2015年度中学入試 桜蔭中
皆さんこんにちは、中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員の前田昌宏です。
本日の記事は、第221回 「平成27年度 私立中学入試 桜蔭中」をお届けします。

2月も第2週が今日で終わり、塾の新学年での授業も一回りしました。
一方で受験を終えた現6年生は
新しく始まる中学生活に向け、早くも着々と準備を始めていることでしょう。
小学校ではベテランの6年生も
中学では1年生ですから初めてのことも多いので、
準備をしておくことはとてもよいことだと思います。
新6年生は
ここまで学んだことを使った応用問題や入試問題を解くことになりますから、
苦手とする単元を習う前に復習をしておくことが大切です。
そこで、
今回は2015年度 首都圏の中学入試から、
桜蔭中の入試問題をみていきます。
2015年度の桜蔭中 算数(100点 50分)の出題分野は以下の通りでした。

難易度は私見で、(易)A⇔E(難)としています。
学校からは点数に関するデータは、例年、公表されていません。
今年はここ数年と異なり、
以前の桜蔭中の入試に難度や傾向が似かよっているように思われます。
では早速、問題をご紹介します。
桜蔭中 2015年度 入試問題 算数より
大問Ⅰ(2) 右の図1のようなアからケの9個のマスがあります。このアからケのマスの中に約数が全部で9個ある整数の約数を小さい順に入れます。たとえば,36の場合は図2のようになります。このとき,次の□にあてはまる数を答えなさい。
① アとケとオに書かれている数字の和が241となる整数は□です。
② ウとケとキに書かれている数字の積が38416となる整数は□です。
①の「約数うちの3個の和が241」に気を取られると、
「この問題、難しい!」と感じるでしょう。
ですが、
問題本文にある「約数が全部で9個ある整数」に着目すれば、
短時間で正解にたどり着けます。
「約数の個数が奇数個」とくれば、「平方数」です。
1、4、9、16、25、36、49、64,81、100、121、144、169、196、225、…
約数の和が241ですから、225より後は考えなくて大丈夫ですね。
さらに「素数×素数」の場合は約数の個数が3個ですから、これも除外できます。
225の約数を書き出すと、1、3、5、9、15、25、45、75、225 ですから、
ア=1、ケ=225、オ=15 となり、和は241でピッタリです。
→ ①の答え225
①で整数の候補が見つかりましたから②は調べるだけですが、
「絞り込む」ことができます。
3個の約数の積38416を素因数分解します。
38416=2×2×2×2×7×7×7×7 なので、
①の候補から「×2×7」を含む整数を探します。
すると、14×14=196 しかありません。
196の約数を書き出すと、1、2、4、7、14、28、49、98、196 ですから、
ウ=4、ケ=196、キ=49 となり、積は38416でピッタリです。
→ ②の答え196
やはり、
最難関中の問題を解くのであれば、
「素因数分解を利用して考える」
という解き方を身につけておくことは大切ですね。
また、
問題を解くときに「設問」や「問題図」に目が先に行く癖があると、
このような問題で詰まってしまいます。
問題本文は「ヒントの宝庫」ですから、一文ずつきちんと読む癖をつけましょう。
大問Ⅳ 下の図のように、番号のついたいろいろな大きさの円柱があります。1の円柱の底面の半径は2cmで、番号が一つ増えるごとに底面の半径は、前の番号の円柱の半径の2倍になっています。円柱の高さはすべて3cmです。これらの円柱の何個かを積み重ねて新しい立体を作ろうと思います。ただし、円柱の底面の円の中心どうしが重なるように積み重ねます。図1のように3の上に2、2の上に1を積み重ねた立体を[3 2 1]、図2のように3の上に4を積み重ねた立体を[3 4]のように表すことにします。このとき,立体[3 2 1]と立体[1 2 3]は同じ立体となります。次の問いに答えなさい。

