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第644回 女子中の入試問題 速さ 3

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速さの練習問題 2023年11月11日18時00分

「第644回 女子中の入試問題 速さ 3」

ここまで、2023年度に女子中で出された「速さ」の問題の中から、「速さ」の一行問題を見てきました。

今回は「旅人算」を取り扱っていきます。

 

1問目は、基本レベルの問題です。

 

【問題】姉は中学校を、妹は小学校を、それぞれ同じ時刻に出発し、同時に家に着きました。中学校と小学校と家は、この順番で真っすぐな道に沿ってあり、中学校と小学校は160mはなれています。姉と妹の歩く速さはそれぞれ分速60mと分速40mです。中学校から家までの道のりは何mですか。

(東洋英和女学院中学部 2023年 問題4)

 

【考え方】

速さ以外の条件は距離条件が「160m」、時間条件が「同時に出発し、同時に着く」でどちらも1つずつですから、線分図とダイヤグラムのうち得意な方に整理すればよいと思います。

ここでは、線分図を利用してみます。

図より、「妹の160m後ろにいた姉が追いついた」という旅人算の問題だとわかります。

160m÷(60m/分-40m/分)=8分 … 追いつくまでの時間

姉は8分歩いて家で妹に追いついたのですから、中学校から家までの距離は

60m/分×8分=480m

です。

答え 480m

 

本問は、旅人算の基本が確認できる問題です。

条件がわかりやすい問題ですから、解答例のような線分図がなくても正解できるかもしれません。

なお、解答例の他に「速さと比の関係」を利用する解き方もあります。

③-②=①=160m

160m×3=480m

 

2問目は、大問形式の問題です。

 

【問題】姉妹が同時に家を出発して駅に向かって歩きました。姉が家から駅までの道のりの3/7の地点で引き返し、家へ向かって120m歩いたところで妹と出会いました。2人が出会ったのは家から駅までの道のりの1/3の地点でした。ここで、姉妹それぞれの歩く速さは一定とします。

(1)家から駅までの道のりは何mですか。

(2)姉妹の歩く速さの比を、最も簡単な整数の比で求めなさい。

(大妻中学校 2023年 問題5)

 

【考え方】

(1)

問題の条件が距離条件だけですから、線分図に整理します。

図より、120mが家から駅までの

3/7-1/3=2/21

にあたることがわかります。

120m÷2/21=1260m

答え 1260m

 

(2)

姉が

1260m×3/7+120m=660m

歩く間に、妹は

1260m×1/3=420m

歩いています。

答え 11:7

 

本問は、速さと比の関係が確認できる問題です。

距離条件だけがわかっているときは線分図に整理するという方針を立てると、正解しやすいでしょう。

なお、家から駅までの距離を割合の分母の最小公倍数㉑とし、120mが

㉑×3/7=⑨

㉑×1/3=⑦

の差の②にあたると考えて解くこともできます。

 

また、時間が共通なので、「道のりの比=速さの比」を利用することもできます。

 

3問目は、グラフの問題です。

 

【問題】P地点からQ地点までの道のりは32㎞であり、この2地点間をAさんは自転車で、Bさんは自動車で、それぞれ一定の速さで移動します。Aさんは9時にP地点を出発して11時にQ地点に到着しました。Bさんは9時20分にQ地点を出発し、10時にP地点に到着してすぐに折り返してQ地点に戻り、すぐに折り返してP地点へと向かいます。次のグラフは2人の位置と時刻の関係を表してものです。このとき、次の問いに答えなさい。

(1)AさんとBさんが1回目に出会う時刻は何時何分ですか。

(2)AさんとBさんが1回目に出会う時刻から3回目に出会う時刻までに2人が進んだ道のりの和は何㎞ですか。

(淑徳与野中学校 2023年 問題4)

 

【考え方】

(1)

距離と時間がわかっていますので、2人の速さを求めることができます。

32㎞÷(11時-9時)=16㎞/時 … Aさんの速さ

32㎞÷(10時-9時20分)=32㎞÷2/3時間=48㎞/時 … Bさんの速さ

わかったことを線分図に整理します。

16㎞/時×(9時20分-9時)=16㎞/時×1/3時間=16/3㎞ … Aさんの●~○

32㎞-16/3㎞=80/3㎞ … 2人の○~□の和

80/3㎞÷(16㎞/時+48㎞/時)=5/12時間 … ○~□の時間

9時20分+5/12時間=9時45分

答え 9時45分

 

【別解】 … 相似の利用

グラフの中の相似形を利用します。

60分:100分=3:5

より、

③+⑤=10時-9時20分=40分

なので、

①=5分

とわかります。

9時20分+5分×5=9時45分

 

(2)

(1)と同じようにして、3回目に出会う時刻を求めます。

16㎞/時×(10時40分-9時)=16㎞/時×5/3時間=80/3㎞ … Aさんの●~■

32㎞-80/3㎞=16/3㎞ … 2人の■~△の和

16/3㎞÷(16㎞/時+48㎞/時)=1/12時間

10時40分+1/12時間=10時45分 … 2人が3回目に出会う時刻

ですから、2人が1回目に出会ってから3回目に出会うまでの時間は

10時45分-9時45分=1時間

です。

(16㎞/時+48㎞/時)×1時間=64㎞

答え 64㎞

 

【別解】

1回目に出会った9時45分からの線分図に着目します。

2つの線分図を図のように移動させると、2人が1回目に出会ってから3回目に出会うまでに進んだ距離がちょうどPQ間の2倍になっていることがわかります。

32㎞×2=64㎞

 

本問の(1)は、与えられている距離と時間から順に求めていく方法と、与えられているグラフの中にある相似形を利用する2つの解き方があります。

順に答えを求められるときは、相似が利用できるかも確認してみましょう。

(2)は解答例のように3回目に出会う時刻を求める解き方でもよいですし、線分図をかいているときは別解のように工夫することができればなおよいでしょう。

 

今回は、2023年度の女子中の入試で出された「旅人算」の問題をご紹介しました。

3問目のように、線分図などを使って条件整理をしていると簡単に解けるような問題もありますので、少し易しく感じるレベルの問題あたりから条件整理の練習をしておくとよいと思います。

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速さの練習問題 / 中学入試の算数問題 2023年11月11日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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