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第426回 2019年度 中学入試 1

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中学入試の算数問題 2019年01月12日18時00分

「第426回 2019年度 中学入試 1」


首都圏では、東京都や神奈川県の中学入試まであと3週間となりました。


そして、関西エリアでは統一入試までいよいよ残り1週間となり、受験生は志望校に向けて最後の学習に余念がないことと思います。


この時期、首都圏では1月校、関西エリアでも前受け校の入試が行われており、そちらの結果も大いに気になるところです。


そこで今回は、先月の15日に行われました、海陽中等教育学校の特別給費制入試の問題を振り返りつつ、志望校の入試に向けた準備について考えてみようと思います。


問題を見ていく前に、海陽中等教育学校の特別給費制入試の結果をご紹介しておきます。

20190104094439.jpg


倍率は2018年度よりもやや下がりましたが、算数の合格者平均点は2018年度が71.8点でしたから、ほとんど変化はありませんでした。


しかし、受験者平均との差は100点換算すると18.0点となる理科に次いで高く、算数が合否に大きく関わっていたといえそうです。


では、問題を見てみましょう。




2019年度 海陽中等教育学校 特別給費制入試 より 

大問1
(1) 20、21、24、25、28、30、32、35、37、40の10個の数から異なるものをいくつか選んで和が100となるようにしたい。

(あ) 2個選ぶときや、5個以上選ぶときでは和が100にできないことを説明しなさい。

以下の問いには、20+30+40のように答えること。

(い) 3個選んで和が100になる組み合わせをすべて求めなさい。

(う)  4個選んで和が100になる組み合わせをすべて求めなさい。


(2) 赤球100個と青球30個と白球何個かを1列に並べます。

(え) どの2つの赤球も隣り合わないようにするには白球は最小で何個必要ですか。

(お) 両端以外のどの球についても両隣りの球の色が異なるようにするには、白球は何個以上何個以下でないといけませんか。








【解答例】
(1)-(あ)
(例)10個の数のうち、大きい方から2個の数を選んでも40+37=77で100よりも小さいので、どの2数を選んでも和を100にすることはできない。また、小さい方から5個の数を選んでも20+21+24+25+28=118で100よりも大きくなるから、5個以上の数の和を100にすることはできない。


(1)-(い)
最小の数が20なので、3個の数の和は60より大きくなります。

そこで、
20190104094616.jpg
のように整理し、一の位に着目しながら「元の数と20との差」の数から3個選んで

100-20×3=40

になる組み合わせを探します。


すると、

5+15+20、8+12+20、8+15+17

の3組が見つかりますから、

答えは

25+35+40、28+32+40、28+35+37

です。


(1)-(う)
「元の数と20との差」の数から4個選んで、

100-20×4個=20

になる組み合わせを探します。


すると、

0+1+4+15 と 1+4+5+10

の2組が見つかりますから、答えは

20+21+24+35、21+24+25+30

です。


(2)-(え)
100個ある赤球と赤球の間に99個の別の色の球を入れればよいので、

99個-30個=69

です。


(2)-(お)
問題文の「両隣の球の色が異なる」とは、次のような並べ方のことです。

20190104094745.jpg


ですから、白球が最小となる並べ方は、

20190104094808.jpg

となるので、白球の個数は

2個×(49組-15組)=68個

です。


また、最大となる並べ方は、

20190104094834.jpg

となり、青球2個の組が15組、赤球2個の組が50組あるので、間の数は両端を含めて

15組+50組+1組=66組

です。

2個×66組=132個

答え 68個以上132個以下 






大問1から「記述形式」と「場合の数」という見た目に大変そうな問題でしたから、受験生も思わず身構えてしまったかも知れません。


しかし、落ち着いて問題を読んでみると、記述は決して難しくありませんし、(2)-(え)も易しいことに気づけます。


また、(お)の問題文を、もし読み違えて、答えを「69個以上131個以下」と書いていたとしても、間違っているとは思わず、焦ることなく次の問題に取りかかれたかも知れませんから、大問1はラッキーな問題だったともいえそうです。




2019年度の海陽中等教育学校の特別給費制入試では、大問2で書き出しなどを利用して答え導き出す場合の数、大問3は正多角形や対称図形の特徴に関する平面図形の問題、大問4は記述式の解答を含む規則性の問題が出題されており、旅人算や相似など中学入試でよく出される問題はありませんでしたから、残念ながらこれからの入試に向けてそれらの分野のおさらいというわけにはいかないようです。


しかし、記述や「すべて答えなさい」といった複数回答の問題は、問題の条件をよく読む、抜け漏れなく書き出しをする練習になるでしょうから、家庭学習の時間に余裕があれば取り組んでみるのもよいと思います。

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中学入試の算数問題 2019年01月12日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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