第796回 男子中の入試問題 速さ 1
「第796回 男子中の入試問題 速さ 1」
前回まで、2026年度に男子中の入試で出された「比と割合」の問題について考えました。
今回からは「速さ」の問題を見ていきます。
1回目のテーマは「速さと比」です。
はじめは基本レベルの問題です。
【問題】A、B、Cの3人が、P地をスタート地点とし、Q地をゴール地点とするコースを走りました。3人は同時にP地を出発し、AがQ地に到着した10分後にBがQ地に到着しました。また、BがQ地に到着した6分後にCがQ地に到着しました。Aは分速180mで走り、Bは分速160mで走りました。
(1) AはP地からQ地まで何分かかりましたか。
(2) コース上にR地があります。3人がP地を出発してからR地を通過するまでにかかった時間の合計は33分15秒でした。P地からR地までの道のりは何mですか。答えだけでなく、途中の考え方を示す式や図などもかきなさい。
(桐朋中学校 2026年 第1回 問題3)
【考え方】
(1)
AとBについて、速さと時間の条件がわかっていますので、ダイヤグラム(進行グラフ)に整理します。(左下図)
「道のりが同じとき、速さの比と時間の比は逆比の関係」を利用します。
速さの比 A:B=180m/分:160m/分=9:8
↓
時間の比 A:B=8:9
AがP地からQ地までにかかった時間を⑧分とすると、BがP地からQ地までにかかった時間は⑨分です。(右下図)

⑨分-⑧分=10分 → ①分=10分
10分×8=80分
答え 80分
(2)
(1)より、PQ間の道のりは
180m/分×80分=14400m
です。
また、CはP地からQ地までに
80分+10分+6分=96分
かかりましたから、Cの速さは
14400m÷96分=150m/分
です。
道のりが同じとき、速さの比と時間の比は逆比の関係です。
速さの比 A:B:C=180m/分:160m/分:150m/分=18:16:15
↓
時間の比 A:B:C=40:45:48

「3人がP地を出発してからR地を通過するまでにかかった時間の合計は33分15秒でした」という条件がありますから、

です。
よって、P地からR地までの道のりは
180m/分×10分=1800m
です。
答え 1800m
本問は、速さと比の関係の基本を確認できる問題です。
なお、解答例ではCの速さを求めましたが、A、B、CがPQ間にかかる時間を利用すると、
時間の比 A:B:C=80分:90分:96分=40:45:48
のようにして、3人が同じ道のりにかかる時間の比を求めることもできます。
2問目は、「時刻表」を題材にした問題です。
【問題】次の表は、A駅からF駅までの列車の時刻表の一部です。表にある「0910」は「午前9時10分」を表します。また、「レ」はその駅を通過していることを表しています。時刻表の一部にはシミがあり、時刻がわかりません。普通列車はA駅からF駅まですべての駅に停車し、時速72kmの急行列車は途中のD駅のみに停車し、特急列車は途中の駅に停車しません。

① 普通列車の速さは時速何kmですか。
② 普通列車がE駅に到着したと同時に、特急列車がE駅を通過します。また、普通列車はE駅に1分間停車します。このとき、E駅とF駅は何km離れていますか。
(慶應義塾普通部 2026年 問題6)
【考え方】
①
9時40分-9時10分=30分 … 急行列車がA駅からD駅までにかかる時間
72km/時×30/60分=36km … A駅からD駅までの道のり
9時39分-9時0分=39分 … 普通列車がA駅からD駅までにかかる時間
普通列車はB駅に1分間、C駅に2分間停車しますから、A駅からD駅までの走行時間の合計は
39分-(1分+2分)=36分
です。

36km÷36/60時間=60km/時
答え 時速60km
②
10時5分-9時0分=65分 … 普通列車がA駅からF駅までにかかる時間
普通列車はB駅に1分間、C駅に2分間、D駅に1分間、E駅に1分間停車しますから、A駅からF駅までの走行時間の合計は
65分-(1分+2分+1分+1分)=60分
です。
10時2分-9時22分=40分 … 特急列車がA駅からF駅までにかかる時間
同じ道のりにかかる時間の比が
普通列車:特急列車=60分:40分=3:2
ですから、特急列車がA駅からE駅までにかかる時間を②分とすると、普通列車がA駅からE駅までの走行時間の合計は③分です。

