中学受験情報局『かしこい塾の使い方』

5年生から中学受験 無理?手遅れ?どうやって勉強を進めればいい?

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公開: 最終更新日:2024年01月17日

多くの塾で「中学受験コース」は4年生から始まる一方で、5年生から中学受験を検討するご家庭も少なくありません。結論から申しますと、「5年生からの中学受験は手遅れ?無理?」という質問の答えは、

十分挑戦は可能だが、遅れを取り戻す工夫をしながら、より慎重に志望校を選択する必要があるといえます。

この記事では、5年生からの受験勉強は難しい/遅いと考えている方の疑問を解決するために、

・5年生から中学受験を始めるハンデは何?

・5年生から中学受験準備をするならどんな塾を選べばいい?

・5年生からの中学受験でうまくいく勉強法は?

・遅れを取り戻して、難関校に挑戦することはできる?

・5年生からの中学受験に向かない親・子・ご家庭の特徴とは?

そのような疑問についてお答えします。

1.なぜ、5年生からの中学受験は「遅い」と言われるのか?

5年生からの中学受験はやり方や、志望校の選び方を工夫することで、十分挑戦が可能ですが、「5年生の中学受験は遅い」と言われるのには、大きく4つの理由があります。

【理由1】中学受験の進学塾のカリキュラムが4年生から始まるから

【理由2】「5年生までの完成」を目指す塾の進度の早さ

【理由3】下位クラスでのスタートになる

【理由4】「遅れている分、他のお子さんより勉強する量を増やす」ことは不可能だから

もちろん、だからといって5年生からの中学受験が不可能だということではありません。

実際に多くの子どもたちが、5年生から中学受験準備を始めて志望校の合格を掴んでいます。

その負担を少しでもやわらげるためには、塾選び・志望校選び・勉強の仕方が非常に重要なポイントとなります。

5年生からの中学受験を成功させる方法については後ほど解説しますので、まずは「5年生からの中学受験が厳しい」と言われる理由を、詳しく解説します。

理由1

中学受験の進学塾のカリキュラムが4年生から始まるから

中学受験の勉強は通常、「小4(小3の2月)から始めるのがよい」とされています。

これは、多くの塾のカリキュラムが、4年生からの3年間で受験勉強が完成するように組まれているからです。

4年生は、塾に通うことや塾での学習に慣れるための期間という位置づけです。つまり学校と塾、両方に通うという生活スタイルを習慣化する。そのような1年間であると認識されています。

4年生で学習する内容は、5年生や6年生で再度学びなおすものがほとんどです。

まずは4年生の間に、基礎を身に付けます。5年生、6年生では、算数ならその単元についての応用やその単元を用いた新たな概念を、理科なら専門性の高い詳細な知識をつけていきます。

同じ内容を、徐々に難易度を上げながら学習を進めていく「スパイラル方式」という学習方法です。中学受験の塾のカリキュラムは、この「スパイラル方式」が採用されています。

そのため、5年生からの入塾では、4年生で築くはずの基礎がないところに、応用的、専門的な学習をしなければならず、勉強を難しく感じてしまう子が多いようです。

理由2

「5年生までの完成」を目指す塾の進度の早さ

大手進学塾では5年生の2月までの間に、社会の公民を除いた中学受験全範囲の学習を一通り終わらせます。

塾に慣れるための期間であった4年生とは違い、5年生では通塾も 週3日というところがほとんどで、宿題の量もテストの回数も多くなります。4年生から通っていた子でも音を上げてしまうことがあるほどです。小学校では「できる子」でも、塾の授業にはついていけなくなることも普通です。

その観点からも、5年生からの入塾は、子どもにとって大きな負担と言えるでしょう。

理由3

下位クラスでのスタートになる

中学受験の進学塾では、成績によって「クラス分け・組分け」がされる制度があります。

上位のクラスでは、難関校・最難関校の試験で求められる高度な内容を扱い、校舎の中でも特に優秀な先生が受け持ちます。

上位のクラスで扱われる難しい内容が、下位クラスでは全く触れられないことも珍しくありません。そのため4年生の入塾の際に下位クラスでスタートしてしまうと、中々上のクラスに上がることが難しく、挑戦できる志望校の選択肢が少なくなってしまうのです。

