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第482回 2020年度の中学入試 3

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中学入試の算数問題 / 速さの練習問題2020年02月08日18時00分

「第482回 2020年度の中学入試 3」


前回は2020年度の中学入試の中から、「1月校」の浦和明の星女子中学校、渋谷教育学園幕張中学校の問題の一部をご紹介しました。


そこで、今回からは首都圏で2月1日に行われた中学入試の問題を見ていこうと思います。


トップバッターは開成中学校です。


2020年度の開成中学校の入試問題は例年通りの大問4題という構成でしたが、そのうちの3題が「思考力」問題となっており、難しく感じた受験生もいたのではないでしょうか。


では、その「思考力」問題の中から、1題をご紹介していきます。


「思考力」問題によくある長文問題ですから、条件の把握と整理がポイントになっています。






2020年度 開成中学校 入試問題 算数より 

問題2 平面上に、点Aを中心とする半径10mの円Xと半径20mの円Yがあり、円Xの周上を動く点Bと円Yの周上を動く点Cがあります。点Bは円Xの周上を一定の速さで反時計回りに進み、1時間で一周します。そして、点Cは円Yの周上を一定の速さで反時計回りに進み、3時間で一周します。また、点Pがあり、点Pは、次の[移動1]、[移動2]、[移動3]ができます。

20200203144811.jpg

現在、3点A、B、Cは図のように1列に並んでいて、点Pは点Aと重なっています。

20200203144830.jpg

このあと、点Pが点Aから移動して、以下のようにして点Aに戻ってくることを考えます。

20200203144849.jpg

点Pが上の動きを最後までできるように、①の移動の開始時と、④の移動の時間を調節します。

(1) ①の移動を開始してから③の移動で点Cに到着するまでの点Pの動きは下の図のようになります。解答欄の図に、①の移動開始時の点Bと点Cのおよその位置をそれぞれわかるように書きこみなさい。

20200203144922.jpg

(2) ①の移動の開始時を現在から最短で何分後にすれば、③の移動までで点Pが点Cに到着することができますか。

(3) ①の移動を開始してから⑦の移動で点Aに戻るまでに、点Pの動く道のりは最短で何mですか。四捨五入して小数第1位まで求めなさい。








【解答例】
(1)
点Pは、[移動1]では

50m×12/60時間=10m

動きますから、①や③の移動がそれぞれ12分とわかります。


また、点Bは

360°÷60分=6°/分

点Cは

360°÷180分=2°/分

の速さでそれぞれ進みます。


ですから、点Pは移動を開始してから、12分後に点Bに移り、また、

12分+8分+12分=32分後

に点Cに移ったことになります。


6°/分×12分=72°...点Pが移動を開始してから点Bに移るまでに点Bが進んだ角の大きさ 

2°/分×32分=64°...点Pが移動を開始してから点Cに移るまでに点Cが進んだ角の大きさ

20200203145029.jpg


(2)
(1)の解答図の②の移動で点Pは、

6°/分×8分=48°

進んでいます。


72°-(64°-48°)=56°...点Pが移動を開始するときの点Bと点Cの隔たり

20200203145104.jpg

点Bは6°/分、点Cは2°/分で進みますので、上の図は点Bが点Cよりもあと56°多く進むとABとACが重なることを表しているとわかります。

(360°-56°)÷(6°/分-2°/分)=76分...問題のはじめの状態(現在)から点Pが移動を開始するまでの時間

答え 76分後 


(3)
(1)の問題図から次のように点Pは移動します。

20200203145134.jpg


点Bは12分間に72°進みますから、上の3つ目の図より、

6°/分×□分+72°×2 =点Pが④の移動で進む角の大きさ

のように見えます。


しかし、点Pは点Bよりも遅い点Cと一緒に進んでいますので、実際は、点Pが④の移動をしている間に点Bは円Xを1周以上進んでいることになります。

6°/分×□分-360°+72°×2=2°/分×□分 

□分=(360°-144°)÷(6°/分-2°/分) 

□分=54分 

ですから、点Pは、

①の移動で10m、
②の移動で点Bと一緒に8分、
③の移動で10m、
④の移動で点Cと一緒に54分、
⑤の移動で10m、
⑥の移動で点Bと一緒に8分、
⑨の移動で10m

進みます。

10m×4+20m×3.14×8分/60分×2+40m×3.14×54分/180分=94.42...m → 94.4m 

答え 
94.4m 


(3)で④の移動を考えるとき、「遅い方の点を止めて考える」という解き方を使うこともできます。




本問のポイントは、3点P、B、Cの動きを正確に追いかける「思考力」、わかった動きを同時マークなどで見やすくする「整理力」、円周上を移動する2点の動きの「解法力」の、3つの力が使えるかという点です。

また、(1)の「およその位置をそれぞれわかるように書きこみなさい」という求めに対し、角度など「数値を書き込むと採点者に伝えやすい」ということに気づくことも大切です。


難関中を志望している新6年生は、秋以降の学校別の特訓で今回ご紹介したような「思考力」問題を解く機会もあるでしょうから、それまでに残りの2つの力、「整理力」「解法力」を身につけておくことが必要になります。


そのために6年生の前半の家庭学習においては、問題の条件を整理する、考え方を書く、解説の解き方を確認する(採点者への伝え方も学べます)などして、「整理力」や「解法力」を高めることができるといいですね。

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中学入試の算数問題 / 速さの練習問題2020年02月08日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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