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国語が苦手な子には、受験国語の読み方と答え方を教えてあげる必要がある

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中学受験 2018年11月27日12時00分

こんにちは! 小川大介です。

先日、ある受験生の親御さんから、
こんなご相談をいただきました。

「サピックスに通う小5男子の母です。
息子は小4から塾に通っていますが、
国語の成績が一向に上がらず困っています。

塾の先生に相談をしたら、
『国語は演習を重ねていくことが大事。
くり返しやっていれば、
そのうち力がついてきますよ』と言うだけで、
親身になってくれません。
今できることをアドバイスして欲しいのですが・・・」

サピックスの国語の授業は、
テキストを音読し、黙読させ、記述で答え、
できた人から先生が丸付けをするという流れで、
基本、解説はしません。
それをくり返し行うことで、
国語力が身につくという考えなんですね。

たしかに、そういう学習によって
高いレベルの国語力を身につけていく子もいます。
しかし、それは上位クラスの一握り。

多くの子は、何をどう学んでいいのかわからず、
授業を受けているだけという状態になっているように感じます。

子どもたちが悪いのではありません。
その子に合ったやり方で
国語を習えていないところに問題があるのです。

国語は、子どもの理解度に応じた読み方と答え方を
教えてあげれば、必ず伸びる科目です。

子どもの理解度は二段階で分析します。
まずは「語彙力」、次に「技術」です。

受験国語には合理的な読み方、
解き方というものがあるのですが、
そもそもの土台として語彙力は必要不可欠です。

学年相応の言葉の知識がなければ、
素材文の内容を読み取ることは難しいですからね。

この状態の子は、塾で与えられる文章を
いくら読んでも内容が頭に入ってきませんから、
遠回りに思えても語彙力をつけていくことが
結局は国語の得点アップの近道です。

語彙力をつけるコツは、
場面情報、文章情報とセットで学ぶことです。

「あどけない」という言葉を
辞書で調べただけではぴんと来なくても、
電車の中で幼い子が見知らぬおばあさんの顔を
クリクリとした目で見つめている場面で
「あどけない表情がなんとも愛らしい」
と書かれていればイメージを伴った知識として
取り入れることができますね。

ですから言葉ドリルなどを活用して語彙を増やす時も、
必ず文全体を読んで、「どんな場面かな?」
とイメージすることがコツになります。

また、心情の言い回しは、
パターンで覚えると良いでしょう。
これまでもお伝えしていますが、
小学生の子どもは人生経験がまだ乏しいため、
「こんな時はこんな気持ちになる」という実体験をしていません。

しかし、受験国語の物語文では、
登場人物の複雑な心情を読み解かなければいけません。
それを自然に感じろと言っても酷な話です。
ここは割り切って、
感情にはいくつかのパターンがあることを覚えてしまいましょう。

一方、語彙力はあるのだけれど
国語の点数が伸びてこないというお子さんは、
理解度の第二段階「技術」に課題があります。

読み方、解き方が学べていないということです。

国語が苦手な子にありがちな読み方には、
次の2つが挙げられます。

①1行1行丁寧に読んでしまい、
10行を過ぎたところで、
処理能力のキャパを超えてしまい、
文章の中身が頭に入らなくなってしまう。

②焦ったり、面倒くさがったりして、
読み飛ばしてしまう。
どう読んでいいのか、わからず読み飛ばしてしまう。

対策として、まず受験国語とはどういう手順で
読むものかを知る必要があります。

その時に、大事なのが自問自答です。

★この問題は何を聞かれているの?
★本文のどのあたりを押さえておけばわかりそう?
★おおよそどの材料を使えば、答えられそう?
★どう表現したらいいの?

つまり、ただ闇雲に読み進めていくのではなく、
設問を意識しながら読み進めていくことが大事なのです。

語彙力はあるのに、国語で点が伸びない子は、
文章の捉え方や問題の答え方を知らず、
点に結びついていないだけです。

そういう子には、
こういう問題が出たときはこういう解答のパターンがある
という型を教えてあげると、すぐに点が伸びていきます。

また、記述は得意なのに、選択問題が苦手な子がいます。
特に5年生になると増えてきます。
選択肢の作り方が変化するためです。

4年生の時は、正解の選択肢は、
文中に出てくる表現と同じ言葉で書かれています。
ですから、文章内容を十分に理解していなくても、
同じ言葉があるかどうかを見るだけで正解を選べてしまいます。

ところが、5年生になると、
文章の意味は同じだけれど、
違う言い回しで選択肢が作られるようになります。
すると、問題文をパッと見て「同じだ!」
という解き方をしてきた子は、
途端に間違えるようになるのです。

こうしたつまずきをしている子には、
言葉を置き換えて読むことを意識させたいですね。

選択肢の意味そのものが理解できない時は、
音読をさせるといいでしょう。
音読は一字一字確認をしながら読むため、
読み飛ばしがなく、理解がしやすくなります。

このように、国語の点数を上げるには、
お子さんの理解度をまずは分析することが大切です。

その上で、その子に応じた対策を打っていきます。
そうすれば、どんな子でも伸びていきます。

さて、最後に、あなたのお子さんが、
国語が苦手で塾の先生に相談をした時、
その先生が力量のある先生かどうかの見極め方を
お伝えしておきましょう。

よい先生なら、テストの答案を見ながら、
「この子はどういう考え方をしたのかな?」
と頭の使い方を想像しながら、
一緒に考えてくれるでしょう。

他の問題の正解・不正解を見ながら、
この子はどういう癖があるかを見ていきます。

また、国語だけでなく、
算数や理科・社会の成績もチェックし、
論理力があるかどうかを点検します。

理科ができるなら、
条件の読み取りはできる子なんだな。
であれば、国語の論説文は得意なはずだ。

社会の歴史が好きな子は、
人間やストーリーに興味があるので、
イメージ力があり、物語文は好きかもしれない。

そうやって、他教科と照らし合わせながら、
どうやったらこの子が国語を伸ばしていけるかを
真剣に考えてくれます。

逆に、力量のない先生は、問題の解説をしてきます。
「ここは引っかかりやすいから気をつけてください。
あとは練習をくり返すしかありませんね」
といったアドバイスはしてくれても、
お子さん自身のことを理解しようとはしてくれません。

国語は他の教科に比べて
アドバイスがしにくい教科ではありますが、
正しい問題の読み方と答え方を教え、
苦手分野に関してはこれとこれをやればできるようになる
と具体的に教えてあげると、子どもは安心し伸びていきます。

お子さん自身のことを理解して、伸ばしてあげましょう。

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中学受験 / お悩み相談 2018年11月27日12時00分
主任相談員の小川大介
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