第139回 夏は受験の天王山 2014年度に向けて⑧
~2013年度の入試問題を題材に夏の学習準備をする その3~
『夏期講習の準備の最後に立体図形の確認を!』
「小3までに育てたい算数脳」高濱正伸(健康ジャーナル社)
久しぶりに本棚から引っ張り出して読み直しました。
この本が書店に並んでいるのを見つけとき、
一文一文「ほんと、そうなんだよなぁ。」と思いながら読んだことを思い出しました。
高濱先生は、算数ができるようになる要素を
わかりやすい言葉とネーミングで読者に伝えてくれています。
この本をきっかけに
「算数にとって言葉がの大切である」ことを
強く意識するようになりました。
機会があれば手に取っていただければいいなと思います。
さて今回は、夏期講習会を前に、
低学年での外遊びがカギだと「算数脳」にも書かれていた「空間把握力」、
立体図形問題の準備ができているかどうかをチェックしてみましょう。
桜蔭中 2013年度 入試問題より
Ⅴ 右の図1のような立体があります。この立体の各面の形は,正方形か長方形か台形です。
このとき,次の問いに答えなさい。
(1)この立体の体積と表面積を求めなさい。
(2)図2のように、面ア上の対角線の交点を中心とする半径5cmの円をAとします。そしてAの形の穴を面アと垂直に、この立体をつきぬけるようにあけます。
このとき,穴をあけた後の立体の体積を求めなさい。
(3)(2)でできた立体について、図3のように面イを12等分し、斜線部分の正方形をBとします。Bの形の穴を面イと垂直に立体をつきぬけるようにあけます。
このとき,穴をあけた後の立体の表面積を求めなさい。
「桜蔭中のV」と聞いただけで、
難しいという印象を持つお子さんもおられるかも知れませんが、
(1)、(2)は基礎力の確認になりますので、6年生は解いてみましょう。
(1)では「この立体図形の名前がわかる?」という質問をしたときに、
正しい名称が答えられるかどうかを確認します。
「台形柱」あるいは「(台形を底面とする)四角柱」という答えが
返ってくれば及第点です。
四角柱という認識があれば、
・四角柱の体積=底面積×高さ
・四角柱の表面積=底面積×2+底面(台形)の周りの長さ×高さ
という、公式が利用できることに気づけていますので、
時間のロスや計算の間違いが少なくなるからです。
名前のある立体図形では、その名前を言えることが大切なポイントなのです。
では、(1)の答えを求めておきましょう。
体積は、
(30+60)×40÷2×30=54000cm3
表面積は、
(30+60)×40÷2×2+(30+50+60+40)×30=9000cm2
です。
(2)は、(1)で求めた四角柱の体積から、くりぬいた円柱の体積を引くだけです。
円柱の体積は、
5×5×3.14×40=3140cm3
ですから、
54000-3140=50860cm3
となります。
(3)は、「空間把握力」がチェックできる上級問題です。
桜蔭中の問題図でも、
(2)でくりぬいた円柱部分と(3)でくりぬく立体とが交わっている部分が
空白になっています。
この部分がどうなるかを
桜蔭中の出題者は受験生に尋ねているんですね。
立体図形を考えるときは
1.投影図(真正面からみた立面図と真上からみた平面図)を書く
2.見取り図を書く
を繰り返しながら、どんな図形になるかをイメージしていきます。
そこで、図3の立体図形を真正面、真横、真上から見た図を書いてみましょう。
この図のように3つの図を並べることが出来なくてもOKです。
ただし、真正面からの図と真横からの図は左右に並べてるようにしましょう。
まず、真正面からの図と真横からの図の斜線部分(青色)に着目すると、
立方体をイメージできます。
さらに真正面からの図と真上からの図からは円柱が想像できます。
これらをあわせて、交わっている部分の見取り図を書いてみます。
つまり、
のような立体図形がくりぬかれることになります。
はじめにご紹介した「空間把握力」は、
このような「図形の合成」に役立っているのだと思っています。
また、見取り図が見取り図らしく書ける力も、「空間把握力」に夜と思います。
ともかく、投影図と見取り図からどのような立体図形になるかがわかりました。
「穴」の部分は面がありませんから、引くことを忘れないようにします。
円柱の側面積は、
10×3.14×(40-10)=300×3.14
もとの台形柱(四角柱)にあいた2カ所の「穴」の面積は、
5×5×3.14×2=50×3.14
です。
また、断頭四角柱の側面積は、
☆=37.5(cm)、★=45(cm)なので、
10×4×{(37.5+45)÷2}=1650(cm2)
もとの台形柱(四角柱)にあいた2カ所の「穴」の面積は、
□=12.5(cm)なので、
10×10+10×12.5=225(cm2)
くりぬく断頭四角柱の側面にあいた2カ所の「穴」の面積は、
5×5×3.14×2=50×3.14
です。
(1)でもとの台形柱(四角柱)の表面積は9000cm2でしたから、
9000+300×3.14-50×3.14+1650-225-50×3.14=11053(cm2)
が求められました。
(3)は「だいたいわかるけど正解できない」というお子さんもいると思います。
立体図形を考えるときは
1.投影図(真正面からみた立面図と真上からみた平面図)を書く
2.見取り図を書く
を繰り返しながら、どんな図形になるかをイメージしていきますと書きましたが、
実際には、投影図で正確な長さを求め、
見取り図でどの部分を計算していけば良いのかを確認する作業も含まれます。
この(3)では、断頭四角柱の側面にあいた「穴」の見落としが
最も多い間違い方ではないかと思いますが、
見取り図を書いておくことでその間違いを防ぐことが可能です。
立体図形の学習は「頭の中」の学習だけでなく、
投影図や見取り図、展開図などの図を
「実際に書く」という作業も大切な学習ポイントです。
この学習で身につけた技術が、
より高度な問題である「立体図形の切断」に役に立っていきます。
まだ、夏休み前ですから、高度な立体図形の切断はともかく、
(3)のような問題までができるようになっていると、
夏期講習で学ぶ内容も「血となり肉となる」と思います。
いよいよ、夏期講習がスタートします。
受講して良かったと最後に言えるように、準備と復習をしていきましょう。