当然5年生からの入塾で上位クラスに入ることは難しく、下位クラスでのスタートになります。

これも5年生からの中学受験が難しいと言われる理由の1つと言えるでしょう。

ただ下位クラスから挑戦可能な中学校にも魅力的な学校はたくさんあります。

そのため、志望校を慎重に選ぶことで、このデメリットは解消できるとも言えます。

理由4

「遅れている分、他のお子さんより勉強する量を増やす」ことは不可能だから

「他の子より多くの量を勉強すれば、なんとかなるのでは?」と考えられるご家庭も少なくありません。

ただ、これは非現実的と言えます。

なぜなら、4年生から中学受験を始めるお子さんも、時間の許す限り勉強をしているお子さんがほとんどだからです。

中には、睡眠時間を削って…と考えられる方もいらっしゃるかもしれませんが、お子さんの体と精神に負担をかける勉強は「学習効率」が悪く、勉強時間が増えるだけで、成績には結びつきません。

また「入試の過去問の傾向を覚えればなんとかなる」と考える方もいらっしゃいますが、これも非現実的です。

中学入試は、各中学校の求めるレベルに合ったお子さんを選別するために、「なぜそうなるのか?=本質的な理解ができているのか」を確認することを目的にしています。そのため、パターン暗記や一夜漬けといった手法だけでは、どうしても太刀打ちできないのです。

以上が、「5年生から中学受験を始めるのは遅い」と言われる大きな理由です。

もちろん、だからといって5年生からの中学受験が不可能だということではありません。

実際に多くの子どもたちが、5年生から中学受験準備を始めて、志望校の合格を掴んでいます。

そのためには、限られた時間の中で、効率の良い勉強方法を身につけ、お子さんに合った一番良い志望校を見つけることが大切です。

次項にて、5年生から始める中学受験を成功させるための「塾選び・勉強法・志望校の選び方」について解説します。

2.5年生からから中学受験をスタートする際の塾の選び方

5年生から通塾する場合は、塾のカリキュラム構成に注意して塾選びをする必要があります。

関東の大手4塾の場合、カリキュラムの進み方がもっとも速いのがサピックスです。

夏休みや冬休みの講習会では、でこれまでの総復習をするというスタイルをとる塾も多いですが、サピックスでは夏期講習や冬期講習も年間を通したカリキュラムに組み込まれています。

これは5年生から入塾したお子さんには非常にきつく、ついていくのが難しいかもしれません。

日能研や浜学園などでは、夏期講習や冬期講習でそれまでに習ったことの復習をします。

(四谷大塚や早稲田アカデミーは、その折衷型で、予習内容と復習内容を扱います)

日能研や浜学園タイプの講習会なら、講習で5年生の内容を復習しつつ、家では4年生の範囲を復習することもできますし、思い切って講習は受講せずに、学習の遅れをとっている単元についてじっくり復習したりすることも可能です。

5年生から入塾する場合には、4年生の内容についてどうやって追いつくのかという学習計画を立てること、そして、無理のないカリキュラムを採用している塾を選ぶことが非常に重要です。

