授業では分かるのにテストで解けない4年生へ|算数は「分かった」の次が大切

こんにちは!
中学受験情報局 主任相談員の辻義夫です。
「授業では『分かった』と言っていたし、宿題もちゃんとできていたんです。それなのに、確認テストになると式も図も書けずに手が止まってしまって……」
4年生の親御さんから、このようなご相談をとてもよくいただきます。
先生の説明を聞けば分かる。宿題をやった直後なら解ける。ところが、テストで何も書かれていない問題を前にすると、どこから手をつければいいのか分からなくなってしまう。そんなお子さんの姿を見て、「うちの子は理解力がないのかしら」「もっとたくさん問題を解かせなければ」と焦ってしまう方も多いのではないでしょうか。
しかし、私はこの状態を「理解力の問題」とすぐに決めつけないでほしいと思っています。多くの場合、原因は別のところにあるからです。
それは、授業で教えてもらった考え方を、自分の手でもう一度たどってみる家庭学習が足りていないということです。
算数の力は、次の3つの段階を一つずつ上っていくことで身についていきます。
- 「見ると分かる」(先生の説明や解説があれば理解できる)
- 「自分で再現できる」(授業でたどった考え方・図・式を、自分の手でもう一度たどれる)
- 「何も見ずに解ける」(何も書かれていない問題を、最初から最後まで一人で解ける)
今日は、この「理解→再現→自力」という段階で、お子さんの今の状態を見られるようになるための考え方と、家庭でできる具体的な方法をお伝えしたいと思います。
QUESTION
算数の家庭学習で、今いちばん気になることは何ですか?
今、一番困っているものを1つ選んでください。いただいた回答は、今後の記事や学習コンテンツづくりに活用します。
ご回答ありがとうございます。
いただいた回答は、今後の中学受験情報局の記事や学習コンテンツづくりに活用します。現在のみなさんの回答結果もあわせてご覧いただけます。
この記事の執筆者

辻義夫 主任相談員
「わくわく系中学受験」を提唱する理科のスペシャリスト。
これまでに指導してきた生徒は数千人にのぼり、多くの逆転合格を生み出してきた。難解な理科の概念を、身近な例えを用いて「見える化」する授業スタイルは、子どもたちだけでなく保護者からも絶大な信頼を寄せられている。
目次
「分かる」と「解ける」は違う
まず、親御さんにぜひ知っておいていただきたいことがあります。それは、「分かる」と「解ける」の間には、思っている以上に大きな差があるということです。
授業では、先生が問題文を読み、条件を整理し、線分図や面積図をかき、式を立てて答えまで導いてくれます。お子さんはその流れを目で追い、「なるほど、そういうことか」と納得します。これが「分かる」状態です。
ところがテストでは、目の前にあるのは何も書かれていない問題文だけです。
自分で条件を整理し、必要な図を自分でかき、自分で式を立てる。
この作業を一人でやり切れて、はじめて「解ける」状態になります。先生の説明を理解できることと、この作業を自分でできることは、まったく別の力なのです。
私は以前、ブログでサピックスの組分けテストについて書いたことがあります。そのとき強くお伝えしたのは、条件整理や着眼点が身についていないお子さんにとって、式と答えだけの解説では本当の理解につながらないということでした。
そうしたお子さんは、「こういう問題では、この式を使う」と、式そのものを覚えてしまいがちです。授業直後の確認テストでは、それでも点が取れます。けれども、時間がたったり、問題の形が少し変わったりした途端に、手が止まってしまうのです。
「授業では分かるのにテストでは解けない」の正体は、多くの場合ここにあります。理解力が足りないのではなく、「分かる」から「解ける」へ渡る橋が、まだかかっていないのですね。
授業では「分かった」と言うのに、家では解けません。授業を理解していないのでしょうか?
