小川大介の中学受験合格を実現する逆算受験術

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「ちゃんと考えなさい!」と言うけれど・・・・・・

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中学受験 2018年08月28日12時00分

こんにちは! 小川大介です。

「もっとちゃんと自分で考えなさいよ!」
「あなたの意見はないの?」
「ちょっと考えたらおかしいって分かるはずでしょ?」

自分の考えが言えずにモジモジしていたり、
テキストの問題を前にボーッとしていたりするわが子を見て、
思わず言ってしまいがちな言葉ですよね。

では、そもそも「考える」とはどうすることなのでしょうか?
きちんと説明してあげることができますか?

具体的な手立てが分からないのに、
「自分で考えなさい!」と言うばかりでは、言われた方も困ってしまいます。

実は、多くの子が「考える」とはどういうことか分からず、
とにかく頭がしんどくなればいいのかなと思って、
子どもなりにう〜んう〜んとうなって、
結局、何も前に進まないまま時間を過ごしています。

でも、それは考えているのではなく、困っているだけ。

「考える」とは、知識や経験などに基づいて、筋道を立てて頭を働かせることです。

つまり、「考える」とは、
何もないところから新しい何かがぱっと生み出されることでもなく、
とりとめなく思いを巡らせることでもないのです。

筋道を立てて頭を働かせるのですから、
どちらの方向に向けて進めていくかという「目的」」や「目標」が先にないといけません。

考えることが分からない、苦手という人の大半は、
何を目指して考えようとしているのか分かっていないまま頭を使おうとしているから、
何も進まないのです。

考えることが苦手な子には次の問いかけをしてみましょう。

1,今、何について考えたいの?(何が問題なの?)【対象】
2,どうなることが目標なの?(どうなればいいの?)【目標】
3,分かっていることは何?(使える知識や情報には何がある?)【材料】

この3つをこの順番で問いかけます。

テストの問題を解くときも同じです。

1,今、どんな問題を解こうとしているの?【対象】
2,何を聞かれているの?【目標】
3,どんな知識が使えそう? 今、分かっていることは何?【材料】

この3つの問いかけを経て、材料を組み合わせながら、分かることを順に見つけていきます。
つまり、考えるには、【対象】【目標】【材料】を明らかにする問いかけと、
「考えるとは材料を関係づけていくことだ」ということを示してあげればいいのです。

さて、「考える」とはどういうことかが分かったところで、
その力を伸ばすコツを教えましょう。ポイントは次の3つです。

① 安心感を渡す
② 手を動かすように促す
③ 分析させる

わが子に考える力を伸ばしたいのであれば、「安心感」を渡してあげましょう。
これは言い替えれば、「間違えることの不安を取り除く」ということです。

早くから塾通いをしてきた子によく見られる現象なのですが、
問題をちょっと見て、「あ、難しそう」と思った瞬間に
解くことをあきらめてしまう子がいます。
やる気がないと判断されがちな子ですが、実際のところはやる気の問題ではありません。

そういう子は、間違えるのが怖いのです。
間違えるたびに叱られてきた経験が重なると、
間違えなくてすむ問題だけを解こうとする癖がついてしまうのです。

その結果、解き方を思い出すだけで答えが出るような問題、
考えなくてもいい問題だけに手をつけようとします。
しかし、それでは「思考力」を重視する難関校に合格することはできません。

そういう子に考えることへの安心感を渡すには、
「何」に意識をおいた声かけが効果的
です。

「何」が今、問題かな?
「何」を目指そうかな?
分かっていることには「何」がある?

といった具合に、明確な問いをすることで、手順を踏んで進めていけば、
必ず答えが見つかるよ、という安心感を渡すのです。

2つ目は「手を動かす」促しです。

思い悩むより、「まず書いてみよう」という声かけをします。
「正解」を書こうとするのではなく、今、自分の目に見えていること、
頭の中にあることを書き出すように促します。
目で見えるようにすれば、気がつきやすいし、関係づくりもやりやすくなります。

考えることを嫌がる子は、書くことがあまり好きではなく、なかなか書こうとしません。
そういう子は、「書く」」というのは、内容が定まった後にすること、
まとめてから行うことと思い込んで、書くことへのハードルを上げてしまっているのです。

そういう子には、書くことのハードルを下げてあげる必要があります。
「後で使わなくてもいいから、ひとまずメモをしてみようか」と促しましょう。
そして、書き出すことができたら、「どれが組み合わせられそう?」と問いかけ、
考えのプロセスを前に押していきます。

3つ目は、「分析する」ことはどういうことかを示してあげましょう。
分析するとは、今ある物事、事柄をいくつかに分けることです。

【材料】は出してみたけれど、
どう組み合わせていいのか分からず、思考が止まってしまう場合は、
【目標】や【材料】の何かが複雑な内容になっていることが考えられます。

考える材料を前に、う〜んと止まってしまっているときは、
「内容を分けてみたらどうかな?」と問いかけしてみましょう。

「分析」という言葉を使うと難しく感じてしまうかもしれませんが、
要は目の前の事柄をいくつかに分けてみるのです。
分けてみて、「何」が明確に捉えられたら、考える手順に乗って進んでいけばいいのです。

「考える」とは、頭の中でう〜んとうなることではなく、
「手順を進めていくこと」だということが分かれば、
考えることはそれほど大変なことではありません。
目の前のテストも、これから先の「答えのない社会」も乗り越えていけるでしょう。

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中学受験 / 自立する子の育て方 2018年08月28日12時00分
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