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第731回 女子中の入試問題 数と計算 3

「第731回 女子中の入試問題 数と計算 3」

近年の女子中の入試で出された問題の中から、「数と計算」について考えています。

今回は「倍数と約数」がテーマの問題を見ていきます。

 

1問目は倍数の問題です。

 

【問題】321や980のように十の位の数は一の位の数以上で、百の位の数は一の位の数と十の位の数の和以上になる3けたの整数を考えます。次の( ア )~( エ )にあてはまる数を求めなさい。

(1) 一の位の数が2である3けたの数は全部で( ア )通りある。また、それらを大きい順に並べたとき、2番目の数は( イ )である。

(2) 3けたの偶数は全部で( ウ )通りある。

(3) 3けたの4の倍数は全部で( エ )通りある。

(フェリス女学院中学校 2025年 問題1-(1) 問題文一部変更)

 

【考え方】

(1)

各位の数が9以下であることに注意して、表に整理します。

6通り+5通り+4通り+3通り+2通り+1通り=21通り → ア=21

大きい数から順に並べると、972、962、952、…となるので、2番目の数は962です。 → イ=962

答え ア 21、イ 962

 

(2)

偶数という条件がありますから、一の位の数で場合分けをします。

一の位の数が0の場合

9通り+9通り+8通り+ … +1通り=54通り

一の位の数が2の場合

(1)より21通りあります。

一の位の数が4の場合

2通り+1通り=3通り

一の位の数が6の場合

十の位の数が6以上なので百の位の数が12以上となりますから、条件にあてはまる偶数はありません。

54通り+21通り+3通り=78通り → ウ=78

答え ウ 78

 

(3)

4の倍数は、その数の下2桁が4の倍数です。

9通り+8通り+6通り+4通り+2通り+5通り+3通り+1通り+2通り=40通り → エ=40

答え エ 40

 

本問は、偶数、4の倍数の見つけ方を確認できる問題です。

各位の数の大きさの条件に注意して、正確に数えましょう。

 

2問目は「かけ算や割り算の答えが整数になる」問題です。

 

【問題】4けたの整数の中で、1.4をかけても1.4でわっても答えが整数になる最も小さい数はいくつですか。

(恵泉女学園中学校 第1回 2025年 問題2-(4))

 

【考え方】

求める4けたの整数をAとし、小数の1.4を分数の7/5に直した式で表します。

(ア)において、Aは5と約分すると5が1になるような数ですから5の倍数です。

同様に、(イ)からAが7の倍数とわかります。

従って、Aは5と7の公倍数です。

公倍数は最小公倍数の倍数ですから、Aは 35×☆(☆は整数)のように表せます。

35×☆=1000 とすると

☆=1000÷35=28.5…

ですから、Aが最小の4けたの整数となるのは ☆=29 のときです。

35×29=1015

答え 1015

 

本問は、計算の結果が整数になるときの考え方を確認できる問題です。

求める数Aが「整数」となっている点に注意しましょう。

 

3問目も公倍数を利用する問題です。

 

【問題】次の□にあてはまる数を答えなさい。

3桁の整数のうち、9で割った余りが4となるような5の倍数は□個あります。

(品川女子学院中等部 算数1教科 2025年 問題9)

 

【考え方】

9で割り切れる数は9の倍数ですから、9で割った余りが4となる数は(9の倍数+4)と表せます。

上の表のように、9で割った余りが4となるような5の倍数のうち、最小の数は40です。

(9の倍数+4)は9ずつ大きくなり、5の倍数は5ずつ大きくなりますから、条件を満たす整数は最小の40に、9と5の最小公倍数の45を加えていった 85、130、… の中にあります。

40+45×■=100 とすると、

■=(100-40)÷45=1.3…

40+45×■=999 とすると、

■=(999-40)÷45=21.3…

となるので、■は2以上21以下の整数とわかります。

ですから、3桁の(40+45×■)は

21-2+1=20(個)

あります。

答え 20

 

本問は、「最小の数+公倍数=求める数」を利用する問題です。

最小は調べる、公倍数は最小公倍数の倍数 という点を確認しましょう。

 

