数の性質「あまり・n進法」
第214回 「あと1ヶ月半で6年生になる5年生の学習 数の性質3」
![](/blog/maeda/wp-content/themes/e-juken-blog-wp/img/20141227_01.jpg)
今回が「数の性質」の最終回です。
そして、2014年最後のブログでもあります。
ここまで「約数」「倍数」をみてきましたが、
今回は「あまりの処理」「n進法」をテーマにしたいと思います。
「あまりの処理」問題は、
1. 同数あまり
2. 同数不足
3. 最小を書き出して調べる
4. 不明の同数あまり
5. それ以外
の5つに大きく分類されます。
例を挙げると、
「4で割っても5で割っても1あまる2けたの整数の個数」…上記1
「5で割ると3あまり、7で割ると5あまる100に最も近い整数」…上記2
「6で割ると1あまり、8で割ると3あまる整数で、小さい方から3番目の整数」…上記3
「7を加えると9で割り切れ、9を加えると7で割りきれる最も小さい整数」…上記5
などがあります。
5年生では1~3までを正解できるようになっておきたいですし、
6年生で「数の性質」を学んだときには4、5も解けるようになっておきたい、
それぞれ「定番問題」です。
そこで今回は、例に挙げなかった「4. 不明の同数あまり」についてみていきます。
(問題) りんご63個、みかん99個、なし153個を、何人かの子どもに同じ果物は同じ個数になるように分けたら、どの果物も同じ個数だけ余りました。子どもは何人いますか。すべて求めなさい。
「同じ個数だけ余ったのですが、それが何個かはわからない」ので、
「不明の同数あまり」と名付けられています。
さて、「~で割ると~」という問題は、
問題文をいったん「○÷□=☆あまり△」という式に直すと、
方針が立てやすいので、
りんご 63個÷□人=1人あたり☆個あまり△個
みかん 99個÷□人=1人あたり★個あまり△個
なし 153個÷□人=1人あたり◇個あまり△個
と表します。
もし、わり算の式に直してわかりにくいときは、さらにかけ算の式にしてみます。
りんご 1人あたり☆個×□人+△個=63個
みかん 1人あたり★個×□人+△個=99個
なし 1人あたり◇個×□人+△個=153個
かけ算の式でも方針が立たないときは、線分図や面積図に表してみましょう。
![](/blog/maeda/wp-content/themes/e-juken-blog-wp/img/20141227_02.jpg)
図から、
ア=99-63=36=ウ×□ → □=36の約数
イ=153-99=54=エ×□ → □=54の約数
なので、
□=36と54の公約数=18の約数=1人、2人、3人、6人、9人、18人
とわかります。
問題文に「最も多い場合」という条件がなければ、
最大公約数以外にも答えがありえることに気をつけます。
それぞれの場合についてりんごで確認してみると、
63個÷1人=63個あまり0個 → 問題の条件にあてはまらない
63個÷2人=31個あまり1個 → OK
63個÷3人=21個あまり0個 → 問題の条件にあてはまらない
63個÷6人=10個あまり3個 → OK
63個÷9人=7個あまり0個 → 問題の条件にあてはまらない
63個÷18人=3個あまり9個 → OK
となり、2人、6人、18人が答えとわかります。
ちなみに、「63個÷18人=3個あまり9個」から、
子どもの人数があまりの9の約数のときはあまりが出ないことに気づけると、
ベストです。
「不明の同数あまりとくれば、差の公約数」という覚え方と同時に、
「~で割ると~」→「○÷□=☆あまり△」→「☆×□+△=○」→「線分図や面積図」
という
「あまりの処理」問題の整理方針が身につけられると、
自分の力で解ける問題が増えると思います。
次はn進法の問題です。
5年生までに学ぶn進法の問題として、
○○○○=0 ○○○●=1 ○○○◎=2 ○○●○=3 ○○●●=4
○○●◎=5 ○○◎○=6 ○○◎●=7 …というきまりがあるとき、10を○、●、◎を用いて表しなさい。ただし、使わないものがあってもよいものとします。
のような、問題があります。
5年生までですと、「数の規則性」のなかまとして学びます。
![](/blog/maeda/wp-content/themes/e-juken-blog-wp/img/20141227_03.jpg)
のように、
右端の●=1、右から2番目の●=3、…と、
位置と記号に数字を「あてはめ」て解いていることが多いと思います。
これが6年生になると、
「右端は一の位で0~2までの3通りが表せるから、この問題は3進法なんだ」
と
とらえる方が解きやすい問題に触れるようになります。
そこでn進法として考えると、上手く解ける問題をご紹介します。
金蘭千里中 2009年度 入試問題 算数より
(問題) あるホテルでは4という数字を用いないで部屋番号をつけています。たとえばはじめから5室目までの部屋番号は、順に1、2、3、5、6となり、また13の次の部屋番号は15、39の次の部屋番号は50のようになっています。
(1) 部屋番号が165の部屋は何室目の部屋ですか。
(2) 500室目の部屋番号は何番ですか。
3進法は0、1、2の3種類の数字を使い、
10進法は0、1、2、3、4、5、6、7、8、9の10種類の数字を使います。
ここでいう「数字」は、「数字スタンプ」のイメージです。
10進法の13は、
「1」の数字スタンプと「3」の数字スタンプを押して表す、
