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親子が異なるタイプの場合はどう向き合えばいい?

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中学受験 2019年07月23日12時00分

こんにちは! 小川大介です。

先日、あるご夫婦が娘さんの受験相談にいらっしゃいました。

お母さんはこう話します。

「5年生の2月から日能研に通っています。
6月にMクラスに上がったのはいいのですが、
そこからあまり伸びていません。
宿題は全部やらせていましたが、つい先日、
計算の問題集の答えを丸写ししていることが分かりました。

おそらくカリテの勉強に追われて、
そこまで手が回らなかったのだと思います。

娘はずっと公文をやっていたので、計算は得意です。
だから、そこは本人に任せていたのですが、
私が見ていないところでは手を抜いていたのです。
私は、娘はもっとできる子だと思っているのですが、
成績が上がらないのは手を抜いているからではないかと・・・・・・」

お母さんの口からは二度「手を抜いている」という言葉が出てきました。
しかし、隣にいるお父さんにはその言葉は出てきません。

むしろ、「がんばって勉強をしているけれど、
宿題の量が多くて大変そうだ。
今の勉強の進め方が娘には合っていないではないか」という見方をしています。

どちらも娘さんの勉強のことを心配しているけれど、
どうやら夫婦の考えにズレがあるようです。
私は、お母さんが娘さんは「手を抜いている」と
決めつけていることが気になりました。

そこで、こんな質問を投げてみました。

・ お子さんの口癖は何ですか?

・ お子さんは問題が解けないときにどんな様子を示しますか?

・ 塾の授業についてどんな話をしますか?

・ お子さんの好きな先生は誰ですか?

・ お子さんの好きな科目は何ですか?

・ なぜ好きなのだと思いますか?

・ 一つのことを始めるとずっと続くタイプですか?目移りするタイプですか?

・ 勉強の気分が乗っているときの様子はどんな感じですか?

・ どんな遊びが好きですか?

・ お母さんから見て、お子さんのすごいと思うところは何ですか?

・ 自分と似ているところはどんなところですか?

などです。

なぜこんな質問をするのかといえば、
日々に追われる中で知らずしらず見えなくなりがちな、
お子さんのあるがままの姿を親御さんに見つめ直していただくためです。
そのうえで、お子さん自身のことを私も知りたいのです。

お母さんは、娘さんのことを思い出しながら、
ぽつりぽつりと答えていきました。

すると、娘さんは遊びでも、勉強でも
じっくり取り組むことが好きなタイプであることが見えてきました。
こういうタイプの子は、
量をガンガンやらせる勉強のやり方はうまくいきません。

ただし、手応えを感じるまでには時間がかかるけれど、
自分なりに理解を深め納得すると、
グングンと力を伸ばしていきます。

ところが、先ほどからお母さんを見ていると、
どうもタイプが違います。
お母さんはとてもまじめな方で、
勉強を一定のペースで進めていないと不安に思うタイプ。
だから、娘さんの勉強の進め方が気になるし、
ちょっとでも気を抜くと「さぼっている」と思ってしまう。

一方、お父さんは娘さんとタイプが似ていて、
娘さんが今大変そうだと感じている。
それぞれタイプが違うから、受け止め方も違ってくるのですね。

でも、これはそれぞれのタイプで、
どちらが良い悪いという話ではありません。
ただ、娘さんのように自分のペースで
のびのびと勉強するのが性に合っている子どもにとっては、
お母さんのようなガシガシとやらせるやり方というのはうまくいかないのです。

塾の宿題は全部やらないとダメ。

勉強は机に向かって集中するもの。

勉強はがんばってするもの。

そういう枠にはめた勉強の仕方が、
娘さんにとってはしんどいのです。

そもそもの話として、
塾の宿題はすべてをやる必要はありません。
できているところは省略していいし、
まったくわからないものはやらなくていい。
やるべきものは、あと少し頑張ったら理解できそうなもの。
そこをできるようにしていくことで、
得点力を上げていきます。

また、お母さんは娘さんの勉強スタイルを気にかけていました。
娘さんがリビングのソファーでごろごろしながら
テキストを読んでいるのが許せず、よく注意をしているようです。

でも、人にはそれぞれ自分のやりやすい勉強の仕方があります。
お母さんは、寝ながらテキストを読むなんて勉強ではない
と思うかもしれませんが、
娘さんがそのスタイルのほうがリラックスして
勉強ができるというのであれば、それでいいと思います。

なぜなら、小学生はまだ成長の発達段階にいて、
大人が望む勉強スタイルをムリに強制するよりも、
自分のやりたいスタイルで勉強をさせてあげたほうが、
伸びやすいからです。

この娘さんの場合は、一定のペースで勉強をするよりも、
机に向かって集中して勉強したり、
リビングでリラックスして勉強したりと
強弱をつけてあげるほうが効果は高いと感じました。

そこで、学習メニューや気分に応じて、
勉強机、ソファ、ダイニングテーブルを使い分けてみること、
勉強スタイルは本人に選ばせてあげること、
をアドバイスさせていただきました。

これには、お母さんもお父さんも
「たしかに、あの子には合ってそうだね」
と意見が一致したようです。

このように人にはそれぞれタイプがあり、
そのタイプに合った学習の進め方をしていくほうがいいのです。
同じ親子でもタイプが異なる場合もありますので、
なぜか勉強がうまくいっていないな、
と思ったときは、お子さんをしっかり観察し、
お子さんに合った勉強のやり方に変えていくといいですね。

親御さんだけで判断するのが難しければ、
プロに相談するのもいいと思います。
大事なのは、子どもが気持ち良く勉強できる環境と状況を整えてあげることです。

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中学受験 / お悩み相談 2019年07月23日12時00分
主任相談員の小川大介
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