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2013年 中学入試 平成26年度に向けて⑮

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中学入試の算数問題 2013年05月18日18時00分
~今回も「大問形式」、テーマは「立体図形の切断」です。~

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芝中学校
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ここまで2013年度灘中入試問題を題材に、
2014年度入試に向けた準備や現5年生の学習方法についてみてきましたが、
今回でこのテーマはいったん終了です。


その最後を飾るのは、おなじみ「立体切断」です。


切断を学習して間もないお子さんの場合は、
制限時間を設けずに解いてみるといいと思います。


6年生でも「スライス解法」の習熟度を確かめるために解くのでしたら、
やはり時間を制限しないでおきましょう。


灘中2日目の制限時間は60分で大問5題ですから、
1題あたり10~12分です。


制限時間内に解くことを目的にすると、
「スライス解法」では少し時間的に苦しいかも知れませんが、
腕に自信があるお子さんはチャレンジのし甲斐がある問題でしょう。






5 辺の長さが1cm、2cm、3cmの直方体の形をした、中身の詰まったブロック36個を右の図1のように積み重ねて、1辺の長さが6cmの立方体を作りました。
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(1)この立方体の頂点A、B、Cを通る平面で切り、Dを含む側の立体を残します。このとき、切り口にあるブロックのつなぎ目を図2にかき込みなさい。

(2)図2の立体を、さらにD、B、Eを通る平面で切り、Cを含む側の立体を残します。このとき、切り口にあるブロックのつなぎ目を図3にかき込みなさい。

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(3)図3の立体は□個のブロックでできています。そのうち、もとの直方体の形をしたブロックは全部で□個あります。

(4)図3の立体に含まれるブロックのうち、体積が最も小さいものを考えます。そのブロックの体積を求めなさい。








過去に1辺の長さが1cmの立方体27個を積み上げて、
1辺の長さが3cmの立方体を作り、
3点を通る平面で切断したときの残りの立体に関する問題があります。


とても興味深い(=その年の受験生には酷?!)な問題でしたから、
市販教材や塾教材にも載り、
解いた経験がある受験生も多かったのではないかと思います。


今回はそれが「直方体の積み上げ」に変わりました。
するとどんな点が難しくなったのでしょうか?
さっそく、みていきましょう。




(1)は、過去問演習がいかせます。


2回切断の「サンドイッチ解法」ですね!


食パン2枚でハムサンドを作り、
それを斜めに切ったときと同じイメージです。

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つまり、ハムと切り口の交点(図中の・)を結ぶとOKです!


ですから図2にかき込むと、次のようになります。

m_20130518_05.jpg

解答図のがさす交点は、3つの直線が1点で交わっています。


定規の使い方が乱雑だったり、鉛筆の先が丸すぎたりすると、
ここが上手くいきません。


また、このような作図もありますから、
削りたての鉛筆やシャープペンシルの用意も大切です。


と、ここまではよくある難関中のレベルなのですが…。


(2)はどの点を結べばよいのかがわかりにくい問題だと思います。


このように切断面が2回出てくるときは、
はじめの立方体を3点A、B、Cで切った図と、
3点E、D、Bで切った図を
別々に書いて考えると解きやすくなります。

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(はじめの立方体を3点E、D、Bで切った図)

あとのポイントは(1)の2回切断と同じです。
この青い直線と赤い直線の交点を結んでいきます。

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すると…

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これで(2)も完成です。


(3)は此の図を元にして、ブロックの数を数えます。

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上の図のように、2つに分けておくと数えやすいかも知れません。


左の立体は、上から順の2個、3個、3個、3個、3個、3個の計17個です。
右の立体は、上から順に3個、3個、3個、3個、3個、3個の計18個です。


ですから、17個+18個=35個が(3)の前半の答えです。


また、図の赤い面や青い面は切断の面ですから、
これらの面を持つ立体は直方体ではなくなっています。


ということは、左の立体には直方体はありません。
右の立体は、上から順に
1個、2個、2個、3個、3個、3個の計14個で、
これが(3)の後半の答えです。


ここまでの図から(4)の答えは
次の図のがさす立体ということがわかります。

m_20130518_10.jpg

この立体は上の図の右の立体の赤紫色の三角形をくっついていた立体ですから、
この三角形を底面と考えると計算が簡単です。

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1cm×1cm÷2×1cm÷3=1/6 cm3と計算できました。




2013年灘中2日目-5は、(2)の作図がカギです。


この作図を正確に書くことができれば、
(3)の数える問題も、(4)の求積問題もそれほど難しくはありません。


「1回切断」は、中学校の入試偏差値に関係なく出題されることがありますから、
まずは立方体を切断し、その断面が
正方形、長方形、ひし形、平行四辺形、台形、等脚台形、二等辺三角形、正三角形になる8パターンを覚えることが基本です。


このとき、なぜそのような切り口になるかという理由を、
投影図などを用いて理解を深めた学習ができると、
切断の3原則「1.同一面の2点、2.平行面の切り口、3.延長」
無理なく理解できると思います。


この灘中の問題のような「2回切断」は、
現時点では難関中を中心とした出題ですが、
切断の3原則のうちの「3.延長」がマスターできると、
それほど難解ではありません。


「切断が苦手…」とひとくくりにしないで、
どのレベルまでがマスターできているのかを正確に捉えていきましょう。
そうすることで、次のステップに必要な学習がわかってきます。


さて、次回からは別の入試問題を題材に、
2014年入試の対策を考えてみたいと思います。

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中学入試の算数問題 2013年05月18日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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