という感じです。
ですから、3進法は小さい順に、
0、1、2、10、11、12、20、21、22、100、101、…
のようになります。
この問題でも同じように「数字スタンプ」のイメージで解いてみましょう。
![](/blog/maeda/wp-content/themes/e-juken-blog-wp/img/20141227_04.jpg)
しかし、「4抜き」では数えにくいですね。
そこで、部屋番号のプレート(表示板)の裏側に
「4」を使った数字も表記することにします。
代わりに「9」をなくして、
使える数字スタンプの個数をそろえておきます。
![](/blog/maeda/wp-content/themes/e-juken-blog-wp/img/20141227_05.jpg)
すると、
![](/blog/maeda/wp-content/themes/e-juken-blog-wp/img/20141227_06.jpg)
のようになります。
さて、ここからがn進法の出番です。
スタンプは0、1、2、3、4、5、6、7、8の9個ですから、9進法です。
10進法で表される数が
右から左に、一の位、十の位、百の位(10×10)、千の位(10×10×10)、…
となるように、
9進法では
一の位、九の位、八十一の位(9×9)七百二十九の位(9×9×9)、…
となっています。
たとえば、
上の表の26室目「28」は、一の位が「8」、九の位が「2」ですから、
9×2+8=26
のようにして、裏側の番号から何室目かを計算することができるのです。
これを利用すると(1)の「部屋番号165」の「裏側の番号は154」ですから、
9×9×1+9×5+4=130(室目)
と簡単に求められます。
(2)はこの逆算ですから、
9×9×□+9×□+□=500 を完成させればよいので、
500÷81=6あまり14 14÷9=1あまり5 から、
9×9×6+9×1+5 → 裏側の番号が615とわかります。 → 部屋番号716
別解として、前回(第213回)でも利用した「すだれ算」の
![](/blog/maeda/wp-content/themes/e-juken-blog-wp/img/20141227_07.jpg)
といった解き方もあります。
このようにn進法の問題は「規則性の利用」という解き方の他に、
n進法本来の特徴を利用して解く方法があり、
これが使えれば時間を節約することが可能です。
6年生で学ぶ「数の性質」は、
5年生で学んだことをベースに
より高度な問題に対応するための解き方を学びますので、
今のうちに5年生内容が十分身についているかどうかを
確認しておくとよいですね。
![](/blog/maeda/wp-content/themes/e-juken-blog-wp/img/20141227_01.jpg)
今回が「数の性質」の最終回です。
そして、2014年最後のブログでもあります。
ここまで「約数」「倍数」をみてきましたが、
今回は「あまりの処理」「n進法」をテーマにしたいと思います。
「あまりの処理」問題は、
1. 同数あまり
2. 同数不足
3. 最小を書き出して調べる
4. 不明の同数あまり
5. それ以外
の5つに大きく分類されます。
例を挙げると、
「4で割っても5で割っても1あまる2けたの整数の個数」…上記1
「5で割ると3あまり、7で割ると5あまる100に最も近い整数」…上記2
「6で割ると1あまり、8で割ると3あまる整数で、小さい方から3番目の整数」…上記3
「7を加えると9で割り切れ、9を加えると7で割りきれる最も小さい整数」…上記5
などがあります。
5年生では1~3までを正解できるようになっておきたいですし、
6年生で「数の性質」を学んだときには4、5も解けるようになっておきたい、
それぞれ「定番問題」です。
そこで今回は、例に挙げなかった「4. 不明の同数あまり」についてみていきます。
(問題) りんご63個、みかん99個、なし153個を、何人かの子どもに同じ果物は同じ個数になるように分けたら、どの果物も同じ個数だけ余りました。子どもは何人いますか。すべて求めなさい。
「同じ個数だけ余ったのですが、それが何個かはわからない」ので、
「不明の同数あまり」と名付けられています。
さて、「~で割ると~」という問題は、
問題文をいったん「○÷□=☆あまり△」という式に直すと、
方針が立てやすいので、
りんご 63個÷□人=1人あたり☆個あまり△個
みかん 99個÷□人=1人あたり★個あまり△個
なし 153個÷□人=1人あたり◇個あまり△個
と表します。
もし、わり算の式に直してわかりにくいときは、さらにかけ算の式にしてみます。
りんご 1人あたり☆個×□人+△個=63個
みかん 1人あたり★個×□人+△個=99個
なし 1人あたり◇個×□人+△個=153個
かけ算の式でも方針が立たないときは、線分図や面積図に表してみましょう。
![](/blog/maeda/wp-content/themes/e-juken-blog-wp/img/20141227_02.jpg)
図から、
ア=99-63=36=ウ×□ → □=36の約数
イ=153-99=54=エ×□ → □=54の約数
なので、
□=36と54の公約数=18の約数=1人、2人、3人、6人、9人、18人
とわかります。
問題文に「最も多い場合」という条件がなければ、
最大公約数以外にも答えがありえることに気をつけます。
