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算数の計算問題は、「やり方」次第。筆算と暗算のバランスが大切

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公開: 最終更新日:2021年07月13日

計算問題対策として、とにかくたくさん問題を解かせて、なんでも筆算させるなどの勉強方法は、実は逆効果になることがあります。
ここでは、筆算と暗算をどう使い分けるのかなど、計算問題の練習の正しいやり方について考えてみたいと思います。

筆算の練習と、暗算をどこまでするかの判断

算数の点数を少しでも取りたくて計算ミスを減らすためには、やみくもに練習問題の数を増やすのではなく、「どこまで書くべきか、どこまで暗算していいか」をきちんと考えて、必要な訓練をする必要があります。

6年生なら2桁のたし算やひき算は、基本的に暗算できるようになっていなければなりません。
それに対して、2桁×2桁のかけ算は、きちんと筆算すればいいでしょう。
わり算も、2桁÷1桁は暗算、場合によっては、3桁÷1桁も暗算で行いましょう。それ以上は、筆算をちゃんと書いて解くようにしましょう。

暗算で出した答えに、さらに別の数字を暗算で掛けたりする「二段階暗算」はおすすめしません。
これはノートに痕跡が残らないのでどこでまちがえたかが自分でも振り返りにくいうえに、非常に多いまちがいのもとです。

計算を筆算で解くことを面倒だと感じる子は、計算スペースをうまく使えないことが多いものです。
ノートに書くときも筆算を書く場所が定まっておらず、斜めになっていたり数字の大きさがバラバラだったりします。
そうすると、テストのときも筆算をどのあたりから書いて、どれくらいの字の大きさで書けば収まるのか予測できず、筆算の途中で余白がなくなって、別の場所に途中から移動して、それが計算ミスにつながる…という悪循環に陥りやすい傾向があります。

筆算の書き方は、ある程度の練習が必要です。「こういうタイプの筆算は下のほうに長くなるから、上のほうから小さな字で書いておかないと、スペースが足りなくなるぞ」というような感覚は、早いうちから身につけておきたいものです。

練習でできないことは本番でもできない

中学受験の算数では、計算をまちがえると本番で大きな損をするということを、子どもにもよく伝えておきましょう。
計算ミス対策として、6年生になってから筆算の練習をする子もいますが、「今から筆算の練習をやり直していたら受験にまにあわなくなる」「ほかの教科を勉強する時間がなくなる」と焦りを感じるかもしれません。

でも、計算まちがいがなくなると算数の点数が確実に伸びるということを子どもに理解させ、納得させましょう。
「なんだ、こんなことで損をしていたのか」と子ども自身が気づくことができれば、やる気を出します。

ほとんどの子どもが「本気を出せば、計算もまちがえない」「解き方はわかっているから本番では大丈夫」と思っていますが、「練習でできないことは、本番でもできないんだよ」と話し、それが思い込みだと気づかせてあげることが大切です。

その子特有のミスに気づいてあげる

また、テストでまちがえた問題をよく見ていると、それぞれの子ども特有のミスが見つかることがあります。

たとえば「50台の数字から20台の数字を引く」ときにミスをしやすい子がいます。50-26=34、50-25=35としてしまうのです。
こういう場合は、無理に筆算をさせる必要はありません。それよりも検算させるほうが効果的です。
「50-26=34」と解いたら、すぐに「34+26」を計算する習慣をつけさせるのです。すると「あれ?おかしいな。60になった」と、暗算のまちがいに気づき、自分なりになぜミスをしたかを考え、次から意識して気をつけるようになるでしょう。

また、筆算の練習をしているうちに、「100分の3を、小数で表しなさい」という問題を、「100÷3」と筆算してしまう子もいます。これは、分数と小数の関係がわかっていないのが原因で、計算まちがいやうっかりミスではありません。
少し大変ですが、「分数」の単元までさかのぼってていねいに勉強する必要があります。

「点数を上げること」を優先させた対策を

また、「何問かはまちがってもいいから、早く終わらせてしまおう」という考え方の子にも注意が必要です。
早く終わらせるために要領のいい方法を工夫すること自体はいいのですが、計算練習10問のうち「必ず1問はまちがえる」「多いときは2問」という場合、どういうやり方をしているかきちんとチェックしてあげてください。
普段、子どもが練習している問題がレベルにあっているか、その量が適切かどうかも見極める必要があります。

計算問題は「1日に何問やればいい」という決まりはありません。
これまで毎日5問で続けてきているなら、思い切ってそれを2問に減らし、できる問題を確実に増やしていくほうが効果的なこともあります。

勉強量を減らすのは簡単そうで難しいものです。
親も「たくさんやっていれば大丈夫」と思っていることが多いので、勇気が必要です。特に6年生ならなおさらでしょう。

でも、志望校に合格するためには「点数を上げること」が最優先です。
その共通のゴールを改めて親子で共有して、効率よく算数の計算問題に取り組みましょう。その練習は、必ず本番に反映されるはずです。

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