A駅を9時に出発した普通列車がE駅に到着する時刻と、A駅を9時22分に出発した特急列車がE駅を通過する時刻が同じですから、
9時+③分+1分+2分+1分=9時22分+②分 → ①=22分-4分=18分
です。
9時+18分×3+1分+2分+1分+1分=9時59分 … 普通列車がE駅を出発する時刻
10時5分-9時59分=6分 … 普通列車がE駅からF駅までにかかる時間
60km/時×6/60時間=6km
答え 6km
本問も、速さと比の関係を確認できる問題です。
「時刻表」の形で与えられた条件を見やすく整理することがポイントになっています。
なお、(1)において、時間の比が
普通列車:急行列車=36分:30分=6:5
であることから、
普通列車と急行列車の速さの比が5:6となることを使って
72km/時×5/6=60km/時
とする解き方もあります。
3問目は総合問題です。
【問題】兄弟の家から公園まで1980mの一本道があります。この道を2人が徒歩と自転車で移動します。ある日、先に兄が徒歩で家を出発し、15分後に弟が自転車で家を出発したところ、同時に公園に着きました。帰りは先に弟が徒歩で公園を出発し、15分後に兄が自転車で公園を出発したところ、兄が弟より4分30秒早く家に着きました。2人が徒歩で進む速さと自転車で進む速さはそれぞれ一定で、自転車で進む速さは兄弟ともに徒歩で進む速さの2倍であるとして、次の問いに答えなさい。
(1) 兄と弟の徒歩で進む速さはそれぞれ分速何mですか。
(2) 別の日に、兄弟が同時に家を出発しました。2人ともはじめは徒歩で進んでいましたが、出発してから15分後に弟が自転車に乗り、しばらくしてから兄も自転車に乗ったところ、同時に公園に着きました。このとき、兄は家を出発してから自転車に乗るまで徒歩で何m進みましたか。
(明治大学付属中野中学校 2026年 第1回 問題3)
【考え方】
(1)
時間の条件(3つ)が道のりの条件(1つ)よりも多いので、条件をダイヤグラムに整理します。

行きの道のりと帰りの道のりが同じですから、兄も弟も
速さの比 徒歩:自転車=1:2 → 時間の比 徒歩:自転車=2:1
です。

消去算を利用できます。

兄は1980mを
16.5分×2=33分
で歩きますから、速さは
1980m÷33分=60m/分
です。
弟は1980mを
16.5分+19.5分=36分
で歩きますから、速さは
1980m÷36分=55m/分
です。
答え 兄 分速60m、 弟 分速55m
(2)
(1)より、自転車の速さは兄が
60m/分×2=120m/分、
弟が
55m/分×2=110m/分
です。

55m/分×15分=825m … 弟が徒歩で進んだ道のり
1980m-825m=1155m … 弟が自転車で進んだ道のり
☆分=1155m÷110m/分=10.5分 … 弟が自転車で進んだ時間
ですから、兄弟が家から公園までにかかった時間は
15分+10.5分=25.5分
です。
つるかめ算を利用できます。

★m=120m/分×25.5分-1980m=1080m
■分=1080m÷(120m/分-60m/分)=18分 … 兄が徒歩で進んだ時間
60m/分×18分=1080m
答え 1080m
本問は、速さと比の関係と消去算やつるかめ算が組み合わさった問題です。
もし、正解できないようでしたら、条件をダイヤグラムや線分図に表し、消去算やつるかめ算が利用できることを確認します。
今回は、2026年度に男子中で出された「速さと比」の問題をご紹介しました。
「速さと比」を利用する問題が苦手なようでしたら、はじめに速さと比の関係を覚え、次に条件を線分図やダイヤグラムに整理したときに速さと比の関係が利用できる部分を見つける練習をして、これからの旅人算や通過算、流水算などの「速さの文章題」の準備をしましょう。
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