4問目は、最大公約数と最小公倍数に関する問題です。

 

【問題】最大公約数が7で最小公倍数が1001となる2つの整数のうち、ともに2けたの整数となる組合わせを答えなさい。ただし、2つの整数は小さい順に解答欄に書きなさい。

(普連土学園中学校 1日午後算数 2025年 問題9)

 

【考え方】

条件は「すだれ算」の形に整理できます。

7×A’×B’=1001 → A’×B’=1001÷7=143=1×143 または 11×13

AとBがともに2桁の整数という条件がありますから、あてはまるの

A’×B’=11×13

の1組です。

よって、

A=7×11=77

B=7×13=91

です。

答え 77と91

 

本問は最大公約数と最小公倍数の関係を確認できる問題です。

最大公約数で割った商のA’とB’が互いに素(1以外の公約数を持たない)であることも確認しておきましょう。

 

最後は、文章題の問題です。

 

【問題】いくつかのアメと箱があります。すべてのアメを、同じ数ずつ箱に分けて入れていきます。1つの箱に11個ずつ入れていくと、アメの入る最後の箱にはアメを1個しか入れることができずに、アメの入っていない空の箱が残りました。1つの箱に10個ずつ入れていくと、アメの入る最後の箱にはアメを3個しか入れることができずに、このときもまた空の箱が残りました。1つの箱に9個ずつ入れていくと、すべての箱にアメを入れることができて、今度はアメが余りました。箱とアメの個数として考えられる、最も少ない数をそれぞれ答えなさい。

(浦和明の星女子中学校 第一回 2025年 問題1-(6))

 

【考え方】

アメを11個ずつ□箱に入れると1個余るときのアメの合計の個数は(11×□+1)個ですから、「11の倍数より1個多い」と言えます。

同様に考えると、アメを10個ずつ■箱に入れると3個余る場合のアメの合計の個数は「10の倍数より3個多い」と言えます。

この2つの条件を満たす最小の個数が23個、11と10の最小公倍数が110ですから、アメの合計の個数は(23+110×☆)個と表せます。

☆=0のとき

23個+110個×0=23個 … アメの合計の個数

23個÷11個=2箱あまり1個 → 箱は4箱以上

23個÷10個=2箱あまり3個 → 箱は4箱以上

23個÷9個=2箱あまり5個 → 箱は2箱以下

3つの条件を満たす箱の個数がありませんから、☆=0は不適当です。

☆=1のとき

23個+110個×1=133個 … アメの合計の個数

133個÷11個=12箱あまり1個 → 箱は14箱以上

133個÷10個=13箱あまり3個 → 箱は15箱以上

133個÷9個=14箱あまり7個 → 箱は14箱以下

3つの条件を満たす箱の個数がありませんから、☆=1は不適当です。

☆=2のとき

23個+110個×2=243個 … アメの合計の個数

243個÷11個=22箱あまり1個 → 箱は24箱以上

243個÷10個=24箱あまり3個 → 箱は26箱以上

243個÷9個=27箱 → 箱は26箱以下

箱が26箱のときに3つの条件を満たしますから、☆=2は適します。

答え 箱 26箱、 アメ 243個

 

本問は、条件を「11で割ると1余る → 11の倍数+1」のように読み替える問題です。

空の箱の個数がわからないことから過不足算ではないと考えられることがポイントになっています。

さらに、「空の箱ができる」、「アメが余る」という条件に注意して箱の数の範囲を決めることも大切です。

 

今回は、2025年度に女子中の入試で出された「約数と倍数」がテーマの問題をご紹介しました。

2の倍数は下1桁が2の倍数のような倍数の特徴、分数と倍数・約数の関係、最小公倍数と最大公約数の関係など、倍数と約数の問題を解くためには多くの知識が必要です。

約数と倍数の問題が苦手なようでしたら、まずは一行問題のような基本問題を解いて、知識に抜け落ちがないかを確認しましょう。

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計算力の練習問題 / 中学入試の算数問題 2025年07月12日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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