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第140回 夏は受験の天王山 2014年度に向けて⑨

中学入試の算数問題2013年07月27日18時00分
~入試問題を利用して秋からの志望校別対策授業の準備をする その1~
『夏休みにできる過去問集の利用方法』

m_20130727_01.jpg
「近畿の中学入試 標準編」(英俊社)


今回は現在入手可能な本です。


一般に過去問というと
「中学校入試対策シリーズ 神戸女学院中学部 2014年度受験用 6ヶ年分」
のように、
ひとつの中学校について傾向などを見ていくための問題集を思い浮かべます。


しかし夏休み段階では、
・まだ学力が第1志望校のレベルに到達していない
・まだ苦手な単元や分野がある
・まだ志望校を絞りきっていない
・年度別入試問題だとまだ点数にならない
などの理由から、
過去問集を用いても良いのか判断に悩むことがあると思います。


仕上がりがそのような段階のお子さんの指導教材のひとつとして、
この「近畿の中学入試 標準編」を利用していました。


この問題集は、
昨年、一昨年の過去問=生きた問題の中から、
この時期に解けるようになっておきたい問題や
すこし変化球的な問題
=解法のレベルは標準だが問題の表現や表記が新傾向の問題
が、単元別に整理されています。


しかも近畿圏の学校に限定されていますので、
近畿圏での受験指導には使い勝手の良い教材です。


一方、首都圏にはこのタイプに問題集はないようですが、
学校別の問題集である、
「スーパー過去問 5年間入試と研究」(声の教育社)
「中学校別入試問題シリーズ」(東京学参)
昨年度の中学入試を集めた、
「2014年度受験用 中学入学試験問題集 算数編」(みくに出版)
「国立・私立有名中学入試問題集 平成25年度用」(声の教育社)
などが、夏期中の塾の指導に利用されてるようです。


上記のような単元別入試問題集や学校別入試問題集を
夏休みに利用するときの注意点は、
・(問題の)優先順位
・解説が塾で習った解き方と異なっていることもある
・どの(学校の)問題を選ぶか
の3点です。


塾によってはこれらの問題集から宿題も出ますが、
夏休み、空き時間が30分程度できたが何をしようかなという場合、
この3点に留意しながら、家庭学習のひとつの候補として検討してみて下さい。


さて今回は、「夏休み中にできるようになりたいレベルの問題」のひとつとして、
「速さと比」の問題をご紹介します。




2010年度 関西学院中(第1日)

4.あるマラソンコースをA君は1周4分、B君は1周6分、T先生は5分で走ります。ある日、3人は同じ場所からA君、B君は同じ向きに、T先生は逆向きに走りはじめました。T先生は、A君と4回目に出会ってから次にB君に出会うまでに400m走りました。このマラソンコースの1周の距離を求めなさい。




速さの問題を解くときには、
はじめに「.速さの3公式で解ける問題」かどうか、
判断をします。


この問題は「速さ×時間=距離」のような計算はできません。


ということは、「比の利用」ということになります。


速さの問題を比で解くときには、
「線分図に整理する」のか
「ダイヤグラムに整理する」のかを
決めます。


その判断基準は、
「距離の条件が多いときは線分図」
「時間の条件が多いときはダイヤグラム」
です。


距離条件は「400m」の1つ、
時間条件は「4分」、「6分」、「5分」の3つですから、
ダイヤグラムを選んでみましょう。


しかしダイヤグラムに3人分も書き込むと複雑になります。


そこで「T先生は、A君と4回目に出会って」という条件から、
この2人だけをグラフにしてみます。




この問題が、夏休み中にできるようになりたいという理由は、
ここまでの手順が順序通りに正確にできるかどうかを確かめることができるからです。


問題文を読み始めてからグラフを書こうと決めるまでの時間が短いお子さんは、
もう少しレベルの高い問題に挑戦しても良いと思います。


問題の単元に応じた手順を夏休みに手に入れていきましょう。




さて、問題の続きです。


T先生とA君とが4回出会うまでのグラフを書いてみます。

m_20130727_02.gif
このグラフを使うと、4回目に出会うまでの時間が求められます。

m_20130727_03.gif
例えば「砂時計型の相似」を利用すると、
8分+4分×2/(2+7)=8と8/9分後 です。


このあとT先生が400m走るとB君に出会いますから、
いまT先生やB君がどこにいるかがわかればOKです。


T先生は1周5分ですから、5分:8と8/9分=9:16
→ 16/9周=1と7/9周しています。

B先生は1周6分ですから、6分:8と8/9分=27:40
→ 40/27周=1と13/27周しています。


ここで、「400m」、「7/9周」、「13/27周」と距離の条件が出てきましたから、
分母の最小公倍数27を1周とした池の絵(線分図)に切り替えて考えてみましょう。

m_20130727_04.gif

つまり、

m_20130727_05.gif
T先生とB君が出会うまでに2人会わせて
⑭+⑥=⑳ 走ります。
T先生とB君の速さの比は、時間の比 5:6の逆比 6:5ですから、
⑳×6/11=400m → ①=110/3m
です。
したがって、1周=110/3m×27=990m
とわかります。




グラフを書くという方針が立ったお子さんは、
ダイヤグラムから4回目に出会う時間まで求められたと思います。


しかし、その先「池の絵」にするかどうかは別として、
990mが求められなかったお子さんは、
このレベルの問題演習がまだ不足しているといえそうです。


速さと比の問題は、
1.問題に応じて、速さの問題を解くための方針をたてる
2.方針にそって求めた新しい条件を利用して、問題の後半を解ききる
という2段階になっています。


このどの段階までできているかを把握して、
その一歩先に進んでいけるといいですね。

ところでもう少し仕上がってきているお子さんでしたら、
次のような解き方になったかも知れませんね。


時間の比 A君:B君:T先生=4:6:5
速さの比 A君:T先生=5:4 → 1周=9
A君とT先生が4回目に出会うまでにT先生が進む距離=4×4=16=1周と7/9周
速さの比 B君:T先生=5:6 → 1周=11
T先生が16/9周進む間にB君が進む距離=16/9×5/6=40/27=1周と13/27周
T先生とB君の隔たり 2/9周+14/27周=20/27周
B君とT先生が次に出会うまでにT先生は、20/27周の6/11だけ進み、
これが400mにあたるので、1周=400m÷(20/27×6/11)=990m です。


このような解き方をするお子さんは「池タイプの旅人算」の特徴である、
「2人が出会うまでに進む距離=池1周」が使えるようになっています。
まだ夏休みですが偏差値の高い学校の過去問に取り組んでも良いなと思いますし、
受講する夏期講習のテキストの問題もそのレベルになっているでしょうから、
講習教材に全力を尽くして、秋以降の志望校別授業に備えるのも良いと思います。


いずれにせよ、お子さんに適したレベルの問題を夏休み期間中にたくさん解いて、
秋からの志望校別授業でさらに伸ばしていけるよう、
お子さんの現段階のレベルを正確に把握できるといいですね。
 
中学入試の算数問題2013年07月27日18時00分

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主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。