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第621回 共学中の入試問題 平面図形 3

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図形の練習問題 2023年06月03日18時00分

「第621回 共学中の入試問題 平面図形 3」

前回は、近年の共学中入試で出された「平面図形」の中から「円の一行問題」を取り扱いました。

今回は「辺の比と面積比の一行問題」について考えていきます。

 

1問目は、等高三角形の定番問題です。

 

【問題】三角形ABCを下の図のように面積の等しい6つの三角形に分けました。ABの長さが24㎝のとき、DEの長さは何㎝ですか。

(法政大学中学校 2022年 問題2-(8) 問題文一部変更)

 

【考え方】

「イナズマ切り」ともいわれる、等高三角形の定番問題です。

 

等高三角形

高さが同じ三角形の面積比=底辺比

 

「イナズマ切り」は、小さい三角形から考える解き方と全体から考える解き方の2つがあります。

今回は小さい三角形から見ていく解法を使ってみます。

図より、各辺の長さの比は次のように整理できます。

DE=24㎝×15/48=7.5㎝

答え 7.5㎝

 

本問は等高三角形の考え方が確認できる問題です。

 

2問目は、隣辺比の基本問題です。

 

【問題】図のように3辺の長さがAB=9㎝、BC=10㎝、CA=7㎝の三角形があります。辺BC上に点Dがあり、BD=3㎝とします。辺CA上に点Pがあり、2点D、P、を通る直線が三角形ABCを2等分します。このとき、CPの長さは何㎝ですか。

(昭和学院秀英中学校 2023年 問題2-(1) 問題文一部変更)

 

【考え方】

1つの角を共有する2つの三角形の面積比は、その角をはさむ2辺の長さの積に等しいことを利用する問題です。

面積比 △ABC:△PDC=2:1

辺の比(積)(AC×BC):(PC×DC)=2:1

(7㎝×10㎝):(□㎝×7㎝)=2:1

□=5(㎝)

答え 5㎝

 

本問は隣辺比の基本が確認できる問題です。

 

3問目は、相似の基本問題です。

 

【問題】下の三角形ABCでEF、DGは辺ACに平行です。BF:FG:GC=3:5:2で、斜線部分の面積が110㎠のとき、三角形ABCの面積を求めなさい。

(明治大学付属中野八王子中学校 2022年 問題2-(5) 問題文一部変更)

 

【考え方】

三角形ABCと三角形DBGと三角形EBFは相似で、相似比は

BC:BG:BF=10:8:3

です。

(面積比)=(相似比)×(相似比)なので、三角形ABCと三角形DBGと三角形EBFの面積比は

(10×10):(8×8):(3×3)=100:64:9

です。

よって、

(三角形ABCの面積):(斜線部分の面積)=100:(64-9)=20:11

です。

110㎠×20/11=200㎠

答え 200㎠

 

本問は三角形の相似の基本が確認できる問題です。

 

今回最後の問題は、相似の応用問題です。

 

【問題】下の図のような面積が120㎠の平行四辺形ABCDがあります。対角線BDを3等分する点をE、Fとし、直線AE、AFを延長した直線が辺BC、CDと交わる点をそれぞれG、Hとします。五角形EGCHFの面積を求めなさい。

(広尾学園中学校 2022年 問題1-(4) 問題文一部変更)

 

【考え方】

「ダブル・チョウチョ」といわれることのある2組の相似を利用する、これも定番の問題です。

点E、Fが対角線BDを3等分していますので、辺の比と面積比は次のようになります。

三角形ABDの面積に着目すると、

②+④=4□+2□

となっていますので、

①=1□

とわかります。

よって、平行四辺形ABCDの面積は次のように区切られていることになります。

②×3=120㎠÷2

①=10㎠

120㎠-10㎠×(2×3+1×2)=40㎠

答え 40㎠

 

本問は2組の相似な三角形と等高三角形を組み合わせて解く問題です。

「比合わせ」を必要としない問題ですから、もし正解できなかったときは「辺の比と面積比」の考え方がまちがっていないかをチェックしましょう。

なお、対角線ACを引いて平行四辺形ABCDを三角形ABCと三角形ADCに分けて解く方法もあります。

 

今回は、近年の共学中入試で出された「辺の比と面積比の一行問題」をご紹介しました。

いずれも定番の問題ですので、等高三角形、相似までの学習を終えているようでしたら、基本の解法がマスターできているかを、これらの問題で確かめてみましょう。

次回は、同じ「辺の比と面積比」の問題から、大問形式のものを取り扱っていく予定です。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2023年06月03日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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