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第375回 2018年度入試 5

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中学入試の算数問題 2018年01月20日18時00分

「第375回 2018年度入試 5」


2月1日の東京都、神奈川県の中学入試解禁日が目前となりました。


週が明けると、
千葉県の渋谷教育学園幕張中学校や市川中学校、
埼玉県の立教新座中学校など、
最後の「1月校」入試が実施されます。


一方、関西エリアでは一部中学の若干名募集を除いて、
2018年度の中学入試が終了しました。


そこで今回は、
1月13・14日に実施されました灘中の入試について
見ていこうと思います。


灘中の2018年度入試は
募集人数180名(180名)に対し、
受験者数727名(667名)、
合格者数252名(242名)、
実質倍率2.88倍(2.76倍)となりました。


また、算数の結果は、
1日目の受験者平均は52.6点(49.1点)、合格者平均は66.5点(63.1点)、
2日目の受験者平均は54.8点(48.4点)、合格者平均は69.2点(62.4点)で、
2017年度よりやや易化しました。
※( )内は2017年度の数値 


では「灘中 算数 1日目」の問題をご紹介していきます。

2018年度 灘中 算数 1日目の出題範囲は以下の通りでした。

20180116175458.jpg

この中から、数問を見ていこうと思います。




2018年度 灘中 入試問題 算数1日目より 

問題3 4個の整数a、b、c、dがあり、bはaより1大きく、cはbより1大きく、dはcより1大きいです。a×b+b×c+c×+d×aを計算すると2400になるとき、aは(  )です。








【解答例】
面積図を利用すると問題の条件を次のように表すことができます。

20180116175532.jpg

図より、差が2である2数の積が2400であると読み取れます。


2400=48×50 ですから、a=23 とわかります。






次は余りの計算に関する問題です。

問題4 3を8個かけてできる数3×3×3×3×3×3×3×3、すなわち6561の約数のうち、4で割ると1余るものは、1を含めて全部で(①  )個あります。また、30を8個かけてできる数30×30×30×30×30×30×30×30 の約数のうち、4で割ると1余るものは、1を含めて全部で(②  )個あります。








【解答例】
①が②の誘導になっている可能性の高い問題です。


①だけの正解を目指す場合は、書き出しでOKです。


6561=38 ですから、約数は全部で9個です。

20180116175617.jpg

表から、①の答えが5とわかります。


ところで、この表を見ると、
4で割った余りは「1」と「3」が規則的に並んでいます。


この理由を考えると、②の答えも求めやすくなります。


1=4で割ると1余る数 
3=1×3=4で割ると1余る数×4で割ると3余る数=4で割ると3余る数 
9=3×3=4で割ると3余る数×4で割ると3余る数=4で割ると1余る数 
27=9×3=4で割ると1余る数×4で割ると3余る数=4で割ると3余る数…


これを利用すると、②は次のように考えることができます。


308=38×28×58 ですから、
4で割った余りが1=奇数となるのは、3a×5bのときです。


5は4で割ると1余る数ですから、
5bを4で割ったときの余りは下の表のようになります。

20180116175704.jpg

3aと5bのいずれもが4で割ると1余るとき、
3a×5bも4で割ると1余りますから、
5通り×9通り=45が②の答えとわかります。






次は、場合の数の要素を含んだ平面図形の問題です。


20180116175734.jpg問題8 右の図で、円周を12等分した点をA、B、…、Lとします。これらの12個の点から異なる3点を選んで三角形をつくるとき、どの辺の長さも円の半径より大きくなるような三角形は全部で(  )個あります。ただし、合同な三角形でも、頂点が異なるときは異なる三角形として数えます。










【解答例】
20180116175801.jpg円に内接する正六角形の1辺の長さが円の半径と等しいので、
円周上の点を2個以上とばして結ぶ必要があります。


ですから、円周の長さを12とすると、
3+3+6、3+4+5、4+4+4の3つの場合が考えられます。


3+3+6の場合…二等辺三角形が12個できる  

20180116175846.jpg

3+4+5の場合…三角形が24個できる  

20180116175906.jpg

4+4+4の場合…正三角形が4個できる  

20180116175924.jpg

12個+24個+4個=40 






最後も平面図形の問題です。 


20180116175945.jpg問題10 右の図のように、正六角形ABCDEFの内側に点をとり、6つの頂点とPをそれぞれ直線で結びます。三角形ABP、CDP、EFPの面積がそれぞれ3cm2、5cm2、8cm2であるとき、三角形BCPの面積は(  )cm2です。










【解答例】
「120度六角形は正三角形で囲む」という原則を利用します。

20180116180013.jpg
図より、正三角形の面積が
(3cm2+5cm2+8cm2)×3=48cm2 とわかります。


正六角形を囲む正三角形の面積は
正六角形を6等分してできる小さな正三角形の面積の9個分なので、
正六角形の面積は32cm2です。


三角形BCPの面積+三角形EFPの面積=正六角形の面積の3分の1ですから、
32cm2÷3-8cm2= 2 2/3cm2 と求められます。






灘中の2018年度入試 算数1日目は、
「類題を解いたことがある」と思える問題が多かったため、
比較的取り組みやすかったと思われます。


今回ご紹介した問題も難度の差はありますが、
灘中志望者であれば似た解き方をする問題に取り組んできているでしょう。


しかし、その経験を正解に結びつけるには、日頃の勉強の質が大切です。


新5、6年生も宿題など家庭学習をするときは、
解き終えてからで構いませんから、
「なぜそのような解き方ができるのか」を考えるようにしてみましょう。


それができれば、灘中の入試問題のような難度の高い問題でも、
正解することができるようになると思います。

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中学入試の算数問題 2018年01月20日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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