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第535回 共学校の速さ 2

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速さの練習問題 2021年02月13日18時00分

「第535回 共学校の速さ 2」


前回から近年に行われた男女共学校の入試問題のうちの「速さ」に関する問題を取り扱っています。


今回も速さの大問形式の問題の中から、グラフに関する基本問題をみていきます。


1問目は、ダイヤグラムを利用する問題です。




【問題】
15km離れたA駅とB駅の開をバスは時45kmで往復し続け、各駅に着くごとに4分間停車します。太郎君は、行きは8時にバスと同時にA駅を出発してB駅に歩いて向かい、帰りはB駅からバスに乗りA駅に戻ります。太郎君の歩く速さを時速5kmとして、次の問いに答えなさい。ただし、(1)、(4)は答のみ、(2)、(3)、(5)は途中の考え方も書きなさい。

(1) バスはA駅からB駅まで何分かかりますか。

(2) 太郎君がA駅を出発してから、A駅行きのバスとはじめて出会うのは、何時何分何秒ですか。

(3) 太郎君がA駅を出発してから、A駅行きのバスと2回目に出会うのは、A駅から何kmの地点ですか。

(4) 太郎君がA駅を出発してからB駅に着くまでに、B駅行きのバスに何回追い越されますか。

(5) 太郎君がA駅に戻る途中、バスが故障したのですぐにバスを降り、そこから歩いたところ、12時にA駅に着きました。バスはA駅から何kmの地点で故障しましたか。ただし、バスを降りるのにかかる時間は考えないものとします。

20210208092050.jpg

(國學院大学久我山中学校 2020年 問題4)








【考え方】
(1)
距離と速さがわかっていますから、距離÷速さ=時間で計算できます。

15km÷45km/時=1/3時間=20分

答え 20分


(2)
与えられているグラフ用紙に、バスと太郎君の動きを書き込みます。

15km÷5km/時=3時間 … 太郎君がA駅からB駅までにかかる時間

20210208092138.jpg

上のグラフより、「ダイヤグラム解法の原則1 相似」を利用できることがわかります。

20210208092156.jpg

44分:156分=11:39

180分×11/50=39分36秒

答え 8時39分36秒

(別解)
「ダイヤグラムの原則2 等高三角形(山&谷)」を用いて解くこともできます。

20210208094215.jpg

上のグラフより、

⑨+①=44分

①=4.4分 ⑨=39.6分=39分36秒


(3)
(2)と同じように、「ダイヤグラム解法の原則1 相似」が利用できます。

20210208092228.jpg

92分:108分=23:27

15km×23/50=6.9km

答え 6.9km


(4)
はじめにかいたグラフから読み取ります。

20210208092301.jpg

答え 3回


(5)
故障した場所からA駅までのグラフを拡大してみます。

20210208092325.jpg

「ダイヤグラムの原則2 等高三角形(山&谷)」を利用すると、

速さの比 バス:太郎=45km/時:5km/時=9:1

時間の比 バス:太郎=①:⑨

⑨-①=12時-11時56分=4分

より、

①=0.5分

なので、

45km/時×0.5分/60分=0.375km

が答えです。


ところで、はじめのグラフより、太郎君はB駅を11時36分に出発するバスに乗ることがわかっていますから、線分図に表して解くこともできます。

20210208094735.jpg

上の線分図より、「速さのつるかめ算」になっていることがわかりますので、

(45km/時×24分/60分-15km)÷(45km/時-5km/時)=3/40時間 … 太郎が歩いた時間

5km/時×3/40時間=0.375km

のようにして答えを求めてもOKです。

答え 0.375km






本問は、グラフ用紙と速さや距離が与えられ、そこから正確なグラフをかくことで正解が得られる問題となっていました。


20210208092455.jpg




2問目は、隔たりグラフを読み取りの基本問題です。




【問題】
太郎君と次郎君がそれぞれ一定の速さで家から駅まで歩きます。太郎君が家を出発してしばらくたってから、次郎君が家を出発しました。駅へ行く途中、次郎君はコンビニに寄って買い物をしたところ、2人は同時に駅に着きました。下のグラフは太郎君が家を出発してからの時間と、2人の間の距離を表したものです。

20210208092525.jpg

(1) 次郎君の歩く速さは毎分何mですか。

(2) 家からコンビニまでの距離は何mですか。

(3) 家から駅までの距離は何mですか。

(中央大学附属中学校)








【考え方】
「2人の間の距離=隔たり」を表したグラフの問題は、グラフが曲がる点での「出来事」を問題条件から読み取ることが解き方の基本です。

20210208092558.jpg

(1)
上のグラフの0~3分に着目すると、太郎の速さがわかります。

177.6m÷3分=59.2m/分


3~11分に着目すると、太郎と次郎の速さの差がわかります。

(177.6m-59.2m)÷(11分-3分)=14.8m/分

59.2m/分+14.8m/分=74m/分

答え 毎分74m


(2)
次郎は3分に家を出発し、11分にコンビニに着きます。

74m/分×(11分-3分)=592m

答え 592m


(3)
次郎がコンビニにいる間も太郎は歩き続けますから、次郎がコンビニにいた時間は

(473.6m-59.2m) ÷59.2m/分=7分

です。


次に、次郎がコンビニを出てから太郎に追いつくまでの時間を求めます。

473.6m÷14.8m/分=32分


ですから、太郎が家から駅までにかかった時間は

11分+7分+32分=50分

です。


59.2m/分×50分=2960m

答え 2960m




本問は、問題文からグラフが曲がる点での出来事が読み取れる、基本レベルの隔たりグラフの問題でした。


20210208092723.jpg





今回ご紹介した問題はグラフに関する基本レベルの問題でしたが、新6年生で速さが苦手、算数が不得意という場合は全問正解が難しいかもしれません。


1問目はグラフを正確にかくことやダイヤグラムの5原則の中でもよく用いる2つの原則を使う大切な問題ですし、2問目も問題文とグラフから状況を理解できているかを確認できる問題ですから、もし、まちがえてしまったときはその理由をチェックして、類題演習をしていくようにしましょう。

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速さの練習問題 / 中学入試の算数問題 2021年02月13日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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