(1) 図1の立体[3 2 1]の表面積を求めなさい。
(2) 立体[6 3 4 2 5]と、立体[6 5 4 3 2]の表面積の差を求めなさい。
(3) 1、2、3、4、5の円柱を1つずつ使って立体を作ります。立体[5 4 3 2 1]と同じ表面積になる[5 4 3 2 1]以外の立体をすべて答えなさい。ただし、[ ]内において、最も左端の番号は最も右端の番号よりも大きいものとします。また、解答欄は全部使うとは限りません。(一部改題)
(1)は見取り図が与えられていますから解きやすいと思います。
積み木タイプの表面積は、
「投影図の利用」「隠れる面積を引く」の2つの方法がありますが、
(2)(3)の事を考えて、
「隠れる面」に着目します。
円柱1…半径2cm、高さ3cm → 2cm×2cm×π×2+4cm×π×3cm
円柱1と2が接する面…2cm×2cm×π×2 が隠れる面積
円柱2…半径4cm、高さ3cm → 4cm×4cm×π×2+8cm×π×3cm
円柱2と3が接する面…4cm×4cm×π×2 が隠れる面積
円柱3…半径8cm、高さ3cm → 8cm×8cm×π×2+16cm×π×3cm
合計 4cm×π×3cm+8cm×π×3cm+8cm×8cm×π×2+16cm×π×3cm
=212×3.14=665.68(cm2)
(1)からわかるように、(2)を解くとき、
「同じ円柱を使ったときの表面積の差は、円柱どうしが接する面の差によって生じる」
を利用することができます。
立体[6 3 4 2 5]で接する部分
円柱6と円柱3→円柱3の底面積と同じ
円柱3と円柱4→円柱3の底面積と同じ
円柱4と円柱2→円柱2の底面積と同じ
円柱2と円柱5→円柱2の底面積と同じ
立体[6 5 4 3 2]で接する部分
円柱6と円柱5→円柱5の底面積と同じ
円柱5と円柱4→円柱4の底面積と同じ
円柱4と円柱3→円柱3の底面積と同じ
円柱2と円柱5→円柱2の底面積と同じ
以上から等しい部分を帳消しにして考えると表面積の差は、
[6 3 4 2 5]…8cm×8cm×π×2+4cm×4cm×π×2=160×π
[6 5 4 3 2]…32cm×32cm×π×2+16cm×16cm×π×2=2560×π
(2560-160)×3.14=7536(cm2)と求められます。
(2)が(3)の解き方のヒントになっている、誘導問題のお手本のような問題です。
使う円柱が同じですから、
表面積を等しくするには、接する部分の面積を同じにすればよい
ということになります。
はじめに接する円柱と接する部分の面積の関係を整理しておきましょう。

立体[5 4 3 2 1]で接する部分の面積は、
512×π+128×π+32×π+8×π です。
このことから、
1、2、3、4、5の円柱を1つずつ使って立体を作るとき、
立体[5 4 3 2 1]と表面積を等しくするためには、
「512×πが1つ必要」だとわかりますから、
円柱4と円柱5は必ず接するようにしなければいけません。
2つの円柱の接する部分が「小さい方の円柱の底面積」になることから、
[5 4□□□]の場合は[5 4 3 2 1]以外にできません。
そこで、残りの[□5 4□□]、[□□5 4□]、[□□□5 4]について調べると、
[□5 4□□]→[1 5 4 3 2][2 5 4 3 1][3 5 4 2 1]
[□□5 4□]→[1 2 5 4 3][1 3 5 4 2][2 3 5 4 1]
[□□□5 4]→[1 2 3 5 4]
が見つかります。
あとは
「最も左端の番号は最も右端の番号よりも大きい」
という解答方法の指定に合うように書き直します。
[2 3 4 5 1][2 5 4 3 1][3 5 4 2 1][3 4 5 2 1][2 4 5 3 1][2 3 5 4 1][4 5 3 2 1]
2015年度の桜蔭中の入試問題は以前そうであったように、
「調べる」問題が多く出題されました。
桜蔭中の「調べる問題」は、
「見当をつけて調べる」タイプ
と
「絞り込み方にヒントがある」タイプ
がありますが、
今年度は後者の問題が出されました。
前回ブログの開成中と同様、
2015年度の桜蔭中の入試も、
表面積が2通りの方法で求められる(大問Ⅳ)ような基礎学力を
きちんと身につけた上で過去問演習をしてきた受験生ならば、
実力を発揮しやすかったと思います。
新6年生は、
夏期講習からの過去問演習で答案作成の練習に集中できるよう、
夏休み前までの学力作りが重要だと言えそうですね。
本日の記事は、第221回 「平成27年度 私立中学入試 桜蔭中」をお届けします。

