第138回 夏は受験の天王山 2014年度に向けて⑦
~2013年度の入試問題を題材に夏の学習準備をする その2~
『入試問題の前半の大問は夏期講習の準備状況の確認にピッタリ!』
中学入試特進問題集「数と割合」絶版(教学研究社)
前回に引き続き、懐かしの問題集です。
この問題集の前身、「新重要問題集」を主に地方の進学塾では使っていました。
6年生の秋からの実戦演習にぴったりの難問が多く掲載されていました。
当時は関西の中学入試が3月であったため、
秋から1月にかけて難問にチャレンジし、
2月は少し簡単な問題集で「総仕上げ」というカリキュラムでした。
しかし、現在、関西の中学入試は1月中旬です。
1.5ヶ月ほど早まっています。
ということは、秋口から取りかかっていた難問演習も夏休み頃には
あたり始めなければいけません。
東西を問わず、
大手進学塾の夏期講習内容が入試問題を中心とした教材になっていることも
納得がいきます。
ということはあと10日間くらいで
難問に取り組む準備を完了させておかないといけない計算になります。
前回は「小問集合」問題を活用して、
受験の基礎力の定着度が測れることをお話しいたしました。
今回は、入試問題の前半に配置されている大問を利用して、
難問を解く準備ができているかどうかをチェックするポイントを
見ていきたいと思います。
桜蔭中 2013年度 入試問題より
Ⅲ ふもと駅と山頂駅を往復する2台のケーブルカーA、Bがあります。他に駅はありません。
2駅間の距離は6kmで,2kmごとにすれちがうためのポイントがあり、2台はこの2ヵ所のポイントでしかすれちがうことができません。同時にポイントに到着できなかった場合には,どちらかのケーブルカーがどちらかのポイントで待つことになります。待ち方は所要時間を短くするように決めることとします。また、すれちがうための時間はかかりません。ケーブルカーは、ふもと駅から山頂駅までの上りでは時速8km、山頂駅からふもと駅までの下りでは時速12kmで進むものとします。ケーブルカーは駅では5分ずつ停車します。AとBのケーブルカーは朝8時にAはふもと駅を、Bは山頂駅を出発します。このとき,次の問いに答えなさい。
(1)8時から10時までのAとBの動くようすを表すグラフをかきなさい。
(2)2台が5回目にすれちがうのは何時何分か求めなさい。
(※解答用紙に印刷されていたグラフ)
速さに関する問題ですね。
「速さ」という単元は他の単元よりも今回の目的、
難問の準備ができているかを確認するのにピッタリです。
その理由は次の3つです。
1.問題文中の条件数が多いこと
2.問題文中のどの条件から使い始めるかの判断が必要なこと
3.速さ以外の算数の解法(例:割合、特殊算、平面図形など)も利用すること
「速さ」は、「算数の総合力」が最も必要とされる単元なのです。
それでは順にみていきましょう。
グラフを書くためにはグラフ用紙の1目盛りが示す量を知っておくことと、
駅~ポイント、ポイント~ポイントのそれぞれの区間にかかる時間が必要です。
まず、解答用紙のグラフですが、
横軸は1時間=12目盛りですから、1目盛り=5分です。
また、縦軸は6km=12目盛りですから、1目盛り=0.5kmです。
次に「1区間」に要する時間ですが、
上りは時速8kmですから、2km÷時速8km=1/4時間=15分、
下りは時速12kmですから、2km÷時速12km=1/6時間=10分です。
いよいよグラフに書き込みますが、いくつかの制約が問題文にありました。
この制約を理解することも重要です。
①ポイントでしかすれちがうことができません。
②同時にポイントに到着できなかった場合には,
どちらかのケーブルカーがどちらかのポイントで待つことになります。
③待ち方は所要時間を短くするように決めることとします。
④すれちがうための時間はかかりません。
⑤駅では5分ずつ停車します。
ここで気をつけておきたいことは
図を見るとポイントの長さがあるように思えますが、
「④すれちがうための時間はかかりません。」とありますから、
「ポイントの長さは0m」ということになります。
では,少しずつグラフを書いていきます。
それぞれのケーブルカーがポイントにさしかかるのは、
Aが8時15分、Bが8時10分です。
上記条件の②と③から、AがBを待つことになります。
さらに進めると…
となり、Aが9時5分にポイント乙に、
Bが8時50分にポイント甲にさしかかることがわかります。
そこで、Aがポイント乙で待つと、
のようになり、実際にはAも待つことなくふもと駅に向かうことができます。
その後、Bが9時35分にポイント乙に、
Aが9時45分にポイント甲にさしかかることがわかりますので、
Aがポイント甲で待つと、
のようになり、実際にはAも待つことなく山頂駅に向かうことができ、
10時までのグラフ(実戦部分)が完成します。…(1)の答え
(1)は速さの基本計算と問題文中の制約条件の読み取り、
それを正確に書くといったまさに「総合力」を求められる問題だったと思います。
(2)は5回目のすれ違いです。
往復の旅人算や流水算でも「N回目の出会い」を求められることがありますが、
これらの問題は「規則的に出会う(すれ違う)」ことを利用して求めます。
往復問題で「規則的」とくれば、
「出発時と同じ状態に戻るまでは調べる」というのが基本です。
(1)のグラフは、まだ「出発時と同じ状態」にはなっていませんので、
もう少し調べ続けることが必要です。
「手書きでグラフを作る」でもOKですが、
時間制限のあるテストですからグラフを書かないでも調べていくことを検討しましょう。
自分の書いたもので勘違いを起こさないように、見やすく書きます。
10時の段階でA、Bとも上りになりますので、
10時15分にAが山頂駅に、Bがポイント甲にそれぞれ到着します。
以下、1区間の上りが15分、下りが10分を利用して、動きを順に調べると
となり、11時10分に5回目のすれ違いがあることがわかりました。…(2)の答え
(2)は「3回目までが(1)のグラフでわかるから、あと2回だ。
規則性の可能性もあるし、調べてみよう!」という判断をし、
ミスをしないようにみやすく書き上げていくという、
「実戦的」な力を求められた問題でした。
今回は桜蔭中という女子最難関校の入試問題を利用しましたが、
入試の前半の大問2や3はこのように、
夏期講習でとりあつかう難問の準備が整っているかどうかのチェックが可能です。
夏期講習まであと10日ほどです。
講習会受講の準備ができているかどうか、早めにチェックしておきましょう。

