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第479回 中学入試で出題される「数の性質」「規則性」と6年生の学習

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数の性質の練習問題 2020年01月18日18時00分

「第479回 中学入試で出題される「数の性質」「規則性」と6年生の学習」


前回まで、中学入試で出された「数の性質」と「規則性」の問題をご紹介してきましたが、これらの問題が解けるようになるために、大手進学塾がどのようなことを取り扱っているのかを、今回は見ていこうと思います。


一例として、首都圏の大手進学塾であるサピックスの6年生の学習カリキュラム(サピックスホームページより)から、「数の性質」と「規則性」について整理してみました。

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サピックスでは、「デイリーサピックス」などを用いた平常授業と講習会の合計62回のカリキュラムのうち、およそ6分の1の9回で「数の性質」や「規則性」を取り扱っています。


そのうち、夏期講習は「総復習を行い(中略)後期以降の志望校対策を中心とする実戦的な学習に備えた内容」(サピックスホームページより)ですから、新規の単元として「数の性質」や「規則性」を学習するのはそれまでの3回です。


では、半月後に始まる6年生の第1回の学習内容がどのようなものか、サピックスの平常授業教材「デイリーサポート」(過去教材)から、具体的に見てみましょう。


「デイリーサポート 61-01」では「導入と基本」のあと、「デイリーアプローチ」で

・最も小さい数
・同じ余り
・割り切れない数
・ふまなかった階段
・辺の長さを求める
・A、Bの最小値
・何回割れる?
・積を割り切る
・連続数の積
・カード集め
・同時に鳴る
・かけたら平方数

という12の学習テーマがあり、さらに、それらの練習問題として「Daily Support」が用意されています。


この「デイリーサポート 61-01」の学習内容は、中学入試の問題と次のようにつながってきます。




デイリーサポート 61-01 導入と基本①より 

問題3-(1) 40の約数をすべて求めなさい。








【解答例】
40を1で割ると40、2で割ると20、4で割ると10、5で割ると8のようにして求める40の約数を、次のように書き出していきます。

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答え 1、2、4、5、8、10、20、40 






2019年 東邦大学付属東邦中学校 前期 入試問題より 

問題2-(1) 72の約数をすべてかけ合わせた数は、72を(  )回かけ合わせた数と等しくなります。








【解答例】
72=23×32なので、72の約数の個数は(3+1)×(2+1)=12個あります。

12÷2=6

答え 6 






「デイリーサポート」で約数の書き出し方を上記のように学んだことを利用すると、表中の上下の2数の積がどれも40になりますから、40の約数8個をすべてかけ合わせた数は、8個の半分の4回だけ40をかけ合わせた数に等しくなるということがわかります。


従って、東邦大学付属東邦中学校の問題に取り組むときも、求める答えが「約数の個数の半分の回数」だと気づくことが可能になります。




別の例を見てみましょう。




デイリーサポート 61-01 デイリーアプローチ⑥「連続数の積」より 

問題1-(1) 1から70までの整数をかけた1×2×3×……×70の積について、積を順に3で割っていくとき、何回目に初めて3で割り切れなくなりますか。








【解答例】
3で1回割れるのは、3の倍数をかけたときです。

3で2回割れるのは、3×3=9 の倍数をかけたときです。

3で3回割れるのは、3×3×3=27 の倍数をかけたときです。


3の倍数 70÷3=23…1 より、23個
9の倍数 70÷9=7…7 より、7個
27の倍数 70÷27=2…16 より、2個

3×3×3×3=81>70なので、3で4回以上割れる数はありません。

よって、23+7+2=32 の32回割り切れるので、割り切れなくなるのは 32+1=33 の33回目です。

答え 
33回目 








2019年 武蔵中学校 入試問題より 

問題1-(2) 1以上10000以下の整数をすべてかけた数1×2×3×……×9999×10000を31で割り続けたとき、初めて割り切れなくなるのは何回目ですか。








【解答例】
「デイリーサポート」の問題の解説では「横書き算」を用いていますが、次のような「すだれ算(逆割り)」で学ぶこともあるでしょう。

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本問の場合は、「デイリーアプローチ」や「デイリーサポート」で学んだことがそのまま使えます。




この問題の他にも、「デイリーサポート 61-01」で取り扱われる学習内容のうち、2019年度の中学入試では、かえつ有明中学校で「連続数の積」、國學院久我山中学校、山手学院中学校、女子聖学院中学校で「割りきれない数」、筑波大学附属中学校で「最も小さい数」、サレジオ学院中学校で「同じ余り」の問題が出されています。




このように、大手進学塾の多くで6年生の2月に取り扱われる「数の性質」には、それを利用すると中学入試問題を解くことができる学習テーマや、学んだことがそのまま中学入試で使える問題が多く含まれています。


ですから、各テーマの内容とその解答過程の書き方の両方を身につけて、前回まで、そして今回ご紹介したような入試問題を解く力に結びつけていくことが大切だと思います。

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数の性質の練習問題 / 受験算数と塾の使い方 2020年01月18日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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