

第728回 男子中の入試問題 場合の数 3
「第728回 男子中の入試問題 場合の数 3」
ここまで、近年に男子中の入試で出された「場合の数」の中から、「並べ方と選び方」、「ゲーム」がテーマの問題について考えました。
今回は、「塗り分け」、「条件のついた並べ方」、「遠回りができる道順」の問題を取り扱います。
1問目は「塗り分け」問題です。
【問題】図のような模様がかかれた壁の4つの場所に色をぬります。使える色は、赤、青、白、黄の4色で、同じ色を何回使ってもよいものとしますが、となり合う場所を同じ色でぬることはできません。一番左の場所は必ず赤をぬることとします。
(1) 2色だけ使うぬり方は何通りありますか。
(2) 4色すべて使うぬり方は何通りありますか。
(3) すべてのぬり方は全部で何通りありますか。
(佼成学園中学校 2024年 問題4)
【考え方】
(1)
使う2色のうち、一番左の場所には赤を塗ると決まっていますので、残りの1色が青の場合を考えます。
「となり合う場所を同じ色でぬることはできません」から、アに青、イに赤、ウに青を塗る1通りだけです。
2色目が白の場合も、黄の場合も同じですから、全部で
1通り×3=3通り
です。
答え 3通り
(2)
すべての色を使わなければいけませんから、アには赤以外の色の3通り、イには赤とアで使った色以外の2通り、ウには最後に残った1色の1通りの塗り方があります。
ですから、4色すべてを使う塗り方は
1通り×3通り×2通り×1通り=6通り
です。
答え 6通り
(3)
(1)で2色の場合、(2)で4色の場合を求めましたから、残っている3色の場合を考えます。
はじめに、赤以外の3色のうち、黄を使わない塗り方を考えます。
イに青を塗る場合は次の3通りがあります。
イに白を塗る場合も同じだけありますから、黄を使わない塗り方は
3通り×2=6通り
です。
白を使わない場合も、青を使わない場合も同様ですから、3色を使うぬり方は
6通り×3=18通り
あります。
よって、すべての塗り方は
3通り+18通り+6通り=27通り
です。
答え 27通り
本問は、塗り分けを考えるときの基本を確かめることができる問題です。
塗り分け問題が苦手なときは、解答例のように使う色を具体的に決めて塗り方を求めると考えやすいと思います。
それができるようになれば、(1)、(3)について、以下のような考え方にもチャレンジしましょう。
(別解)
(1)
2色だけを使うとき、塗り方のパターンは1通りです。
○色の選び方は、赤以外の3通りです。
パターンが1通り、色の選び方が3通りありますから、全部で
1通り×3通り=3通り
です。
(3)
使う色の種類が何色であってもよいので、アには赤以外の色の3通り、イにはア以外の色の3通り、ウにはイ以外の色の3通りの塗り方があります。
1通り×3通り×3通り×3通り=27通り
2問目は「条件のついた並び方」に関する問題です。
【問題】A君、B君、C君、D君の4人が、赤色、青色、黄色の3つのいすを使って、次のようなルールでゲームをします。オニを1人決め、残りの3人はいすに座ります。オニが「動け!」と叫んだら。座っている人は立ち上がって別のいすに座らなければなりませんが、このときオニも空いているいすに座ろうとします。そして、いすに座れなかった1人が次のゲームのオニとなります。初めにA君をオニと決め、B君が赤色のいすに、C君が青色のいすに、D君が黄色のいすに座ります。
(1) ゲームを1回行った後に次のようになるとすると、3人の座り方は全部で何通り考えられますか。
① A君が次のゲームのオニとなる
② A君が次のゲームのオニとならない
(2) ゲームを2回続けて行ったところ、D君が2回連続で次のゲームのオニとなりました。2回目のゲーム終了時点での3人の座り方は全部で何通り考えられますか。
(成城中学校 2024年 問題2)
【考え方】
(1)-①
条件を整理します。
C君が赤色のいすに座る場合、青色のいすに座るのはD君、黄色のいすに座るのはB君の1通りです。
D君が赤色のいすに座る場合も、青色のいすに座るのはB君、黄色のいすに座るのはC君の1通りです。
1通り+1通り=2通り
答え 2通り
(1)-②
B君が次のゲームのオニとなるときのいすの座り方を考えます。
C君、D君がオニとなる場合も同様ですから、全部で
3通り×3=9通り
あります。
答え 9通り
(2)
(1)-②より、1回ゲームを行った後でD君がオニとなる場合も3通りあるとわかります。
さらに、D君が続けてオニとなり、いすに座っている3人が別のいすの座る場合の数を整理すると、次のような5通りがあります。
答え 5通り
本問は、場合の数の書き出し方を確認できる問題です。
(3)を「3通り×2通り=6通り」としているときは、問われているのが「2回目のゲーム終了時点での3人の座り方」なので1回目のゲーム終了時点での座り方は考えませんから、重複を除かなければいけないことに注意しましょう。
3問目は「遠回りができる道順」に関する問題です。
【問題】下の図のような東西に4本、南北に6本の道があります。南スタート地点から東ゴール、西ゴール、北ゴール地点のいずれかに進む方法は全部で何通りありますか。ただし、南方向に進むことはできませんが、北方向、東方向、西方向のいずれかに進むことができます。また、一度通った道を通ることはできませんが、遠回りすることはできます。
(早稲田中学校 2024年 問題3)
【考え方】
初めに、東ゴール地点に進む方法を考えます。「南方向に進むことはできません」という条件から、東ゴール地点に進むときに通る道は赤色の長方形部分にある道です。
ですから、図のSからGへは次の6通りの進み方があります。
次に、西ゴール地点に進む方法を考えます。
東ゴール地点に進むときに調べたことからわかるように、西ゴールにつながる赤色の直線上に到達すると、そこからは西方向に進むことしかできません。
赤色の直線上に到達するためには、それにつながる6本の青色の直線のいずれかを通りますので、6通りの進み方があります。
また、1本の青色の直線に進む方法は、東ゴール地点に進むときと同じ6通りです。
ですから、西ゴール地点に進む方法は
6通り×6通り=36通り
あります。
北ゴール地点に進む場合も同様に考えると、
6通り×6通り×6通り=216通り
です。
よって、全部で
6通り+36通り+216通り=258通り
です。
答え 258通り
本問は、わかったことが次の問いのヒントとなっている誘導形式の問題です。
(1)、(2)のような小問番号こそありませんが、東ゴール地点→西ゴール地点→北ゴール地点という順自体が誘導になっています。
今回は、2024年度に男子中の入試で出された「塗り分け」、「条件のついた並べ方」、「遠回りができる道順」の問題をご紹介しました。
場合の数は、今回のように、計算だけで解ける問題と書き出しが必要な問題とががあります。
計算だけで解ける問題かどうかの判別が得意でないときは、樹形図やそれをもとにした計算、順列や組み合わせの計算公式がマスターできているかをチェックした後に、基本問題と応用問題で条件のどこに違いがあるかを考えるようにしてみましょう。