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第634回 女子中の入試問題 数と計算 2

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数の性質の練習問題 2023年09月02日18時00分

「第634回 女子中の入試問題 数と計算 2」

前回から2023年度に女子中で出された入試問題の中から、「数と計算」について考えています。

今回も前回に続いて「数と計算の一行問題」を取り扱っていきます。

 

1問目は「余り処理」の問題です。

 

【問題】7で割ると2余り、11で割ると1余る3けたの整数のうち、最も小さい数と最も大きい数を答えなさい。

(普連土学園中学校 2023年 問題2-(1))

 

【考え方】

「余り処理」の問題は、条件を式に表すことが解き方の基本です。

□÷7=★あまり2

□÷11=☆あまり1

 

「余りが等しい(余り共通)」問題でも「(割る数)-(余り)が等しい(不足共通)」問題でもありませんから、□にあてはまる最も小さい数を「書き出し」で調べます。

 

最も小さい数は23で、その後7で割ると2余る数は7ずつ増え、11で割ると1余る数は11ずつ増えますから、2番目の数は7と11の最小公倍数の77大きい100です。

 

よって、求める数は、「23+77×◎」で表せます。

 

最も大きい数は999に最も近い3けたの数です。

23+77×◎=999

とすると

◎=(999-23)÷77=12.6…

より、◎は12以下です。

23+77×12=947

 

答え 最も小さい数 100、 最も大きい数 947

 

本問は、「余り処理」の3つのパターン(余り共通、不足共通、それ以外)の使い分けができるかを確認できる問題です。

基本レベルの問題ですから、もし正解できなかったときは、この単元をすぐに復習しましょう。

 

では、2問目です。

 

【問題】60との最大公約数が12で、28との最小公倍数が252である2桁の整数を求めなさい。

(横浜雙葉中学校 2023年 問題1-(3))

 

【考え方】

最大公約数と最小公倍数に関する条件は「逆割り(すだれ算)」で整理できます。

 

「逆割り(上)」より■は5と互いに素(公約数が1だけ、もうそれ以上逆割りができない)な整数とわかります。

また、「逆割り(下)」で

☆×★=28

ですから、

◎=252÷28=9

もわかります。

 

「逆割り(上)」より

□=12、24、36、48、72、84、96

となりますが、「逆割り(下)」より□は9の倍数(□=9×★)ですから、

□=36または72

です。

 

確認をします。

 

よって、□=36です。

 

答え 36

 

本問は、最大公約数や最小公倍数を求めるときに使う「逆割り」の意味が理解できているか確認できる問題です。

2けたの12の倍数は8個しかありませんので順に調べていっても構いませんが、できれば「9の倍数」という絞り込みをして解きましょう。

 

続けて、3問目です。

 

【問題】3つの整数2342、2894、3561を、1以外の整数( ア )で割ると余りがどれも( イ )になります。( ア )、( イ )にあてはまる数を答えなさい。

(フェリス女学院中学校 2023年 問題1-(3) 問題文一部変更)

 

【考え方】

「余り処理」の基本通り、条件を式に表します。

2342÷( ア )=□あまり( イ )

2894÷( ア )=■あまり( イ )

3561÷( ア )=◎あまり( イ )

 

割り算の式をかけ算の式に直すことも、「余り処理」の基本です。

( ア )×□+( イ )=2342

( ア )×■+( イ )=2894

( ア )×◎+( イ )=3561

 

3つの式を線分図に表します。

 

「( ア )×□」は「( ア )の倍数」ことですから、線分図の差の552と667は、それぞれ( ア )の倍数です。

 

言い換えると、( ア )は552と667の公約数です。

552と667の最大公約数は23ですから、( ア )は1または23です。

しかし、問題文中に「1以外の整数( ア )」とありますので、( ア )は23と決まります。

 

2342÷23=101あまり19 → ( イ )=19

 

答え ア 23、 イ 19

 

本問は「不明の同数余り」ともいわれる、「余り処理」の定番問題の1つです。

「割る数は差の公約数の中の数」を利用するパターン問題ですから、習い終えていたら必ず正解したい問題です。

 

では、今回の最後の問題です。

 

【問題】2の倍数の積2×4×6×8× … ×96×98×100を計算すると、初めて0でない数字が現れるのは一の位から数えて何けた目ですか。

(湘南白百合学園中学校 2023年 問題1-(3) 問題文一部変更)

 

【考え方】

「末尾の0」問題です。

末尾から連続する0の個数は、その整数を□×10×10×…×10の形に表したときの「×10」の個数と同じです。

10=2×5より「×2」1個と「×5」1個から「×10」1個を作ることできます。

ですから、2×4×6×8× … ×96×98×100を素因数分解したときの「×2」の個数と「×5」の個数がわかると、「×10」の個数も求められます。

 

はじめに、問題の式を変形します。

2×4×6×8×…×96×98×100

=(2×1)×(2×2)×(2×3)× … ×(2×48)×(2×49)×(2×50)

 

変形した式から、「×2」が「×5」よりも多くあるとわかりますので、「×10」の個数は「×5」の個数と同じです。

 

さらに

(2×1)×(2×2)×(2×3)× … ×(2×48)×(2×49)×(2×50)

=(2×2×2× … ×2×2×2)×(1×2×3× … ×48×49×50)

と変形すると、(2×2×2× … ×2×2×2)の中に「×5」はありませんから、(1×2×3× … ×48×49×50)の中の「×5」の個数を求めればよいことになります。

 

「×5」を含む整数は5の倍数です。

5の倍数は「×5」は1つ含み、そのうち25の倍数は「×5」をさらにもう1つ含むので、「×5」を○で表すと

のようになり、1以上50以下の整数の中に「×5」が全部で12個あるとわかります。

このことは

のように計算で求めることもできます。

 

以上から、「×10」が12個あるとわかりましたので、問題の式の積に初めて0が出てくるのは一の位から数えて13けた目です。

 

答え 13けた目

 

本問は「末尾の0」の応用問題です。

末尾の0は「×10」、つまり「×2×5」の個数と同じ、ということが理解できているかが確認できる問題です。

 

今回は、2023年度の女子中の入試で出された「数と計算の一行問題」を前回に引き続きご紹介しました。

「数と計算」の問題は、条件に適した解法の選択がポイントです。

家庭学習では、問題の条件をよく読み、条件にあった解法が選択できているかを確認していきましょう。

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