それぞれの場合についてりんごで確認してみると、
63個÷1人=63個あまり0個 → 問題の条件にあてはまらない
63個÷2人=31個あまり1個 → OK
63個÷3人=21個あまり0個 → 問題の条件にあてはまらない
63個÷6人=10個あまり3個 → OK
63個÷9人=7個あまり0個 → 問題の条件にあてはまらない
63個÷18人=3個あまり9個 → OK
となり、2人、6人、18人が答えとわかります。
ちなみに、「63個÷18人=3個あまり9個」から、
子どもの人数があまりの9の約数のときはあまりが出ないことに気づけると、
ベストです。
「不明の同数あまりとくれば、差の公約数」という覚え方と同時に、
「~で割ると~」→「○÷□=☆あまり△」→「☆×□+△=○」→「線分図や面積図」
という
「あまりの処理」問題の整理方針が身につけられると、
自分の力で解ける問題が増えると思います。
次はn進法の問題です。
5年生までに学ぶn進法の問題として、
○○○○=0 ○○○●=1 ○○○◎=2 ○○●○=3 ○○●●=4
○○●◎=5 ○○◎○=6 ○○◎●=7 …というきまりがあるとき、10を○、●、◎を用いて表しなさい。ただし、使わないものがあってもよいものとします。
のような、問題があります。
5年生までですと、「数の規則性」のなかまとして学びます。
![](/blog/maeda/wp-content/themes/e-juken-blog-wp/img/20141227_03.jpg)
のように、
右端の●=1、右から2番目の●=3、…と、
位置と記号に数字を「あてはめ」て解いていることが多いと思います。
これが6年生になると、
「右端は一の位で0~2までの3通りが表せるから、この問題は3進法なんだ」
と
とらえる方が解きやすい問題に触れるようになります。
そこでn進法として考えると、上手く解ける問題をご紹介します。
金蘭千里中 2009年度 入試問題 算数より
(問題) あるホテルでは4という数字を用いないで部屋番号をつけています。たとえばはじめから5室目までの部屋番号は、順に1、2、3、5、6となり、また13の次の部屋番号は15、39の次の部屋番号は50のようになっています。
(1) 部屋番号が165の部屋は何室目の部屋ですか。
(2) 500室目の部屋番号は何番ですか。
(一部改題、(3)略)
3進法は0、1、2の3種類の数字を使い、
10進法は0、1、2、3、4、5、6、7、8、9の10種類の数字を使います。
ここでいう「数字」は、「数字スタンプ」のイメージです。
10進法の13は、
「1」の数字スタンプと「3」の数字スタンプを押して表す、
という感じです。
ですから、3進法は小さい順に、
0、1、2、10、11、12、20、21、22、100、101、…
のようになります。
この問題でも同じように「数字スタンプ」のイメージで解いてみましょう。
![](/blog/maeda/wp-content/themes/e-juken-blog-wp/img/20141227_04.jpg)
しかし、「4抜き」では数えにくいですね。
そこで、部屋番号のプレート(表示板)の裏側に
「4」を使った数字も表記することにします。
代わりに「9」をなくして、
使える数字スタンプの個数をそろえておきます。
![](/blog/maeda/wp-content/themes/e-juken-blog-wp/img/20141227_05.jpg)
すると、
![](/blog/maeda/wp-content/themes/e-juken-blog-wp/img/20141227_06.jpg)
のようになります。
さて、ここからがn進法の出番です。
スタンプは0、1、2、3、4、5、6、7、8の9個ですから、9進法です。
10進法で表される数が
右から左に、一の位、十の位、百の位(10×10)、千の位(10×10×10)、…
となるように、
9進法では
一の位、九の位、八十一の位(9×9)七百二十九の位(9×9×9)、…
となっています。
たとえば、
上の表の26室目「28」は、一の位が「8」、九の位が「2」ですから、
9×2+8=26
のようにして、裏側の番号から何室目かを計算することができるのです。
これを利用すると(1)の「部屋番号165」の「裏側の番号は154」ですから、
9×9×1+9×5+4=130(室目)
と簡単に求められます。
(2)はこの逆算ですから、
9×9×□+9×□+□=500 を完成させればよいので、
500÷81=6あまり14 14÷9=1あまり5 から、
9×9×6+9×1+5 → 裏側の番号が615とわかります。 → 部屋番号716
別解として、前回(第213回)でも利用した「すだれ算」の
![](/blog/maeda/wp-content/themes/e-juken-blog-wp/img/20141227_07.jpg)
といった解き方もあります。
このようにn進法の問題は「規則性の利用」という解き方の他に、
n進法本来の特徴を利用して解く方法があり、
これが使えれば時間を節約することが可能です。
6年生で学ぶ「数の性質」は、
5年生で学んだことをベースに
より高度な問題に対応するための解き方を学びますので、
今のうちに5年生内容が十分身についているかどうかを
確認しておくとよいですね。
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