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第680回 共学中の入試問題 平面図形 2

「第680回 共学中の入試問題 平面図形 2」

近年の共学中の入試で出された「平面図形」について、前回から見ています。

今回は「求積」の問題を取り扱っていきます。

 

1問目は、基本レベルの問題です。

 

【問題】下の図において、斜線部分の面積は何㎠ですか。

(青山学院横浜英和中学校 2024年 問題1-(6) 問題文一部変更)

 

【考え方】

面積公式のない図形の面積を求めるときは、「三角形に分ける」または「全体から引く」が基本の考え方です。

ここでは「全体から引く」を利用してみます。

下の図のように、三角形ABCは1辺の長さが

6㎝+10㎝=16㎝

の直角二等辺三角形ですから、三角形DCEも直角二等辺三角形です。

=12㎝÷2=6㎝

=4㎝+6㎝=10㎝

16㎝×16㎝÷2=128㎠ … 三角形ABCの面積

6㎝×10㎝÷2=30㎠ … 三角形AFEの面積

12㎝×6㎝÷2=36㎠ … 三角形DCEの面積

128㎠-(30㎠+36㎠)=62㎠

答え 62㎠

 

本問は、面積公式のない図形の考え方が確認できる問題です。

解答例では「全体から引く」を用いましたが、の長さがわかったところで方針を変更して

10㎝×10㎝÷2+4㎝×6㎝÷2=62㎠

のようにしてもよいでしょう。

 

2問目も、基本レベルの問題です。

 

【問題】1辺の長さが1㎝の正方形を25個、下の図のようにすき間なく並べました。斜線部分の面積は何㎠ですか。

(國學院久我山中学校 2024年 問題2-(6) 問題文一部変更)

 

【考え方】

「傾いた正方形」の面積も、前問と同じように、「三角形に分ける」または「全体から引く」が基本の考え方です。

今度は「三角形に分ける」を利用してみます。

図のように、傾いた正方形(大)の面積は1辺の長さが1㎝の正方形2個分の直角三角形4個と1辺の長さが1㎝の正方形9個分の面積の和です。

2個分×4+9個分=17個分

また、傾いた正方形(小)の面積は1辺の長さが1㎝の正方形1個分の直角三角形4個と1辺の長さが1㎝の正方形1個分の面積の和です。

1個分×4+1個分=5個分

1㎝×1㎝×(17個分-5個分)=12㎠

答え 12㎠

 

本問も、面積公式のない図形の考え方が確認できる問題です。

なお、傾いた正方形(小)の面積は、次のように等積移動して求めることもできます。

 

3問目を見ていきましょう。

これも定番の問題です。

 

【問題】下の図の四角形ABCDは、AB=6㎝、AC=8㎝、BC=10㎝、AD=7.5㎝です。また、辺ADと辺BCは平行です。四角形ABCDの面積を求めなさい。

(明治大学付属八王子中学校 2024年 問題2-(6) 問題文一部変更)

 

【考え方】

ADとBCは平行ですから、四角形ABCDは台形です。

上底と下底の長さがわかっている台形ですから、その面積を求めるのに必要なのは高さです。

三角形ABCは、BCを底辺とすると高さがAH、ABを底辺とすると高さがACとなる三角形です。

10㎝×AH÷2=6㎝×8㎝÷2 → AH=4.8㎝

よって、台形ABCDの面積は

(7.5㎝+10㎝)×4.8㎝÷2=42㎠

です。

答え 42㎠

本問は、面積の求め方が2通りある三角形に関する定番の問題です。

なお、相似を習い終えていれば、直角三角形の相似を用いてAHの長さを求めても構いません。

また、次のように等高三角形(高さが等しい三角形)の面積比の関係を利用した解き方もあります。

④=24㎠ → ①=6㎠

④+③=6㎠×7=42㎠

 

さらに、定番の問題を見ていきます。

 

【問題】図のように、1辺の長さが6㎝の正方形とおうぎ形が重なっています。アとイの斜線部分の面積の差は何㎠ですか。

(大宮開成中学校 2024年 問題3-(1))

 

【考え方】

面積公式のない図形の面積の差を求めるときは、「共通部分をつけたして、面積公式が利用できるようにする」ことが解き方の基本です。

6㎝×6㎝×3.14×30度/360度=9.42㎠ … ア+ウ

6㎝×6㎝-6㎝×6㎝×3.14×90度/360度=7.74㎠ … イ+ウ

9.42㎠-7.74㎠=1.68㎠

答え 1.68㎠

 

本問は、「差とくれば、付け足し」という定番の問題です。

 

最後は、応用レベルの一行問題です。

 

【問題】下の図のように、おうぎ形と直角三角形を組み合わせました。色のついた部分の面積の和は何㎠ですか。

(慶應義塾中等部 2024年 問題3-(3) 問題文一部変更)

 

【考え方】

面積公式のない図形の「面積の和」を求める問題ですが、「図形をつけたして、面積公式が利用できるようにする」という方針は前問と同じです。

上の図形式のように、面積を求める図形は「ア+イ-ウ」です。

ところで、問題図の直角三角形は内角の大きさが30度、60度、90度ですから、正三角形を半分にしたものです。

よって、図形イは等しい辺の長さが6㎝、等しい角の大きさが30度の二等辺三角形です。

この二等辺三角形は1辺の長さが6㎝の正三角形に変形できますから、面積を求める図形は「ア-エ」とわかります。

6㎝×6㎝×3.14×60度/360度-6㎝×6㎝×3.14×30度/360度=9.42㎠

答え 9.42㎠

 

本問は、面積公式のない図形の面積を求める応用問題で、「付け足し」や「図形式をかく」という方針、「30度、60度、90度の直角三角形」の知識、「図形の変形」という解法など、いくつもの要素が関係しています。

正解できなかったときは、解いた過程をチェックしてどの点の強化が必要かを見つけましょう。

 

なお、次のように工夫して求めることもできます。

6㎝×6㎝×3.14×30度/360度=9.42㎠

 

今回は、2024年度に共学中の入試で出された「求積」に関する問題をご紹介しました。

見てきましたように「求積」の問題を解くためには、面積の公式以外にいくつもの知識が必要です。

4問目までは基本レベルの問題ですので、「求積」が苦手なときは、まず、この4問を利用して不足している知識などを確認しましょう。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2024年07月20日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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