苦手の克服 相似4
「第303回 苦手の克服 相似4」
前回は、合格力判定サピックスオープンや学校別サピックスオープンのような、
レベルの高いテストからの問題をみてきました。
その結果、マンスリーテストのような中級レベルのテストで通用した
「小問ごとに図を書く」というテクニックだけでは攻略することが難しく、
「わかったことと関連のある図形を探す」
「わかったことを求めるものと結びつける」
ことが必要だとわかりました。
そこで今回は、実際の入試問題に出題された、
相似や辺の比と面積比の関係を題材とした問題について、
どのような着眼点が必要なのかについて調べていきます。
はじめにご紹介するのは、ラ・サール中の2016年度の入試問題です。
ラ・サール中は鹿児島の名門校で、
2017年入試の予想偏差値は、
サピックスでは53、日能研では63です。
2016年度 ラ・サール中 入試問題 算数より
大問4 AB=12cmの長方形ABCDがあります。図のように、辺BC、CD上にそれぞれ点E、Fがあり、BE:EC=2:3、CF:FD=1:1です。このとき、次の問いに答えなさい。
(1)三角形AEDと三角形DEFの面積の比を最も簡単な整数の比で求めなさい。
(2)三角形AEGの面積が60cm2のとき、三角形AEFの面積は何cm2ですか。
(3)(2)のとき、辺ADは何cmですか。
小問が3つありますから、まずは「小問ごとに図を書く」というテクニックを使っていきましょう。
(1)

図を書くと、
「等高図形の面積比=底辺の比」という図形の基本知識が利用でき、
三角形AEDは長方形の1/2、
三角形DEFは長方形の3/10×1/2=3/20
ということがわかります。
1/2:3/20=10:3
(2) 
(1)は「比べる2つの三角形が問題文中に書かれて」いましたが、
(2)にはそれがありません。
そのために「手が止まってしまう」ようでしたら、
「答えを求めるには何がわかればよいか」
という視点を持つようにしましょう。
「今わかっていることから、次に何がわかるか」
のように順々に前進していく視点に加えて、
「答えを求めるには何がわかればよいか」
という答えから逆戻りする「逆算の視点」を身につけると、
「手が止まる」こともグンと減ります。
あとは「面積や面積比を求める知識」を使って問題を解くだけです。

これらを踏まえて(2)を見ていきます。

上記のように、
(2)は「三角形AEFの面積」を求める問題から、
「AG:GF」を求める問題に変わりました。
ここまでくると、前回、見ました
「わかったことと関連のある図形を探す」
「わかったことを求めるものと結びつける」が使えます。
(1)でわかったことと、求める「AG:GF」を、ひとつの図にすると、
「底辺が共通な2つの三角形」という「等高図形」の応用解法である
「等底辺図形」が使える問題だとわかります。
「面積比=高さの比」ですから、AG:GF=10:3です。
60cm2×13/10=78cm2
(3) (2)が正解できれば、(3)は難しくありません。
(2)でわかったことが見やすくなるように、
「小問ごとの図を書く」と、次のような解き方になります。
この図とは逆の問題(長方形の周りの辺比から斜線部分の面積を求める)が
テキストや問題集にありますから、
それが解けるようになっていれば(3)の正解も難しくないと思います。
なお、(3)では「琵琶湖型三角形(中底辺の利用)」と「均等分割」という
2つの解法知識を用いて解くこともできます。
ここまでみてきたさまざまなテスト問題から、
相似や辺の比と面積比の難しい問題が解けるようになるためは、
下図のように、2つまたは3つの力を身につけることが必要だといえそうです。
問題を解くツールとしての「解法知識」は、問題の難度に応じたものが必要です。
しかし、どのツールが使えるかの判断ができなければ、正答率が安定しません。
正答率を安定させ、問題レベルの階段を上がっていくためには、
上の図のように
「関連する図形を探す」力、
さらに「前進」と「逆算」の2つの視点が必要です。
「塾の宿題」をすると
「解法知識」の習得と定着が可能になります。
テストの振り返りをすると
「関連する図形の探し方」「前進と逆算の2つの視点」を学ぶことができます。
いま何を身につけることが必要か、
特に力を入れる学習が何であるかを見つけることができるといいですね。
次回も、「実力upの階段」について、もう少し見ていこうと思います。