西村則康の回答
「理解していない」と決めつけるのは、まだ早いですよ。授業で「分かった」と感じたのは、きっと本当なんです。ただ、先生の説明を聞いて分かることと、自分一人で同じ道をたどれることの間には、もう一段階あります。家で解けないのは、その段階をまだ上っている途中だということ。ここで叱ってしまうと、子どもは「分かった」と言うこと自体をやめてしまいます。大丈夫。家で一度、先生がやっていたとおりに図をかいてみるところから始めてみてください。
授業の聞き方・受け方そのものが気になる方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
4年生でまず目指したいのは「教わったことを再現できる」状態
では、その橋をどうかければよいのでしょうか。
4年生の算数で私がまず大切にしてほしいと考えているのは、いきなり難しい問題に進むことではありません。授業で教えてもらった基本的な考え方・式・図を、自分自身で「再現」できる状態を一つずつ増やしていくことです。
ここで誤解しないでいただきたいのが、この記事でいう「再現」の意味です。
「再現」とは、先生の解き方を丸暗記することではありません。授業でたどった考え方を、自分でもう一度たどれることです。
具体的には、こういうことです。
- 先生が線分図を使って説明したなら、自分でも線分図をかいてみる
- 先生が面積図を使ったなら、自分でも面積図をかいてみる
- 先生が式を立てる前に条件を整理していたなら、その流れもまねしてみる
大切なのは、正しい答えを再現することではなく、
問題を見る → 条件を整理する → 図・式を作る
という、先生の頭の中で起きていた思考の流れを、自分の手でたどれるようになることです。
塾で習ったやり方を、どんな問題にも無条件に当てはめるのとは違います。「なぜここで線分図をかくのか」「なぜこの式になるのか」を理解しながら、授業でたどった道を自分の足で歩き直す。これが「再現」です。
4年生は、この「再現」の経験を積み重ねる絶好の時期です。この時期に「教わった考え方を自分でたどれる」単元を増やしておくことが、5年生、6年生になって問題が複雑になったときの土台になっていきます。
解説を見て「分かった」で終わらせない
家庭学習でよく見かけるのが、解けなかった問題の解説を読んで「あ、そういうことか」と納得し、式と答えを書き写して終わりにしてしまうパターンです。
解説を読んで「分かった」と感じた瞬間は、まだ「見ると分かる」の段階です。ここで終わらせてしまうと、「再現」の段階には進めません。
そこでおすすめしたいのが、次の流れです。
- 解説(または授業ノート)を見る
- 「なぜこの図・式になるのか」に加えて、「どう書いているのか」「どういう手順で書いているのか」を確認する
- 解説を閉じる
- 自分で図と式を書く
- 最後まで自分で解き切る
ポイントは2番です。「なぜこの式になるのか」を理解することはもちろん大切ですが、それと同じくらい重要なのが、「どう書いているのか」「どういう手順で書いているのか」という視点です。
実は、書こうとしても正しく書けない、そもそも正しい書き方自体が頭に入っていない、ということがお子さんには往々にしてあります。線分図をかこうとしても、どこから線を引き、どの順番で数字を書き込めばよいのかが分からない。面積図をかいても、たてと横に何をとるのかがあいまいなまま、形だけをまねしている。こうした状態では、考え方を理解していても、自分の手で問題を解き切ることはできません。
ですから、家に帰ってからの復習では、塾の授業で習ったものと同じ図・同じ式を、正しい手順と形で再現できるかを確かめることが大切になります。書いたものを授業ノートや解説と見比べて、図の形や書く順番が同じになっているかを確認してみてください。
もちろん、解説を閉じて何も見ずに再現できるかをチェックするのも一つの方法です。ただ、それよりも先に、正しい形と正しい手順が身についているかを見てあげてほしいのです。
書いてみて、授業で習ったものと形や手順が違っていたら、それは「まだ正しい書き方が身についていない部分がある」というサインです。決して悪いことではありません。もう一度授業ノートや解説を見て、違っていた部分を確認し、また書いてみればよいのです。
それでも「なぜこの方法で解けるのか」が納得できないときは、無理に先へ進まないでください。塾の先生に質問したり、以前に習った似た問題へ戻ったりすることが、結果的には近道になります。
算数では答えより「途中」を見る
お子さんが自分で再現できているかどうかを確かめるとき、親御さんに見ていただきたいのは、答えが合っているかどうかよりも「途中」です。
- 図をかいているか(線分図・面積図・表など、授業で使った図が出てきているか)
- 式を残しているか(筆算だけになっていないか、どの数をどう使ったか追えるか)
