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第645回 女子中の入試問題 速さ 4

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速さの練習問題 2023年11月18日18時00分

「第645回 女子中の入試問題 速さ 4」

前回は、2023年度に女子中で出された「速さ」の問題の中から「旅人算」の問題を見ました。

今回は「流水算」を取り扱っていきます。

 

1問目は、基本レベルの問題です。

 

【問題】A村の川下にB村があります。ボートでA村からB村までこいでいくのに30分かかりました。また、B村からA村までこいでいくのに2時間30分かかりました。静水時のボートの速さを時速6㎞として、次の問いに答えなさい。

(1)川の流れの速さは時速何㎞か求めなさい。

(2)A村からB村までの距離は何㎞か求めなさい。

(晃華学園中学校 2023年 問題2)

 

【考え方】

(1)

距離条件は「A→B と B→A(距離が同じ)」だけですが、時間条件は「30分」、「2時間30分」の2つがありますので、ダイヤグラムに整理します。

グラフの中にある等高三角形(距離が共通なので、速さの比と時間の比は逆比の関係)に着目します。

速さの関係を線分図に整理します。

 

図より、

⑤-①=流速×2 → 流速=②

とわかります。

よって、

①+②=6㎞/時 → ①=2㎞/時

です。

2㎞/時×2=4㎞/時

 

答え 時速4㎞

 

(2)

(2㎞/時×5)×30/60時間=5㎞

答え 5㎞

 

本問は、流水算の基本が確認できる問題です。

流水算が苦手なときは、問題の条件を線分図やダイヤグラムに整理し、さらに静水時の速さや流速などの関係を線分図に整理して考えるようにしましょう。

 

では、2問目です。

 

【問題】立子さんは、ボートをこいで川の上流にあるA地点から下流にあるB地点まで行くのに21分かかり、下流にあるB地点から上流にあるA地点に戻るのに1時間30分かかりました。立子さんが静水でボートをこぐ速さは、毎分37mです。また、川の流れの速さは一定とします。次の( )に当てはまる数を求めなさい。

(1)立子さんのこぐボートがA地点からB地点に行くときの速さと、B地点からA地点に戻るときの速さの比を最も簡単な整数の比で表すと( ):( )です。

(2)川の流れの速さは毎分(○あ)mで、A地点からB地点までの距離は(○い)mです。

(3)再び、立子さんはボートをこいで上流にあるA地点から下流にあるB地点へ21分で行きましたが、下流にあるB地点から上流にあるA地点に戻るときは、途中でこぐのをやめて休んだので1時間39分かかりました。立子さんがこぐのをやめて休んだ時間は( )分間です。

(横浜共立学園中学校 2023年 問題2 問題文一部変更)

 

【考え方】

(1)

前問と同じように、距離が共通のとき、速さの比と時間の比は逆比の関係であることを使って解きます。

答え (順に)30、7

 

(2)

(1)でわかったことを線分図に整理します。

 

図より、

㉚-⑦=流速×2 → 流速=11.5○

とわかります。

よって、

⑦+11.5○=37m/分 → ①=2m/分

です。

2m/分×7=14m/分 … 上りの速さ

37m/分-14m/分=23m/分 … 流速(=○あ)

14m/分×1時間30分=14m/分×90分=1260m … ○い

答え ○あ 23、 ○い 1260

 

(3)

時間条件の方が距離条件よりも多くわかっていますので、ダイヤグラムに整理します。

 

どこで休んだかわかりませんので、仮にB地点を出発してすぐに休んだと仮定します。

休むと、ボートは川の流れの速さで下流に流されます。

グラフの赤色の四角形は平行四辺形で、その底辺の長さは

1時間39分-1時間30分=9分間

です。

 

拡大した等高三角形に着目します。

⑭+㉓=9分間 → ①=9/37分間

ですから休んだ時間(=流された時間)は

9/37分間×14=126/37分間

です。

 

答え 126/37(3 15/37分間)

 

本問の(1)と(2)は前問のおさらいとなる問題です。

(3)は「休むと、川の流れの速さで流される」と「流された地点が不明なときは、流された地点を仮定する」の2つを使って解く問題です。

仮定する地点は解答例のようにスタート地点でも構いませんし、途中のどこか、あるいはゴール地点でもOKですが、共通するポイントは、予定の動きもかいておくという点です。

 

3問目も、大問形式の問題です。

 

【問題】川の上流にあるP地点から下流にあるQ地点までは25200mあります。船AはPを出発して、この間を往復しました。船Bは船AがPを出発した10分後にQを出発して、この間を往復しました。船BはPで折り返してQに向かっている途中で、エンジンを止め、川の流れにまかせて進みました。その後、またエンジンを動かして前と同じ速さで進み、船Aとすれ違いました。下のグラフは船AがPを出発してからの時間と、船A、BのQ地点からのそれぞれの距離の関係を表したものです。

(1)船Aの静水時における速さは分速何mですか。また、川の流れの速さは分速何mですか。

(2)船Bがエンジンを止めて、川の流れにまかせて進んでいたのは何分間でしたか。

(浦和明の星女子中学校 2023年 問題2)

 

【考え方】

(1)

船Aについて、グラフから読み取れることを整理します。

25200m÷70分=360m/分 … 下りの速さ

25200m÷(280分-70分)=120m/分 … 上りの速さ

 

わかったことを線分図に整理します。

(360m/分-120m/分)÷2=120m/分 … 流速

120m/分+120m/分=240m/分 … 静水時

 

答え 静水時 分速240m、 川の流れ 分速120m

 

(2)

船Bについて調べます。

25200m÷(150分-10分)=180m/分 … 船Bの上りの速さ

180m/分+120m/分=300m/分 … 船Bの静水時の速さ

300m/分+120m/分=420m/分 … 船Bの下りの速さ

 

船BがPを出発するとき、船AはQから

120m/分×(150分-70分)=9600m

進んでいますから、2つの船の間の距離は

25200m-9600m=15600m

あります。

 

図より、2つの船が出会うまでに船Aは

120m/分×(180分-150分)=3600m

進みますから、船Bが

180分-150分=30分

で進んだ距離は

15600m-3600m=12000m

です。

 

「船Bは420m/分と120m/分の2つの速さで12000m進むのに30分かかる」ので、つるかめ算とわかります。

(420m/分×30分-12000m)÷(420m/分-120m/分)=2分間

答え 2分間

 

本問の(1)は流水算のグラフの読み取りの基本が確認できる問題です。

(2)は前問と同様に川の流れに流されますが、流されるときと下るときの速さ・時間・距離がわかっている「つるかめ算」の問題でした。

同じ流される問題でも、条件が異なると解法が異なることを確認しましょう。

 

今回は、2023年度の女子中の入試で出された「流水算」の問題をご紹介しました。

流水算は速さの3公式や速さと比の関係の他に、グラフの読み取り、上りの速さ・下りの速さ・静水時の速さ・流速の関係を使って解く問題です。

もし正解できなかった場合は、どの部分で、どのようにまちがえたのかを調べ、問題の条件に応じて正しく使えるように練習をしましょう。

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速さの練習問題 / 中学入試の算数問題 2023年11月18日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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