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中学受験塾に入ったはいいけれど、成績が上がらないのはナゼ? 塾の学習スタイル別、傾向と対策

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公開: 最終更新日:2023年07月13日

塾には入ったものの、「思うように成績があがらない」「予習、復習、宿題、何から手をつけていいのかわからない」「うちの子はこの塾に合っていない気がする」など、悩みは尽きないものです。
ひと口に中学受験塾といっても、そのスタイルや方針はさまざま。

ここでは、代表的な塾の学習スタイルについて確認しながら、その特徴や利点、そこでの適した勉強への取り組み方について解説します。

塾のスタイルには予習型と復習型がある?

よく、「中学受験の塾には予習型と復習型がある」と言われます。
ひと昔前までは、たしかにそのような傾向が見られました。
しかし、現在では復習型が主流で、予習型の塾というのはあまりありません。
大手塾のひとつである四谷大塚では「予習シリーズ」という教材を使っており、予習型と言われますが、その四谷大塚でさえ近年は家庭学習の多くが復習になってきています。

サピックスにいたっては完全に復習型です。
テキストは当日配られ、予習ができないシステムになっています。
また、日能研でも「予習はしないように」と指導しています。

中学受験ではなく学校のサポートをするような塾については、学校の先取りをする予習型と、学校で習ったことを補強する復習型の塾があります。
しかし、中学受験を目指す塾に関しては、予習型・復習型と分類するほどの特徴はなく、多少程度の差こそあれ、どこも復習中心の学習スタイルになっています。

 ハイレベル・ハイスピードのサピックス勉強法

サピックスは難関校への入試対策に強い塾です。
サピックスに入塾すること自体も難関で、サピックスに通っているということが、一部の方にはステイタスになっているほど。

教材は全てオリジナルです。サピックスは徹底した復習型学習を採用しており、授業ごとに教材が配られ、予習ができないようになっています。
授業の最初に「デイリーチェック」というミニテストを行います。
デイリーチェックは前回の授業内容から出題され、授業内容を理解しているか確認できるようになっています。

教材はハイレベル、授業はハイスピード、プリントは大量です。
ここがサピックス最大の特徴といえるでしょう。
その質と速さと量についていける子は、限られてしまいます。

また、成績によってシビアに細分化されたクラス分けも、サピックスの特徴の一つです。
最上位の「α(アルファ)クラス」と通常クラスに分かれています。
通常のクラスは下位から順番に「Aクラス」「Bクラス」「Cクラス」……となっています。

1クラスの人数はだいたい15~20人で、小規模な教室でも学年あたり5~6クラス、大規模な教室になると20クラス以上あるところも。
クラス分けやクラスの昇降にかかわるテストは、1~3年生では約2ヶ月に1回、4~6年生では約1ヶ月に1回実施されます。

授業は成績上位者に合わせて進められるため、ついていけない子は挫折感を味わうこともあります。
テキストも上位層向けに構成されていて、解説が非常に少なくなっているのが特徴です。
授業だけである程度理解できる子でないと、テキストでの復習も厳しいでしょう。
また、クラスが変わると先生も変わります。クラスや先生を自分で選ぶことはできないため、クラスの雰囲気や先生の授業スタイルに慣れるのに苦労することもあります。

 コツコツタイプにピッタリの日能研勉強法

日能研は、日本最大の中学受験専門塾です。
過去30年にわたる中学受験のノウハウとデータが蓄積され、豊富な受験情報を得られることが大きな特徴です。

首都圏を中心に開催している「日能研 全国公開模試」は、約12,000人もの小学生が受験しています。
この模試は日能研の塾生でなくても受験が可能で、他塾に通う子が成績チェックのために受けるというケースも多く見られます。
公開模試のたびに届く資料が詳細で、「R4」という名称の合格可能性80%偏差値は、かなり正確です。
塾生が多いため、最上位校から中堅校、下位校まで、幅広く合格者を出しています。

公開模試の他に、「学習力育成テスト」(通称:育テ)もあります。
4年生と5年生は隔週、6年生は毎週育テを受けます。
この育テには「基本問題」「共通問題」「発展問題」があり、基礎クラスは「基本問題」と「共通問題」を、上位クラスは「共通問題」と「発展問題」にチャレンジします。
「共通問題」では本科テキストに準じた問題が出るため、テキストの問題をコツコツ繰り返し解くことがポイントとなります。

育テに力を入れていると、公開模試でなかなか点数を取れないということが、最初の頃には起こります。
しかし、焦りは禁物。宿題とテキストの復習、育テの解き直しをコツコツ積み重ねていくことで、しっかり土台ができていきます。

 自分に適した教材・テストで学べる四谷大塚勉強法

オリジナル教材の名称が「予習シリーズ」であることからも分かるように、予習を重視してきたのが四ツ谷大塚です。
しかし近年、あまり予習を強調されることはなくなってきました。
サピックスと日能研が完全な復習型なので、それに比べれば予習型であるとは言えるでしょう。

教材の「予習シリーズ」はとてもよくできています。
ていねいな解説だけでなく、なぜそうなるのかというストーリーまで載っているため、読み物としても楽しめるような教材になっています。
「予習シリーズ」は市販もされており、予習シリーズを準拠とする塾も数多く開校されています。

もともとはテスト会として始まった四谷大塚。
6年生向けの「合不合判定テスト」は頼れる指標です。他塾の生徒も多く受けるため、合否判定はかなり正確な情報だといえるでしょう。

四谷大塚のテストは、毎週の学習をチェックする「週テスト」と、クラス分けを兼ねた「月例テスト」があります。
週テストはA・B・C・Sとランク別に出題されるので、授業レベルに応じたテストを受けることができます。

四谷大塚には、直営校と準拠塾(YTネット)があり、授業の取り組み方に違いがあります。
教材は「予習シリーズ」の他に、演習問題集が難易度別に3種、週テスト問題集、計算や漢字のテキストなど、非常に多くの種類があります。
また、それ以外に「高速マスター」というタブレット教材、DVD教材もあり、その全てをこなしきれるものではありません。

塾で成績を上げるには、お子さんそれぞれの状況に応じて選択的に教材を活用することが重要です。

塾の先生と相談しながら、学力や志望校に合わせて教材の取捨選択をすることが、成績アップの近道です。

ぜひこの記事を参考に、お子さんの学習環境の見直しをしてみてください。

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