第778回 共学中の入試問題 平面図形 5
「第778回 共学中の入試問題 平面図形 5」
ここまで、近年に共学中の入試で出された「平面図形」がテーマの問題を見てきています。
今回は「図形の移動」について考えます。
1問目は対称移動の問題です。
【問題】[ ]にあてはまる数を入れなさい。円周率を使う場合は3.14とします。
図は、台形ABCDから半径2㎝の半円を切り取ったものです。この図と直線アイが対称の軸になるような線対称な図形と、点Oが対称の中心になるような点対称な図形をかいたとき、直線アイの右側で、2つの図形が重なった部分の面積は[ ]㎠です。

(青山学院中等部 2025年 問題7 問題文一部変更)
【考え方】
直線アイを対称の軸とする図形、点Oを対称の中心とする図形をそれぞれかくと、重なりは右下図の色をつけた部分です。

次の図形式のように、重なった部分の面積は、直角二等辺三角形(赤色)の面積から2つの弓形の面積(四分円(水色)と直角二等辺三角形(紫色)の面積の差)を引いて求められます。

8㎝×4㎝÷2=16㎠ … 直角二等辺三角形(赤色)の面積
2㎝×2㎝×3.14×90度/360度×2=6.28㎠ … 2つの四分円の面積
2㎝×2㎝÷2×2=4㎠ … 直角二等辺三角形(紫色)の面積
16㎠-(6.28㎠-4㎠)=13.72㎠
答え 13.72㎠
本問は、線対称移動な図形と点対称移動な図形をかく問題です。
解答例のようなマス目をかく工夫をすると、作図や計算がしやすいでしょう。
2問目は平行移動の問題です。
【問題】下の図のように、直角三角形と正方形が重なっています。このとき、次の問いに答えなさい。

(1) 直角三角形と正方形が重なった部分の周囲の長さを求めなさい。
(2) 直角三角形が直線ℓ上を毎秒1㎝の速さで矢印の方向に移動したときに、直角三角形と正方形が重なった部分の周囲の長さを考えます。直角三角形と正方形が重なった部分の周囲の長さが15㎝となるのは直角三角形が移動してから何秒後ですか。
(法政大学中学校 第1回 2025年 問題4 問題文一部変更)
【考え方】
(1)
三角形ABCと三角形EDCは相似で、相似比が
BC:DC=8㎝:(8㎝-6㎝)=4:1
ですから、
AB:ED=AC:EC=4:1
です。

6㎝:□㎝=4:1 → □=6㎝×1÷4=1.5㎝
10㎝:■㎝=4:1 → ■=10㎝×1÷4=2.5㎝
AE=10㎝-2.5㎝=7.5㎝

6㎝+6㎝+1.5㎝+7.5㎝=21㎝
答え 21㎝
(2)
1秒後の様子を調べます。

三角形GHIと三角形JDIは相似で、相似比が
HI:DI=8㎝:(8㎝-5㎝)=8:3
ですから、
GH:JD=GI:JI=8:3
です。
6㎝:□㎝=8:3 → □=6㎝×3÷8=9/4㎝
10㎝:■㎝=8:3 → ■=10㎝×3÷8=15/4㎝
GJ=10㎝-15/4㎝=45/4㎝
6㎝+5㎝+9/4㎝+25/4㎝=19.5㎝ … 1秒後の重なりの周囲の長さ
直角三角形が動き始めてからの周囲の長さの変化に着目します。

上の図から、重なりの周囲の長さが1秒間に1.5㎝減ることがわかりますから、周囲の長さが0秒後の21㎝から★秒後の15㎝まで
21㎝-15㎝=6㎝
減るのにかかる時間は
6㎝÷1.5㎝/秒=4秒
です。
答え 4秒後
本問は、平行移動の作図、1秒あたりの変化の割合を利用する問題です。
(2)を正解できないときは、図形を1㎝ずつ移動させた図をかいてみましょう。
3問目は回転移動の問題です。
【問題】図のような一辺10mの正方形の柵がある。柵にはAを中心に内側のみに開く戸が1つあり、Bの位置には一頭の羊がロープでつながれている。ロープの長さは1mから10mの間で固定することができる。戸や柵の厚さ、および羊の大きさは考えないものとし、羊の位置はロープの端と考える。円周率は3.14として、以下の問いに答えなさい。

