第591回 女子中の入試問題 文章題 4
「第591回 女子中の入試問題 文章題 4」
首都圏で2022年度に実施されたの女子中の入試問題の中から、「文章題」を取り扱ってきています。
今回のテーマは年れい算と売買算です。
ご紹介する問題はいずれも入試問題の前半で出されていますから、必ず正解したい問題です。
では、1問目です。
【問題】現在の母の年齢は子の年齢の5倍ですが、42年後に母の年齢が子の年齢の1.5倍になります。現在の母の年齢は何歳ですか。
(田園調布学園中等部 2022年 問題1-(3))
【考え方】
年れい算には、大きく分けると「2人の年れい算」、「チーム(3人以上)の年れい算」「大家族の年れい算」の3種類があります。
本問は「2人の年れい算」ですので、「2人の年れいの差は変化しない」に着目して条件を整理します。
2人の年れいの差は変わらないので、4と0.5の最小公倍数の4にそろえます。
※先に比を3:2:1としておいてもOKです。
⑧-①=42歳
①=42歳÷7=6歳 … 現在の子の年れい
6歳×5=30歳
答え 30歳
本問は、3種類ある年れい算の中で最も基本となる「2人の年れい算」です。
解答例以外に線分図などを利用して解いてもよいでしょう。
続けて、2問目を見ていきます。
【問題】祖母、母、娘の3人の年齢について、以下のことが分かっています。
・現在の3人の年齢の合計は120歳
・3年後、母と娘の年齢の比は3:1
・30年前、祖母と母の年齢の比は3:1
現在の娘の年齢は何歳ですか。なお、この問題は解答までの考え方を表す式や文章・図などを書きなさい。
(洗足学園中学校 2022年 問題3-(4))
【考え方】
本問は「大家族の年れい算」ですので、年齢の移り変わりが見やすくなるように「年表」風に整理します。
条件が1番多くわかっている母に着目します。
現在の母の年齢を③歳とすると、30年前の母の年齢は(③-30)歳です。
(③-30)×3=⑨-90 … 30年前の祖母の年齢
また、3年後の母の年齢は(③+3)歳です。
(③+3)÷3=①+1 … 3年後の娘の年齢
ですから、現在の祖母と娘の年齢はそれぞれ、
⑨-90+30=⑨-60 … 現在の祖母の年齢
①+1-3=①-2 … 現在の娘の年齢
とわかります。
⑨-60+③+①-2=120
⑬=182
①=182÷13=14
14-2=12
答え 12歳
本問は「大家族の年れい算」の基本が確認できる問題です。
「大家族の年れい算」は、上記のように「年表」のような形に整理すると考えやすくなります。
解答例の他に、現在の母の年齢を①とする方法、30年前の母の年齢を①とする方法などいくつかの解き方がありますが、いずれの場合もそれをもとに3人の年齢を表していくという手順は同じです。
3問目は、売買算の問題です。
【問題】ある店では、桃を360個仕入れ、仕入れ値の4割増しの定価をつけました。240個は定価で売れましたが、100個は定価の2割引きにして売り、さらに20個は定価の半額で売ったところ、すべて売り切れて、20400円の利益になりました。桃1個の定価を求めなさい。
(学習院女子中等科 2022年 問題3)
【考え方】
売買算には、大きく分けると「1個売りの問題」、「多数売りの問題」の2種類があります。
本問は「多数売りの問題」ですから、条件を表に整理します。
仕入れ値を50□円とすると、
50□×(1+0.4)=70□ … 定価
70□×(1-0.2)=56□ … 売価1(1回目の値引き後)
70□÷2=35□ … 売価2(2回目の値引き後)
と表せます。
「単価×個数=合計」を利用して、表の空欄を埋めていきます。
「売上合計-仕入れ合計=総利益」より、
16800□+5600□+700□-18000□=20400円
5100□=20400円
1□=20400円÷5100=4円
4円×70=280円
答え 280円
本問は、売買算の「多数売りの問題」の基本が確認できる問題です。
「多数売りの問題」は、問題の条件を表に整理し、その表の空欄を埋めていくと解きやすくなります。
今回は、2022年度に女子中の入試で出された文章題の中から、年れい算と売買算をご紹介しました。
いずれも問題の条件に応じた整理ができれば、正解しやすい問題です。
文章題が苦手なときは、条件整理の方法や整理した条件の着目点が身についているかをチェックしてみましょう。