、勉強をする意味がありませんよね。

多くの親御さんは、中学受験に合格するには「難しい問題」が解けないといけないと思い込んでいます。でも、そんなことはないのです。なぜなら、中学受験は「誰もが解ける問題」を「確実にすべて解く」ことができれば合格できるからです。

けれども、塾はそれを教えてくれません。なぜなら塾では、成績上位の子を標準に授業を進め、一人でも多く最難関中へ合格者を出すことが大事だからです。

こうした現実を知りつつ、わが子の成績をどう伸ばしていけばよいのかを考えるのです。大事なのは、まわりの情報に流されず、お子さん自身をよく見ることです。お子さんが勉強量にアップアップしていたら、今やるべきことを取捨選択する。その判断が難しいと思ったら、塾の先生に相談ができれば塾へ、できなければ受験のプロである第三者の専門家へ相談してみましょう。

一番避けて欲しいのは、親がまわりの情報に流されて振り回されないことです。

Point8 中学受験 子どもに絶対にかけてはいけない言葉

学校では「デキる子」なのに塾では低空飛行

中学受験の勉強が始まると、親子の会話はそれまでとがらりと変わってしまうことがあります。これまでは親子で楽しく会話をしていたのに、塾に通うようになってから、「今日の塾はどうだった?」「テストは返ってきたの?」「早く見せて!」「何また下がっているじゃない」「早く宿題を終わらせなさい」と、話すことはいつも勉強のことばかり。しかも、お母さんはいつも不機嫌です。

その原因は、「子どもの成績が思うように上がらない」から。中学受験のために大手進学塾に通う子どもは、学校では「よくできる子」である場合が多く、親もわが子の学力に自信があり、期待をかけているものです。ところが、大手進学塾に通わせてはみたものの、思うように成績が伸びず、低飛行状態が続くと、だんだん不安や焦り、さらには怒りが出てきてしまう・・・。そこで、子どもと顔を合わせるたびに、勉強のことばかり言ってしまいます。

けれども、冷静に考えてみれば、中学受験をしようと集まって来ている子はみんなそれなりに頑張っているわけですから、お子さんだけがスムーズに成績が伸びていくわけではないのです。順調な子は初めからある種の秀才であり、ほんの一握りの子どもだけで、ほとんどの子どもが思うように成績が伸びず、もがいています。

そのことに気づかず、「うちの子の成績が上がらないのは、他の子より勉強時間が少ないからだ。もっと勉強をさせなきゃ!」とハッパをかけたり、叱ったりしてしまう親御さんがいますが、あなたは本当にお子さんの勉強量が足りないと思っていますか? いいえ、もう十分勉強はしているはずです。

それなのに、「もっと勉強しろ」と言われたら、お子さんはどう思うでしょう?

「なんでできないの?」
「もっと勉強をしなさい」

これらはお子さんのやる気を萎えさせる「言ってはいけない言葉」です。

お子さんの成績が上がらないのは、怠けているからではありません。頑張っているのに、成績が上がらないのです。

うまくいったとき、うまくいかなかったときの声かけ

では、どうすればいいのでしょう?

子どもが失敗したら、そのことを責めるのではなく、今後どうしたらいいかを導き出す言葉がけをしてあげましょう。その上で、励ましてあげるのです。

「なんでできないの?」より「どうしたらできるようになると思う?」
「もっと頑張りなさい」より「いつも頑張っているよね」

こうやって励ましながら、親御さんが軌道修正をしていくのです。大人でもそうですが、自分のやっていることがうまくいかないと、モチベーションは下がってしまいますよね。それは子どもも同じです。

そんなとき、やる気が出るように仕向けることができるのは、日頃からお子さんの勉強ぶりを見ているお母さんだからこそ。

お子さんが「またダメだった。私っていつもそう・・・」と落ち込んでいたら、「本当にいつもかしら?」と優しい声で聞き返してみましょう。確かに今回は失敗したかもしれません。でも、これまで常に失敗し続けてきたわけではないでしょう。小さなことを含めれば、むしろうまくいっていたことの方が多いはずです。そのことに気づかせてあげましょう。

