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第 548回 共学校の立体図形 2

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図形の練習問題 2021年05月15日18時00分

「第548回 共学校の立体図形 2」


前回から、近年に共学校の中学入試で出された「立体図形」の問題を取り扱っています。


2回目の今回は、「積み木」をテーマとした立体図形の問題を見ていこうと思います。


では、1問目です。




【問題】
20210512174901.jpg1辺が1cmの立方体をすきまなく積み重ねて、右の図のような立体を作りました。次の問いに答えなさい。

(1)立方体の数は何個以上何個以下といえますか。

(2)立方体の数がもっとも多い個数となるとき、この立体の表面積を求めなさい。



(法政大学中学校 2020年 問題5)








【考え方】
(1)
積み木(立方体)の個数を求める問題では、真上から見た図に真正面や真横から見える個数を書くことが、解き方の基本です。

20210512175048.jpg

積み木が最も少ないときは、真正面から見た個数を1回ずつ図の中に書き込み、残りは「1個」を書きます。

20210512175110.jpg

4個+3個+2個+1個×4=13個


積み木が最も多いときは、真正面から見た個数を縦にすべて書きます。

20210512175136.jpg

4個×2+3個×2+2個×3=20個

答え 13個以上20個以下


(2)
「積み木の表面積」の求め方は、投影図(真正面・真横・真上から見た図)を利用する方法と立体を水平にスライスしていく方法の2つが基本です。


今回は(1)でかいた投影図を利用してみます。


解説用の見取り図とセットにすると、真正面や真横から見える正方形の面の数は各列の最も大きい数と同じ、真上から見える正方形の面の数は真上から見た図の正方形の数と同じということがわかります。

20210512175216.jpg

真正面から見える面の数と裏側から見える面の数、真横(右)から見える面の数と真横(左)から見える面の数、真上から見える面の数と真下から見える面の数はそれぞれ同じですから、

4面+3面+2面=9面…真正面から見える正方形の面の数

4面+2面+4面=10面…真横から見える面の数

3面+1面+3面=7面…真上から見える正方形の面の数

(9面+10面+7面)×2=52面 → 52cm2

が表面積として求められたように思えます…が、この問題ではこれ以外に真正面、真横、真上のいずれの向きからも隠れて見えない面があります。

20210512175305.jpg

最後にこれを加えます。

(4面+3面)×2=14面

52面+14面=66面 → 66cm2

答え 66cm2






本問は、積み木を隙間なく積み重ねたときの個数の求め方、隠れて見えない面を含めた表面積の求め方が確認できる問題です。


見取り図や投影図は、立体図形の問題を解く上で欠かすことのできない条件整理方法です。


まずは、上記のような積み木の問題で使いこなせるかをチェックしてみましょう。




では、もう1問見ていきます。




【問題】
図1のような、1辺の長さが1cmの立方体Aがたくさんあります。図2は、たて、横がそれぞれ1cmずつに区切られている長方形です。このマスに沿ってAを並べたり、重ねたりします。図3の数字はそれぞれのマスに置いたAの個数を表していて、これを上、正面、横から見ると図4のように見えます。このとき、次の問いに答えなさい。

20210512175404.jpg
20210512175504.jpg(1)Aを右のように置き、正面、横から見るとどのように見えますか。図4にならって、解答らんの図に定規は使わずに書きなさい。

(2)(1)でできた立体の表面積は何cm2ですか。

(3)Aを並べたり、重ねたりして、体積が14cm3の立体を作りました。この立体を正面、横から見ると下のように見えます。この立体を上から見るとどのように見えますか。図4にならって、解答らんの図に定規は使わずに書きなさい。

20210512175437.jpg

(山手学院中学校 2020年 問題5)








【考え方】
(1)
前問と同じように、上から見た図に、正面から見える正方形(立方体の面)の個数、横から見える正方形の個数を書き込みます。


20210512175546.jpgこのとき、図3の立体を左から見ると右の図のようになりますから、この問題の「横」は「右」を意味していることに注意します。



20210512175607.jpg

答え (解説の図を参照)


(2)
(1)の立体の見取り図をかくと次のようになることからもわかるように、本問の立体にも「隠れて見えない面」があります。

20210512180600.jpg

このことは、上から見た図からもわかります。

20210512181636.jpg

隠れて見えない面も向かい合わせにあることから、正面、横、上の3方向から見える面と隠れている面の面積の和を2倍すると表面積が求められます。

20210512181910.jpg

(7cm2+6cm2+10cm2+2cm2)×2=48cm2

答え 48cm2


(3)
立体の体積が14cm3ですから、立方体の個数は14個です。


そこで、立方体が最も少ない場合の個数を考えてみます。


正面から見える正方形の個数と横から見える正方形の個数を上から見た図にかくと次のようになります。

20210512175801.jpg

この図から、少なくとも3個×2=6個の位置がわかり、また、図の★は少なくとも1つが1個、残りは0個または1個ということもわかります。

20210512175833.jpg

また、正面から見て一番左と右に2個の正方形が見えることになります。

20210512175852.jpg

残りの立方体の個数は、

14個-(6個+4個)=4個

ですから、★はすべて1個となります。

20210512175912.jpg

20210512175928.jpg



20210512175949.jpg



今回は、「積み木」をテーマとした問題について考えました。


積み木の問題では、真正面、真横、真上から見た図である投影図が大切であることがわかりましたが、この投影図は見取り図とも関連していますから、見取り図がかけることも同様に重要です。


テストでは制限時間がありますから見取り図をかく余裕はないかもしれません。


従って、家庭学習などにおいて投影図から見取り図をかく練習を積み、テストの時は投影図だけでも隠れた面の有無がわかり、表面積を求められるようになることが理想的だといえます。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2021年05月15日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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