3.5年生からの中学受験を成功させる勉強法

5年生から入塾した場合、4年生での基礎がないため、いきなり難しいことから習っているような感覚になってしまいます。

頑張ってもなかなか結果に結びつきにくく、これでは勉強の面白さを感じることができません。

このような状況に陥ることを防ぐために、4年生のテキストを活用しましょう。

次に習う単元を4年生のテキストで学習してから授業に臨むという方法が効果的です。

また、公開テストのような大きいテストの前に、4年生のテキストで学習するという方法もおすすめです。復習を兼ねた、よいテスト対策になります。

遅れているからと、焦って先に先に進めようとしたところで、基礎がしっかりしていなければ身に付きません。

5年生、6年生になると、算数などでは応用問題が増えていきます。このとき、基礎となる部分をしっかり理解できていなければ、応用問題にはとても歯が立ちません。

とはいえ、5年生にとって4年生までの勉強をするというのは、前に進んでいない気がして面白くないものです。

4年生までの勉強をする際には、「4年生」と書いていない問題集や参考書を上手に使うとよいでしょう。

誰だって下の学年の勉強などしたくありません。

「できて当たり前」という気持ちがあるため、達成感を得られず、楽しくないのです。

自分より下の学年の勉強だと悟られないように、4年生までの復習をさせることがポイントです。

中学受験向けの問題集の中には、学年別ではなく「基礎学力編」などといった難易度分けをしているものがあります。

これなら下の学年の内容であるとは思わず、中学受験向けの勉強として取り組んでくれます。

5年生にとって「4年生向け」と「中学受験向け基礎学力編」とでは、モチベーションが大きく異なるのです。

追いつこうと焦る気持ちもあるでしょうが、「急がば回れ」です。

まずは、4年生までの復習からしっかり取り組みましょう。

4.5年生からの中学受験は無理なく目指せる志望校を

16年生の9月から12月まで、毎月1回、志望校の合否を判定する合否判定テストが始まります。

この結果を見て、第一志望校を受験するか、併願校をどこにするかなどを検討します。

10月頃からは過去問に取り組みたいので、第一志望校や併願校の候補は、9月か10月にはある程度決めておきたいところです。

併願校は「滑り止め」などという言い方をされることもありますが、決してないがしろにはできません。

中学受験で第一志望校に合格する子は、全体の約3分の1。

つまり、半数以上の子が併願校に進学しているというのが実情です。

併願校に通うことになるかもしれないということを認識し、慎重に選ぶ必要があります。

偏差値や試験日だけで選ぶのではなく、実際に通える場所にあるのか、子どもに合った校風なのかをよく見極めましょう。

偏差値だけで受験校を決めることはおすすめできませんが、最後にはどうしても偏差値を基準に判断せざるを得なくなってしまうという一面もあります。

受験校は偏差値プラスマイナス10を基準に検討するとよいでしょう。チャレンジ校は偏差値プラス10まで、おさえ校は偏差値マイナス10までというのが目安です。

5年生から受験準備を始めた場合、なかなか偏差値が伸びないこともあります。また、学習が追いついたら一気に巻き返せるかもしれない、という期待感をもっているかもしれません。

しかし、無理せず現状を踏まえ、志望校を選ぶように心がけましょう。

5.5年生から中学受験に挑戦されて、成功した方の事例紹介

実際に5年生から中学受験に挑戦し、成功したご家庭の事例を紹介します。

【事例1】5年生から始めた女子(四谷大塚)

5年生から受験を始め、頑張って授業には出ているものの成績が伸び悩む。

6年生段階で、四谷大塚の偏差値は40代後半。4年生の授業内容が抜けていることで理解が遅れていることに気づき、6年生から授業前に予習として4年生内容を学習してから、授業に臨む方式に切り替え。結果、抜けていた4年生の知識が入った状態で授業を受けれるようになったため、偏差値が急激に伸び、最終的に鴎友学園に合格。

【事例2】5年生から始めた男子(浜学園)

5年生から受験を開始。

学校の成績は常に100点というお子さんでしたが、中学受験内容は一度も勉強したことがありませんでした。塾に通い始めたところ、成績が伸びず、すぐに対策を求めて家庭教師に相談。

塾に並行して、家庭教師との授業で4年内容を復習し、特に因果関係を意識した「暗記」を徹底。

元々知的好奇心の強いお子さんだったため、5年生の終わりには塾の上位クラスに入り、6年生になると塾の最上位クラスまでクラスアップ。最終的に東大寺学園に合格。

6.5年生からの中学受験に向かない親・子・ご家庭の特徴とは?

5年生からの中学受験に向かない、難しいご家庭の特徴として、まず上げられるのが、

「周りに受験するお子さんが少ない環境」のお子さんです。周りのお子さんが遊び盛りのときに、自分だけ急に受験をするとなると、どうしても気が散ってしまい、勉強に集中できないお子さんが多いからです。

学校の勉強をやることも嫌がっているお子さんが、5年生から受験を始めるのは難しいといえます。学校とは比較にならない量の課題が出されるため、どうしてもお子さんが勉強嫌いだと、5年生からの中学受験を成功させることはかないません。

親の特徴としては、「塾に通わせてればなんとかなる」と考えている方は厳しいといえます。

先にご紹介した通り、時に4年生内容に遡っての勉強や、お子さんの現状に合わせた勉強が誰よりも求められますので、周りの人に相談しながら、独自のスケジューリングができない親御さんは5年生からの中学受験は厳しいでしょう。

以上、ここでは5年生から始める中学受験勉強のポイントについて、お伝えしてきました。

適切な志望校の設定、学習のしかたによっては、5年生から中学受験も無理なく挑戦できるものです。

現在ご検討中のご家庭は、ぜひこの記事を参考にしていただければと思います。

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