そして、うまくいったときには、何をやってうまくいったのか思い出させてあげましょう。

「水泳だって、最初はぜんぜん泳げなかったよね? でも、先生が教えてくれた通りに練習したら、上手に泳げるようになったじゃない? あのときと同じ気持ちで毎日少しずつ続けてごらん」

こういってあげると、できないことができるようになった経験が蘇り、「なんとかなるかもしれない」と前向きに考えられるようになります。

子どものモチベーションがあがる声かけ

また、近ごろは、子育てにおいて「ほめる」ことが良いと言われています。しかし、この「ほめる」も、ただほめるだけでは心に響きません。

例えば、前回のテストで偏差値50だったお子さんが、今回のテストで偏差値53になったとします。少しでも成績が上がったのだから、ここはほめるべきだと思い、お母さんは「偏差値が3つも上がったじゃない!よく頑張ったわね」と言ってあげたものの、お子さんはあまり嬉しそうではありません。

それはなぜでしょう? それは、お子さんがこの結果に満足していなかったからです。だから、ほめられてもちっとも嬉しくないのです。

この場合は、こういう声かけがいいかもしれません。
「本当はどのくらい取りたかったの? そうか、偏差値55を目指していたのね?だから、『やったー!』って飛び上がるほどではなかったのね。でも、前回より上がったというのは、○○の努力の結果だと思うし、嬉しいことだよね。この調子で次こそは目標の偏差値55を取れるように頑張ってみようね」

こう言ってあげると、お子さんもやる気が出てくるでしょう。つまり、ほめるときは、お子さんの気持ちを汲み取ってあげることが大切なのです。

そのときに、「前回より上がったのは、どんなことを頑張ったからかな?」「次はどんなことを頑張ろうと思う?」と、次のステップを後押しするような声かけをしてあげましょう。

お子さんへの声かけのポイントは次の3つです。

  • ①「できなかったこと」ではなく、「できたこと」に焦点を当てる。
  • ②お子さんの一つひとつの部分を具体的にほめる。
  • ③次へのステップになる後押しをする。

これは受験のためだけではなく、どんな状況においても、お子さんを励ますことができる言葉です。ぜひ、お子さんにしてあげましょう。

Point9 中学受験におけるお父さんの役割

子どもの中学受験に関わるお父さんが増えている

一般的に中学受験は、お母さんが"ママ友情報"などから中学受験に対する関心が高まり、私立中学受験をさせたいと考えるケースが多いようです。そして、少し前までは「中学受験は母親と子どもの二人三脚」と言われていました。

ところが、最近は少し事情が変わってきています。首都圏・関西圏では、「中学受験は母親と子どもと父親の三人四脚」になっているのです。大手進学塾の説明会でも、各学校の説明会でも、お父さんの参加率はかなり高まっています。

しかし、わが子の受験に熱心なのはいいのですが、残念ながらそんなお父さんに不満を持っているお母さんはとても多いのです。

「夫も中学受験をしたのですが、塾なんかに行かなくても合格できたと言います。息子も主人の出身校を目指しているのですが、思うように成績が上がらなくて・・・。こんな高い授業料を払っているのに、なんで成績が上がらないんだ!って・・・、なんだか私が責められているみたいに感じてしまって・・・。」

「主人は日頃、帰りが遅く、子どもの勉強は見ないのですが、たまにテストの結果を見て、それが悪いと子どもをひどく叱るんです。私と子どもがふたりのときはいいのですが、主人がいるとどうもうちの中の雰囲気が悪くなって、私も気を使います。」

お困りの例を挙げるとキリがありませんが、上の相談はどちらも中学受験情報局に実際に寄せられた話です。お母さんやお子さんからすれば、中途半端に関わるくらいなら、いっそのこと何も関わらないでほしいと思うかもしれません。

お父さんがしなければならないのは、成功談ではなく失敗談

では、本当に何も関わらないのがいいのかといえば、それは違います。中学受験は高校受験や大学受験とは違ってかなり特殊な受験であり、熾烈であるため、その経験を共に乗り越えることで、「家族の絆」が強くなるという側面を持っています。であれば、お父さんにもぜひ関わってほしいのです。ただ、その関わり方で気を付けてほしいことがあります。

