【新学年・2月の処方箋】増える学習量をコントロールし、着実に実力を積み上げるための戦略
こんにちは。
主任相談員の西村則康です。
2月、いよいよ塾の新学年がスタートします。
中学受験のカリキュラムにおいて、2月は単なる「進級」ではなく、「ステージの激変」を意味します。多くの親御さんからも、新学年になることで学習する内容も、学習量も増えることを不安に思っているという内容が沢山届いています。
ここから1年、あるいは入試本番までの道のりをスムーズに進めるかどうかは、この2月から3月にかけての立ち振る舞いで決まると言っても過言ではありません。
今回は、2月から始まる新学年の波を乗りこなし、合格へと繋げるための具体的な戦略をお答えしていきたいと思います。
この記事の執筆者

西村則康 名門指導会代表
40年以上、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。
「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーションをアドバイス、コーチング手法も取り入れ、親子が心底やる気になる付加価値の高い指導を行う。
目次
1. 2月の激変を直視する:1.5倍から2倍になる「負荷」の正体
新学年が始まってまず直面するのが、圧倒的な「量」と「質」の変化です。
多くの塾では、学年が上がるごとに通塾日数が増え、それに伴い宿題の量も前学年の1.5倍から2倍に跳ね上がります。特に新5年生は、算数で「割合」や「比」といった抽象概念の入り口に立ち、新6年生は、これまでの全範囲を猛スピードでさらい直す「総復習」の渦に放り込まれます。
ここで親御さんが絶対にやってはいけないのが、「出された宿題をすべて、均等に、完璧にやらせようとすること」です。
「全部やる」は破綻への近道
宿題をすべてこなそうとすれば、睡眠時間が削られ、翌日の学校や塾での集中力が低下します。すると、授業内容が理解できず、宿題を解くのにさらに時間がかかる……という負のループに陥ります。
また、類題を何も考えず、処理をしていくことが学習の習慣となってしまいがちです。そうなると、手癖で覚えてしまい、週テストでは点数が取れても、月例テストや組分けテストなどのタイミングでは、解法を正確に覚えていないということが多く起こります。
親御さんの今の役割は、お子さんの隣で問題を教えることではありません。「宿題の取捨選択(マネジメント)」に徹してください。 「今のわが子には、この応用問題はまだ早い」「基礎を固めるために、計算問題と基本例題だけを3回繰り返そう」と、勇気を持って「捨てる」判断を下す。これができるかどうかが、2月以降の成績の伸びを左右します。
宿題の取捨選択や学習習慣の構築については、下記の記事を参考してください。
受験最終まで成績を上げる7つの習慣
2. カリキュラムを「俯瞰」し、親の不安を戦略に変える
次に重要なのが、これから1年間の学習計画、つまり「カリキュラム」の全体像を把握することです。
サピックス、日能研、四谷大塚、早稲田アカデミーなど、各塾にはそれぞれ独自の「戦い方」があります。
サピックスのように、季節講習中もカリキュラムが止まらずにどんどん進む塾。
日能研や四谷大塚のように、講習期間に既習単元の復習を組み込む塾。
これらを把握せずに、「ただ塾についていく」だけでは、必ずどこかで息切れします。
「山場」を予測し、スケジュールを動かす
2月のうちに、塾から配布されたカリキュラムをじっくりと眺めてください。「5月に立体図形が来るな」「6月には歴史が本格化するな」と予見しておくのです。 山場がわかっていれば、その時期に合わせて週末の予定を空けるなど、事前復習をできるタイミングをとるといった「先手」を打てます。
親御さんが先の見通しを持っていれば、お子さんが躓いた時にも「ここは難しい単元だから、少し時間がかかっても大丈夫」と、どっしりと構えていられるはずです。
3. 2月に見直すべき「学習の作法」
学年が上がり、問題が難しくなればなるほど、実は「基礎的な学習習慣」の差が結果となって表れます。2月のうちに、お子さんの「学習の作法」をオーバーホールしてください。
① ノートと計算用紙の使い方は「聖域」
算数の成績が伸び悩む子の多くは、問題用紙の白紙部分をぐちゃぐちゃに使っています。
どこにどの問題の計算をしたかわからない。
数字が汚く、自分で「0」と「6」を書き間違える。
図や式を書かずに暗算で済ませようとする。
これらはケアレスミスではなく、「正しい学習の作法が身についていない」ことが原因です。2月からの学習では、筆算の数字は縦に揃えて書く、授業で教わった解法で図を描きながら解くといった、本番を想定した学習の作法を徹底させてください。これだけで、5年生・6年生で直面する「難問」への対応力が劇的に変わります。
② 丸つけを「作業」にしない
答えを写して丸をつけるだけの「作業」になっていませんか? 間違えた問題に対して「なぜ間違えたのか(計算ミスか、概念の取り違えか、問題文の読み飛ばしか)」を分析させる癖をつけてください。
親御さんは、正解の数に一喜一憂するのではなく、**「解き直しが正しく行われているか」**をチェックすることに力を注いでください。
多くの親御さんから、テスト直しがうまく進められないというお話もいただいておりますので、テスト直しについて詳しくまとめている記事がございますから、ぜひ参考にしてください。
中学受験、もう点数に一喜一憂しない!プロが教える「最強のテスト直し」戦略で合格を掴む!
