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第693回 共学中の入試問題 場合の数 3

「第693回 共学中の入試問題 場合の数 3」

前回は、近年の共学中の入試で出された「場合の数」の中から「場合分け」と「計算の活用」がテーマの問題を見ました。

今回は「順序よく調べる」問題を取り扱います。

 

1問目はタイルを並べる問題です。

 

【問題】同じ大きさの白色の正方形のタイルがたくさんあります。また、白色のタイルと同じ大きさの黒色の正方形のタイルもたくさんあります。これらのタイルの辺と辺をはり合わせて平面上に並べて図形をつくります。例えば、正方形のタイルを5枚はり合わせるとき、[図1]の図形と[図2]の図形は、平面上で回転させると同じ図形になるので、1種類の図形とみなしますが、[図1]の図形と[図3]の図形は、平面上で回転させても同じ図形にならないので、異なる図形とみなします。また、[図1]の図形と[図4]の図形は、色の配置が違うので、異なる図形とみなします。このとき、次の□に適当な数を入れなさい。

(1)白色の正方形のタイルを4枚はり合わせると、異なる図形は全部で□種類できます。

(2)白色の正方形のタイルと黒色の正方形のタイルの両方を使って、4枚のタイルをはり合わせると、異なる図形は全部で□種類できます。

(慶應義塾中等部 2024年 問題6)

 

【考え方】

(1)

4枚を1段に並べる、3枚と1枚の2段に並べる、2枚と2枚を2段に並べるの3つの場合に分けて書き出します。

答え 7(種類)

 

(2)

(1)のAについて調べます。

(1)のBについて調べます。

Aからもわかるように、(白3枚+黒1枚)のときの白と黒のタイルを入れ替えると(白1枚+黒3枚)と同じはり合わせ方になりますので、Bの場合は全部で

4種類+6種類+4種類=14種類

です。

(1)のCについて調べます。

やはり、(白3枚+黒1枚)のときの白と黒のタイルを入れ替えると(白1枚+黒3枚)と同じはり合わせ方になりますので、Cの場合は全部で

4種類+6種類+4種類=14種類

です。

(1)のDは(1)のBと線対称な図形ですから、タイルのはり合わせ方は同じ14種類です。(1)のEについて調べます。

(白3枚+黒1枚)と(白1枚+黒3枚)は、はり合わせ方が同じだけあるので、全部で

1種類+2種類+1種類=4種類

です。

(1)のFについて調べます。

(白3枚+黒1枚)と(白1枚+黒3枚)は、はり合わせ方が同じだけあるので、全部で

2種類+4種類+2種類=8種類

です。

(1)のGは(1)のFと線対称な図形ですから、タイルのはり合わせ方は同じ8種類です。

以上のように、Aが8種類、Bが14種類、Cが14種類、Dが14種類、Eが4種類、Fが8種類、Gが8種類ありますから、全部で70種類のはり合わせ方があります。

答え 70(種類)

 

本問は、1段に並べる、2段に並べるのように基準を作って場合分けをし、順序よく調べると答えを求めることができる問題です。

(2)では□と■を○と×に代えるなど、書き出し方に工夫をすることもできます。

 

次は、立体版の「道順問題」です。

 

【問題】下図の立方体において、点Pが頂点Aを出発し、辺の上を移動して頂点Bに到着する方法について考えます。ただし、進む方向を変更できるのは立方体の頂点の場所だけです。

【ルール】

① 点Pははじめ、頂点Aにいます。

② 一つの辺を移動するのにかかる時間は1秒です。

次の問いに答えなさい。

(1)点Pが3秒後にはじめて点Bにたどり着く方法は何通りありますか。

(2)点Pが5秒後にはじめて点Bにたどり着く方法は何通りありますか。ただし、同じ頂点を通ることはできますが、一度通った辺を通ってはいけません。

(3)点Pが5秒後にはじめて点Bにたどり着く方法は何通りありますか。ただし、一度通った辺を通ってもよいものとします。

先ほどの【ルール】に次のことをつけ加えます。

③ 点Pは一度だけ立方体の頂点で1秒間止まることができます。

(4)点Pが4秒後にはじめて点Bにたどり着く方法は何通りありますか。

(5)点Pが6秒後にはじめて点Bにたどり着く方法は何通りありますか。ただし、同じ頂点を通ることはできますが、一度通った辺を通ってはいけません。

(6)点Pが6秒後にはじめて点Bにたどり着く方法は何通りありますか。ただし、一度通った辺を通ってもよいものとします。

(広尾学園小石川中学校 2024年 問題3 問題文一部変更)