ひとつは、お父さんの自慢話をしないことです。父親というのは、わが子の前で格好いい自分を見せたがるものです。そのお気持ちは分かりますが、受験勉強においてそれは逆効果でしかありません。よくお父さんで「なんだ、お前はこんな問題もできないのか」とお子さんに言ってしまう方がいます。

もしも本当に子ども時代にお父さんにはできて、今のお子さんにはできないことだったら、お子さんはどう思うでしょう? つらいだけですよね。しょんぼりしてしまう子もいれば、「お父さんのことなんて関係ないよ!」と怒りの感情を爆発させてしまう子もいるでしょう。いずれにしろ、何の救いもありません。

また「お父さんは塾にも行かず合格したんだぞ」と自慢するお父さんもいますが、お父さんの時代と今の時代とでは中学受験は大きく違います。試しに、母校の過去問をお父さんが解いてみてください。合格できる自信はありますか?

今、必死に頑張っているお子さんからすれば、お父さんの成功談は時代も違えば、環境も違い、何の参考もならないのです。でも、お父さんの失敗談は心に響くことがあります。

「お父さん、受験勉強中にね、遊びたくて、遊びたくて仕方がなかったんだ。それで、ついテスト前に遊んじゃったら、そのときのテストの点は最悪だった。それから、受験が終わるまでは辛抱して頑張ろうって決めたんだ」

こういう話であれば、子どもは耳を傾けるでしょう。そして、「そうか、お父さんも同じ思いをしていたんだな」とお父さんを身近な頼れる存在に感じるようになるかもしれません。

尊敬するお父さんにしてほしいのは、「成功談」ではなく「失敗談」なのです。

お父さんはお母さんのサポート役を

もうひとつ、お父さんにお願いしたいことがあります。それは「言うことをころころと変えず、方針を一貫させる」ということです。

どんなにお子さんとおかあさんが一緒にいる時間が長くても、一家の支えはお父さんです。家族が受験という航海で、方向性を見失いそうになったとき、その舵をお父さんがしっかり握ってほしいのです。

中学受験においての父親の役割は、お母さんをサポートすることです。今はいろいろなライフスタイルがあるので、一概にはそうとはいえないところもありますが、一般的に中学受験において、日々の勉強のサポートをするのはお母さんでしょう。中学受験は特殊な受験で、わずか10歳~12歳の子どもにかなりの負荷をかけて勉強をさせます。すべてが順調にいけばいいのですが、そんな子はごく稀で、多くのお子さんが頑張っているのに成績があげられずもがいています。

真剣に取り組めば取り組むほど、負荷をかけるお母さんと、負荷をかけられる子どもとのせめぎ合いは激しくなります。それをそばで見ているお母さんは、いつもは温かく見守ってあげられるけれど、ときには冷静でいられなくなることもあるでしょう。思うようにいかず、ついお子さんを叱ってしまうこともあるかもしれません。そんなときこそ、お父さんはお母さんをねぎらってあげてほしいのです。

うまくいかないのは、お子さんのせいでもお母さんのせいでもありません。どんなにうまくいかなくても、いいえ、うまくいかないときこそ、お子さんとお母さんの日々の努力を認めてあげてください。そして、お母さんが少し疲れているようなら、休ませてあげてほしいのです。それがお父さんの大事な役割です。

ところが、なかには、まったく違う行動を取ってしまうお父さんがいます。

「こんなに勉強しても成績が上がらないのなら、中学受験なんてやめてしまえ!」
「だから俺は中学受験なんてさせたくなかったんだ。公立中学で何が悪いんだ?」

と中学受験そのものを否定してしまうお父さんです。一度は納得したはずなのに、うまくいかないと「それみたことか」という態度を取られては、これまで頑張ってきたお子さんもお母さんはどう思うでしょうか?