2月も第2週が今日で終わり、塾の新学年での授業も一回りしました。
一方で受験を終えた現6年生は
新しく始まる中学生活に向け、早くも着々と準備を始めていることでしょう。
小学校ではベテランの6年生も
中学では1年生ですから初めてのことも多いので、
準備をしておくことはとてもよいことだと思います。
新6年生は
ここまで学んだことを使った応用問題や入試問題を解くことになりますから、
苦手とする単元を習う前に復習をしておくことが大切です。
そこで、
今回は2015年度 首都圏の中学入試から、
桜蔭中の入試問題をみていきます。
2015年度の桜蔭中 算数(100点 50分)の出題分野は以下の通りでした。

難易度は私見で、(易)A⇔E(難)としています。
学校からは点数に関するデータは、例年、公表されていません。
今年はここ数年と異なり、
以前の桜蔭中の入試に難度や傾向が似かよっているように思われます。
では早速、問題をご紹介します。
桜蔭中 2015年度 入試問題 算数より
大問Ⅰ(2) 右の図1のようなアからケの9個のマスがあります。このアからケのマスの中に約数が全部で9個ある整数の約数を小さい順に入れます。たとえば,36の場合は図2のようになります。このとき,次の□にあてはまる数を答えなさい。① アとケとオに書かれている数字の和が241となる整数は□です。
② ウとケとキに書かれている数字の積が38416となる整数は□です。
①の「約数うちの3個の和が241」に気を取られると、
「この問題、難しい!」と感じるでしょう。
ですが、
問題本文にある「約数が全部で9個ある整数」に着目すれば、
短時間で正解にたどり着けます。
「約数の個数が奇数個」とくれば、「平方数」です。
1、4、9、16、25、36、49、64,81、100、121、144、169、196、225、…
約数の和が241ですから、225より後は考えなくて大丈夫ですね。
さらに「素数×素数」の場合は約数の個数が3個ですから、これも除外できます。
225の約数を書き出すと、1、3、5、9、15、25、45、75、225 ですから、
ア=1、ケ=225、オ=15 となり、和は241でピッタリです。
→ ①の答え225
①で整数の候補が見つかりましたから②は調べるだけですが、
「絞り込む」ことができます。
3個の約数の積38416を素因数分解します。
38416=2×2×2×2×7×7×7×7 なので、
①の候補から「×2×7」を含む整数を探します。
すると、14×14=196 しかありません。
196の約数を書き出すと、1、2、4、7、14、28、49、98、196 ですから、
ウ=4、ケ=196、キ=49 となり、積は38416でピッタリです。
→ ②の答え196
やはり、
最難関中の問題を解くのであれば、
「素因数分解を利用して考える」
という解き方を身につけておくことは大切ですね。
また、
問題を解くときに「設問」や「問題図」に目が先に行く癖があると、
このような問題で詰まってしまいます。
問題本文は「ヒントの宝庫」ですから、一文ずつきちんと読む癖をつけましょう。
大問Ⅳ 下の図のように、番号のついたいろいろな大きさの円柱があります。1の円柱の底面の半径は2cmで、番号が一つ増えるごとに底面の半径は、前の番号の円柱の半径の2倍になっています。円柱の高さはすべて3cmです。これらの円柱の何個かを積み重ねて新しい立体を作ろうと思います。ただし、円柱の底面の円の中心どうしが重なるように積み重ねます。図1のように3の上に2、2の上に1を積み重ねた立体を[3 2 1]、図2のように3の上に4を積み重ねた立体を[3 4]のように表すことにします。このとき,立体[3 2 1]と立体[1 2 3]は同じ立体となります。次の問いに答えなさい。

