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第 546回 共学校の平面図形 7

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図形の練習問題 2021年05月01日18時00分

「第546回 共学校の平面図形 7」


前回は、近年に共学校の中学入試で出された「平面図形」のうち、作図力が重要な問題を見ました。


今回は「平面図形」の最後として、いろいろな問題について考えていこうと思います。


1問目は入試でもよく出される正六角形に関する問題です。




【問題】
20210423162431.jpg図のように、1辺の長さが6cmの正六角形を直線で2つに分けました。①の部分と②の部分の面積の比を最も簡単な整数の比で表しなさい。


(慶應義塾中等部 2021年 問題3-(3)問題文一部変更)










【考え方】
正六角形の分割問題は、頂点どうしを結ぶ直線で分割されているときは「均等分割」、辺上の点どうしを結ぶ直線で分割されているときは「正三角形の付け足し」を用いるのが、解き方の基本です。


本問は辺上の点どうしを結ぶ直線で分割されていますので、「正三角形の付け足し」を利用することにします。


次の図のように、正六角形の面積の1/6の正三角形を付け足します。

20210423162515.jpg

②に正三角形を付け足してできた図形は四角形(台形)ですから、「四角形は三角形に分割」の原則に従って2つに分け、それぞれが正六角形の面積のどれだけにあたるかを求めます。

20210423162531.jpg
 
 ↓

20210423162953.jpg

上の図より、付け足した正三角形の面積を1とすると、

②の面積=(3-1)+2×1/6=7/3

正六角形の面積=1×6=6

より、

①の面積=6-7/3=11/3

とわかります。


①の面積:②の面積=11/3:7/3=11:7

答え 11:7






上記で、水色三角形の面積を赤色斜線三角形の面積の1/9として求める、また、①の面積を求めて全体からそれを引いて②の面積を求めることもできます。


この問題の難しいところは、基本レベルの問題であれば正三角形を付け足すだけで答えを導けるのですが、付け足してできた図形が四角形になるため、さらに図形を分割することが必要な点です。



20210423163055.jpgなお、「正六角形の均等分割」を利用する場合は、例えば右の図のように、正六角形の面積の2/3に当たる部分(赤色の長方形)を3:5:3:1に分けて求めることができます。





20210423164701.jpg





2問目は「内接円」の問題です。




【問題】
下の〈図1〉、〈図2〉、〈図3〉のように角Aが直角で、3辺の長さがAB=5cm、BC=13cm、CA=12cmである直角三角形ABCがあります。この直角三角形ABCの内側に円がぴったりとくっついています。また、円の中心をO、辺AB、辺ACと円がぴったりとくっついている点をそれぞれD、Eとします。このとき、次の問いに答えなさい。

20210423163338.jpg

(1)〈図1〉において、直角三角形ABCにぴったりとくっついている円の半径は何cmですか。また、このときの考え方を書きなさい。式でも言葉でもよいことにします。

(2)〈図2〉において、辺AHと辺BCは直角に交わっています。このとき、BH:HCを最も簡単な整数の比で答えなさい。

(3)〈図3〉において、線分EOと線分DOを延長し、辺BCとの交点をそれぞれF、Gとするとき、三角形OFGの面積は何cm2になりますか。

(法政大学第二中学校 2020年 問題5)








【考え方】
(1)
三角形の内側にぴったりとくっつく円のことを「内接円」といいます。


この内接円の半径は、三角形の頂点と円の中心を結んで分割し、「三角形の面積を利用する」方法と、「三角形の合同を利用する」方法の2つがあります。


ここでは、三角形の面積を利用する方法で解いてみます。

20210423163415.jpg

上の図で、3つの三角形ABO、BCO、CAOの高さは、いずれも円の半径と等しい長さですから、3つの三角形の面積比は底辺の長さの比と同じです。

△ABOの面積:△BCOの面積:△CAOの面積=AB:BC:CA=5:13:12

△ABCの面積=5cm×12cm÷2=30cm


ここで三角形ABOに着目すると、

5cm×(円の半径)÷2=30cm×5/30

ですから、円の半径は2cmとわかります。

答え 2cm


(2)
直角三角形があるとき、その角に○、×を書き込むと、○+×=90度を利用して、相似な三角形を見つけることができます。

20210423163503.jpg

上の図で、三角形ABHと三角形CAHは相似で、相似比が5:12ですから、面積の比は

5×5:12×12=25:144

です。


ここで、三角形ABHの底辺をBH、三角形CAHの底辺をHCとみると、高さがAHで同じになりますから、面積の比=底辺の比=25:144とわかります。

答え 25:144


(3)
OFとAB、OGとACはそれぞれ平行ですから、三角形ABCと三角形OFGは相似です。

20210423163713.jpg

(2)の図より

AH=5cm×12/13=60/13cm

(1)よりOI=2cmですから、三角形ABCと三角形OFGの相似比は

AH:OI=60/13cm:2cm=30:13

となり、その面積比は900:169です。


30cm2×169/900=5 19/30cm

答え 5 19/30cm

本問は、(1)で求めた内接円の半径と(2)でわかった直角三角形の相似から、(3)が解けるように作られています。


それぞれ、中学入試の問題を解く上で大切な知識ですので、この問題を通して確認しておくとよいと思います。



20210423163642.jpg






今回は、2020年、2021年に共学校の中学入試で出された「平面図形」の最終回として、いろいろな問題を見ました。


平面図形は出題率の高い分野です。


この7回にわたってご紹介した問題などを利用して、基礎となる知識、解法、着目点などをチェックし、これから取り組む応用問題に備えることができればいいですね。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2021年05月01日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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