また、その場の思いつきで、「ちょっとストレスが溜まっているんだろう。遊びに行かないか?」などと言ってお子さんを誘うお父さんも困りものです。本人は、優しくて理解のあるお父さんになっているつもりかもしれませんが、大事なテストの前に遊びに連れて行くのはよい解決策とは思えません。むしろ、お母さんを敵にまわしているだけです。

子どもは楽な方に流れていくものです。それが子どもの習性です。どんなに大事な時期と分かっていても、魅力的な誘いがあれば子どもはそちらを選びます。

だからこそ、お子さんを本気で頑張らせたいと思うのであれば、思いつきで大事なテストの前に遊びに誘うなんてことはしてはいけないのです。

中学受験をするのなら、夫婦間の意見の一致は不可欠です。お母さんは受験をさせたいと思っているのに、お父さんは反対をしているという状況では、お子さんは勉強に集中することはできません。また、お父さんが熱心すぎたり、無関心すぎたりするのもいけません。

日々の学習管理はお母さんが担当し、お父さんはそれをフォローする。この形が中学受験ではもっともうまくいきます。これは長年、中学受験に携わってきた私たちが確信していることです。

Point10 受験当日 親がすべき大事なこと

受験前日までにしておくべきこと

4年生からスタートした中学受験の勉強も3年の月日が経ち、いよいよ本番を迎えるときが来ました。入試直前の親御さんの役割は、お子さんをリラックスさせることです。本番をベストな状態で迎えられるように、体調管理には十分気を配ってあげてください。

試験前日は、あれもこれもとやり残していることが気になるものですが、ここでジタバタしても仕方がありません。親御さんがジタバタするほど、お子さんには緊張が伝わるものです。たとえやり残していることがあったとしても、「これまで頑張って来たのだから大丈夫よ」と声をかけ、寝不足にならないように早めに寝かせましょう。

大人でも試験や発表会など、何か結果や成果を出さなければならないときというのは緊張するものです。まして、わずか12歳の子どもが挑む中学受験。大人のように数多く成功や失敗の経験があるわけではないので、当日どのような状態になるのか、親にも本人にも想像がつきません。

そこでぜひ、してほしいことがあります。それは、入試前日までに数回、当日の自分をイメージしてみることです。

例えば、朝起きて、顔を洗って、リビングで計算問題を解き、新聞の社説欄を読んでから、朝食を食べる自分。

家を出てから駅まで歩き、混雑した電車に乗って、学校の最寄り駅から学校に向かう自分。その道は、受験生とその親で溢れ返っている。受験生はみんな緊張しているようだ。

校門に着くと、塾の先生が待っていた。塾の先生は何て声をかけてくれるのかな? そのとき、なんて応えようかな。

校門をくぐり、お母さんと別れ、試験会場に入り、トイレに行く自分。

席で待機していると試験開始の時間が来て、問題が配られ、「はい、始め!」という合図を聞き、受験番号と自分の名前を書く自分。周りから聞こえてくる鉛筆のカツカツという音。紙をめくる音。

問題を一通り見て、どういう順番で取りかかるかを判断するのに30秒。そして、ゆっくり丁寧に問題を解いていく自分。

このように、試験当日の自分をイメージさせるのです。当日のイメージはお子さん自身にさせてもいいでしょうし、お母さんと一緒にしてみるものいいでしょう。そうすると、案外落ち着けるものです。

もし、それをせずに当日を迎えてしまったら、受験会場の最寄りの駅でたくさんの受験生を見ただけで動揺してしまうかもしれませんし、中学受験ではお約束の"塾の見送り"もかえってプレッシャーに感じてしまうかもしれません。それを楽しむまではいかないとしても、「いよいよ本番なんだな」とどこか一歩引いて見ることができると、落ち着いて試験に臨めるでしょう。

そして何よりも大切なのは、親御さんが笑顔で送り出してあげることです。いろいろ言いたいことはあるでしょうが、別れ際はシンプルにひと言、「今まで本当によく頑張ってきたよね。だから、いつも通りにやればきっと大丈夫よ」

そう言ってあげられるのは、誰よりもお子さんのそばにいた親御さんしかいません。そして、その言葉は何よりもお子さんの自信につながるでしょう。

この記事を書いた人
主任相談員 小川 大介主任相談員 小川 大介
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