(1) 戸が閉まっている状態から、図のように内側に全開になるまでの、戸が開いた角度を求めなさい。
(2) 戸が図のように内側に全開の状態で、ロープの長さを10mで固定したときの、羊の動ける範囲の面積を求めなさい。
(3) 戸が閉まっている状態で、羊が動ける範囲の周囲の長さ(直線の部分も含む)を測ったところ、46.4mであった。このとき、ロープの長さを何mに固定しましたか。
(慶應義塾湘南藤沢中等部 2025年 問題3)
【考え方】
(1)
戸を厚さのない直線で表します。

三角形AEDは正三角形を2等分した図形ですから、○=60度です。
よって、戸が開いた角度は
180度-60度=120度
です。
答え 120度
(2)
羊が動ける範囲は、次のア~エの4つのおうぎ形の部分です。

10m×10m×3.14×180度/360度=50㎡×3.14 … アの面積
4m×4m×3.14×90度/360度=4㎡×3.14 … イの面積
6m×6m×3.14×90度/360度=9㎡×3.14 … ウの面積
3m×3m×3.14×120度/360度=3㎡×3.14 … エの面積
(50㎡+4㎡+9㎡+3㎡)×3.14=207.24㎡
答え 207.24㎡
(3)
羊が動ける範囲について、おうぎ形の個数で場合分けをします。
おうぎ形が1個の場合、ロープの最大の長さは4mです。

4m×2+4m×2×3.14×180度/360度=20.56m
おうぎ形が2個の場合、ロープの最大の長さは6mです。

6m×2+6m×2×3.14×180度/360度+2m×2×3.14×90度/360度=33.98m
おうぎ形が3個の場合、ロープの最大の長さは10mです。

10m×2+10m×2×3.14×180度/360度+6m×2×3.14×90度/360度+4m×2×3.14×90度/360度=67.1m
わかったことをグラフに整理すると、周囲の長さが46.4mになるのはロープの長さが6mから10mの間(おうぎ形が3個の場合)であることがわかります。

赤色の三角形は相似です。
(67.1m-33.98m):(46.4m-33.98m)=33.12m:12.42m=8:3
ですから、
(10m-6m):(□m-6m)=8:3
です。
□m=(10m-6m)×3÷8+6m=7.5m
答え 7.5m
本問は、直線の回転移動の作図と変化の割合を利用する問題です。
なお、(3)では、直角三角形を移動させる前問のように、ロープの長さを1mずつ長くした図をかいて考えることもできますし、ロープの長さが6m以上の場合とわかった段階で、ロープの長さを①mとして解く方法もあります。
最後は転がり移動の応用問題です。
【問題】図のように、直径6㎝のコインを3枚つなげ、直線上をすべらないように1回転させました。PQの長さは何㎝ですか。円周率は、3.14を用いなさい。

(中央大学附属中学校 第1回 2025年 問題1-(6) 問題文一部変更)
【考え方】
3枚あるコインのうち、転がる向きの一番右側にあるコイン(赤色)の動きに着目します。(図1)
赤色のコインはBCが直線と重なるまで、中心角が120度であるおうぎ形の弧ABの長さだけ転がります。(図2)
その後、Dで接するコイン、Eで接するコインをかきたします。(図3)

その後も同様に作図できます。

6㎝×3+6㎝×3.14×120度/360度×3=36.84㎝
答え 36.84㎝
本問は、3枚あるコインの中から1枚のコインに着目することが作図のポイントとなる問題です。
今回は、2025年度に共学中の入試で出された「図形の移動」の問題をご紹介しました。
この単元が苦手なときは、基本レベルの問題を使って、作図する力、相似の利用や変化の割合などの解法知識をそれぞれ確認しましょう。
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