- 条件を整理できているか(問題文の条件に線を引いたり、書き出したりしているか)
- どこから考え始めたか(授業で先生が最初にしたことと同じところから入れているか)
答えが合っていても、図も式もなく数字だけが並んでいる場合は、たまたま合ったのか、解き方を覚えていただけなのかが分かりません。反対に、答えが間違っていても、授業どおりの図をかき、条件を整理しようとした跡があれば、それは「再現」に向かって確実に進んでいる証拠です。
ぜひ、答えが合っているかどうかより、授業でたどった考え方をたどろうとしているかに目を向けて、そこを褒めてあげてください。
なお、途中経過を残すためのノートの使い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
「できた/できない」ではなく、「○△×学習法」で見る
問題を解いたあと、「できた」「できなかった」の二択で終わらせていませんか。
実は、「できた」の中には、本当に自分の力でできたものと、今回はたまたまできたけれど、次も一人でできるかは怪しいものが混ざっています。そこで活用していただきたいのが、「○△×学習法」です。
| 印 | 状態 |
|---|---|
| ○ | 何も見ずに、自分で最初から最後まで解ける |
| △ | 今は解けたが、次に一人で解けるかは少し不安 |
| × | まだ解説やヒントがないと解けない |
この中で私が特に大切にしてほしいのは、△を見つけることです。
△の問題は、「分かる」と「解ける」の間で揺れている問題です。ここを○だと思い込んで放っておくと、テストのときに手が止まる問題になってしまいます。反対に、△を丁寧に拾って再現の練習をすれば、最も効率よく「解ける」問題を増やしていくことができます。
判断の基準は、「次に一人でも再現できそうか」です。一度○がついたからといって、それで終わりにはしません。お子さん自身に「これは○?それとも△?」と聞いてみるのもよい方法です。自分で正直に△をつけられるようになることは、それ自体が大きな成長なのです。
少し時間を空けて、もう一度確かめる
最後にもう一つ、大切なことがあります。それは、その日にできたことだけで判断しないということです。
授業を受けた当日や、解説を読んだ直後は、記憶が新しいので解けて当然です。本当に「再現」できるようになったかどうかは、少し時間を空けてみないと分かりません。
そこで、翌日や数日後に、もう一度同じ問題を見てみてください。
- 何も見ずに、授業と同じ図をかき始められるか
- 条件整理から式までの流れを、自分で取り出せるか
- 最後まで一人で解き切れるか
ここで手が止まるようなら、その日は「答えや式を覚えていただけ」だった可能性があります。反対に、時間を空けても考え方を取り出せるなら、それは「考え方を使えるようになった」証拠です。
「確認テストでは解けたのに、月例テストでは解けない」という声の多くは、この差から生まれています。手順を覚えただけでは、時間がたったり、問題の形が少し変わったりすると対応できなくなるのです。
少し時間を空けて確かめることで、△の問題がはっきりと浮かび上がります。そうしたら、その△をもう一度「閉じて再現する」練習に戻せばよいのです。
同じ問題をもう一度解かせればよいのでしょうか?
辻義夫の回答
もう一度解くこと自体は、すごく大事なんですよ。ただ、気をつけてほしいのは、何度も解いているうちに、考え方ではなく答えや式を覚えてしまうことなんです。そうなると、問題の形が少し変わっただけで解けなくなってしまうんですよ。僕がおすすめしているのは、解き直すときに「なぜこの図をかいたの?」「なぜこの式になるの?」と聞いてみることです。そこを自分の言葉で説明できれば、答えではなく考え方が身についている証拠なんですよ。
まとめ:「見ると分かる」から「何も見ずに解ける」へ、一段ずつ
「授業では分かるのに、テストでは解けない」。この状態は、決して理解力がないということではありません。「分かる」と「解ける」の間にある「再現」という段階を、まだ上っている途中なのです。
4年生の算数で大切なのは、難しい問題に次々と挑戦することではなく、授業で教えてもらった考え方・式・図を、自分の手でたどれる単元を一つずつ増やしていくことです。
- 授業で習ったものと同じ形・同じ手順で、図や式を書けるか確かめる
- 答えだけでなく、図・式・条件整理といった途中を見る
- 「できた/できない」ではなく、○△×学習法で見て、特に△を拾う
- 当日だけで判断せず、時間を空けてもう一度確かめる
「見ると分かる」→「自分で再現できる」→「何も見ずに解ける」。この3つの段階でお子さんの今の状態を見られるようになれば、声のかけ方も、家庭学習で取り組むべきことも、自然と見えてくるはずです。焦らず、一段ずつ一緒に上っていきましょう。
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