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今日から9月の大テストまでの学習が重要

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算数の成績アップ勉強法 2015年08月22日18時00分

「第248回 今日から9月の大テストまでの学習が重要」

8月も残すところあと10日をきりました。

2学期がいよいよ始まり、
6年生にとっては夏の学習の成果が試される学校別オープン他、
重要なテストが連続で実施されます。

6年生の皆さんも
「夏期講習を頑張って受講したので、きっとテストの結果も良いはずだ」
と、テストを待ちかねているかも知れません。

しかし、
実際には「結果がでない」というケースが少なくありません。

というのも、
夏期中はinput中心の学習になっているからです。

夏期講習の日程は
「6日通って1日休み」などのように、
「連日、塾通い」をしています。

「習う→宿題(習った内容の確認)をする」
までが手一杯で、
「習ったことを使って新たな問題演習をする」
というところまでなかなか手が回らないものなのです。

そこで重要になってくるのが、
夏期講習終了時点から学校別オープンなどの大きなテストまでの期間、
どれだけoutputの練習ができるかという点なのです。

ただ、
まもなく学校が始まり、
夏休み中とは1日の過ごし方が変わってきます。

加えて学校行事や塾の志望校別特訓授業などもあって、
「大テストにむけたoutputの学習時間」がとりにくくなってきます。

ですから
学校が始まる前に、
1週間単位(または2週間単位)の学習サイクルを見直し
優先順位の低い学習項目を割愛して、
「大テストにむけたoutputの学習時間」を
見つけるようにしておきましょう。

わかった「つもり」でテストを受けるのではなく、
「○○はできる。☆☆は今はまだできない」と何ができるかを、
output練習を通して把握し、できる問題から解く準備をします。

そのoutputの練習方法の一つに入試問題演習があります。

秋に実施される学校別オープン等のテストは、
一般に入試本番並みの難度ですから、
絶対正解したい問題と試験時間内に手を出してはいけない問題の選別ができること、
今の実力でギリギリ解けそうな問題を1問でも2問でも正解させることなど、
実戦力も試されます。

その意味で、入試問題演習は練習方法の一つに挙げることができます。

ただし、
本当の実戦力はこの9月から12月にかけて整備していくのですから、
現時点で第1志望校の過去問に取り組めるお子さんは限定されてきます。

そこで、
前回ご紹介したような12月から1月の初旬に入試のある学校や、
併願予定校の中で偏差値が低めの学校の問題などが、
その候補になってきます。

具体的にどの学校の問題が良いか(あるいはどの問題集がよいか)といったことは、
お子さんのことをよくわかっておられる塾の先生にご相談して決めましょう。

塾の先生方も9月になれば忙しくなりますので、
早めにご相談してみてください。



さて今回は上記のような視点も含め、
西大和学園中の県外入試問題
(東京・東海・岡山・広島 ・福岡会場、
男女共通問題、
2015年1月12日実施
サピックス 2016年度用偏差値63)
をご紹介します。

サピックスの学校別オープンの場合、
対象校が最難関中などですから、
偏差値が近い西大和学園の県外入試問題は
output練習の候補の1つになるでしょう。

20150821150209.jpg


実際の問題を見ていきます。


2015年度 西大和学園中 県外入試問題 算数より


大問1-(5) 図のように四角形ABCDがあり、ACとBDの交点をEとします。AB=6cm、BC=8cm、CD=4cm、∠BAC=∠BDC、∠ABD=∠CBD=∠ACDであるとき、DE:EBを最も簡単な整数の比で表すと、( ① ):( ② )になり、BD=( ③ )cmとなります。
20150821150140.jpg










