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教えるのではなく「受け止める」ことの大切さ

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中学受験 2019年08月06日10時05分
■ 著書『つまずきやすいところが絶対つまずかない!小学校6年間の図形の教え方』をご紹介いただきました
「塾ソムリエ」西村則康さんとの共著『つまずきやすいところが絶対つまずかない!小学校6年間の図形の教え方』(すばる舎)を「ママが知りたい教育・受験情報 エデュナビ」でご紹介いただいています。

エデュママブック「算数の苦手意識は克服できる!目から鱗のつまずきポイント解説書」

この書籍は、お子さんの算数・図形分野でのつまずきに対して、親がどう教えるかがテーマとなっています。
「教え方」という書名ですが、実は教え方というよりは「受け止め方」がテーマの本になっているんです。

なぜ「受け止め方」がテーマの本を書いたか、今回は説明したいと思います。

塾の先生の仕事は、もちろん教えることです。
大勢の子どもたちそれぞれが、解き方や考え方を理解して自分で手を動かし、問題を解けるようにすることです。
子どもそれぞれによって、思考のスピードや理解のしかたは違います。
だから先生は、できるだけ多くの子が理解できるスピードで、できるだけ多くの子がわかりやすいと感じるであろう表現、考え方で問題を紐解いていきます。
それが塾の先生や学校の先生、つまり「一斉授業」を行う先生の仕事だと思います。
■ 一斉授業と個別指導の先生の違い
一方、僕が塾講師をやめたあと、長年身をおいていた個別指導の世界では、先生の仕事は少し(実際にはかなり大きく)違います。
一対一の関係なので、生徒をこちらの枠に当てはめてわからせる、というのではなくて、目の前の子どもがどのように理解しているのか、何に困っているのかなどを理解することに、まずは全力を注ぎます。
一斉授業では、先生が子どもたちに対して話している時間、伝達している時間が多くなりますが、一対一の授業では子どもに対して先生が質問し、それに子どもが答えている時間がとても長くなります。
「塾の先生はどんな解き方を教えてくれた?」
「この問題の、どのあたりが分かりにくい気がする?」
「今、何がわかっているんだっけ?」
「どんな書き方をすれば見やすくなりそう?」
「今まで習った中で、何に似ている?」
いろいろな質問で、いま子どもが何に困っているのか、どこに解決の糸口があるかを探っていくのです。
これが一斉授業と個別指導の最大の違いで、そもそもアプローチが「教えてあげる」ではないんです。
■ 「まずは受け止める」を実践するための書籍
塾で一斉授業の経験を積んだ先生が、個別指導の世界に入ってくると、まずぶつかる「壁」があります。
それは「解き方をいくら教えても、成績は上がらない」ということです。
なぜなら、どうしてその問題がわからないという状況になっているのか、その原因を探り当てて解決しないと、その問題の「解き方」だけを教えても、ちょっと数値や表現、視点を変えた問題が出ると子どもが対応できないからです。
それに気づいて、苦しみながらも「解き方を教える」ことから「わからない根本の原因を探り当てる」へとスタイルを進化させる先生もいれば、一斉授業時代と同じように「問題の解き方を教える」ことが仕事だと思って続けられる方もいます。
私が運営に関わっていた個別指導教室では、後者のタイプの先生はお子さん、保護者から支持されることはなく、やめていく方が多くいました。
お母さんが我が子を「教える」という場合、まさにそのようになってはいけません。
・・・というか、もともと教えるプロではないので、そちらを目指す必要はないんです。
では、どのようにお子さんに対応してあげると、困っているお子さんが一歩前に踏み出して理解を深められるか。
その第一歩は「親が受け止める」ということです。
■「教える」というより「ナビゲート」
「3m7cm」を「307cm」ではなく「37cm」と答えてしまうお子さんに対して、「どうしてわからないの?」とうろたえることなく、「この問題の考え方は・・・」と安易に「解き方を教える」ことに走らず、「そうか、この問題がわからないんだ。そうなんだ。」と受け止めることです。
3m7cmを37cmと答えてしまうということは、そもそも1mが何cmかをわかっているでしょうか。
すると、
「じゃあ、1mは何cmだったっけ?」
という質問ができますね。
1mが100cmということをわかっていない子どもというのは、実はほとんどいません。
「100cm」
というこたえが返ってきたら
「じゃあ3mは何cm?」
「3mと7cmは何cmかな?」
と紐解いていきます。
こうすれば、多くのお子さんは正解にたどりつきます。
途中、上記のことを整理して書き出すと、さらにお子さんの思考も整理できていいですね。
一連の作業からお子さんは
「まずは基本に立ち返ってみればいい」
「整理して書き出せばいい」
そんなことを学ぶかもしれません。
これはとても大きな収穫です。
この書籍には、そんな親子のやり取りをたくさん対話形式で載せています。
ぜひこの夏お母さんは「教える」というアプローチではなく「ナビゲーター」を意識してみてください。
きっと親子での算数の勉強が、ちょっと楽しくなりますよ。

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8月20日(火)、21日(水)、コスモプラネタリウム渋谷で行う恒例の

「中学受験で遊ぼう!辻・アインシュタインホメ夫のわくわく理科実験」

天球を使って天体の動きを学びます。
参加予約は8月6日より受付。
興味のある方はぜひ



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中学受験 / 家庭学習 / 学習法 / 算数 2019年08月06日10時05分
主任相談員の辻義夫
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である辻義夫が家庭学習で悩んでいる方にすぐに実践できる効果的な学習方法をお教えします。
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