(1) 図1の立体[3 2 1]の表面積を求めなさい。
(2) 立体[6 3 4 2 5]と、立体[6 5 4 3 2]の表面積の差を求めなさい。
(3) 1、2、3、4、5の円柱を1つずつ使って立体を作ります。立体[5 4 3 2 1]と同じ表面積になる[5 4 3 2 1]以外の立体をすべて答えなさい。ただし、[ ]内において、最も左端の番号は最も右端の番号よりも大きいものとします。また、解答欄は全部使うとは限りません。(一部改題)
(1)は見取り図が与えられていますから解きやすいと思います。
積み木タイプの表面積は、
「投影図の利用」「隠れる面積を引く」の2つの方法がありますが、
(2)(3)の事を考えて、
「隠れる面」に着目します。
円柱1…半径2cm、高さ3cm → 2cm×2cm×π×2+4cm×π×3cm
円柱1と2が接する面…2cm×2cm×π×2 が隠れる面積
円柱2…半径4cm、高さ3cm → 4cm×4cm×π×2+8cm×π×3cm
円柱2と3が接する面…4cm×4cm×π×2 が隠れる面積
円柱3…半径8cm、高さ3cm → 8cm×8cm×π×2+16cm×π×3cm
合計 4cm×π×3cm+8cm×π×3cm+8cm×8cm×π×2+16cm×π×3cm
=212×3.14=665.68(cm2)
(1)からわかるように、(2)を解くとき、
「同じ円柱を使ったときの表面積の差は、円柱どうしが接する面の差によって生じる」
を利用することができます。
立体[6 3 4 2 5]で接する部分
円柱6と円柱3→円柱3の底面積と同じ
円柱3と円柱4→円柱3の底面積と同じ
円柱4と円柱2→円柱2の底面積と同じ
円柱2と円柱5→円柱2の底面積と同じ
立体[6 5 4 3 2]で接する部分
円柱6と円柱5→円柱5の底面積と同じ
円柱5と円柱4→円柱4の底面積と同じ
円柱4と円柱3→円柱3の底面積と同じ
円柱2と円柱5→円柱2の底面積と同じ
以上から等しい部分を帳消しにして考えると表面積の差は、
[6 3 4 2 5]…8cm×8cm×π×2+4cm×4cm×π×2=160×π
[6 5 4 3 2]…32cm×32cm×π×2+16cm×16cm×π×2=2560×π
(2560-160)×3.14=7536(cm2)と求められます。
(2)が(3)の解き方のヒントになっている、誘導問題のお手本のような問題です。
使う円柱が同じですから、
表面積を等しくするには、接する部分の面積を同じにすればよい
ということになります。
はじめに接する円柱と接する部分の面積の関係を整理しておきましょう。

立体[5 4 3 2 1]で接する部分の面積は、
512×π+128×π+32×π+8×π です。
このことから、
1、2、3、4、5の円柱を1つずつ使って立体を作るとき、
立体[5 4 3 2 1]と表面積を等しくするためには、
「512×πが1つ必要」だとわかりますから、
円柱4と円柱5は必ず接するようにしなければいけません。
2つの円柱の接する部分が「小さい方の円柱の底面積」になることから、
[5 4□□□]の場合は[5 4 3 2 1]以外にできません。
そこで、残りの[□5 4□□]、[□□5 4□]、[□□□5 4]について調べると、
[□5 4□□]→[1 5 4 3 2][2 5 4 3 1][3 5 4 2 1]
[□□5 4□]→[1 2 5 4 3][1 3 5 4 2][2 3 5 4 1]
[□□□5 4]→[1 2 3 5 4]
が見つかります。
あとは
「最も左端の番号は最も右端の番号よりも大きい」
という解答方法の指定に合うように書き直します。
[2 3 4 5 1][2 5 4 3 1][3 5 4 2 1][3 4 5 2 1][2 4 5 3 1][2 3 5 4 1][4 5 3 2 1]
2015年度の桜蔭中の入試問題は以前そうであったように、
「調べる」問題が多く出題されました。
桜蔭中の「調べる問題」は、
「見当をつけて調べる」タイプ
と
「絞り込み方にヒントがある」タイプ
がありますが、
今年度は後者の問題が出されました。
前回ブログの開成中と同様、
2015年度の桜蔭中の入試も、
表面積が2通りの方法で求められる(大問Ⅳ)ような基礎学力を
きちんと身につけた上で過去問演習をしてきた受験生ならば、
実力を発揮しやすかったと思います。
新6年生は、
夏期講習からの過去問演習で答案作成の練習に集中できるよう、
夏休み前までの学力作りが重要だと言えそうですね。