4. 【動画連動:辻義夫】「積み残し」をどう整理し、春へ繋げるか
ここからは、主任相談員の辻義夫先生と共に発信している動画の内容に基づき、多くの親子を苦しめる「積み残し(わからなかった単元の放置)」への具体的な処置についてお話しします。
2月、新学年が始まると同時に「前の学年のものも不安なのに、新学年の内容についていけるかしら……」という声が必ず聞こえてきます。しかし、新学年の濁流の中で前学年の復習をするのは、至難の業です。
辻先生と推奨する「間違いの可視化」
辻先生と私が共通して提案しているのが、「気になる問題を形に残しておく」という手法です。 「あの単元ができていない気がする」という漠然とした不安が、一番お子さんのやる気を削ぎます。そこで、模試やテストでできなかった問題をコピーし、一つのファイルにまとめましょう。
このファイルのポイントは、「今すぐ全部やろうとしないこと」です。 1週間の中に空き時間を設け、その時間を使ってファイルの中から「今週はこの1問だけ」と決めて解き直す。目に見える形で整理され、少しずつ減っていく実感が持てれば、お子さんの不安は自信に変わります。
私が運営する名門指導会の家庭教師は、翌週の単元の学習があるというカリキュラムに合わせて過去の積み残しを丁寧に教え直し、予習を兼ねた復習をして塾の授業の理解度を上げたり、塾の課題時にも、その単元と似たような構造の問題などを提示し、抱合せでその他の問題との違いや共通点を教えることで理解を深めるということを行うことで、積み残しを重箱の隅をつつくように処理をしていくようにしています。
新6年生への緊急提言:5分の「予習」が授業を変える
特に新6年生は時間との戦いです。前述の通り、2月からの塾の授業は猛烈なスピードで進みます。5年生の時に苦手だった単元を、塾の授業だけで克服しようとするのは不可能です。
そこで、授業前に「予習を兼ねた復習」を取り入れてください。 新しい単元のテキストを開き、「5年生の時はどう解いたっけ?」と当時のテキストの例題を1つ眺めるだけで構いません。記憶を呼び起こしてから授業に臨む。また、より理解を向上させるには「この問題の大事なポイントってなんだっけ?」と思い出すと、手癖で解くだけではなく、思考しながら問題に対して取り組むことができるようになります。
塾の授業が「ちんぷんかんぷんな時間」から「弱点を補強する有意義な時間」へと劇的にアップグレードされます。
春休みを「戦略的停泊」にする
2月・3月をなんとか走り抜けると、3月末には春休みがやってきます。 辻先生は動画で、「学校の春休みが始まり、塾の春期講習が始まるまでの1、2日をどう使うか」が極めて重要だと説いています。 サピックスのように講習中も新しい内容が進む塾であっても、この「空白の数日」を使って、2月・3月に生じた新しい「積み残し」を整理する。この短期的な振り返りが、4月以降の加速を生むのです。
5. 2月からのメンタル管理:親は「北風」ではなく「太陽」であれ
最後に、メンタル面についてお話しします。 2月から3月にかけて、周りのライバルたちも一斉にギアを上げます。そのため、本人は頑張っているのに、模試の偏差値が一時的に下がることがよくあります。
偏差値という数字の裏側を見る
偏差値が下がった時、親御さんが「もっと勉強しなさい!」と北風のように厳しく当たれば、お子さんは心を閉ざします。 この時期の偏差値の変動は、単に「分母(受験生全体)のレベルが上がった」だけであることが多いのです。数字に振り回されず、「先週できなかったこの問題が、今週は解けるようになったね」と、具体的な成長を認めてあげてください。
伴走者としての覚悟
中学受験の主役はお子さんですが、ハンドルを握るナビゲーターは親御さんです。 お子さんが新しい環境に戸惑い、宿題の山に埋もれそうになっている時こそ、親御さんは冷静に「優先順位」を整理し、「大丈夫、このペースでいいんだよ」と背中を押してあげてください。
2月からの新学年。それは、お子さんが精神的にも大きく成長するチャンスでもあります。 完璧主義を捨て、「学習の作法」を整え、辻先生と提案した「積み残しの可視化」を実践する。 この2ヶ月を丁寧に過ごすことができれば、1年後の景色は必ず明るいものになります。
私たち主任相談員も、記事や動画を通じて、皆さんの歩みを全力でサポートし続けます。 新しいステージ、共に一歩ずつ進んでいきましょう。