相似な三角形が3つ含まれた図が与えられています。

20150821150236.jpg


このうち、三角形ウから2辺の比が2:1とわかります。

また、三角形アとイの相似比が3:2ですから、

20150821150314.jpg

となり、DE:EB=1:3と求められます。


さらに、
上の図より
三角形BCEと三角形AEDも相似(角Eをはさむ2辺の比が3:2です)
とわかりますので、

20150821150418.jpg

となり、
三角形エと三角形オも相似ですから、
6cm:③=④:8cm → ①×①×12=48 → ①=2cmがわかり、
BD=④=8cm が求められます。




補助線は必要としませんが、
どの相似な三角形を使うのかを見つけるのが難しい問題です。

この問題では、三角形ABEと三角形DCEの相似だけを見ていても先に進めません。

そのとき
「何がわかると答えがわかるのか」
という、
答えの方から逆に考えることができると、
三角形DBCの利用に気づけると思います。

その意味において、
難度の高いoutputの練習問題だといえるでしょう。


もう1問ご紹介します。



大問3 東西の方向へ一列にイスが20脚並べられています。次の問いに答えなさい。

(1) 太郎くんと花子さんのすわる場所をひとりにひとつずつ決めます。決め方は何通りありますか。ただし、すわる人が異なる場合は異なるすわり方とします。

(2) ふたりの人のすわる場所をひとりにひとつずつ決めます。決め方は何通りありますか。ただし、すわる人が誰であるかは考えに入れません。

(3) 隣どうしにすわることはないようにすわり方を決めます。10人のすわる場所をひとりにひとつずつ決めるとき、決め方は何通りありますか。ただし、すわる人が誰であるかは考えに入れません。式や説明も書きなさい。

(4) 隣どうしにすわることはないようにすわり方を決めます。すわっている人とすわっている人の間の空席の数、またはすわっている人からどちらかの端まで誰もすわっていないときのその端までの空席の数を「空席数」と呼ぶことにします。「空席数」がすべて異なるように人のすわり方を考えるとき、最大何人をすわらせることができますか。また、その人数のすわり方は何通りありますか。ただし、すわる人が誰であるかは考えに入れません。









この偏差値63の入試問題をoutput練習にする以上、
小問(1)(2)は絶対に正解が必要な問題です。

それぞれ、順列と組み合わせの問題ですから、

(1) 20×19=380(通り)

(2) 20C2=(20×19)÷(2×1)=190(通り)

のように求められます。

(3)は記述指定の問題です。
椅子が20脚で10人が「隣どうしにすわることはない」ので、
10人の間の数=9脚は「空席」です。
10人が座る10脚と空席が9客までわかりましたから、
残りの1脚(もちろん空席ですね)を
どこに置くかで答えが決まります。

20150821150640.jpg


上図(○:人が座っているイス)の9カ所の黒矢印に空席イスを置き、
残った1脚を、赤矢印を含む11カ所のどこかに置くことになりますので、
答えは11通りです。

学校作成模範解答…座る席同士の間に少なくとも1脚必要なので、
10人を座らせるには、少なくとも9脚の空席がいる。
残り1脚をどこに置くかを考えることになる。
両端に置くことを考えあわせて、9+2=11 11通り


「説明」なので、文の他に図やグラフなどを使ってもOKです。

大切なことは「採点者に意図が伝わるように書く」ことです。


(4)は難問です。
「空席数がすべて異なる」ようにするので、
1+2+3+4+5+6=21>20 より、
空席数は1~5の5種類で、
そのとき空席数の合計が15となり、
残り5脚に人が座るので最大は5人です。

20150821150835.jpg

上の図より、
5種類の空席数の並べ方を考えて、
5!=5××4×3×2×1=120(通り)、
さらに人が右端にいるパターンもありますから、
120×2=240(通り) 
と計算できます。

そして、
ここまで求めたとき、
「じゃあ、座っている人が両端にいるときもあるんじゃない…?」
と考えることができれば最高です。

20150821150904.jpg

このように考えると、
初め考えた5種類の空席数(1、2、3、4、5)のうち2つをくっつけた、
空席数が4種類のパターンもあることがわかります。

ただし、1+2=3 とすると空席数は、3、3、4、5となり、
「空席数がすべて異なる」という条件にあてはまりません。

つまり、1+2、1+3、1+4、2+3の4つのくっつけ方は条件にあてはまりませんので、
5C2-4=6(通り)のくっつけ方があり、
そのそれぞれで4種類の空席数の並べ方が 4!=4×3×2×1=24(通り)ありますから
24×6=144(通り) が加わり、
240通り+144通り=384通り が(4)の答えとして求められます。



この西大和学園中の県外入試でoutput練習をする場合、
試験時間60分16問であり、
また大問2も時間がかかる問題であることから、
大問3-(4)は、
「5人(正解)、240通り(不正解)」まで解答できれば、
9月段階としてはOKだと思います。

また、(4)はパスもアリでしょう。

このような問題を見ていきますと、
夏期講習期間中のように
1問1問を解いて知識を身につけていくinputの学習だけでなく、
取りこぼしをしない、パスをするといったoutputの練習も、
これから6年生には必要になることがわかってきます。

9月の学校別オープンまで、それほど時間はありません。

夏期講習が終われば、
秋用の学習サイクルへすぐに切り替えて、
大テストにむけたoutputの練習ができるといいですね。

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算数の成績アップ勉強法 2015年08月22日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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