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第430回 2019年度 中学入試 5

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中学入試の算数問題2019年02月09日18時00分

「第430回 2019年度 中学入試 5」


2019年度の中学入試も、ほぼすべての日程を終えようとしています。


ここまで行われた今年度の入試を見てみますと、2020年度の大学入試改革を意識してか、従来の答えを出すまでの過程を書かせる問題の他、理由などを記述する問題も出されています。


今回からは東京都、神奈川県の中学入試問題をご紹介していく予定ですが、東京都の男子御三家、開成中学でも、大問4に理由記述の問題がありました。


その開成中学の2019年度の入試状況は、出願者数が1231名、受験者数が1159名、合格者数が396名、実質倍率2.9倍とほぼ平年通り、また算数の入試問題も大問4題の構成で、出題数、難度とも平年並みといえるものでした。

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それでは、2019年度の開成中学の入試問題をいくつかご紹介していきます。


はじめは「速さと比」を学んでいれば新6年生でもチャレンジができる問題です。




2019年度 開成中学校 入試問題 算数より 

大問1 
K君は、自宅からおばさんの家まで、スイカ2つを1人で運ぶつもりでした。ところが、弟のS君が「ぼくも手伝う!」と言ったので、次のようにしました。

1)K君とS君がそれぞれスイカを1つずつ持って、同時に自宅を出発する。
2)K君の方がS君よりも速さが速いので、おばさんの家に先に着く。そこで、すぐにスイカを置いて、S君に出会うまで引き返す。
3)K君は、S君に出会ったらすぐにスイカを受け取り、すぐにおばさんの家に向かう。

ここで、K君の速さは 

スイカを2つ持っているときは毎分60m、
スイカを1つ持っているときは毎分80m、
スイカを持っていないときは毎分100m 

です。
スイカを2つ運び終えたK君がおばさんの家で休んでいると、後から追いかけてきたS君が到着しました。

S君「おにいちゃん、ぼく、役に立った?」
K君「もちろんだよ!ぼくが一人で運ぶつもりだったけど、そうするのに比べて、15/16倍の時間で運び終えられたからね。ありがとう!」
S君「ほんと?! よかった!」

次の問いに答えなさい。

(1) K君が一度目におばさんの家に着いてから、二度目におばさんの家に着くまでの時間は、K君がはじめに一人でスイカ2つを運ぶのにかかると考えていた時間の何倍ですか。

(2) 引き返したK君がS君に出会った地点から、おばさんの家までの距離は、自宅からおばさんの家までの距離の何倍ですか。

(3) S君がスイカ1つを持って進む速さは毎分何mですか。








【解答例】
時間の条件だけが与えられていますから、ダイヤグラムに整理してみます。

20190204191448.jpg
注:(3)を解くとS君は60m/分よりも速いことがわかりますが、この段階ではS君の速さが不明なので、一番遅いものとしてグラフを作成します。


(1)
速さの比80m/分:60m/分=4:3 → 時間の比③:④ 

20190204191521.jpg


上のグラフより、K君が一度目におばさんの家に着くまでの時間は、16×3/4=12 ですから、K君が一度目におばさんの家に着いてから、二度目におばさんの家に着くまでの時間は、15-12=3です。

答え 3/16 


(2)
(1)を利用すると、次のようになります。

20190204191548.jpg


80m/分×12:100m/分×4/3=36:5

答え 
5/36 


(3)
(2)を利用します。

20190204191610.jpg


上のグラフより、K君(80m/分)とS君の速さの比は、36÷12:31÷40/3=40:31なので、S君の速さは、80m/分×31/40=62m/です。




問題文が会話調であるためとても読みやすく、緊張している受験生にとっては「緊張感を和らげてくれる1問」だったのではないかと思います。

しかし、(1)の正解→(2)の正解→(3)の正解となる「芋づる式」の問題でしたので、得点差が生まれやすい問題でもありました。


では、もう1問、今度は立体図形の問題です。




大問2 
次の図のような直方体ABCD-EFGHがあります。また、辺CD、EF、GC上にそれぞれ点P、Q、Rがあり、DP=8cm、PC=12cm、EQ=4cm、CR=9cmが成り立っています。

20190204191648.jpg


3点P、Q、Rを通る平面でこの直方体を切断し、切断したときにできる切り口の図形をXとします。

図形Xを前から見ると(面ABFEに垂直な方向から見ると)、面積が228cm2の図形に見えます。
図形Xを上から見ると(面ABCDに垂直な方向から見ると)、面積が266cm2の図形に見えます。

20190204191712.jpg


このとき、次の問いに答えなさい。

(1)図形Xは何角形ですか。

(2)直方体の高さ(辺AEの長さ)は何cmですか。

(3)直方体の奥行き(辺ADの長さ)は何cmですか。







【解答例】
(1) 
切断の3原則にそって作図をします。

20190204191742.jpg


答え 六角形 


(2)
(1)の作図において、求められる長さを記入します。

20190204191801.jpg


次に「図形Xを前から見た図」に値を記入します。

20190204191816.jpg


4cm×3cm×1/2+12cm×9cm×1/2+228cm2=288cm2 ... 長方形AEFBの面積

288cm2÷(8cm+12cm)=14.4cm 


(3)
(2)と同様に、「図形Xを上から見た図」に値を記入します。

20190204191847.jpg


隣辺比を利用すると、三角形DUPの面積:三角形DACの面積=⑩×8:㉙×20=4:29なので、三角形QBVの面積:三角形BCAの面積=4×22:29=16:29です。


従って、長方形ABCDの面積:図形X=58:38=29:19となるので、

266cm2×29/19=406cm2 ... 長方形ABCDの面積 

より、

406cm2÷(8cm+12cm)=20.3cm 






本問のように切断された立体図形を投影する問題は、開成中学の過去問にもありますから、(1)(2)は「受験生にとって取り組みやすい問題」だったかも知れません。


前々回にご紹介した灘中学の2019年度の入試問題も、過去問と同じ考え方を使うことのできる問題がありましたが、開成中学でも同様の出題となっています。


このように、塾の教材や過去問演習を通して、解き方や考え方を「正しく理解する」ことは、中学受験の勉強でとても大切であることがわかります。


ですから、この2月から学ぶ内容について「宿題をするだけ」や「解くだけ」ではない家庭学習に取り組み、夏休み前後から始まる志望校別の勉強で解き方や考え方を「正しく理解する」ことにつなげることができればいいなと思います。

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中学入試の算数問題2019年02月09日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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