『図形の重要ポイント その2』~志望校別の準備をしよう!~
『図形の重要ポイント その2』~志望校別の準備をしよう!~
第143回 入試戦略は秋の過ごし方から③
「中学受験ズバピタ算数」前田卓郎(文英堂)
ずいぶん前の話ですが受験研究社から「要点の暗記」(だったかな…?)という、
ポケットサイズの本があったと思います。
そこには今と違って面積や文章題の公式などが書かれていたような気がします。
今はこの「ズバピタ」が同じような大きさの本で出版されています。
しかしそこは受験算数、「技(!)」がたくさん掲載されています。
入試直前期でしたら分野ごとに本が分かれていますので、
「解法の確認」として「見るだけ」でOKですが、
この時期にこの本を使うときは、
掲載されている問題を解きながら「技」を覚えていきたいところです。
そこで今回は、「相似」を利用した問題をご紹介します。
ピラミッド型や砂時計型など学んだ相似を「利用する練習」の機会です。
相似を習っているのであれば、ぜひ挑戦してみてください。
フェリス女学院中学校 2013年 入試問題
大問3
図のような長方形APQRがあります。点Pは点Aを出発し,一定の速さで辺AB上をA→B一Aの順に動きます。点Qは,点Aを出発し辺ADと直線PQが平行であるようにA→C→Dの順に動きます。また。点Rは四角形APQRが長方形となるような点です。
点Pが点Aを出発してから,30秒後の長方形APQRの周の長さは35cmで,このときの長方形APQRの面積は(ア)cm2です。また,点Pの速さは毎秒(イ)cmです。長方形APQRの面積が長方形ABCDの面積の4/9倍になるのは,点Pが点Aを出発してから(ウ)秒後と(エ)秒後です。
点Pが点Aを出発して点Bに着くまでの途中の30秒間で,長方形APQRの面積は435cm2だけ増加します。それは点Pが点Aを出発してから(オ)秒後からの30秒間です。
(ア)~(オ)にあてはまる数を求めなさい。
図形問題の中でも「点の移動」という分野の問題です。
図形問題ですので「自分の手で図を描く」ことは必要ですが、
「点の移動」では「★秒後の図」のように、たくさんの図を描くことになります。
平素から図を描く練習をしていると、このようなときでも無駄な時間を使わず、
さっさと必要な図をたくさん描くことができるので有利だと思います。
また、この問題で大切な条件は
「点Qは,点Aを出発し辺ADと直線PQが平行であるようにA→C→Dの順に動きます。」
の中にある「平行」という言葉です。
この言葉には、
①「平行」という条件を守った図を描く
②「平行」という言葉から「相似」を連想する
という、2つのポイントがあるからです。
さらに「相似」は「三角形に着目」することが大原則ですから、
必然的に次のような図と考え方になります。
「ピラミッド型」の相似があり、
赤線の長さ:青線の長さ=35cm÷2:(39cm+52cm)=5:26 なので
AQ:ACも5:26です。
ですから、AP=39cm×5/26=7.5cm PQ=52cm×5/26=10cm
長方形APQRの面積=7.5×10=75(cm2) →ア=75とわかります。
練習を十分に積んでいるお子さんであれば「長方形の相似」を利用してもOKです。
さらに「面積比=相似比の2乗」を活用して
39cm×52cm×(5/26)2=75cm2 としてもいいと思います。
次は(イ)です。
AP=39cm×5/26=7.5cm 7.5cm÷30秒=0.25cm/秒 → (イ)=0.25
と求められます。
ここで学んでおきたいことは、
この大問3のように中に小問が5問もある問題であれば、
小問(ア)や(イ)は、(ウ)~(オ)の「誘導」または「伏線」になっている可能性が高い
ということです。
とくにフェリス女学院中のような難関中の問題であれば、
いまの(ア)のように「」易しい問題があるということは…」と考えるようにします。
この考え方が身につくと、
