2013年 中学入試 関東エリア その2
※2013年 桜蔭中学 入試問題 算数
前回の引き続き、平成25年度の関東エリアの中学入試から、
今回は桜蔭中の入試問題を駆け足でふりかえります。
桜蔭中の算数は50分、100点で例年、大問5題の構成です。
今年度も大問5題の構成でした。
桜蔭中の算数の特徴のひとつは、
各大問を1題あたり10分という短い時間で処理していかなければならないことです。
例年はその中に、処理に時間を要する問題や、
難しくて短時間では解けない問題が1~2題含まれているため、
どの問題から処理をするのかという
「問題選択」がカギになっているという特徴もあります。
しかし、受験生にとって今年の問題は、
一目見た感じではそれほど難しそうに見えなかったので、
算数で点数を稼ぐタイプのお子さんの場合、
「これは全問解かないといけないと…!」
というプレッシャーがあったかもしれません。
桜蔭中らしく、大問Ⅰから面倒な計算が必要でしたから、
プレッシャーからの計算ミスをしてしまい、
本来の実力を発揮できなかったお子さんもおられた可能性があります。
問題の出題内容は次の通りでした。
Ⅰ.(1) ①四則計算 ②四則計算の逆算
(2)周期算
Ⅱ.数の性質(公約数の利用)
Ⅲ.速さ(ダイヤグラムの利用)小問2題
Ⅳ.平面図形(辺の比と面積比)
Ⅴ.立体図形(複合図形の求積)小問3題
小問合計…10題
なお、点数などのデータは毎年、一切公表されていません。
合格ラインの得点率を65%~70%として計算すると、
10題×0.65=6.5題、10題×0.70=7.0題 ですから、
合格者最低ラインは7題あたりだろうと思われます。
今年の場合、試験時間内で正解が難しい問題は、
5-(3)の1題だけではないのでしょうか。
難問が1題しかないということは、
桜蔭中の場合も「ミスが命取り」の入試だったといえそうです。
今年の問題でいえば、
1-(1)①②、(2)、Ⅳ、Ⅴ-(1)、(2)の計6題を落とさないことは、
おそらく合格の最低条件です。
Ⅲは、問題図の「すれ違い部分の絵」だけを見てしまうと、
(1)の途中で混乱する危険性がありました。
問題文中には、
「この2か所のポイントでしか~」
「また、すれちがうための時間はかかりません。」
とあるため、
「絵」にかかれた「すれちがい用の線路の長さは0mとして計算する」ことになるんです。
この問題を正解するには、
問題文中の条件をすべて読む=「精読力」が必要でした。
このような精読力については、
お子さんが図形問題を解いている様子をよく観察すると、
その力が身についているかどうかがわかります。
「算数の天才」くんは例外として、
図形問題で「問題文もろくに読まないで、
すぐに図形の中に書き込み始めるお子さん」は、
図形の中で自分の目についた部分から手を付けている可能性があります。
この多くの場合、お子さんは問題条件に関係なく、
答までの道筋を自分の経験だけで決めてしまっています。
そのため、自分が解いたことのある問題と
条件設定を変えられていても気づかずに見落としてしまい、
途中でうまくいかなくなって「手が止まる」、
あるいは見当はずれの答えを書いていても「気づかず次の問題へ進んでしまう」、
そのため不正解になっているんです。
図形問題は精読力チェックのチャンスです。
お子さんの動きをじっくり観察してみてください。
しかし、今年の受験生にとってラッキーだったのは
そんな混乱の危険性がある大問Ⅲの前に、
基本通りに取り組めば正解できる大問Ⅱがあったことです。
ここの処理を正確に行っていれば、
大問Ⅲで混乱したときに
「飛ばして大問Ⅳへ進む」
という切り替えができたことでしょう。
Ⅱ 異なる4つの整数があり、小さい順にA、B、C、Dとします。これらから2つずつとってかけあわせた数を小さい順に並べると、108、126、162、168、216、252 となります。このとき、4つの整数A、B、C、Dを求めなさい。
どうですか?
もし、問題文が「かけあわせた数」ではなく「たした数」だったら、
新6年生ならばおそらく解いたことがあるでしょう。
6つある和のうち、
A+B=もっとも和が小さい、
A+C=和が小さいほうから2番目…
ということに着目する問題です。
この考え方をこの大問Ⅱで使えばさほど難しくはありません。
A×B=108、A×C=126 ですから、「Aは108と126の公約数」です。
108と126の最大公約数が18ですから、
の5組が見つかります。
この5組について、B×D=216 があてはまるかどうかを調べます。
※C×D=252で調べてもOKです!
調べてみると、
A=9、B=12、C=14、D=18だけが残りましたから、
これが答です。
「和」の問題は解いたことがあっても、「積」の問題はなかなかないですね?
しかし、公約数の単元でA、B、Cの3つの整数から2数を選んでかけるという
公約数を利用した問題は練習したことがあるでしょうから、
この2つのことを合わせれば上記のような解き方が見つかります。
2013年度入試の最難関中では、
関東、関西とも「知っているから解ける」という知識オンリーの問題が少なく、
「どの知識を使うのか」「どの知識を組み合わせるのか」といった、
『条件の整理 → 糸口の発見 → 解法の選択』を問う問題が増えています。
新5年生や新6年生のお子さんについては、
解法を学んだら、その解法が成り立つ理由は何なのか、
どのような条件があるときに使えるのかといった、
解法の周辺部分まで学習することが求められる入試に
変化しつつあるのかもしれませんね。

