第772回 共学中の入試問題 速さ 4
「第772回 共学中の入試問題 速さ 4」
近年に共学中の入試で出された「速さ」の問題について考えています。
今回取り扱うテーマは「流水算」です。
まずは一行問題から見ていきましょう。
【問題】次の□にあてはまる数を答えなさい。
ある川をA地点からB地点まで往復するのに、上りにかかる時間は下りにかかる時間の1.6倍で、静水時の船の速さは時速18.2㎞です。この川の流れの速さは時速□㎞です。
(法政大学中学校 第1回 2025年 問題2-(5))
【考え方】
川を往復する場合、上りと下りの道のりが同じですから、上りと下りの速さの比は時間の比と逆比の関係です。
時間の比 上り:下り=1.6:1=8:5 → 速さの比 上り:下り=5:8
上り、下り、静水時、川の流れの速さの関係は、線分図に整理できます。

上りの速さを⑤とすると、下りの速さは⑧、川の流れの速さは
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ですから、
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です。
よって、川の流れの速さは
2.8㎞/時×1.5=4.2㎞/時
です。
答え 4.2
本問は、上り、下り、静水時、川の流れの速さの関係を確認できる基本問題です。
正解できないようでしたら、比の利用方法や速さの関係の整理方法を確認しましょう。
2問目は流水算のグラフ問題です。
【問題】太郎君は午前9時にA町を出発して、2㎞離れた川沿いのA町とB町の間をボートで往復しましたが、途中で5分間、ボートを停止したため、ボートは川に流されました。また、次郎君は午前9時にA町を出発して、静水時の速さが時速4.9㎞のボートでB町まで行きました。下のグラフは、ボートが出発してからの時間と、A町からボートまでの距離の関係を表したものです。太郎君の乗ったボートの静水時の速さ、および、川の流れの速さはそれぞれ一定であるものとして、次の(1)の□には適当な小数を、(2)の□には適当な帯分数をそれぞれ入れなさい。

(1) 川の流れの速さは時速□㎞です。
(2) 2人が乗ったボートがすれ違うのは、午前9時□分です。
(慶應義塾中等部 2026年 問題4 問題文一部変更)
【考え方】
(1)
「太郎君は午前9時にA町を出発して、2㎞離れた川沿いのA町とB町の間をボートで往復しましたが、途中で5分間、ボートを停止したため、ボートは川に流されました」とありますから、グラフの10分後から右下がりになっている部分が「流された」部分です。
ですから、下のグラフの赤色部分に着目すると、太郎君が
2000m-800m=1200m
を上るのに
27分-(10分+5分)=12分
かかったとわかります。

1200m÷12分=100m/分 … 太郎君の上りの速さ
太郎君はA町を出発してから10分後に、A町から
■m=100m/分×10分=1000m
の地点にいましたから、5分間で
1000m-800m=200m
流されたことになります。
200m÷5分=40m/分 … 川の流れの速さ
40m/分×60分÷1000=2.4㎞/時
答え 2.4
(2)
太郎君の乗ったボートの静水時の速さは
100m/分+40m/分=140m/分、
下りの速さは
140m/分+40m/分=180m/分
です。


グラフの水色部分に着目します。

答え 30 18/19
本問は、グラフの着眼点や使い方を確認できる問題です。
今回のような考え方は他の速さのグラフ問題においても必要になりますから、もし、間違えたときは、ダイヤグラム(進行グラフ)の基本問題を使って着眼点や使い方を復習しましょう。
なお、解答例の他に、三角形の相似を利用する解き方もあります。

3問目は、「故障する流水算」の問題です。
【問題】ある川の下流にある地点Aと、Aから7.2㎞離れた上流にある地点Bを船で一定の速さで往復すると、上りは45分、下りは30分かかります。このとき、次の問いに答えなさい。
(1) この船の静水時の速さは分速何mか求めなさい。
(2) ある日、AからBまで移動しているときに、途中でエンジンが故障してしまいました。すぐに修理をはじめましたが、修理している間も船は流されたため、65分かかりました。このとき、修理にかかった時間は何分間か求めなさい。
(3) ある日、AからBまで往復しているときに、上りで1回、下りで1回、合計2回、途中でエンジンが故障してしまいました。どちらもすぐに修理をはじめましたが、修理している間も船は流されたため、往復で100分かかりました。上り下りでエンジンの修理にかかった時間が同じであるとき、修理にかかった時間の合計は何分間か求めなさい。
(市川中学校 第1回 2026年 問題2)
【考え方】
(1)
7200m÷45分=160m/分 … 上りの速さ
7200m÷30分=240m/分 … 下りの速さ

(240m/分-160m/分)÷2=40m/分 … 流速
160m/分+40m/分=200m/分
答え 分速200m
(2)
時間の条件が距離の条件よりも多く与えられていますから、ダイヤグラムに整理します。(左下図)
このとき、「もし、出発時に故障したら…」と仮定したグラフにしておくと考えやすくなります。(右下図)

右上図の赤色部分において、(40m/分の速さでAから流された道のり)=(160m/分の速さでAまで戻る道のり)ですから、流された時間と戻る時間の比は速さの比と逆比の関係です。
速さの比 流速:上り=40m/分:160m/分=1:4 → 時間の比 ④:①
また、右上図の水色部分は平行四辺形ですから
④+①=65分-45分
です。
①=(65分-45分)÷(4+1)=4(分)
よって、修理にかかった時間(=流された時間)は
4分×4=16分
です。
答え 16分間
(3)
「もし、Aを出発したときとAに戻る直前に故障をしたら…」と仮定すると、グラフは次のようになります。

上のグラフの赤枠部分は、(流された道のり)=(故障せずに下る予定だった道のり)ですから、速さの比と時間の比は逆比の関係です。
速さの比 流速:下り=60m/分:240m/分=1:6 → 時間の比 6:1
「上り下りでエンジンの修理にかかった時間が同じ」という条件と合わせて、連比に整理します。

ですから、
⑫+③+45分+30分-②+⑫=100分
です。

①=(100分-45分-30分)÷(12+3-2+12)=1分
よって、修理にかかった時間の合計は
1分×12×2=24分
です。
答え 24分間
本問は、故障する流水算の考え方を確認できる問題です。
(2)や(3)を正解できないときは、解答例のように故障する位置を出発時や到着時に仮定するグラフを利用してみましょう。
今回は、2025年度と2026年度に共学中で出された流水算の問題をご紹介しました。
1問目や2問目のような基本レベルの問題を正解できないときは、上り、下り、静水時、川の流れの速さの関係やグラフの読み取り方を類題を使って復習します。
その後で、グラフに工夫をする3問目のような応用レベルの問題にも取り組んでみましょう。
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