 

【考え方】

(1)

頂点Aから頂点Bへ移動するために最短で3つの辺を通りますので、最短経路のときにちょうど3秒かかります。

「道順問題」の書き出し方(1・1解法)で、1秒ごとに隣の頂点までの移動する場合の数を調べていきます。

2通り+2通り+2通り=6通り

答え 6通り

 

(2)

5秒で5つの辺を移動しますから、最短経路で移動するときよりも辺2つ分だけ遠回りをすることになります。

頂点Aを出発して1秒後に到着する頂点はア、イ、ウの3点です。

頂点アに移動した場合、次の1秒で移動できる頂点はエとオの2点です。

頂点エに移動した場合、下図のようにイ→カ→Bと移動する1通りの経路があります。

頂点オに移動したときも同様に1通りの経路がありますから、1秒後に頂点アに移動した場合の経路は合計で2通りあることがわかります。

頂点イ、ウに移動した場合も同様に2通りずつの経路がありますから、全部で

2通り×3=6通り

の経路があります。

答え 6通り

 

(3)一度通った辺を通らない場合を(2)で調べましたから、一度通った辺をもう一度通る場合を調べます。

例えば、最短経路の「A→ア→エ→B」の1通りについて、一度通った辺をもう一度通る場合の数を調べると、下の図のように6通りの経路があります。

 

(1)の移動経路は6通りありましたから、一度通った辺をもう一度通る経路は

6通り×6通り=36通り

です。

よって、(2)の6通りと合わせた42通りの経路があります。

答え 42通り

 

(4)

(1)より最短経路の場合に3秒かかることがわかっています。

また、(3)から遠回りをすると5秒以上の時間がかかることもわかります。

ですから、頂点Aから4秒後にはじめて頂点Bに到着するのは、(1)の移動経路において、どこかの頂点で1秒止まる場合だけです。

例えば、「A→ア→エ→B」のように移動する場合、頂点B以外の3つの頂点A、ア、エのいずれか1点で一度だけ止まることができますから、3通りです。

(1)の経路は6通りありますから、全部で

3通り×6通り=18通り

です。

答え 18通り

 

(5)

(2)の移動経路において、どこかの頂点で1秒止まる場合だけです。

例えば、「A→ア→エ→イ→カ→B」のように移動する場合、頂点B以外の5つの頂点A、ア、エ、イ、カのいずれか1点で一度だけ止まることができますから、5通りです。

(2)の経路は6通りありますから、全部で

5通り×6通り=30通り

です。

答え 30通り

 

(6)

(3)で調べた一度通った辺をもう一度通る場合について、1つの頂点で1秒止まる場合を考えます。

例えば、「A→ア→A→ア→エ→B」のように、のべ6つの頂点を通る場合、頂点B以外の5つの頂点のいずれか1点で一度だけ止まることができますから、5通りです。

(3)の経路のうち、一度通った辺をもう一度通る場合が36通りありましたから、全部で

5通り×36通り=180通り

です。

よって、(5)の30通りと合わせた210通りの経路があります。

答え 210通り

 

本問は、点Aから隣りにある3つの点に移動したときの経路がどの点でも同じだけであることや、誘導となっている小問を利用することで答えを導きやすくなっている問題です。

 

今回は、2024年度に共学中の入試で出された「順序よく調べる」問題をご紹介しました。

1つの場合について丁寧に調べ、それと同じだけの場合の数があるものを見つけることは大切な解法のひとつです。

問題演習を通して、書き出しと計算が上手く組み合わせられるようになるといいですね。

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場合の数の練習問題 / 中学入試の算数問題 2024年10月19日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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