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平成25年入試直前 昨年度の問題を振り返る 開成中学

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中学入試の算数問題 2013年01月05日10時55分
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開成中学です。


新年おめでとうございます。

年も改まり、今日は平成25年1月5日。

昨日、4日には早くも岡山県の岡山中で入試が行われました。
受験生の皆さんが十分に力を発揮できたことを願ってやみません。

このあと近畿圏の私立中は1月19日から、
首都圏の私立中は埼玉県・千葉県が1月10日から、
東京都・神奈川県が2月1日から入試が始まります。

そこで今回から、入試まで少し間のある関東エリアの学校について、
平成24年度の入試を振り返ってみようと思います。


第1回目は、つい先日、何となく西日暮里駅を降り、
道灌山通りを歩いているときに通りがかった開成中です。


開成中の算数の入試問題は、
制限時間60分、85点満点、大問4題(年によっては3題)です。

平成24年の合格者平均は55.7点、受験者平均は42.7点でした。


問題の構成は以下の通りです。

1 小問3題 規則性の問題…交通系のICカードのチャージがテーマでした。
2 小問2題 (1)三角形の折り返し (2)回転体の体積
3 1題   消去算と不定方程式タイプのつるかめ算
4 小問4題 数の性質…素因数分解を利用しながら約数について考える問題でした。


これに、開成中を受験するレベルでの問題難度を
A(易)、B(標準)、C(難)で振り分けてみます。


開成H.24
1.(1)A (2)A (3)B
2.(1)A (2)A
3. C
4.(1)A (2)B (3)C (4)C


算数という入試科目は、
『解答数が少ない=1問あたりの配点が大きい』という特徴がありますが、
開成中の場合ですと、85点満点÷小問10題=8.5点 です。


合格者平均55.7÷8.5=6.6題=合格者が正解した問題数
(合格者平均55.7-受験者平均42.7)÷8.5点=1.5題=合格者と受験者との差
というデータから、
A、Bレベルの問題(計7題)を解ききった受験生が合格し、
これを1~2題解きそびれた受験生が目的を達成できなかったといえそうです。

1-(3)は、その「正解しそびれた1~2題」のひとつではないでしょうか。


AさんはICカードを使ってバスに乗ります。ICカードとは、チャージ金額が記載されているカードで、乗車するごとに運賃と同じ金額だけチャージ金額が減るものです。正規運賃は210円で、正規運賃で4回乗車するごとに次の1回は割引運賃で乗車できます。1回目の割引運賃は100円、2回目の割引運賃は90円、3回目の割引運賃は80円、…というように割引運賃は回を追うごとに10円ずつ額が減っていき、0円になったらそれ以降は、4回乗車するごとに次の1回は0円、すなわち無料で乗車できます。
Aさんがバスにはじめて乗車する前のチャージ金額は3000円で、チャージ金額が210円未満になったら次回乗車するまでにAさんンが5000円チャージ(入金)することにします。
(1)Aさんは1回もチャージすることなく、このICカードで何回まで乗車できますか。
(2)はじめて0円で乗車できるまでに、Aさんは何回チャージすることになりますか。
(3)このICカードで2012回乗車するまでに、Aさんは何回チャージすることになりますか。




(考え方)
SuicaやPASMOといった「ICパス」を利用しているお子さんには、
「チャージ」という言葉の意味もとらえやすかったかもしれませんので、
あとは「割引運賃」の処理だけです


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このように整理すると、ア=10周期目、イ=11周期目、ウ=12周期目…と分かります。

表より11周期目の5回目がはじめて0円で乗車できますから
それまでの乗車金額の総額は、(940円+840円)×11÷2=9790円 です。


(3)の解き方
2012回÷5回=402周期あまり2回 より、2012回乗車するための総額は、
9790円+840円×(402周期-11周期)+210円×2回=338650円 です。

(338650円-3000円)÷5000円=67あまり650円 より、
68回のチャージが必要とわかります。


(1)を解くために整理していくと、「規則性の問題」だと気づけるはずです。
もちろん、(3)の「2012回」というところからもわかりますね。


ということは順々に整理を進めながら解けば
=問題の誘導に従って解けば、
全問正解できる可能性が高い問題だっといえそうです。


もちろん、誘導にのっても最後の小問だけは難しい大問もあります。


今年の受験生さんも、来年受験する5年生のお子さんも、
「入試問題を戦略的に攻略する」視点が持てると、
「合格ラインを突破」しやすくなると思います。


5年生のお子さんは、このようにしてたてる戦略を成功させるために、
戦術=問題解法を進学塾で学び、身につけていけるといいですね。
 
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中学入試の算数問題 2013年01月05日10時55分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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