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5年生から中学受験 無理?手遅れ?どうやって勉強を進めればいい?

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公開: 最終更新日:2023年08月23日

多くの塾では、中学受験コースを4年生から設定しています。
では、5年生からの受験勉強では遅いのでしょうか?

ここでは

・5年生から中学受験準備をするならどんな塾を選べばいい?
・5年生からの中学受験でうまくいく勉強法は? 

そのような疑問についてお答えします。

5年生からの中学受験はもう「手遅れ」?

一般的には「中学受験の勉強は小4(小3の2月)からがよい」とされています。
塾のカリキュラムは、4年生からの3年間で受験勉強が完成するように組まれていることがほとんどだからです。

4年生は、塾に通うことや塾での学習に慣れるための期間という位置づけです。
つまり学校と塾、両方に通うという生活スタイルを習慣化する。
そのような1年間であると認識されています。

4年生で学習する内容は、5年生や6年生で再度学びなおすものがほとんどです。
まずは4年生の間に、基礎を身に付けます。
5年生、6年生では、算数ならその単元についての応用力を、理科なら専門性の高い詳細な知識をつけていきます。

5年生からの入塾では、4年生で築くはずの基礎がないところに、応用的、専門的な学習をしなければなりません。
そのため、勉強を難しく感じてしまう子が多いようです。
しかし、だからといって5年生からの中学受験が無理だということではありません。
実際に多くの子どもたちが、5年生から中学受験準備を始めて、志望校の合格を掴んでいるのですから。

塾の進度は「5年生までで完成」

大手進学塾では5年生の2月までの間に、社会の公民を除いた中学受験全範囲の学習を一通り終わらせます。
塾に慣れるための期間であった4年生とは違い、5年生では通塾も 週3日というところがほとんどで、宿題の量もテストの回数も多くなります。
4年生から通っていた子でも音を上げてしまうことがあるほどです。

多くの子どもがつまずいてしまうのが、5年生の時期なのです。
常に先を見据え、計画を立てて学習しましょう。
学校では「できる子」なのに、塾の授業にはついていけない。そんな子が出はじめる時期でもあります。

この時期から入塾というのは、子どもにとって大きな負担です。
その負担を少しでもやわらげるためは、塾選びが非常に重要なポイントとなります。

5年生からスタートするなら、塾選びを慎重に

5年生から通塾する場合は、塾のカリキュラム構成に注意して塾選びをする必要があります。
関東の大手4塾の場合、カリキュラムの進み方がもっとも速いのがサピックスです。
夏休みや冬休みの講習会では、でこれまでの総復習をするというスタイルをとる塾も多いですが、サピックスでは夏期講習や冬期講習も年間を通したカリキュラムに組み込まれています。
これは5年生から入塾したお子さんには非常にきつく、ついていくのが難しいかもしれません。

日能研や浜学園などでは、夏期講習や冬期講習でそれまでに習ったことの復習をします。
(四谷大塚や早稲田アカデミーは、その折衷型で、予習内容と復習内容を扱います)
日能研や浜学園タイプの講習会なら、講習で5年生の内容を復習しつつ、家では4年生の範囲を復習することもできますし、思い切って講習は受講せずに、学習の遅れをとっている単元についてじっくり復習したりすることも可能です。

5年生から入塾する場合には、4年生の内容についてどうやって追いつくのかという学習計画を立てること、そして、無理のないカリキュラムを採用している塾を選ぶことが非常に重要です。

5年生からで間に合う勉強法

5年生から入塾した場合、4年生での基礎がないため、いきなり難しいことから習っているような感覚になってしまいます。
頑張ってもなかなか結果に結びつきにくく、これでは勉強の面白さを感じることができません。
このような状況に陥ることを防ぐために、4年生のテキストを活用しましょう。
次に習う単元を4年生のテキストで学習してから授業に臨むという方法が効果的です。

また、公開テストのような大きいテストの前に、4年生のテキストで学習するという方法もおすすめです。
復習を兼ねた、よいテスト対策になります。
遅れているからと、焦って先に先に進めようとしたところで、基礎がしっかりしていなければ身に付きません。

5年生、6年生になると、算数などでは応用問題が増えていきます。
このとき、基礎となる部分をしっかり理解できていなければ、応用問題にはとても歯が立ちません。
とはいえ、5年生にとって4年生までの勉強をするというのは、前に進んでいない気がして面白くないものです。

4年生までの勉強をする際には、「4年生」と書いていない問題集や参考書を上手に使うとよいでしょう。
誰だって下の学年の勉強などしたくありません。
「できて当たり前」という気持ちがあるため、達成感を得られず、楽しくないのです。

自分より下の学年の勉強だと悟られないように、4年生までの復習をさせることがポイントです。
中学受験向けの問題集の中には、学年別ではなく「基礎学力編」などといった難易度分けをしているものがあります。
これなら下の学年の内容であるとは思わず、中学受験向けの勉強として取り組んでくれます。

5年生にとって「4年生向け」と「中学受験向け基礎学力編」とでは、モチベーションが大きく異なるのです。
追いつこうと焦る気持ちもあるでしょうが、「急がば回れ」です。
まずは、4年生までの復習からしっかり取り組みましょう。

5年生からの中学受験は無理なく目指せる志望校を

6年生の9月から12月まで、毎月1回、志望校の合否を判定する合否判定テストが始まります。
この結果を見て、第一志望校を受験するか、併願校をどこにするかなどを検討します。
10月頃からは過去問に取り組みたいので、第一志望校や併願校の候補は、9月か10月にはある程度決めておきたいところです。

併願校は「滑り止め」などという言い方をされることもありますが、決してないがしろにはできません。
中学受験で第一志望校に合格する子は、全体の約3分の1。
つまり、半数以上の子が併願校に進学しているというのが実情です。

併願校に通うことになるかもしれないということを認識し、慎重に選ぶ必要があります。
偏差値や試験日だけで選ぶのではなく、実際に通える場所にあるのか、子どもに合った校風なのかをよく見極めましょう。

偏差値だけで受験校を決めることはおすすめできませんが、最後にはどうしても偏差値を基準に判断せざるを得なくなってしまうという一面もあります。
受験校は偏差値プラスマイナス10を基準に検討するとよいでしょう。チャレンジ校は偏差値プラス10まで、おさえ校は偏差値マイナス10までというのが目安です。

5年生から受験準備を始めた場合、なかなか偏差値が伸びないこともあります。
また、学習が追いついたら一気に巻き返せるかもしれない、という期待感をもっているかもしれません。
しかし、無理せず現状を踏まえ、志望校を選ぶように心がけましょう。

以上、ここでは5年生から始める中学受験勉強のポイントについて、お伝えしてきました。

適切な志望校の設定、学習のしかたによっては、5年生から中学受験も無理なく挑戦できるものです。
現在ご検討中のご家庭は、ぜひこの記事を参考にしていただければと思います。

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