「問題文中の条件がもつ意味」を考えることができるようになり、
「条件を軽く見たために途中で混乱する」ような危険性を回避できるようになりまし、
(ウ)に用いる条件の「面積の4/9倍」も「2/3の2乗→相似比=2:3」
という考えにすぐにたどりつけます。
すると次のような図が描けます。
図からAP=39cm×2/3=26cm 26cm÷0.25cm/秒=104秒後 → ウ=104です。
(エ)は注意が必要です。
残念ながら、上図は「失敗作」です。
図を描きたがらないお子さんは、(ウ)を求めた図がもう1回使えると決め込んでしまい、
このような間違いをしてしまうことがあります。
「息をする」かのように図が描けるようになっておくと、無意味な失点を防げますね。
問題文に「点Qは…(中略)…A→C→Dの順に動きます。」とありました。
ここを見落とさないようにすると、次のような図になります。
点Pの移動距離は、39cm×(9+5)/9 ですから、
39×14/9÷0.25=2184/9秒後=242と2/3秒後 → エ=242と2/3とわかります。
ここまで「相似比と面積比」や「高さの等しい長方形の面積比」を利用してきましたが、
最後は少し違う技術も使う問題です。
「相似だけ」と決めつけないで解けるかどうかがポイントとなっています。
「点Pが点Aを出発して点Bに着くまで」という問題条件を頭におきながら、
「点Pが点Aを出発してから(オ)秒後からの30秒間」で
「長方形APQRの面積は435cm2だけ増加」する図を描きます。
点Pは、0.25cm/秒×30秒=7.5cm 進みますから、
のような図になります。
(オ)秒後を求めるのですから、APの長さが必要です。
そこでピラミッド型の相似に着目して、
三角形AP’Q’の面積-三角形APQの面積=台形PP’Q’Qの面積 から、
AP:AP’が求められるといいのですが、残念ながら上手くいきません。
しかし、この基本に忠実な解き方に気づくと、
「ということは台形PP’Q’Qの面積が求まられないといけないんだけど…」
と思考をすすめることができます。
「あ+う」と「い+え」の面積は等しく、「あ」と「い」の面積も等しいので、
「う」と「え」の面積も等しくなります。
ですから、「う」の上底+下底=217.5cm2×2÷7.5cm=58cm まで
求められることがわかります。
このようにいったん「相似」から離れると、
APと3:4の関係にあるPQの長さが求められそうな状態になりました。
ここからは、AP=③、PQ=④、P’Q’=(③+7.5cm)×4/3 としてもいいのですが、
「台形の補助線」を思い出すと、もう少し楽に計算ができます。
「台形の補助線」には3つのパターンがありましたが、思い出せたでしょうか?
この3パターンですね。
この問題では、平行線、垂線のどちらでも正解できます。
例えば垂線の場合、
となるので、④+④+10cm=58cm ですから、①=6cm です。
点Pは③=18cm 進んだことがわかりますので、18cm÷0.25cm/秒=72秒後 です。
つまり、オ=72が求められます。
この問題は、
・点の移動では図を問題ごとに描く
・相似の基本形(ピラミッド型)
・相似比と面積比
・高さの等しい三角形や四角形の面積比
・長方形の対角線と面積の関係
・台形の補助線
について、確認や復習ができます。
受験生は、どの部分を忘れかかっていたか確認し、
覚え直して今後の問題に進んでいきましょう。
5年生以下の場合は、習った範囲内で解ける問題に取り組めていたならばそれでOKです。
しかし、習っていた範囲内で解ける問題を間違っていたり、パスしていたりしたのでしたら、
どこで判断を誤ったかをチェックし、今後の「初見問題」に備えるといいと思います。
受験生はいよいよ本格的な志望校別の学習が始まります。
残された期間で、既習範囲の再確認をすませ、
9月以降の学習を実りあるものにしていきたいですね。

